本編
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【吉川】
「俺はお前の先輩じゃねえ」
【井上】
「宮沢先輩の先輩は、イコール俺の先輩です!」
【吉川】
「…単純さはニワトリ並か」
【井上】
「なんだと~!」
井上が掴みかかって抗議しようとするも、リーチの長い吉川先輩に頭を抑えられて拳が届かない
【井上】
「くぅ~!」
【吉川】
「…顔が赤くなるとサルみてぇだな」
【梶井】
「吉川さんは本当に後輩の面倒見がよろしいですね」
そんな光景を見ていた梶井さんが、くすくすと楽しそうに笑って言った
【吉川】
「だから、こいつは後輩じゃねぇ」
【梶井】
「ふふ…、吉川さんの後輩は、宮沢さんだけ…ですものね」
【吉川】
「そ…そんな意味でもねぇよ」
誰に対しても無愛想なところのある吉川先輩だけど…
ミーティングルームでの一件以来、梶井さんの前ではいつもの調子を保てないみたいで…
【宮沢】
(志賀助教もそうだけど、なんか大学に居る時よりもずっと身近に感じるな)
この光景を動画で撮って谷崎にも見せてあげたいなんて、こっそり考えてしまうほどに…
【夏目】
「宮沢、ここに居たのか。」
【宮沢】
「あ、夏目オーナーお疲れ様です」
【宮沢】
「ええ。今日お休みのパートさんの代わりに、マッサージルームの消耗品の補充を頼まれてたんです」
このフィットネスプールは、大小合わせて8室のマッサージルームが完備されていて
痩身マッサージからスポーツマッサージまであらゆる施術を受けられるのも自慢の1つだ
【夏目】
「さっき最後のレッスン客が帰ったから、閉館前にひと泳ぎ付き合ってもらおうと思ったんだが…」
【宮沢】
「でしたらもうこの部屋で終わりですから、すぐやっちゃいますね!」
ティッシュやコットン、それに施術用の紙の下着など…順番に確認しながら、ないものを補充していく…
【夏目】
「そういえば、宮沢はスポーツマッサージ関連の資格が取りたいって言ってたよな、順調なのか?」
一緒になって補充を手伝ってくれながら、何の気なしにオーナーがそう訪ねてきた
そういえば…ここに面接にきたとき、最終面接でオーナーにそんな話をした覚えがある
【宮沢】
(覚えてて…くれたんだ)
補充の手伝いもそうだし、こういうさりげない部分でオーナーが見せる優しさや心配りはいつも自然で…
【宮沢】
(なんていうか、大人だよなあ…)
オーナーと会話していると、いつも尊敬とも憧れともつかない気持ちが胸をふんわりと暖かくする
【宮沢】
「それが…、過去問や勉強会で筆記試験の対策は進めているんですが……」
【宮沢】
「実際に実技の方も学びたくて、師事できる人を探しているところなんです」
【夏目】
「それなら俺が教えてやろうか?」
【宮沢】
「えっ!?」
【夏目】
「たまにスポーツ選手の客が俺のとこに来るの知ってるだろ?」
【宮沢】
「そういえば、ときどきプロ選手のお客様がいらっしゃってますね。」
そう、この施設にはTVや新聞を賑すようなプロ選手が来訪してくることが度々あった。
グループ会社のCMの打ち合わせや、スポンサー契約関連の用事かと思っていたのだけど……
【夏目】
「実は俺、スポーツトレーナーの修士免許を持ってて、頼まれてマッサージしたりしてんだよ」
【宮沢】
「え、ええ~っ!
だってオーナー、そんなコト一言も…」
【夏目】
「あんまり大っぴらにするもんでもないしな。
だが宮沢にそういう事情があるなら話は別だ」
【夏目】
「よし、これからはお前にシンクロを習うお礼に、俺がお前にトレーナー試験用の実技を教えよう!」
【夏目】
「今日も付き合ってくれてありがとな、やっぱり宮沢は指導の仕方が上手い」
【宮沢】
「いえ、俺の方こそいつもオーナーに教わることばかりです!」
【夏目】
「……」
【夏目】
「お前はもう少し、自分に自信を持っても良いと思うんだがなあ」
【夏目】
「でもまあ、ソコがお前の良いところでもあるがな」
【夏目】
「明日から練習後にマッサージ教えてやるから。
そっちも頑張れよ」
【宮沢】
「はい!」
そしていつものように、2人で閉館の準備に入った。
これから始まるマッサージの個人授業でどんなハプニングが待っているのかを、
この時の俺たちはまだ気が付いていなかった―
より演技に力強さを出せるよう、ウェイトトレーニングをしたい
―そういう井伏さんの要望で、今日はジム施設でのトレーニングを行うことにした
【宮沢】
「それじゃ井伏さん、俺ストップウォッチとノート取ってきますから、ちょっと待ってて下さい」
【井伏】
「オッケー、適当にこの辺の器具使ってるわ」
俺は備品室から必要なものを調達すると、再びトレーニングルームへと戻った
―が、先ほどまであった井伏さんの姿が見えない
【宮沢】
(……?
ロッカールームに忘れ物でもしたのかな?)
【井伏】
(とりあえず、いない間にトレーニング計画の見直しをしとくか!)
【宮沢】
(遅いなあ、井伏さん…
どこいっちゃったんだろ)
俺が戻ってきてから既に15分は経過しているが、井伏さんは一向に戻ってくる気配がない
【宮沢】
(ん…、あれは……)
改めて室内を見渡すと、角のトレーニングベンチのところに4、5人の人だかりがあるのが見えた
【宮沢】
(なんだ…?器具の故障かな……)
じっと目をこらしながら、人だかりに近づくと……
【宮沢】
「あ…」
そこでは女性たちに囲まれた井伏さんの姿があった
【ジャージ姿の女性】
「え~、鮎次くん博通堂に勤めてるの~
超エリートじゃ~ん」
【Tシャツ姿の女性】
「ねぇねぇ、彼女いるの?
てかさ、居てもいいからとりあえず飲み行こうよ~」
【タンクトップの女性】
「あ、それいい~!
もうジム上がってさ、これから行っちゃおうよ~」
【タンキニ姿の女性】
「ほら、行こ!鮎次くん
アタシいい店知ってるんだ~」
【井伏】
「そうだなあ、お姉さんたちキレイだし、どーしよっかな~」
【井伏】
「…お!宮沢くん戻ったのか」
井伏さんが俺に気付いて、ヒラヒラと手を振りながらこちらに歩いてきた
【宮沢】
「15分以上前に戻ってましたよ。
もう…探したんですよ」
【井伏】
「あ~悪い悪い」
【宮沢】
「計画を見直して、新しく筋トレメニューつくりましたから、これを……」
先ほど立て直したメニューを井伏さんに説明しようと、ノートを開いた……そのとき
【タンクトップの女性】
「鮎次くーん、この子なぁに~?
ここのバイトの子ぉ?」
さっきの女性のうちの一人が井伏さんに腕をからめて覗き込んできた
【井伏】
「そ、俺のトレーナーの宮沢くん♪」
【タンクトップの女性】
「ふ~ん」
タンクトップの女性が興味なさそうに俺を一瞥する
【タンキニ姿の女性】
「そんなことよりさー、もう終わりにして早く行こっ」
気が付くと、先ほどの女性たちがまたもや井伏さんの周りに集まって、すっかり井伏さんを取り囲んでいる
【宮沢】
(…もう今日はトレーニングって感じじゃないな。)
【宮沢】
「井伏さん、俺ならいいんで行って来たらどうですか? トレーニングメニューはあとでメールで送っときますから」
ノートを閉じて、井伏さんにそう告げる
【Tシャツ姿の女性】
「だってさ、行こ!鮎次くん」
【井伏】
「んー……」
そんななか、井伏さんはしばし考え込むような素振りを見せて…
―to be continued―
「俺はお前の先輩じゃねえ」
【井上】
「宮沢先輩の先輩は、イコール俺の先輩です!」
【吉川】
「…単純さはニワトリ並か」
【井上】
「なんだと~!」
井上が掴みかかって抗議しようとするも、リーチの長い吉川先輩に頭を抑えられて拳が届かない
【井上】
「くぅ~!」
【吉川】
「…顔が赤くなるとサルみてぇだな」
【梶井】
「吉川さんは本当に後輩の面倒見がよろしいですね」
そんな光景を見ていた梶井さんが、くすくすと楽しそうに笑って言った
【吉川】
「だから、こいつは後輩じゃねぇ」
【梶井】
「ふふ…、吉川さんの後輩は、宮沢さんだけ…ですものね」
【吉川】
「そ…そんな意味でもねぇよ」
誰に対しても無愛想なところのある吉川先輩だけど…
ミーティングルームでの一件以来、梶井さんの前ではいつもの調子を保てないみたいで…
【宮沢】
(志賀助教もそうだけど、なんか大学に居る時よりもずっと身近に感じるな)
この光景を動画で撮って谷崎にも見せてあげたいなんて、こっそり考えてしまうほどに…
【夏目】
「宮沢、ここに居たのか。」
【宮沢】
「あ、夏目オーナーお疲れ様です」
【宮沢】
「ええ。今日お休みのパートさんの代わりに、マッサージルームの消耗品の補充を頼まれてたんです」
このフィットネスプールは、大小合わせて8室のマッサージルームが完備されていて
痩身マッサージからスポーツマッサージまであらゆる施術を受けられるのも自慢の1つだ
【夏目】
「さっき最後のレッスン客が帰ったから、閉館前にひと泳ぎ付き合ってもらおうと思ったんだが…」
【宮沢】
「でしたらもうこの部屋で終わりですから、すぐやっちゃいますね!」
ティッシュやコットン、それに施術用の紙の下着など…順番に確認しながら、ないものを補充していく…
【夏目】
「そういえば、宮沢はスポーツマッサージ関連の資格が取りたいって言ってたよな、順調なのか?」
一緒になって補充を手伝ってくれながら、何の気なしにオーナーがそう訪ねてきた
そういえば…ここに面接にきたとき、最終面接でオーナーにそんな話をした覚えがある
【宮沢】
(覚えてて…くれたんだ)
補充の手伝いもそうだし、こういうさりげない部分でオーナーが見せる優しさや心配りはいつも自然で…
【宮沢】
(なんていうか、大人だよなあ…)
オーナーと会話していると、いつも尊敬とも憧れともつかない気持ちが胸をふんわりと暖かくする
【宮沢】
「それが…、過去問や勉強会で筆記試験の対策は進めているんですが……」
【宮沢】
「実際に実技の方も学びたくて、師事できる人を探しているところなんです」
【夏目】
「それなら俺が教えてやろうか?」
【宮沢】
「えっ!?」
【夏目】
「たまにスポーツ選手の客が俺のとこに来るの知ってるだろ?」
【宮沢】
「そういえば、ときどきプロ選手のお客様がいらっしゃってますね。」
そう、この施設にはTVや新聞を賑すようなプロ選手が来訪してくることが度々あった。
グループ会社のCMの打ち合わせや、スポンサー契約関連の用事かと思っていたのだけど……
【夏目】
「実は俺、スポーツトレーナーの修士免許を持ってて、頼まれてマッサージしたりしてんだよ」
【宮沢】
「え、ええ~っ!
だってオーナー、そんなコト一言も…」
【夏目】
「あんまり大っぴらにするもんでもないしな。
だが宮沢にそういう事情があるなら話は別だ」
【夏目】
「よし、これからはお前にシンクロを習うお礼に、俺がお前にトレーナー試験用の実技を教えよう!」
【夏目】
「今日も付き合ってくれてありがとな、やっぱり宮沢は指導の仕方が上手い」
【宮沢】
「いえ、俺の方こそいつもオーナーに教わることばかりです!」
【夏目】
「……」
【夏目】
「お前はもう少し、自分に自信を持っても良いと思うんだがなあ」
【夏目】
「でもまあ、ソコがお前の良いところでもあるがな」
【夏目】
「明日から練習後にマッサージ教えてやるから。
そっちも頑張れよ」
【宮沢】
「はい!」
そしていつものように、2人で閉館の準備に入った。
これから始まるマッサージの個人授業でどんなハプニングが待っているのかを、
この時の俺たちはまだ気が付いていなかった―
より演技に力強さを出せるよう、ウェイトトレーニングをしたい
―そういう井伏さんの要望で、今日はジム施設でのトレーニングを行うことにした
【宮沢】
「それじゃ井伏さん、俺ストップウォッチとノート取ってきますから、ちょっと待ってて下さい」
【井伏】
「オッケー、適当にこの辺の器具使ってるわ」
俺は備品室から必要なものを調達すると、再びトレーニングルームへと戻った
―が、先ほどまであった井伏さんの姿が見えない
【宮沢】
(……?
ロッカールームに忘れ物でもしたのかな?)
【井伏】
(とりあえず、いない間にトレーニング計画の見直しをしとくか!)
【宮沢】
(遅いなあ、井伏さん…
どこいっちゃったんだろ)
俺が戻ってきてから既に15分は経過しているが、井伏さんは一向に戻ってくる気配がない
【宮沢】
(ん…、あれは……)
改めて室内を見渡すと、角のトレーニングベンチのところに4、5人の人だかりがあるのが見えた
【宮沢】
(なんだ…?器具の故障かな……)
じっと目をこらしながら、人だかりに近づくと……
【宮沢】
「あ…」
そこでは女性たちに囲まれた井伏さんの姿があった
【ジャージ姿の女性】
「え~、鮎次くん博通堂に勤めてるの~
超エリートじゃ~ん」
【Tシャツ姿の女性】
「ねぇねぇ、彼女いるの?
てかさ、居てもいいからとりあえず飲み行こうよ~」
【タンクトップの女性】
「あ、それいい~!
もうジム上がってさ、これから行っちゃおうよ~」
【タンキニ姿の女性】
「ほら、行こ!鮎次くん
アタシいい店知ってるんだ~」
【井伏】
「そうだなあ、お姉さんたちキレイだし、どーしよっかな~」
【井伏】
「…お!宮沢くん戻ったのか」
井伏さんが俺に気付いて、ヒラヒラと手を振りながらこちらに歩いてきた
【宮沢】
「15分以上前に戻ってましたよ。
もう…探したんですよ」
【井伏】
「あ~悪い悪い」
【宮沢】
「計画を見直して、新しく筋トレメニューつくりましたから、これを……」
先ほど立て直したメニューを井伏さんに説明しようと、ノートを開いた……そのとき
【タンクトップの女性】
「鮎次くーん、この子なぁに~?
ここのバイトの子ぉ?」
さっきの女性のうちの一人が井伏さんに腕をからめて覗き込んできた
【井伏】
「そ、俺のトレーナーの宮沢くん♪」
【タンクトップの女性】
「ふ~ん」
タンクトップの女性が興味なさそうに俺を一瞥する
【タンキニ姿の女性】
「そんなことよりさー、もう終わりにして早く行こっ」
気が付くと、先ほどの女性たちがまたもや井伏さんの周りに集まって、すっかり井伏さんを取り囲んでいる
【宮沢】
(…もう今日はトレーニングって感じじゃないな。)
【宮沢】
「井伏さん、俺ならいいんで行って来たらどうですか? トレーニングメニューはあとでメールで送っときますから」
ノートを閉じて、井伏さんにそう告げる
【Tシャツ姿の女性】
「だってさ、行こ!鮎次くん」
【井伏】
「んー……」
そんななか、井伏さんはしばし考え込むような素振りを見せて…
―to be continued―