本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《兆し》
【榎本 公志郎】
「今日はぴっちぴちのベテラン連れてきたわよ」
【葛城 雄眞】
「おはようございます」
【政親】
「………おはようございます」
【政親】
「貴方がこんな弱小の事務所に転籍とは。どういったご心境の変化ですか?」
【葛城 雄眞】
「心境の変化…って程では。
俺の考えに合わなかった、っつーだけですかね」
葛城雄眞(カツラギ ユウマ)
冴島エンターテインメントから移籍してきた人気アイドル。
自信家でいわゆる「俺様」な気質ではあるが、意外と面倒見が良い。
【政親】
「ふん?貴方の考え―は、貴方を成功に導くだけの勝機があると」
【葛城 雄眞】
「はは。随分ねちっこいんだな、あんた。
ま…そういう細かさがあるからこそ、何人ものアイドルを成功させてんだろうな」
【政親】
「お褒め頂いているのか、罵倒されているのか解りかねますが―
いずれにしても、貴方はもう少し可愛げのある態度をとった方が身の為ですよ」」
【葛城 雄眞】
「―それは、失礼致しました。悔い改めるので、どうそよろしくお願いします」
葛城は人の良さそうな笑顔を浮かべてぺこりと頭を下げる。
政親が何も答えずに葛城を観察していると、葛城もまた無言でレッスン場へと向かっていった。
《本番》
【榎本 公志郎】
「流石ね、葛城。いい声してるわァ」
【葛城 雄眞】
「当然。誰だと思ってるんだ?」
葛城は榎本と面識があるようで、気安い口調で会話している。
【葛城 雄眞】
「どう?黒田さん。俺、あんたンとこで使い物になりますかね」
【政親】
「ふふ―私がノー、という等とまるで感じていない様子ですね」
【政親】
「……いいでしょう。貴方には利用価値が十分ありそうですよ」
【葛城 雄眞】
「どうも」
【政親】
「では早速、貴方には『営業』へ出向いて頂きましょう」
【葛城 雄眞】
「………、あんた。未だにソンナコトやらせてんのか」
【政親】
「何かご不満でも」
【葛城 雄眞】
「いいや?
喜んで従わせて頂きますよ。政親プロデューサー」
《絶頂》
【葛城 雄眞】
「………、………」
【政親】
「どうしました?少しお疲れのようですね」
【葛城 雄眞】
「……どうしました、ねえ。よく言う」
【葛城 雄眞】
「あんた、飛び切り面倒な奴、俺にあてたんじゃねえか」
【政親】
「心外ですね。前途明るい貴方をそう無闇に傷つけたりしませんよ」
【葛城 雄眞】
「ハッ……」
【葛城 雄眞】
「前途明るい、ですか」
【政親】
「ええ。私に従って頂く限りは」
【葛城 雄眞】
「……………」
【政親】
「貴方はご自身の理想に正直だ。
大手のプロダクションでロボットになることを望まない」
【政親】
「私はそういう人間を、とても好ましく思いますよ」
【葛城 雄眞】
「そうとは、思えない待遇ですね」
【政親】
「私なりの、歓迎のご挨拶です」
そうして政親は、未だ紅潮している葛城の頬を撫で、髪の毛を梳く。
葛城は突然の事に反応が遅れてしまい、しばし政親を見つめてしまう形になった。