意地っ張り【堀朋】
ある晴れた日の放課後。
今日もテニスコートで練習…ではなく、一際目立つ応援の声が響いた。
「キャ~!!リョーマ様ぁ~!!」
ツインテールに泣きボクロのある小坂田朋香は、1年レギュラーの越前リョーマの大ファンだった。
それを呆れたように見る男子生徒がいた。
堀尾聡史。
彼は自称テニス歴2年の1年生。
そんな堀尾は朋香を横目で見ていた。
「お前さ~…まだ越前のファンなんかやってんのかよ。」
堀尾の声に朋香はムッとした。
「何よ!レギュラーでもないくせに偉そうなこと言っちゃって!」
「フンだ!俺もいずれ越前なんか追い越してやんだかんな!見てろよ!」
「まったくあんたってホントおめでたい頭してるわね!」
「何とでも言えってーの!」
二人はお互いそっぽを向いてしまった。
「(…ったく可愛くねぇやつ!まだ大人しくてテニス頑張ってる竜崎の方がよっぽど可愛いぜ!)」
「(…まったく何なのよこいつ!リョーマ様の方がテニス強いのに威張っちゃって!)」
お互いそう思いながら過ごした。
部活が終わると同時に朋香は急いで帰っていった。
堀尾たちテニス部もミーティングを終え、それぞれ帰っていった。
みんなと別れ、堀尾が一人で歩いていると、向かい側から買い物袋を持った朋香が歩いて来た。
「あ………」
「あ………」
立ち止まり、しばらく固まる。
先に口を開いたのは堀尾の方だった。
「お前、先に帰ったんじゃなかったのかよ…。」
「見ての通り買い物よ。今日ママが遅くなるから弟たちの分の買い物してたの。」
買い物袋を持ち上げてそう言う。
「ふ~ん…。お前も大変だな…。」
重そうに持ち上げられた買い物袋を見つめてそう呟く。
「…まぁ、もう慣れたから大丈夫よ。…じゃ、私もう行くわ。あんたも早く帰ったら?」
そう言って朋香が去ろうとしたとき、堀尾は朋香の持っている買い物袋を持った。
「え…ちょ…!」
「持ってやるからお前の家まで案内しろよ。」
朋香の顔を見ずにそう言う堀尾に、朋香はびっくりした顔になる。
「い、いいわよ…!一人で持てるから!」
「…女子にこんな重いもの持たせるわけにいかねぇだろ…!…いいから教えろよ…!///////」
真っ赤になって言う堀尾に負け、朋香は素直に従った。
「あ…ありがと…//////」
夕暮れの中、朋香と堀尾は二人並んで歩いた。
END