[本編] 黒木 忠生 編
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【ハク】
(なんで、あんなこと聞いちゃったんだろう……聞かなきゃよかった………)
俺は、その話を聞いたことをひどく後悔していた…………。
【黒木】
「そういえばさぁ……」
一通り黒木の話を聞き終わると、今度は黒木が話題をふりかけてきた。
それは、高校時代の話だった。
【黒木】
「ハク、アイツのこと覚えてる?」
【黒木】
「ほら、いただろ?赤屋」
【ハク】
「ああ、覚えてる覚えてる」
【ハク】
「会ってないからどんな顔か忘れてきたな」
【ハク】
「……でも、何で急に?」
【黒木】
「別に?聞いてみただけ」
【ハク】
「それにしても俺……けっこうあの頃の記憶、曖昧だなあ……」
ここ数日、散々黒木と高校時代の思い出話に花をさかせてきたものの、俺は黒木ほど細かく覚えてはいなかった。
なんとなくは覚えているが、全体的にはぼんやりとしている……そんな感じだ。
【黒木】
「やだなぁ、ハク。一緒にいろいろやっただろ?忘れちゃった?」
【ハク】
「だって……。でも、しょうがないだろ?あれからかなり経ってるし……」
【黒木】
「まぁね。でも残念だよ。いろいろあったのになぁ……」
【ハク】
「わ、わるかったな…っ。記憶力悪くて……っ」
【黒木】
「じゃあさ、俺が話してあげるよ。そうしたら、ハクも思い出すかもしれないだろ?」
【ハク】
「まあ……そうかも……」
【ハク】
(そうだな……何か話されたら、さすがにもうちょっとハッキリ思い出すよな………)
俺がそう思っていると、黒木がいくつかのエピソードを話し始めた。
【黒木】
「例えば………こんなのはどう?」
黒木が話してきたのは、あの頃の俺たちの、本当になんでもないような話だった。
淡い高校時代の、青春の一コマというような………そんな話だ。
【黒木】
「ハクは無関心だったからなぁ。行事とかホームルームとかも面倒そうにしてただろ?それがさ、いつかのホームルームで勝手に何か委員に決められてて……」
【ハク】
「そ…そんなことあったっけ……?」
【黒木】
「あったよ。俺が、ハクはやりたくないみたいだからって断ったんだから」
【ハク】
「ご、ごめん……」
【黒木】
「あはは!何だよ、ハク。あのときのこと、今謝るんだ?」
【ハク】
「だって……」
黒木は本当によくあの頃のことを覚えていた。
俺の記憶のないこともたくさん覚えていて、それを聞かされると、なんだか目新しい感じさえしてしまう。
とはいえ、黒木の話の中には、もちろん俺の記憶を呼び起こすエピソードもあった。
【黒木】
「あとさぁ、帰り道なんて最高だったよね。一緒に帰ってたのは覚えてるだろ?」
【ハク】
「ああ、それは覚えてる……」
【黒木】
「帰りがけに古い駄菓子屋があって、よくそこに寄ってたんだ。店番のおばあちゃんが起きてるんだか寝てるんだか分からなくてさ」
【ハク】
「あぁ…!いたいた、そういえばそのばあちゃん!」
そういえばそんなこともあった。
俺はだんだんと思い出してきて、黒木の話にくいついた。
【黒木】
「クジ付きのアイスがあって、夏はいつもそれを食べてたんだけど……」
【ハク】
「ああ、それも覚えてるよ」
【黒木】
「いつだったか、ハクがアタリ出してさ、それを俺にかえてきてくれって言って渡したんだ。覚えてる?」
【ハク】
「い、いや……そこまでは、ちょっと……」
【黒木】
「だけど俺、そのアタリくじを無くしちゃったんだよ。すごく焦って必死で探してさぁ……あの時、ハクに悪くて、なかなか本当のこと切り出せなかったんだ」
【ハク】
「そんな、アイスくらいどうだって良いのに……」
【黒木】
「ハク、あの時と同じこと言うんだね」
【ハク】
「えっ?」
【黒木】
「さんざん悩んだ挙句に本当のこと言ったらさ、ハク、今とまるで同じこと言ってた。きょとんとしちゃってさ。なんでもないふうに言うから、拍子抜けしたよ」
【ハク】
「そ、そっか……」
【ハク】
(黒木ってずいぶん細かいとこまで覚えてるんだなあ………そんな、アイスの話なんて……)
俺がそんなことに感心している間にも、黒木の話は続いていく。
【黒木】
「屋上にもよく行ったなぁ」
【黒木】
「あぁ!あれは最高のサボリスポットだったよな」
【黒木】
「そうそう。俺とハクがいることも知らないで、告白してるヤツとかいたよな」
【ハク】
「いたいた!それで俺ら、あとで必死に笑いこらえてさ……」
【黒木】
「あれは見モノだったなぁ。いつも澄ましてるヤツが真っ赤になって告ってフラれたときなんか最高に傑作だったよ」
【ハク】
「ああ、いたなあ……。同じクラスにいた、性格悪いヤツだろ?名前、忘れたけど」
【黒木】
「そう、ソイツ。まぁあの時は、あとで俺とハクがいたことがバレちゃったけどね…」
【ハク】
(そうだった……俺たちが屋上でサボってることがバレて……それで、しばらく屋上に入れなかったんだよな………)
思えば、高校時代の俺たちはくだらないことばかりしていた。
でも、そのくだらないことが、当時の俺たちにとっては最高だったんだ。
怒られもしたけど、その分、笑ってもいた。
【ハク】
(こうして再会して……お互い、ずいぶんと違う道に進んだけれど………)
あの頃には、夢にも思わなかった……
想像なんて、できるはずがなかった。
まさか、”こんな現実“が待っているなんて――――――……。
続く…
(なんで、あんなこと聞いちゃったんだろう……聞かなきゃよかった………)
俺は、その話を聞いたことをひどく後悔していた…………。
【黒木】
「そういえばさぁ……」
一通り黒木の話を聞き終わると、今度は黒木が話題をふりかけてきた。
それは、高校時代の話だった。
【黒木】
「ハク、アイツのこと覚えてる?」
【黒木】
「ほら、いただろ?赤屋」
【ハク】
「ああ、覚えてる覚えてる」
【ハク】
「会ってないからどんな顔か忘れてきたな」
【ハク】
「……でも、何で急に?」
【黒木】
「別に?聞いてみただけ」
【ハク】
「それにしても俺……けっこうあの頃の記憶、曖昧だなあ……」
ここ数日、散々黒木と高校時代の思い出話に花をさかせてきたものの、俺は黒木ほど細かく覚えてはいなかった。
なんとなくは覚えているが、全体的にはぼんやりとしている……そんな感じだ。
【黒木】
「やだなぁ、ハク。一緒にいろいろやっただろ?忘れちゃった?」
【ハク】
「だって……。でも、しょうがないだろ?あれからかなり経ってるし……」
【黒木】
「まぁね。でも残念だよ。いろいろあったのになぁ……」
【ハク】
「わ、わるかったな…っ。記憶力悪くて……っ」
【黒木】
「じゃあさ、俺が話してあげるよ。そうしたら、ハクも思い出すかもしれないだろ?」
【ハク】
「まあ……そうかも……」
【ハク】
(そうだな……何か話されたら、さすがにもうちょっとハッキリ思い出すよな………)
俺がそう思っていると、黒木がいくつかのエピソードを話し始めた。
【黒木】
「例えば………こんなのはどう?」
黒木が話してきたのは、あの頃の俺たちの、本当になんでもないような話だった。
淡い高校時代の、青春の一コマというような………そんな話だ。
【黒木】
「ハクは無関心だったからなぁ。行事とかホームルームとかも面倒そうにしてただろ?それがさ、いつかのホームルームで勝手に何か委員に決められてて……」
【ハク】
「そ…そんなことあったっけ……?」
【黒木】
「あったよ。俺が、ハクはやりたくないみたいだからって断ったんだから」
【ハク】
「ご、ごめん……」
【黒木】
「あはは!何だよ、ハク。あのときのこと、今謝るんだ?」
【ハク】
「だって……」
黒木は本当によくあの頃のことを覚えていた。
俺の記憶のないこともたくさん覚えていて、それを聞かされると、なんだか目新しい感じさえしてしまう。
とはいえ、黒木の話の中には、もちろん俺の記憶を呼び起こすエピソードもあった。
【黒木】
「あとさぁ、帰り道なんて最高だったよね。一緒に帰ってたのは覚えてるだろ?」
【ハク】
「ああ、それは覚えてる……」
【黒木】
「帰りがけに古い駄菓子屋があって、よくそこに寄ってたんだ。店番のおばあちゃんが起きてるんだか寝てるんだか分からなくてさ」
【ハク】
「あぁ…!いたいた、そういえばそのばあちゃん!」
そういえばそんなこともあった。
俺はだんだんと思い出してきて、黒木の話にくいついた。
【黒木】
「クジ付きのアイスがあって、夏はいつもそれを食べてたんだけど……」
【ハク】
「ああ、それも覚えてるよ」
【黒木】
「いつだったか、ハクがアタリ出してさ、それを俺にかえてきてくれって言って渡したんだ。覚えてる?」
【ハク】
「い、いや……そこまでは、ちょっと……」
【黒木】
「だけど俺、そのアタリくじを無くしちゃったんだよ。すごく焦って必死で探してさぁ……あの時、ハクに悪くて、なかなか本当のこと切り出せなかったんだ」
【ハク】
「そんな、アイスくらいどうだって良いのに……」
【黒木】
「ハク、あの時と同じこと言うんだね」
【ハク】
「えっ?」
【黒木】
「さんざん悩んだ挙句に本当のこと言ったらさ、ハク、今とまるで同じこと言ってた。きょとんとしちゃってさ。なんでもないふうに言うから、拍子抜けしたよ」
【ハク】
「そ、そっか……」
【ハク】
(黒木ってずいぶん細かいとこまで覚えてるんだなあ………そんな、アイスの話なんて……)
俺がそんなことに感心している間にも、黒木の話は続いていく。
【黒木】
「屋上にもよく行ったなぁ」
【黒木】
「あぁ!あれは最高のサボリスポットだったよな」
【黒木】
「そうそう。俺とハクがいることも知らないで、告白してるヤツとかいたよな」
【ハク】
「いたいた!それで俺ら、あとで必死に笑いこらえてさ……」
【黒木】
「あれは見モノだったなぁ。いつも澄ましてるヤツが真っ赤になって告ってフラれたときなんか最高に傑作だったよ」
【ハク】
「ああ、いたなあ……。同じクラスにいた、性格悪いヤツだろ?名前、忘れたけど」
【黒木】
「そう、ソイツ。まぁあの時は、あとで俺とハクがいたことがバレちゃったけどね…」
【ハク】
(そうだった……俺たちが屋上でサボってることがバレて……それで、しばらく屋上に入れなかったんだよな………)
思えば、高校時代の俺たちはくだらないことばかりしていた。
でも、そのくだらないことが、当時の俺たちにとっては最高だったんだ。
怒られもしたけど、その分、笑ってもいた。
【ハク】
(こうして再会して……お互い、ずいぶんと違う道に進んだけれど………)
あの頃には、夢にも思わなかった……
想像なんて、できるはずがなかった。
まさか、”こんな現実“が待っているなんて――――――……。
続く…