本編
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《兆し》
【日月 梓乃】
「はよっす……」
【笹雨 清明】
「おはようございます」
【大須賀 侑生】
「おはよう!シノくん!」
梓乃が事務所に顔を出した時には、既に清明と侑生がスタンバイしていた。
思わず構える梓乃だったが、二人は特に梓乃に何かを問い詰める事をしなかった。
ソファに腰をかけた梓乃に侑生はお茶を注いで渡し、清明は自分の予定表に目を向けている。
【日月 梓乃】
「……あーあのさ」
【笹雨 清明】
「?どうしました」
【大須賀 侑生】
「あ、お茶熱かった?」
梓乃は二人の態度を有難いと思いつつ、言い出しにくそうに頭を掻く。
【日月 梓乃】
「昨日はごめん。……まだちょっと色々整理つかないからさ……
落ちついたら聞いてくれるか?」
【笹雨 清明】
「勿論。構いませんよ」
【大須賀 侑生】
「うん、シノくんが落ち着いたらで大丈夫だよ」
―いつも通りの二人に、梓乃は心から感謝していた。
今日もレッスンがある。出来る限りいつも通りを貫こうと梓乃は決めていた。
実際レッスンが始まっても、二條と梓乃に何か変わったところは見られない。
お互い普通にレッスンをこなし、声をかけあう、よく見る光景のまま。
清明と侑生は梓乃の言うとおり、時が来るまで待つ事にした。
《本番》
ようやくポラリスのメンバーは落ち着いて仕事と『JAPAN IDOL FESTIVAL 20XX』へ向けてのレッスンを重ねる事が出来るようになっていた。
梓乃と二條の間は普段通り、果凛と壱川、芦沢はすっかり落ち着き、皆が一つの目標に向かい上手く軌道に乗り始めたのを感じていた。
【本村 果凛】
「果凛と侑生は今日仕事後で合流するねー」
【二條 榛貴】
「おう、行って来い行って来い。んじゃ梓乃ちゃんはこの後の時間、仕事まで俺とダンスレッスンな」
【日月 梓乃】
「いいけどよーこの前みたく途中で息切れすんなよ、オッサン」
【二條 榛貴】
「梓乃ちゃんもすっ転ばないようにな」
【笹雨 清明】
「……いつも通りすぎますね」
【大須賀 侑生】
「うん。良かったよね。僕等も練習頑張らなきゃ!キヨくん、次仕事何時?」
【笹雨 清明】
「あー俺は15時から……」
穏やかだけれど忙しない日が続くようになった。
《絶頂》
―月日は流れ、ポラリスの知名度も確実に上がり、『JAPAN IDOL FESTIVAL 20XX』の話題で持ちきりになる頃に予選が始まった。
【葛城 雄眞】
「よし、やる事はやってきた。後は俺達次第だな」
【墨代 睡蓮】
「うん、がんばるからがんばろう。ね」
【本村 果凛】
「そうだよね!ここまで来たらやるしかないし!」
皆思い思いの気持ちを抱えて予選へと気合いを入れていく。
そんな中、芦沢は一人大会主催リストに目を付けていた。
数年前に妹凜子が出る筈だった『JAPAN IDOL FESTIVAL 20XX』
彼女がJIFに出る直前に何かがあった事までは掴んでいた。
芦沢は自分の力のみで主催、スポンサー、ゲストに至るまで凜子と何かあったのではないかと言う人物をしらみつぶしに探していたのだ。
そこで突き当たった、審査員にあたる大物ゲスト。
何年も連続で審査員として迎えられていて、更に潰れてしまった凜子の事務所の実質トップでもあった。
【芦沢 由臣】
「……ならば与えられた試練の中で、頂点を奪うまでだ」
皆の気持ちが入り混じる『JAPAN IDOL FESTIVAL 20XX』予選が、今始まる。