殺し屋として【キルア夢】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
月の綺麗な晩、ゾルディック家の三男キルアが仕事である暗殺をしていた。
その帰り、返り血を浴びたキルアの前に、一人の少女が佇んでいた。
「お前、一人で何やってんだ?」
そう問いかけると、少女はポツリと言った。
「別に…」
「…お前親は?いねぇの?」
「……警察に殺された」
その言葉にキルアはまた問いかける。
「は?警察に?何で警察に親が殺されるんだよ…」
「見に覚えのない罪を着せられて、反発したら銃で撃たれた。」
静かに少女は言う。
「そっか……。なら、俺ん家来るか?」
「え…でも…」
「大丈夫だって!さ、行こうぜ!」
有無も言わさずキルアは少女の手を取り、家に連れて帰った。
「誰?そいつ。」
家に連れて帰るなりイルミはキルアに冷たく言い放った。
「名無しさん。親を警察に殺されて身寄りがないっていうから連れて来た。」
キルアの言葉を不思議に思いながらゼノが名無しさんに聞いた。
「ほぅ…。いったいお前さんに何があったんじゃ。」
ゼノの問いに名無しさんは静かに語った。
「…ある日、家に警察が駆け込んで来ていきなりお父さんとお母さんを逮捕したの。事情を聞くと、二人が夜に街で人を殺したって。もちろん否定したわ!でも反発したお父さんとお母さんは、警察が持っていた銃で撃たれたの。」
名無しさんの目が憎しみの色になる。
「殺してやりたい…。お父さんとお母さんを撃ったやつ、そして下手な捜査して見に覚えのない罪を着せた警察のやつら全員…この手で!」
名無しさんの怒りは頂点に達している。
すると黙って聞いていたシルバが口を開いた。
「…なるほどな。…よし、お前を養子にしよう。今日からお前は名無しさん=ゾルディックだ。」
シルバが言うと、他のみんなが驚いた。
「あなた!ダメよ!!そんなどこの馬の骨なのかもわからない子を養子にするだなんて!ゾルディック家の名が廃るわ!」
キキョウが甲高い声で拒絶する。
だがシルバはキキョウにピシャリと言った。
「お前は黙っていろキキョウ。」
シルバの圧力にキキョウは黙った。
「親父サンキュー!来いよ名無しさん!家を案内するぜ!」
「あ…う、うん。」
名無しさんはキルアについて行った。
「パパ!何であんなやつ養子にしたりなんかするのさ!」
ミルキが不満げに言う。
「お前も見ただろう。あいつの憎しみに溢れたあの目を。あいつは将来有望な殺し屋になるだろう。」
キルアについていく名無しさんを見ながら呟いた。
それから数ヶ月、名無しさんはシルバによる暗殺術を毎日習った。
覚えが早いのか、名無しさんは基礎基本をほぼ完璧にマスターした。
その様子をキルアは見ていられず、シルバに抗議した。
「親父!俺は名無しさんをこんなことさせるために連れてきたんじゃない!」
「キル。お前がどう思おうが勝手だ。だが養子は養子でもゾルディック家の一員だ。あいつには殺し屋になる義務がある。…そして、素質もな。」
不適な笑みを浮かべて言い放つ。
「…っ!…クソッ!!」
そう言い捨て、キルアは部屋を出て行った。
翌日キルアが一人で庭にいると、名無しさんが嬉しそうにキルアの元に走ってきた。
「キルア~~~~!!!」
その声にキルアは振り返り、返事をする。
「あぁ。どうしたんだ?」
「あのね!私今日シルバさんに褒められちゃった!お前は物覚えが良いなって!もうすぐ仕事に出てもいい頃だなって言われちゃった!…楽しみ~!」
ニコニコしながら言う名無しさんに耐えられず、キルアは名無しさんを抱きしめた。
「ごめんな…。」
「え…キ、キルア?どうしたの?何で謝るの?」
「俺が名無しさんをここに連れてこなければ…暗殺術なんか覚えさせられなくて済んだのに…。」
自分を責めるように言うキルアに戸惑う。
「何言ってんの?私今すごく幸せだよ?みんなに優しくしてもらえてるもの。」
「…好きなやつには…名無しさんにはもっと別の形で幸せになって欲しいんだよ!…殺し屋としてじゃなく、普通のやつみたいに…。」
抱きしめる腕に力が篭もる。
「…俺と逃げよう。」
「え?」
キルアは名無しさんの肩に手を置き、真剣な眼差しでそう言った。
「俺とここを出るんだよ!そうしたら暗殺者にならなくて済むだろう!?」
キルアの提案に名無しさんはビックリしながらもゆっくりと首を横に振った。
「そんなのダメ。身寄りのない私を養子にして育ててくれてるのよ?そんなこと出来ない。」
「育てるって言ったって殺し屋にだろ!?」
「っ!」
キルアの一言が名無しさんの心臓に突き刺さる。
「一回人を殺したらその感触、匂い、光景が一生消えないんだ。でも今ならまだ間に合う!ここにいたら例え仕事を拒んでもここの人間は殺らせるぜ?」
必死に名無しさんを説得する。
するとようやく名無しさんが首を縦に振った。
「…ありがとうキルア。…目が覚めた。」
「よし、そうと決まれば急ごうぜ!」
「うん!」
二人は手を繋いだまま音を殺して走り出した。
走る途中、名無しさんはキルアに言った。
「キルア。私もキルアが好き!」
ニコッと笑って名無しさんがキルアを見る。
「バカッ!そういうこと今言うなよ!///」
少し照れながらキルアが言う。
「クスッ!」
その様子に名無しさんはクスッと笑った。
END