揺れる気持ち【堀朋】







~朋香side~




私、どうしちゃったんだろう…?








世界で一番大好きなのはリョーマ様なのに…この頃何かが胸で引っ掛かる…









『…女子にこんな重いもの持たせるわけにいかねぇだろ…!』









あの事があってから、あいつの照れ隠しで言った台詞が頭から離れない。

きっと普段の態度からは想像がつかないあいつのギャップに驚いてるだけ…!

だって、私はリョーマ様一筋なんだから!!!




自分の気持ちを誤魔化すように、今日は一際大きな声でリョーマ様を応援する。






~堀尾side~



「リョーマ様ぁぁ!!素敵~!!!」




今日はこいつ、一段と声デカいよな~…






そう思いながらいつものように球拾いをする。







『今日ママが遅くなるから弟たちの分の買い物してたの。』










ふとまたあの時のあいつの言った台詞が頭を過った。

あのはしゃぎっぷりからは想像つかないけど、あれでもあいつ、面倒見がいいんだよな…

親が遅くなるからと弟たちの買い物をするほどだ。

相当大変なんだろう…




「キャーーーーー!!!ドライブBだわ~!!!」




またあいつの声が聞こえる。

………あれ?何だ?この胸の苦しさは…?









ある日、朋香は桜乃とのショッピングを楽しんだあと電車の駅で別れ、一人ホームで電車を待っていた。

電車の到着時間が近づくにつれ、人も増える。

しかも今は帰宅ラッシュ。

仕事帰りの大人たちが慌ただしく速歩きでホームを歩く。

するとそこに…

「人多いな~…」

朋香のすぐそばで聞いたことのある声が聞こえた。

「あんた…!」

「ん?…あ、お前…!」

お互い誰だか気づき、驚いた顔になる。

「何であんたがここにいるのよ~!」

「お前こそ、ここで何してんだよ!」

「見てわかんないの?電車待ってんの!」

「っ…!…そうじゃねーよ!」

そこまで言うと電車が来た。

二人はなるべく離れようと乗ったが、人が多い所為で押され、気がついたら二人が密着する形になった。

『発車しま~す…』

車掌の合図でドアが閉じ、発車する。

「(…何でこうなるのよ…)」

「(こんなはずじゃなかった…!)」

「…も、もうちょっと離れなさいよ!」

「俺だってそうしてぇよ!」

小声で言い合う二人。

しばらく睨み合って黙っていると、駅に着いた。

だがまだ降りる駅ではなく、二人はあと何駅か心の中で数えて溜め息を吐いた。

ドアが開き、中にいた人が押し合うように電車を降りていく。

するとその波に飲まれて朋香がよろめいた。

「キャ…!」

「危ない…!」

咄嗟に堀尾が朋香の腕を掴み、自分の所へ引き寄せた。

「だ、大丈夫か?」

堀尾に引き寄せられたことによって、朋香の顔が堀尾の胸の辺りにあった。

「あ…ありがとう…//////」

顔を伏せて呟く。

少し人は降りたとはいえまだまだ満員。

朋香は堀尾の胸にすがって顔を隠していた。

すると、堀尾の胸の鼓動がトクン…トクン…とだんだん速度が増していくのがわかった。

「(堀尾の…音……)」

その音を聞いて、朋香の胸の鼓動も速くなり始めていた。

そんな朋香を見下ろして堀尾が顔を少し赤くする。

「(あんなに意地っ張りでも…こいつも女なんだよな…/////)」

朋香からシャンプーの香りがし、心地よい気持ちになった。











しばらくして降りる駅に着き、二人で改札を通る。

「じゃあ、私こっちだから…」

「お、おう…」

二人はお互いあまり顔を合わせることなく別れた。









「(私…堀尾が好きなのかも……///////)」







「(俺…小坂田が好きかも…///////)」
















END
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