[本編] 赤屋 竜次 編
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【ハク】
「なんだよ、これ……っ!」
俺が自宅のアパートの前につくと、なにやら人だかりができていた。
【ハク】
(俺の家に何か……?)
【ハク】
「すいませんっ、通してください……っ!」
俺はなんとか人込みをかき分けてアパートに入ろうとする。
だが、玄関口を囲む立ち入り禁止のロープに阻まれた。
【ハク】
「な、なんで……」
【藍建】
「あーキミ、入っちゃダメだよ」
【ハク】
「あなたは……?」
【藍建】
「オレはこういうもんだ」
俺がロープの前で茫然としていると、急に見知らぬ人が話しかけてきた。
俺に話しかけてきた男性は、警察手帳を取り出すと俺に見せるように顔の横に掲げる。
【ハク】
「警察の人……?」
【藍建】
「警視庁の藍建だ。キミはここの家の人?」
【ハク】
「は、はい」
【ハク】
「刑事さん……これ、なんですか?うちのアパート、一体どうしたんですか?」
【藍建】
「火事でね。非常に言いにくいが……放火のようだ」
【ハク】
「火事?放火……?」
【藍建】
「まぁ、入ってみるといい」
刑事さんに伴われて、ロープを跨いでアパートへ近づく。
部屋の前で俺は立ち尽くした。
外からでもわかるくらい、真っ黒だ。
【藍建】
「キミの部屋はここかい?」
【ハク】
「そう、です……」
藍建さんが手袋をした手でドアの中へと促す。
部屋の中は、想像以上だった。
見渡す限り黒く焦げた塊と言っていい。玄関の靴も、傘も。
入ってすぐにあるキッチンも、元がなんだかわからないくらいになっている。
その奥のワンルームも、カーテンは燃えてなくなっている。
家具もクローゼットの中身も、もう使い物にならないだろう。
【藍建】
「……火元はこの部屋みたいなんだよね」
【ハク】
(なんだよ……なんなんだこれ……)
【ハク】
(仕事も……住む場所もなくなって)
【ハク】
(どうして俺がこんな目に……)
俺はただ茫然とその場に立ち尽くして、ただ打ちひしがれていた。泣いたり喚いたり、そんなことする気力もない。
【藍建】
「……大変だったな」
【ハク】
「…………」
【藍建】
「こんなときに悪いんだけど、一応決まりだからさ。……昨日の夜何してたか教えてもらっていいかな?」
【ハク】
「昨晩は……友人と飲んでて、その後は今まで友人の家に」
【藍建】
「それを証明できるものは、あるかい?」
【ハク】
「証明……」
【藍建】
「んー……その友達と連絡つかないかな?電話番号とか、わかる?」
【ハク】
「電話番号……」
【ハク】
(そうだ、名刺……!)
俺は今朝リュウから貰った名刺の存在を思い出す。慌ててそれを取り出すが、そこには電話番号は書かれていなかった。
【ハク】
(名前と住所だけ……?)
【ハク】
(会社の名前も、職業もない)
【藍建】
「わかりそうか?」
【ハク】
「ちょっと、すみません……」
【藍建】
「友達なのに連絡先知らないの?」
【ハク】
「古い友人で、会うのは久しぶりで……名刺、貰ったんですけどこれしか……」
俺はリュウの名刺を藍建さんに見せた。
すると藍建さんは考え込むような顔をしたあと、俺に言った。
【藍建】
「じゃあ、後日で良いからその友達と連絡つけて、署まで報告に来てもらえるかな」
【ハク】
「はい……」
他にアリバイを証明する手立てがない以上、俺はその問いに頷くしかなかった。
現場の野次馬を整理に行く藍建さんを見送りながら、俺はしばらく名刺を見つめて放心状態だった。
こんな目に遭って、しかも犯人かもしれないと思われてるだって……?リュウの家から帰る途中の気分からすると、天国と地獄だ。
しかし、家もあの状態な今、できることは限られている。
【ハク】
(とりあえず、名刺の住所に行ってみるか……)
【ハク】
(でも、誰が何のためにこんなこと、放火なんて真似を……)
続く…
「なんだよ、これ……っ!」
俺が自宅のアパートの前につくと、なにやら人だかりができていた。
【ハク】
(俺の家に何か……?)
【ハク】
「すいませんっ、通してください……っ!」
俺はなんとか人込みをかき分けてアパートに入ろうとする。
だが、玄関口を囲む立ち入り禁止のロープに阻まれた。
【ハク】
「な、なんで……」
【藍建】
「あーキミ、入っちゃダメだよ」
【ハク】
「あなたは……?」
【藍建】
「オレはこういうもんだ」
俺がロープの前で茫然としていると、急に見知らぬ人が話しかけてきた。
俺に話しかけてきた男性は、警察手帳を取り出すと俺に見せるように顔の横に掲げる。
【ハク】
「警察の人……?」
【藍建】
「警視庁の藍建だ。キミはここの家の人?」
【ハク】
「は、はい」
【ハク】
「刑事さん……これ、なんですか?うちのアパート、一体どうしたんですか?」
【藍建】
「火事でね。非常に言いにくいが……放火のようだ」
【ハク】
「火事?放火……?」
【藍建】
「まぁ、入ってみるといい」
刑事さんに伴われて、ロープを跨いでアパートへ近づく。
部屋の前で俺は立ち尽くした。
外からでもわかるくらい、真っ黒だ。
【藍建】
「キミの部屋はここかい?」
【ハク】
「そう、です……」
藍建さんが手袋をした手でドアの中へと促す。
部屋の中は、想像以上だった。
見渡す限り黒く焦げた塊と言っていい。玄関の靴も、傘も。
入ってすぐにあるキッチンも、元がなんだかわからないくらいになっている。
その奥のワンルームも、カーテンは燃えてなくなっている。
家具もクローゼットの中身も、もう使い物にならないだろう。
【藍建】
「……火元はこの部屋みたいなんだよね」
【ハク】
(なんだよ……なんなんだこれ……)
【ハク】
(仕事も……住む場所もなくなって)
【ハク】
(どうして俺がこんな目に……)
俺はただ茫然とその場に立ち尽くして、ただ打ちひしがれていた。泣いたり喚いたり、そんなことする気力もない。
【藍建】
「……大変だったな」
【ハク】
「…………」
【藍建】
「こんなときに悪いんだけど、一応決まりだからさ。……昨日の夜何してたか教えてもらっていいかな?」
【ハク】
「昨晩は……友人と飲んでて、その後は今まで友人の家に」
【藍建】
「それを証明できるものは、あるかい?」
【ハク】
「証明……」
【藍建】
「んー……その友達と連絡つかないかな?電話番号とか、わかる?」
【ハク】
「電話番号……」
【ハク】
(そうだ、名刺……!)
俺は今朝リュウから貰った名刺の存在を思い出す。慌ててそれを取り出すが、そこには電話番号は書かれていなかった。
【ハク】
(名前と住所だけ……?)
【ハク】
(会社の名前も、職業もない)
【藍建】
「わかりそうか?」
【ハク】
「ちょっと、すみません……」
【藍建】
「友達なのに連絡先知らないの?」
【ハク】
「古い友人で、会うのは久しぶりで……名刺、貰ったんですけどこれしか……」
俺はリュウの名刺を藍建さんに見せた。
すると藍建さんは考え込むような顔をしたあと、俺に言った。
【藍建】
「じゃあ、後日で良いからその友達と連絡つけて、署まで報告に来てもらえるかな」
【ハク】
「はい……」
他にアリバイを証明する手立てがない以上、俺はその問いに頷くしかなかった。
現場の野次馬を整理に行く藍建さんを見送りながら、俺はしばらく名刺を見つめて放心状態だった。
こんな目に遭って、しかも犯人かもしれないと思われてるだって……?リュウの家から帰る途中の気分からすると、天国と地獄だ。
しかし、家もあの状態な今、できることは限られている。
【ハク】
(とりあえず、名刺の住所に行ってみるか……)
【ハク】
(でも、誰が何のためにこんなこと、放火なんて真似を……)
続く…