[本編] 銀 夏生 編
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【ハク】
「うわああああ!」
【ハク】
「ちょっ…と!…嘘だろ…どうしてこんな格好…!」
俺は自分の身体を見て思わず声を上げた。
………………。
………………裸だ。
何も着ていない。おそるおそる毛布の中を覗き込むと………下も、だ…。
【ハク】
(ど、どうなってるんだ?)
見知らぬ部屋のベッドで、裸で寝てた…なんて、どう考えても普通じゃない。
【ハク】
(落ち着け、俺)
俺は気持ちを落ち着かせようと息をゆっくり吐いた。
焦ったって情況はどうせ変わらないんだ。
【ハク】
(ど、どうなってるんだ?)
俺はさっき視界の中に見つけた壁かけの時計に眼をやった。
銀細工が施された、いかにも高級そうな時計が、午前9時半を指している。
【ハク】
(9時半か。俺はいつ眠ったんだろう?)
思えば…そうだ、俺は昨日のことをよく覚えていなかった。
いつ眠ったのか、どれくらい眠っていたのか、そもそもいつこの部屋に来たのか…。
服だっていつ脱いだのかまるで記憶にない。
ちょっとでも何かを思い出せれば…そう思ったけれど…
――ダメだ、どうしても思い出せない。
【ハク】
(とりあえず服…服を探さないと)
俺はベッドから出ると、いそいそと自分の服を探し始めた。
パッと見どこにも見当たらない。
まさか外から裸だった…なんてことないよな?
【ハク】
(どこだよ…もう)
俺は室内をうろうろを歩きながら、服を探し続ける。
【ハク】
(…にしても、やけに広い寝室だな)
寝室でここまで広いってどういうことなんだよ…?
一見してすぐに高級マンションだということは分かったけれど、一つ一つの家具も随分と高級そうだ。
余計なものは置いていなくて、スタイリッシュな感じがする。
【ハク】
(セレブって感じだな…)
【ハク】
(俺なんて言われも無い横領の濡れ衣を着せられて、会社までクビになって…)
【ハク】
(一方じゃこんな高級マンションに住んでるやつもいるんだもんな…)
――そんなことを思っていた時。
ガチャ。
背後でドアの開く音がして、俺は驚いてドアの方を振り返った。
【銀】
「やっと起きたか、ハク」
【ハク】
「ナツ…!?」
俺の前に立っていたのは………ナツだった。
ナツは慣れた調子で部屋の中に入ってくると、手に持っていたものを俺に渡してくる
俺はどこかぼんやりしていたのか、渡されたそれをすぐに受け取れなかった。
【銀】
「なんだそのバカ面は。まだ脳が起きていないのか?」
【ハク】
「え…いや…」
【銀】
「ほら、ハク。受け取れ」
【ハク】
「あ、ああ」
【ハク】
(これ…スーツ?)
ナツから手渡されたのは、スーツ一式だった。
しかも何だか手触りが良い…俺が着てきたスーツとは感触が違うのが、すぐに分かる。
シャツ・ネクタイ・ベルトまでしっかりと用意されている。
それから……肌着も。
【銀】
「まずはそれに着替えろ。話しはそれからだ」
って…つまりこのスーツに、ってことだよな?
それは分かったけど、俺はこの急展開にまだついていけていなかった。
…とりあえず肌着だけは先につけさせてもらったけれど。
【ハク】
(ここにナツがいるってことは…)
俺は、背景に広がっている高級マンションの寝室と、手の中にある感触の違うスーツのことを考えながら、目の前のナツをチラッと見た。
ナツはさっき部屋に入って来た時も慣れた様子だったし、この部屋にも全然違和感がない。
【銀】
「どうした、一人じゃ服も着られないか?」
【ハク】
「そ、そんなことっ――」
【銀】
「それとも。昨晩の余韻がカラダに残って動けないか?」
【ハク】
「昨晩…?」
【銀】
「昨晩はとても可愛かったぞ、ハク」
【ハク】
「え……!?」
【銀】
「おやおや、まさか忘れたのか?自分がどんなふうになっていたかくらい、覚えてるだろう?」
【ハク】
「な…?な…んのこと…だよ?」
【ハク】
(昨晩?昨晩って何だ?)
昨晩、一体何があったっていうんだ…?大体、可愛いって……なんなんだよそれ…!?
目の前ではナツが口端を上げてうっすらと笑っていたけど、俺は焦るばかりでさっぱり思い出せない。
そんな俺の表情が嘘じゃないことに気付いたのか、やがてナツは真面目な顔に戻った。
【銀】
「その顔は、本当に覚えてないって顔だな」
【ハク】
「…ごめん」
――昨日。
ナツと再会した俺は、思い出話に花を咲かせて…かなり泥酔していた。
きっとそのせいだ、記憶が飛んでいるのは。
俺はナツから話を聞くうちに、ぼんやりとだけど、段々と昨日のことを思い出してきていた。
とりあえずこの高級マンションがナツの自宅だということはハッキリした。
つまり俺が目覚めたのは、ナツの自宅の寝室のベッドの上だったってことで……。
【銀】
「つまりお前はオレとの契約についても覚えていない、ということだな」
【ハク】
「け契約?」
俺はその言葉にピクリと反応した。
その言葉の持つ空気に、俺は何だか不安を覚える。思わずナツを目の前にして身体を引いてしまう。
「契約」だなんて、まるで覚えがない。
昨晩俺は、ナツと何かの契約をしたってことなんだろうか?
俺は…覚えていないふりを誤魔化した。
しかしナツにはそれが嘘なのがバレている
ナツは仕方ないという顔で溜息を吐くと、その「契約」のことについて話し始めた。
【銀】
「どこの誰だろうなあ?仕事がなくなったと言って、よかったらオレの会社で働けないかと相談してきたのは」
【ハク】
「あ…っ」
俺は思わず、ハッ、とした。
そういえば…思い出話の間にそんな話をちらっとしたような気はする。
【ハク】
(冗談半分だったのに…それをナツは本気にしたってことなのか?)
いや、本気だよな。
じゃなければ「契約」だなんて言わないだろうし、そもそもスーツなんて俺に渡したりしないだろう。
【ハク】
(会社クビになってどん底だったのに…まさかこんな展開になるなんて)
ナツは昔のよしみで俺を働かせてくれようとしてるんだろうけど、こんなに甘えて良いんだろうか。
でも、ありがたいことは確かだよな…。
ナツの言う「契約」の細かい内容はいまいち分からないけど、とりあえず俺は、これで働くところができたってことだ。
【ハク】
「あの…さ。ナツ、ありがとうな」
【銀】
「なんだそれは。言葉の上で感謝すればそれでいいとでも思ってるのか?」
【ハク】
「違う、本気でそう思ってるんだ。だって…昨日も俺すごい酔ってて、迷惑かけたろ?それで、仕事まで厄介になるなんて…」
【銀】
「迷惑をかけた?厄介になる?――ああ、まったくだ。」
【銀】
お前のいうとおりだよ、ハク」
【銀】
オレがお前を救ってやったんだ、どん底のお前をな?」
【銀】
「それを理解しているならそんな陳腐な言葉じゃなくたっぷりオレに奉仕することだ」
!!!!!!
【ハク】
「え…!?」
【銀】
「さあ、ハク。早くしろ」
【ハク】
「えっ、ああ」
【ハク】
(今、何だか気になる事を言われたような気がしたけど…)
ナツは腕にはめた時計に目をやって何か思案顔になると、未だに着替えすらしていない俺にはっきりと言った。まるで仕事のスケジュールを告げるみたいに。
【銀】
「出勤は午後からだからな。それまでにお前の買物をすませる」
【ハク】
「出勤って…!俺、今日から出勤するのか?」
【銀】
「当然だ。そのために最低限のものを揃える必要がある」
【ハク】
「ちょ、ちょっと待ってくれ。だったら俺、必要なもの、家から持ってくるから…」
【銀】
「その必要ない。オレが揃える」
【ハク】
「でも…っ」
食い下がろうとした俺の腕を、ナツがグイッと掴んでくる。
そして、俺の耳の近くでナツの声が強く響いた。
【銀】
「オレのいうことがきけないのか、ハク?」
【ハク】
「ナツ…っ」
「とにかく、オレの会社で働くなら、それなりの格好をしてもらわないとな?」
ナツはニヤリと笑うと、目線で持ってきた肌着とスーツを着るように俺に目配せした。
続く…
「うわああああ!」
【ハク】
「ちょっ…と!…嘘だろ…どうしてこんな格好…!」
俺は自分の身体を見て思わず声を上げた。
………………。
………………裸だ。
何も着ていない。おそるおそる毛布の中を覗き込むと………下も、だ…。
【ハク】
(ど、どうなってるんだ?)
見知らぬ部屋のベッドで、裸で寝てた…なんて、どう考えても普通じゃない。
【ハク】
(落ち着け、俺)
俺は気持ちを落ち着かせようと息をゆっくり吐いた。
焦ったって情況はどうせ変わらないんだ。
【ハク】
(ど、どうなってるんだ?)
俺はさっき視界の中に見つけた壁かけの時計に眼をやった。
銀細工が施された、いかにも高級そうな時計が、午前9時半を指している。
【ハク】
(9時半か。俺はいつ眠ったんだろう?)
思えば…そうだ、俺は昨日のことをよく覚えていなかった。
いつ眠ったのか、どれくらい眠っていたのか、そもそもいつこの部屋に来たのか…。
服だっていつ脱いだのかまるで記憶にない。
ちょっとでも何かを思い出せれば…そう思ったけれど…
――ダメだ、どうしても思い出せない。
【ハク】
(とりあえず服…服を探さないと)
俺はベッドから出ると、いそいそと自分の服を探し始めた。
パッと見どこにも見当たらない。
まさか外から裸だった…なんてことないよな?
【ハク】
(どこだよ…もう)
俺は室内をうろうろを歩きながら、服を探し続ける。
【ハク】
(…にしても、やけに広い寝室だな)
寝室でここまで広いってどういうことなんだよ…?
一見してすぐに高級マンションだということは分かったけれど、一つ一つの家具も随分と高級そうだ。
余計なものは置いていなくて、スタイリッシュな感じがする。
【ハク】
(セレブって感じだな…)
【ハク】
(俺なんて言われも無い横領の濡れ衣を着せられて、会社までクビになって…)
【ハク】
(一方じゃこんな高級マンションに住んでるやつもいるんだもんな…)
――そんなことを思っていた時。
ガチャ。
背後でドアの開く音がして、俺は驚いてドアの方を振り返った。
【銀】
「やっと起きたか、ハク」
【ハク】
「ナツ…!?」
俺の前に立っていたのは………ナツだった。
ナツは慣れた調子で部屋の中に入ってくると、手に持っていたものを俺に渡してくる
俺はどこかぼんやりしていたのか、渡されたそれをすぐに受け取れなかった。
【銀】
「なんだそのバカ面は。まだ脳が起きていないのか?」
【ハク】
「え…いや…」
【銀】
「ほら、ハク。受け取れ」
【ハク】
「あ、ああ」
【ハク】
(これ…スーツ?)
ナツから手渡されたのは、スーツ一式だった。
しかも何だか手触りが良い…俺が着てきたスーツとは感触が違うのが、すぐに分かる。
シャツ・ネクタイ・ベルトまでしっかりと用意されている。
それから……肌着も。
【銀】
「まずはそれに着替えろ。話しはそれからだ」
って…つまりこのスーツに、ってことだよな?
それは分かったけど、俺はこの急展開にまだついていけていなかった。
…とりあえず肌着だけは先につけさせてもらったけれど。
【ハク】
(ここにナツがいるってことは…)
俺は、背景に広がっている高級マンションの寝室と、手の中にある感触の違うスーツのことを考えながら、目の前のナツをチラッと見た。
ナツはさっき部屋に入って来た時も慣れた様子だったし、この部屋にも全然違和感がない。
【銀】
「どうした、一人じゃ服も着られないか?」
【ハク】
「そ、そんなことっ――」
【銀】
「それとも。昨晩の余韻がカラダに残って動けないか?」
【ハク】
「昨晩…?」
【銀】
「昨晩はとても可愛かったぞ、ハク」
【ハク】
「え……!?」
【銀】
「おやおや、まさか忘れたのか?自分がどんなふうになっていたかくらい、覚えてるだろう?」
【ハク】
「な…?な…んのこと…だよ?」
【ハク】
(昨晩?昨晩って何だ?)
昨晩、一体何があったっていうんだ…?大体、可愛いって……なんなんだよそれ…!?
目の前ではナツが口端を上げてうっすらと笑っていたけど、俺は焦るばかりでさっぱり思い出せない。
そんな俺の表情が嘘じゃないことに気付いたのか、やがてナツは真面目な顔に戻った。
【銀】
「その顔は、本当に覚えてないって顔だな」
【ハク】
「…ごめん」
――昨日。
ナツと再会した俺は、思い出話に花を咲かせて…かなり泥酔していた。
きっとそのせいだ、記憶が飛んでいるのは。
俺はナツから話を聞くうちに、ぼんやりとだけど、段々と昨日のことを思い出してきていた。
とりあえずこの高級マンションがナツの自宅だということはハッキリした。
つまり俺が目覚めたのは、ナツの自宅の寝室のベッドの上だったってことで……。
【銀】
「つまりお前はオレとの契約についても覚えていない、ということだな」
【ハク】
「け契約?」
俺はその言葉にピクリと反応した。
その言葉の持つ空気に、俺は何だか不安を覚える。思わずナツを目の前にして身体を引いてしまう。
「契約」だなんて、まるで覚えがない。
昨晩俺は、ナツと何かの契約をしたってことなんだろうか?
俺は…覚えていないふりを誤魔化した。
しかしナツにはそれが嘘なのがバレている
ナツは仕方ないという顔で溜息を吐くと、その「契約」のことについて話し始めた。
【銀】
「どこの誰だろうなあ?仕事がなくなったと言って、よかったらオレの会社で働けないかと相談してきたのは」
【ハク】
「あ…っ」
俺は思わず、ハッ、とした。
そういえば…思い出話の間にそんな話をちらっとしたような気はする。
【ハク】
(冗談半分だったのに…それをナツは本気にしたってことなのか?)
いや、本気だよな。
じゃなければ「契約」だなんて言わないだろうし、そもそもスーツなんて俺に渡したりしないだろう。
【ハク】
(会社クビになってどん底だったのに…まさかこんな展開になるなんて)
ナツは昔のよしみで俺を働かせてくれようとしてるんだろうけど、こんなに甘えて良いんだろうか。
でも、ありがたいことは確かだよな…。
ナツの言う「契約」の細かい内容はいまいち分からないけど、とりあえず俺は、これで働くところができたってことだ。
【ハク】
「あの…さ。ナツ、ありがとうな」
【銀】
「なんだそれは。言葉の上で感謝すればそれでいいとでも思ってるのか?」
【ハク】
「違う、本気でそう思ってるんだ。だって…昨日も俺すごい酔ってて、迷惑かけたろ?それで、仕事まで厄介になるなんて…」
【銀】
「迷惑をかけた?厄介になる?――ああ、まったくだ。」
【銀】
お前のいうとおりだよ、ハク」
【銀】
オレがお前を救ってやったんだ、どん底のお前をな?」
【銀】
「それを理解しているならそんな陳腐な言葉じゃなくたっぷりオレに奉仕することだ」
!!!!!!
【ハク】
「え…!?」
【銀】
「さあ、ハク。早くしろ」
【ハク】
「えっ、ああ」
【ハク】
(今、何だか気になる事を言われたような気がしたけど…)
ナツは腕にはめた時計に目をやって何か思案顔になると、未だに着替えすらしていない俺にはっきりと言った。まるで仕事のスケジュールを告げるみたいに。
【銀】
「出勤は午後からだからな。それまでにお前の買物をすませる」
【ハク】
「出勤って…!俺、今日から出勤するのか?」
【銀】
「当然だ。そのために最低限のものを揃える必要がある」
【ハク】
「ちょ、ちょっと待ってくれ。だったら俺、必要なもの、家から持ってくるから…」
【銀】
「その必要ない。オレが揃える」
【ハク】
「でも…っ」
食い下がろうとした俺の腕を、ナツがグイッと掴んでくる。
そして、俺の耳の近くでナツの声が強く響いた。
【銀】
「オレのいうことがきけないのか、ハク?」
【ハク】
「ナツ…っ」
「とにかく、オレの会社で働くなら、それなりの格好をしてもらわないとな?」
ナツはニヤリと笑うと、目線で持ってきた肌着とスーツを着るように俺に目配せした。
続く…