想いに気づく瞬間【キルゴン】
―いつからだろう…?
俺がゴンのことを友達として見れなくなったのは……
ヨークシンで旅団を追っていた頃から…?
天空闘技場で念を習得していた頃から…?
……いや、もっと前だ。
ハンター試験で初めてゴンと出会った頃…。
『キルア、飛行船の中を見て回ろうよ!』
『ああ!』
最初はただ初めてできた友達程度にしか思っていなかった。
それから一つ一つ試験をクリアしていくうちに、“変わったやつだ”“一緒にいて飽きない”と、だんだんとゴンに興味を持ってきた。
…でも、ただ興味を持っただけなんじゃないと、ゴンと離れて初めて思い知らされた。
俺は最終試験の途中で他の受験生を刺して失格になり、そのまま家に戻った。
兄貴の拷問を受けて一人になった時、考えることはゴンのことばかりだった。
ゴンと離れて初めて気づく“想い”―
俺が“思い”から“想い”に気づく瞬間だった。
「キルア~!ビスケが早くしろってー!」
不意にゴンに呼ばれてハッとした。
「どうしたのキルア?」
ゴンが俺を覗き込んで聞く。
「……ゴン…」
「ん?」
―好きだ…
「…何でもねぇ!ホラ行くぞ!」
言いそうになった言葉を飲み込んで立ち上がった。
「ああ…ちょ……待ってよキルア~!!」
ゴンは俺の後ろを慌てて追いかけた。
END