甘く【塚リョ】
10月7日…。
不二はいつものように朝練をする為に7:00に学校に着いた。
部室の前に行くと、女の子の群れがあった。
「何かあったのかな?」
そんな事を思っていると群れの中の女の子が、
「手塚先輩!お誕生日おめでとうございます!!vvv」
と言った。
「あぁ…。今日は手塚の誕生日か~…。」
微笑ましく見ている不二だったが、手塚の方は部室に入れなくて困っていた。
しかし尚も女の子たちは手塚にプレゼントを渡そうとしている。
やっと部室に入れた手塚を不二はついていった。
「ふ~…。」
「やっと入れたね。手塚。」
一息つく手塚に不二は声を掛ける。
「あ、あぁ…。」
不二はふいに机の上に置かれたプレゼントに目がいった。
「…プレゼント、いっぱいもらったね…。」
「…あぁ。不二、袋を持っていないか?」
手塚はプレゼントを入れる為の袋を不二に求めた。
「袋?あるけど、ビニール袋でいい?」
「あぁ。すまない。」
不二は鞄の中にあったビニール袋を取り出し手塚に渡した。
「ありがとう。」
袋を受け取ると早速プレゼントを袋に入れた。
「…………」
その様子をずっと不二が見ていた。
「む?どうした?不二」
不二の視線に気がついた手塚が不二を不思議そうに見つめた。
「…ううん…。何でも…ないよ…。」
そうは言っても、どこか寂しそうな不二の表情に手塚も心配になった。
「嘘をつくな。何かあったなら言ってみろ。」
「…!本当に何でもないよ…!大丈夫!…さぁ、みんな待ってるから早く着がえよう!」
不二がロッカーに手をかけたその時、
「不二…。嫉妬してるのか?」
「……っ!!」
図星をつかれた不二は赤面した。
「…図星か…。大丈夫だ。俺はお前から離れん…。」
さっきの口調よりすごく優しい手塚の口調に不二は安心して手塚に抱きついた。
「本当?」
「あぁ。本当だ。」
「約束だよ。手塚」
「約束だ。」
チュッv
2人はそっと、唇を重ねた。
END