[本編] 赤屋 竜次 編
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【ハク】
(……なんか、いいな。仕事に誇り持ってるのって)
【ハク】
(俺は……今はこんなだしなぁ)
生き生きとした様子で久々津さんのことを語るリュウを見ていると、今の自分のこの有様と比べてしまって我ながら情けなくなる。
【ハク】
(俺の上司ももっと尊敬できるような人だったらよかったんだけどな……)
【ハク】
(まぁ、既に上司じゃなくて元上司になっちゃったけど)
俺が軽く感傷に浸っていると、リュウの口から思いがけない言葉が飛び出した。
【赤屋】
「ところで、そう言うハクは何してるんだ」
【ハク】
「えっ!?」
【赤屋】
「仕事。ハクはどこで働いてるんだ?」
【ハク】
(そうか、クビになったこと、まだリュウに言ってなかったんだ……)
つい先日、俺はそれまで勤めていた会社をクビになった。
しかもクビの理由が……上司から他の同僚の横領の罪を着せられて、俺の有責による解雇。
話せば長くなるし、リュウのことだ、もしもその上司を殴りに行くとか言い出したら……そんなことしたら、リュウが悪者になってしまう。
それとも、幻滅して俺のこと軽蔑するかもしれない。
濡れ衣とはいえ、俺がやってないって証明ができなかったからクビになったんだし……。
こんなとき、どうしたらいいんだろう。素直に言ったほうが良いんだろうか。それとも……?
【赤屋】
「まさかプー太郎ってわけじゃないんだろ?」
【ハク】
「そ、それは……」
リュウは笑顔で訊ねてくるが、嫌味のないそのの笑顔が今の俺には眩しすぎる……。
【ハク】
(ど、どうしよう……)
俺は先日会社に解雇された話しを正直にすることにした。
2人の間に少しの沈黙が車内に訪れる。
【ハク】
(リュウは俺のこと、ちゃんと働いてるって思ってるんだ……)
確かに、それはそうだ。
会社をクビになった上に家は放火に遭うなんて、こんな漫画みたいに不幸の連続だなんて当事者の俺だって想像してなかった。
【ハク】
(やっぱりヒく……よな)
……でも、素直に言ったほうがいいよな。嘘つきは泥棒のはじまりって言うし。
ヤクザとはいえ立派に働いてるリュウと比べれば情けないけど、仕方ない。これが今の俺なんだ。
それに、俺のためにここまで親身になってくれるリュウに嘘なんてつきたくない。
うん、言うべきだ。
【ハク】
「実は……」
【赤屋】
「ん?」
【ハク】
「実は俺、この前会社クビになってさ」
【ハク】
「そのまさか、プー太郎なんだ」
【赤屋】
「…………そう、なのか」
笑顔で言ってはみたが、それが逆に痛々しかったかもしれない。
けれど、悲壮感たっぷりに言うよりはマシだったと思う。
それを聞いたリュウはちゃんと前を見て運転しているものの、苦虫を噛み潰したような表情をしている。
リュウがそんな顔すること、ないのに……。
【赤屋】
「……気にすることねぇよ」
【ハク】
「?……わっ」
そう言いながら、リュウの手が伸びてくる。
リュウの大きな手は俺の頭をかき混ぜるように撫でた。
【ハク】
「ちょ、リュウ危ないって!ハンドル……」
【赤屋】
「仕事してようと、してなかろうと、ハクはハクだろ」
【ハク】
「リュウ……」
元気付けようとしてくれてるんだろうか。
やっと手を離してくれたリュウの顔は日射しのせいかもしれないけど、赤くなってるように見えた。
【赤屋】
「なんか、大変な時にこんなこと聞いて悪かったな」
【ハク】
「いや……いいよ。気にしないで」
俺はその後に続く気の利いた会話を見出せず、再び車内に沈黙が渦巻く。
……今の俺の言葉を聞いて、リュウはどう思ったんだろう?
信用できる奴だって、まだ思っててくれてるんだろうか。
俺の答えの出ない問いとは裏腹に、窓の外の景色は流れてゆく。
結局そんなことを気にしているうちに、車は無言のまま警察署前に到着した。
【赤屋】
「ハク、着いたぞ」
その言葉で、俺は現実に呼び戻される。
まわりにはパトカーもたくさん停まっていて、俺はここに何をしに来たかを思い出した。
【赤屋】
「ほら、行くぞ」
気がつけばリュウはもう車を降りている。俺もつけたままのシートベルトをはずして助手席のドアを開け、リュウに続いた。
【ハク】
「……うん、ありがとう」
町の交番ならまだしも、警察署に……それもこんな用事で来るなんて初めてだ。
というか、リュウは職業柄、こんなところに来て大丈夫なんだろうか……。
【ハク】
(でも、今更気にしたってしょうがないよな)
そうだ、俺は自分のアリバイを証明するためにやって来たんだ。そのために、リュウも来てくれた。
【ハク】
(無事に疑いが晴れると良いが……)
俺達は、とりあえず警察署の入り口に向かって歩き出した。
続く…
(……なんか、いいな。仕事に誇り持ってるのって)
【ハク】
(俺は……今はこんなだしなぁ)
生き生きとした様子で久々津さんのことを語るリュウを見ていると、今の自分のこの有様と比べてしまって我ながら情けなくなる。
【ハク】
(俺の上司ももっと尊敬できるような人だったらよかったんだけどな……)
【ハク】
(まぁ、既に上司じゃなくて元上司になっちゃったけど)
俺が軽く感傷に浸っていると、リュウの口から思いがけない言葉が飛び出した。
【赤屋】
「ところで、そう言うハクは何してるんだ」
【ハク】
「えっ!?」
【赤屋】
「仕事。ハクはどこで働いてるんだ?」
【ハク】
(そうか、クビになったこと、まだリュウに言ってなかったんだ……)
つい先日、俺はそれまで勤めていた会社をクビになった。
しかもクビの理由が……上司から他の同僚の横領の罪を着せられて、俺の有責による解雇。
話せば長くなるし、リュウのことだ、もしもその上司を殴りに行くとか言い出したら……そんなことしたら、リュウが悪者になってしまう。
それとも、幻滅して俺のこと軽蔑するかもしれない。
濡れ衣とはいえ、俺がやってないって証明ができなかったからクビになったんだし……。
こんなとき、どうしたらいいんだろう。素直に言ったほうが良いんだろうか。それとも……?
【赤屋】
「まさかプー太郎ってわけじゃないんだろ?」
【ハク】
「そ、それは……」
リュウは笑顔で訊ねてくるが、嫌味のないそのの笑顔が今の俺には眩しすぎる……。
【ハク】
(ど、どうしよう……)
俺は先日会社に解雇された話しを正直にすることにした。
2人の間に少しの沈黙が車内に訪れる。
【ハク】
(リュウは俺のこと、ちゃんと働いてるって思ってるんだ……)
確かに、それはそうだ。
会社をクビになった上に家は放火に遭うなんて、こんな漫画みたいに不幸の連続だなんて当事者の俺だって想像してなかった。
【ハク】
(やっぱりヒく……よな)
……でも、素直に言ったほうがいいよな。嘘つきは泥棒のはじまりって言うし。
ヤクザとはいえ立派に働いてるリュウと比べれば情けないけど、仕方ない。これが今の俺なんだ。
それに、俺のためにここまで親身になってくれるリュウに嘘なんてつきたくない。
うん、言うべきだ。
【ハク】
「実は……」
【赤屋】
「ん?」
【ハク】
「実は俺、この前会社クビになってさ」
【ハク】
「そのまさか、プー太郎なんだ」
【赤屋】
「…………そう、なのか」
笑顔で言ってはみたが、それが逆に痛々しかったかもしれない。
けれど、悲壮感たっぷりに言うよりはマシだったと思う。
それを聞いたリュウはちゃんと前を見て運転しているものの、苦虫を噛み潰したような表情をしている。
リュウがそんな顔すること、ないのに……。
【赤屋】
「……気にすることねぇよ」
【ハク】
「?……わっ」
そう言いながら、リュウの手が伸びてくる。
リュウの大きな手は俺の頭をかき混ぜるように撫でた。
【ハク】
「ちょ、リュウ危ないって!ハンドル……」
【赤屋】
「仕事してようと、してなかろうと、ハクはハクだろ」
【ハク】
「リュウ……」
元気付けようとしてくれてるんだろうか。
やっと手を離してくれたリュウの顔は日射しのせいかもしれないけど、赤くなってるように見えた。
【赤屋】
「なんか、大変な時にこんなこと聞いて悪かったな」
【ハク】
「いや……いいよ。気にしないで」
俺はその後に続く気の利いた会話を見出せず、再び車内に沈黙が渦巻く。
……今の俺の言葉を聞いて、リュウはどう思ったんだろう?
信用できる奴だって、まだ思っててくれてるんだろうか。
俺の答えの出ない問いとは裏腹に、窓の外の景色は流れてゆく。
結局そんなことを気にしているうちに、車は無言のまま警察署前に到着した。
【赤屋】
「ハク、着いたぞ」
その言葉で、俺は現実に呼び戻される。
まわりにはパトカーもたくさん停まっていて、俺はここに何をしに来たかを思い出した。
【赤屋】
「ほら、行くぞ」
気がつけばリュウはもう車を降りている。俺もつけたままのシートベルトをはずして助手席のドアを開け、リュウに続いた。
【ハク】
「……うん、ありがとう」
町の交番ならまだしも、警察署に……それもこんな用事で来るなんて初めてだ。
というか、リュウは職業柄、こんなところに来て大丈夫なんだろうか……。
【ハク】
(でも、今更気にしたってしょうがないよな)
そうだ、俺は自分のアリバイを証明するためにやって来たんだ。そのために、リュウも来てくれた。
【ハク】
(無事に疑いが晴れると良いが……)
俺達は、とりあえず警察署の入り口に向かって歩き出した。
続く…