嫉妬から生まれるもの【不二リョ】
最近、俺の恋人、不二先輩が俺以外の人に笑顔を見せる。
(…笑顔なのはいつもなんだけど…)
すっごく楽しそうに話したりしている。
―ホントに俺のこと、見てる?―
部活をしながらそんな事を思っていると、部長に注意された。
「越前!!何よそ見しているんだ!罰として、グランド10周だ!」
「はぁ~…ウィ~ッス…」
俺は少し面倒くさそうに返事をして、グランドを走った。
走り終わってベンチに座ると、誰かに後ろから話し掛けられた。
「お疲れ様。ハイ、ドリンク。」
後ろをふり返ると、声の主は不二先輩だった。
「ありがとうございます。」
不二先輩からドリンクを受け取ると、一口飲んだ後、不二先輩が話し出した。
「どうしてよそ見なんかしてたの?」
アンタが他の人と楽しそうに話してたからだよ…
とは言わず、我慢した。
「ちょっと考え事ッス…」
「考え事?」
「その内話します………あっ!そうだ!不二先輩、今日部活終わったら、話があるんスけど…。」
「話?いいよ。」
不二先輩が笑顔を向けると、急に横から英二先輩が話掛けた。
「不~二ぃ~!ちょっと来てにゃ~」
「うん。今いくよ。」
そう言って不二先輩は英二先輩の所へ行ってしまった。
その瞬間、俺の怒りが頂点に達した。
部活が終わり、今部室には俺と不二先輩の2人しかいない。
「話って何かな?」
俺が怒っているのを不二先輩はほとんどわかっていない。
「…一応俺たちって、付き合ってんだよね?」
「もちろん。それがどうかした?」
少し声のトーンを下げたはずなのに、不二先輩の顔色は全く変わらない。
「じゃあ、なんで俺以外の人と楽しそうに話すわけ?」
「そんなことないよ…僕はいつだって、越前を見てるから。」
急にそんなこと言われたら…///って思ったけど、我慢した。
「どうしてそんなことを?」
優しく言ってくれる不二先輩を見てると、何だか泣きそうになってくる。
そう思うと、自然と不二先輩に抱きついていた。
「…っ俺、心配なんッスよっ!不二先輩が、俺から離れて行くんじゃないかって…」
涙を堪えながら、今の気持ちをうち明けた。
すると優しく、不二先輩は俺の頭をなでてくれた。
「大丈夫。僕はリョーマから離れたりしないよ。ずっと一緒にいるから。」
「…っ本当…?」
「うん。その証拠に…」
「?」
…チュッ…
「………あ//////」
不二先輩は優しく俺にキスした。
「好きな人以外に、こんな事しないよ?だから、安心して。」
「………はい……」
今回だけは絶対許さないって思ってても、つい許したくなる。
いつも俺は不二先輩にからかわれたりしてるから、今度は俺が不二先輩を困らせようとしたけど、やっぱり不二先輩には適わなかった。
それでも、いつも甘い言葉を言ってくれる、俺の一番大切な周助が大好き!
END