不二の病【菊不二】
『英二!夏休み始まってすぐに、家族で2週間旅行に行くんだけど、お土産何がいい?』
いきなり不二からそう言われた。
付き合いだして、毎日のように会っている俺たち。
それなのに2週間も会えなくなるのは少し寂しい。
不二が旅行に行ってから1週間が立った。
「もう1週間か…。あと1週間も会えないのか~…。」
1週間立ってもかなり寂しいのに、もう1週間も会えないのは正直嫌だ。
「う~…。このままじゃ俺、病気になるよ~。」
不二を思って病気になる…“不二の病”か…。
「早く会いたいにゃ~。」
家のベッドでそんな事を考えていると、いきなりケータイが鳴った。
「うわっ!びっくりした…。…もしかして、不二かも…?」
少しワクワクしながら電話に出た。
「もしもし!?」
「あっ!英二先輩っスか?桃城っス!!」
電話に出ると、不二とは真逆のデカイ声の主だった。
「なぁんだ…桃か…。」
俺は少しがっかりした。
「なぁんだって何スか~。…まぁいいや!これから越前とカラオケ行くんスけど、英二先輩も来ませんか?」
「ん~…俺はパス…。そんな気分じゃにゃいんだ~。」
「え!?英二先輩が断るなんて…何かあったんスか?」
桃は少しびっくりしたような声で言った。
「いや!何もないよ!!…んじゃね~。」
少し慌てたように電話を切った。
「はぁ~~…俺って、こんなに独占欲強かったっけ?」
いままで考えたこともなかった…。
するとまた、ケータイが鳴った。
「…また桃か…?」
そう呟き、今度はだるそうに電話に出た。
「はいはい…。」
「英二!元気?」
電話の声はなんと不二の声だった!
「ふ、不二!?」
あまりにも嬉しくてつい、大声を出してしまった。
「?どうしたの?そんなに大声出して…。」
「!!ううん…にゃんでもない!!…で、不二どうしたの?」
「実はね…姉さんが急に仕事が入ったって言ってね、僕も早く英二に会いたいから、姉さんと一緒に帰って来たんだ。」
「え!マジ!?」
うわぁ…思ってもみなかったことが起こった!!
「うん。でね、今英二の家の前にいるんだ。」
「え!?」
俺はそっと窓を見た。
すると不二がこっちを見て手を振っている。
「俺、すぐ行くから待ってて!!」
電話を切って急いで外に出た。
「やぁ。」
不二はにっこり笑って俺に言った。
「うわ~ん!不二ぃ~会いたかったよ~ぅ!!」
俺は不二に抱きついた。
「もぉ~…はい、お土産!」
「ありがとー不二~!大好き!!」
さっきよりも強く不二を抱きしめた。
「あっはは!僕も大好きだよ!」
2人の愛を確かめ合い、不二を俺の部屋に上がらせた。
END