本編
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《兆し》
【榎本 公志郎】
「あんたとも馴染み深い奴―来てるわよ」
【政親】
「馴染み深い?」
【榎本 公志郎】
「いやあだ。あんたが口説きおとしたんでしょ」
【政親】
「…ああ―」
馴染み深い―と称していいのかわからない、付き合いの長い男なら、確かに口説いたな。
そう政親が心当たりを思い出した、と、ほとんど同時に―
【二條 榛貴】
「どうも」
大凡「アイドル」とは思えぬ出で立ちの男が事務所に入室する。
【政親】
「………、どうも。本当にいらして頂けるとは」
二條 榛貴(ニジョウハルタカ)
元カリスマアイドル。遊び相手の家を点々ととしていたところ政親の声かけに応じて10年ぶりに復帰した。
【二條 榛貴】
「あらら?この間熱烈ラブコール頂いた時と、随分温度差あるな」
【政親】
「そうでしょうか。私はいつも変わりありませんよ」
【二條 榛貴】
「はは。飴と鞭って奴かあ?かわいい真似するじゃねえか」
二條は少しだけ意地悪そうに―けれどどこかチャーミングに眉をひそめた。
その、魅力的、と言わざるを得ない表情に政親は満足げに命令してみせる。
久しぶりに、歌ってみせるように―と。
《本番》
【政親】
「―ふ…。………流石、貫録がありますね」
【二條 榛貴】
「ははは。いいんだか悪いんだか、な。
アイドルなんざ、おどおどしてる方が食い付きやすかったりすんだろう」
【政親】
「ご冗談を。あなた程であれば、むろん別格ですよ」
身に余るねえ、と二條はカラカラ笑った。
【政親】
「あなたには早速―あの営業に出向いて頂きましょうか」
【二條 榛貴】
「……ああ―アレ、な。未だに政親お得意技、ってか。
俺にしちゃあ…もう、懐かしい話だな」
【二條 榛貴】
「だが流石に歳食っちまったぜ?かわいがられるっつーより、
俺がかわいがってやる方にまわりゃあいいのか?」
【政親】
「……さあ。どうでしょうか。まずは、久しぶりに実践頂きましょう」
《絶頂》
エンジェル営業を終えて事務所に戻ってきた二條は、
政親の背に配置されたソファに座って、頭を抱えていた。
【二條 榛貴】
「………、………」
【政親】
「いかがされましたか?」
【二條 榛貴】
「…………世間という大いなる宇宙に、俺は心底驚いている」
【政親】
「ふ―榛貴。随分と可愛がって頂いたようですね」
【二條 榛貴】
「っ!!」
政親は、そっと二條の―エンジェル営業のためについた「跡」を撫でつける。
うなじにつけられたソレ、は艶やかに座していた。
【二條 榛貴】
「おいおい、やめてくれよ、あんたまで…俺ぁついていけてねーんだぜ?」
【政親】
「ならば、さっさと順応しろ。俺に捨てられたくなければ…な」
【二條 榛貴】
「アー、今度は鞭のターン、ってか。相変わらず転がし上手だねえ」
貴方程ではありませんよ、と政親は笑み、二條に背を向けて事務処理を再開するのだった。