本編
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【橘】
「はい。タレント等のヘアメイクをしているスタイリストです。」
【橘】
「郵送された履歴書から色々調べましたが…腕は確かで、テレビ等にも稀に出演しているようでした。」
【万里】
「…確かに見覚えがあるな。会ってやってもいいが……」
【橘】
「承知致しました。」
【万里】
「…!?浅葱………?まさか…!」
【橘】
「……?お知り合いでしたか……?」
【万里】
「いや……、俺の知り合いではない…が………、……ふふ。面白い。」
…………。
………………。
【浅葱】
「はじめまして。浅葱カイリです。本日はお時間下さって有難うございまーす。」
軽薄な口調で話しかけられる。
しかしその軽薄さは―意図的に作り込まれたもののように俺は感じていた。
【万里】
「浅葱、この話どこから聞きだした?」
【浅葱】
「さぁ…どうだったか…。偶然こちらを通りかかった際に話声を聞いたのかもしれません。」
【万里】
「は…、聞いた俺がバカだったな。答えるわけがない、か。まあいい。」
【万里】
「で…お前は何が出来る?採用して欲しいと図々しく言うからには自信があるんだろ?」
【浅葱】
「俺はスタイリストなんで…ご主人様の容姿に関わる全て、プロデュースしますよ。」
【浅葱】
「出先にふさわしいトータルコーディネイト…、」
【浅葱】
「その場に居合わせた人間全員が一目でご主人様に好感を持つようなスタイルです。」
【万里】
「…面白い。お前の実績を証明するものはあるのか?」
【浅葱】
「このモデル。俺が担当です。」
何枚か写真を渡される。見れば、人気モデルの蟹原友里だった。
【浅葱】
「男性なら…こっちですね。」
更に違う写真を見せられ…、そこには中堅俳優の向井里がうつっていた。
確かに、そのスタイルはいずれも好感が持てる。プロフェッショナルの仕事と言えるだろう。
【万里】
「しかし…それだけでは採用出来ないな。」
【浅葱】
「え?」
【万里】
「俺への忠誠心を強く持てる人間かどうか…確かめてやる。」
【浅葱】
「…は…あ……どう…ですか?…俺は採用ですか?」
【万里】
「ふ…そうだな、悪くない。」
【万里】
「最後に質問する。お前は何故執事なんかに?富も地位もあるだろう。」
【浅葱】
「…そりゃ…、ご主人様に惹かれたからですよ。」
【万里】
「ほう?どこで俺を見かけた。」
【浅葱】
「そうですね―確か、二年前の麻布のパーティで…」
【万里】
「嘘を吐くな。…お前………、15年前に自殺した、浅葱小百合の息子じゃないか?」
【浅葱】
「………!」
【万里】
「俺もガキだったからな。当時はよく解ってなかったが、親父の愛人だった女だろ。」
【万里】
「可愛い女だったが…ホステスの癖に純粋過ぎた。散々親父のオモチャにされて最後は入水。古風だなあ?」
【浅葱】
「…………っ………」
【万里】
「親父は俺以上に悪趣味だからな。心も体も壊すまで楽しんだはずだ。」
【浅葱】
「……そうだとして…も、それは関係、ない、ですよ…………俺も小さかったんでね……覚えてません。」
まだ必死に取り繕おうとする浅葱。しかし声も肩も震え、明らかに動揺していた。
【万里】
「浅葱小百合は…親父がその道の仲間に貸し出したりしてたからなぁ。体のアチコチに傷があったんじゃないか?」
【浅葱】
「…ッ……さあ。記憶にないです、ね……俺はただ…ご主人様に仕えたいってだけ…なんで………」
【万里】
「はははははは。頑張るなぁ、浅葱。そうまでして屋敷に入り込みたいか?」
【万里】
「どうせ復讐のつもりで会社の不正を暴くか、さもなくばでっちあげるつもりだったんだろ。」
【浅葱】
「…………………!」
浅葱は悔しそうに顔をぎゅうっとこわばらせる。
屋敷に入ることが敵わない。俺に復讐出来ない。その絶望の色がにじんでいて、美しかった。
【万里】
「安心しろ。お前は採用だ。」
【浅葱】
「!」
【万里】
「明日から好きな時にいつでも来い。」
【浅葱】
「………………っな…んで……」
【万里】
「どうした?屋敷に入らない限りお前が復讐出来るチャンスなんて早々無いぞ?」
【万里】
「それとも、本心がバレて怖くなったか。」
【浅葱】
「…………………。」
【万里】
「だがお前に拒否権はないぞ。お前程度、社会から抹殺することなんて簡単だ。」
【浅葱】
「!!脅迫……かよ…!……やっぱり……あんたも……父親と同じで…、最低、だな…………っ」
【万里】
「あんた?誰のことだ……ご主人様、だろ。」
【浅葱】
「……………!ふざけんな……ッ…!」
【万里】
「まぁいい…これからじっくり躾てやるさ―。」
【橘】
「五十嵐優作を…連れて参りました。」
【万里】
「ああ……、解った。今行く。」
五十嵐は―、この街の若い消防士だ。
何が楽しいのかいつも笑いながら俺に話しかけてくる。
いや、俺だけじゃなく、通りがかる人間全員と知り合いのような…人懐っこい男。
……………。
【五十嵐】
「三宮…さん………!?これは…一体……」
【万里】
「どうも。消防士さん。」
【五十嵐】
「な…なんで俺が…こんな恰好を…」
【万里】
「似合ってますよ。」
普段、縁のなさそうな燕尾服を着させられ、落ち着かない様子の五十嵐。
【五十嵐】
「いやそういう事じゃなく……、し、執事って…なんすか?」
「はい。タレント等のヘアメイクをしているスタイリストです。」
【橘】
「郵送された履歴書から色々調べましたが…腕は確かで、テレビ等にも稀に出演しているようでした。」
【万里】
「…確かに見覚えがあるな。会ってやってもいいが……」
【橘】
「承知致しました。」
【万里】
「…!?浅葱………?まさか…!」
【橘】
「……?お知り合いでしたか……?」
【万里】
「いや……、俺の知り合いではない…が………、……ふふ。面白い。」
…………。
………………。
【浅葱】
「はじめまして。浅葱カイリです。本日はお時間下さって有難うございまーす。」
軽薄な口調で話しかけられる。
しかしその軽薄さは―意図的に作り込まれたもののように俺は感じていた。
【万里】
「浅葱、この話どこから聞きだした?」
【浅葱】
「さぁ…どうだったか…。偶然こちらを通りかかった際に話声を聞いたのかもしれません。」
【万里】
「は…、聞いた俺がバカだったな。答えるわけがない、か。まあいい。」
【万里】
「で…お前は何が出来る?採用して欲しいと図々しく言うからには自信があるんだろ?」
【浅葱】
「俺はスタイリストなんで…ご主人様の容姿に関わる全て、プロデュースしますよ。」
【浅葱】
「出先にふさわしいトータルコーディネイト…、」
【浅葱】
「その場に居合わせた人間全員が一目でご主人様に好感を持つようなスタイルです。」
【万里】
「…面白い。お前の実績を証明するものはあるのか?」
【浅葱】
「このモデル。俺が担当です。」
何枚か写真を渡される。見れば、人気モデルの蟹原友里だった。
【浅葱】
「男性なら…こっちですね。」
更に違う写真を見せられ…、そこには中堅俳優の向井里がうつっていた。
確かに、そのスタイルはいずれも好感が持てる。プロフェッショナルの仕事と言えるだろう。
【万里】
「しかし…それだけでは採用出来ないな。」
【浅葱】
「え?」
【万里】
「俺への忠誠心を強く持てる人間かどうか…確かめてやる。」
【浅葱】
「…は…あ……どう…ですか?…俺は採用ですか?」
【万里】
「ふ…そうだな、悪くない。」
【万里】
「最後に質問する。お前は何故執事なんかに?富も地位もあるだろう。」
【浅葱】
「…そりゃ…、ご主人様に惹かれたからですよ。」
【万里】
「ほう?どこで俺を見かけた。」
【浅葱】
「そうですね―確か、二年前の麻布のパーティで…」
【万里】
「嘘を吐くな。…お前………、15年前に自殺した、浅葱小百合の息子じゃないか?」
【浅葱】
「………!」
【万里】
「俺もガキだったからな。当時はよく解ってなかったが、親父の愛人だった女だろ。」
【万里】
「可愛い女だったが…ホステスの癖に純粋過ぎた。散々親父のオモチャにされて最後は入水。古風だなあ?」
【浅葱】
「…………っ………」
【万里】
「親父は俺以上に悪趣味だからな。心も体も壊すまで楽しんだはずだ。」
【浅葱】
「……そうだとして…も、それは関係、ない、ですよ…………俺も小さかったんでね……覚えてません。」
まだ必死に取り繕おうとする浅葱。しかし声も肩も震え、明らかに動揺していた。
【万里】
「浅葱小百合は…親父がその道の仲間に貸し出したりしてたからなぁ。体のアチコチに傷があったんじゃないか?」
【浅葱】
「…ッ……さあ。記憶にないです、ね……俺はただ…ご主人様に仕えたいってだけ…なんで………」
【万里】
「はははははは。頑張るなぁ、浅葱。そうまでして屋敷に入り込みたいか?」
【万里】
「どうせ復讐のつもりで会社の不正を暴くか、さもなくばでっちあげるつもりだったんだろ。」
【浅葱】
「…………………!」
浅葱は悔しそうに顔をぎゅうっとこわばらせる。
屋敷に入ることが敵わない。俺に復讐出来ない。その絶望の色がにじんでいて、美しかった。
【万里】
「安心しろ。お前は採用だ。」
【浅葱】
「!」
【万里】
「明日から好きな時にいつでも来い。」
【浅葱】
「………………っな…んで……」
【万里】
「どうした?屋敷に入らない限りお前が復讐出来るチャンスなんて早々無いぞ?」
【万里】
「それとも、本心がバレて怖くなったか。」
【浅葱】
「…………………。」
【万里】
「だがお前に拒否権はないぞ。お前程度、社会から抹殺することなんて簡単だ。」
【浅葱】
「!!脅迫……かよ…!……やっぱり……あんたも……父親と同じで…、最低、だな…………っ」
【万里】
「あんた?誰のことだ……ご主人様、だろ。」
【浅葱】
「……………!ふざけんな……ッ…!」
【万里】
「まぁいい…これからじっくり躾てやるさ―。」
【橘】
「五十嵐優作を…連れて参りました。」
【万里】
「ああ……、解った。今行く。」
五十嵐は―、この街の若い消防士だ。
何が楽しいのかいつも笑いながら俺に話しかけてくる。
いや、俺だけじゃなく、通りがかる人間全員と知り合いのような…人懐っこい男。
……………。
【五十嵐】
「三宮…さん………!?これは…一体……」
【万里】
「どうも。消防士さん。」
【五十嵐】
「な…なんで俺が…こんな恰好を…」
【万里】
「似合ってますよ。」
普段、縁のなさそうな燕尾服を着させられ、落ち着かない様子の五十嵐。
【五十嵐】
「いやそういう事じゃなく……、し、執事って…なんすか?」