本編
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《兆し》
【本村 果凛】
「おっはようございまぁす☆」
【政親】
「……、おはようございます」
【本村 果凛】
「やぁん、間近で見るともっといい男ぉ♪
よろしくお願いしまぁす」
【榎本】
「果凛。その口調、日常生活でも使うっての?
ライブ中でもなけりゃ空々しすぎるわよ」
【本村 果凛】
「やだ、榎本さん。アタシはアイドルって商品なんでしょ?
商品に日常はないわ。いつでもコウイウ商品なのよ、
ってアピールしていかなきゃ」
【榎本】
「あら。あんた……若いのに随分シビアな事言うのねえ。
ほんと、しっかりものの長女ちゃん」
榎本は果凛の頭をイイコイイコ、と撫でて、小声で
「可哀想なぐらいだわ」と言い、果凛も小声で、それは余計よ、と答えた。
本村果凛(モトムラカリン)
元地下アイドルの男の娘。トップアイドルになることが夢。
甘いベビーフェイスと裏腹に毒舌で現実主義なところも。
【政親】
「ご家庭の事情から、金銭的にお困りのようですね」
【本村 果凛】
「……、率直ね。そうよ。とぉっても、困ってるの。
だからね、出来る事はなんだってやってあげる。努力だって惜しまないわ。
このカラダ一つで、ガッポガッポ稼いでやるの」
【政親】
「そうですか。いい心がけですね。
では早速実力の程を見せて頂きましょう」
《本番》
【本村 果凛】
「……、どうお?」
【政親】
「悪くありませんね。私が直接指導して差し上げれば、
より一層貴方の魅力が高まると思いますよ」
【本村 果凛】
「やったあ!嬉しい!ありがとう、黒田さん☆超いい男♪」
果凛は人懐っこい笑顔で政親に抱きついた。
【政親】
「ふふ。それでは、早速貴方にぴったりのお仕事―を、
こなして頂きましょう」
【本村 果凛】
「……果凛にぴったりの、お仕事……?」
《絶頂》
【本村 果凛】
「ただいま戻りましたぁ」
【榎本】
「おかえりなさい、果凛。どうだった?」
【本村 果凛】
「もっちろん、果凛の魅力でメロメロにしてあげたわよ☆」
【榎本】
「うんうん、そうね。先方も凄くお喜びだったわ」
【政親】
「公志郎。先ほど、清明が呼んでいましたよ。
台本について教えて頂きたい事があるそうで」
【榎本】
「……、あらほんと?分かった、言ってくるわ」
【政親】
「果凛。―こちらへ来なさい」
【本村 果凛】
「はぁ~い」
果凛は政親が座るソファの隣へと歩む。
【政親】
「……貴方はイイ子ですね」
【本村 果凛】
「そうぉ?ありがと。黒田さん、果凛のこといっぱい可愛がってね」
【政親】
「勿論」
【本村 果凛】
「……やだ、くすぐったい。なぁに?」
政親は甘ったるく、果凛の顎を指先で触れ、微笑を湛えた。
果凛の肩は少しだけ震え、先ほどの営業時に覚えた恐怖からだろうと推察する。
【政親】
「貴方は分かり易く、壊れ易そうだ。
私の庇護がなければ、今にも食われてしまいそうな程」
【本村 果凛】
「……、やぁん。果凛みたいなウサギちゃん、狼さんの大好物だもんね」
果凛は震えに気が付かれたくないのか、奥歯を噛み締めていた。
甘やかしてやりたい衝動と、そのまま壊してしまいたい衝動が政親の中で走り、
客にも同じ欲望を灯してやれるだろう、と満足気に目を伏せるのだった。