本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《心配》
【笹雨 清明】
「……ふん」
これからレッスンしに行くと言う侑生と政親を横目に見つつ。
清明は貰った台本に目を通していた。
最近どうも侑生の政親に対する入れ込み様が気になる。
政親に対する態度は既に憧れの人を超えているように見えた。
清明の中で、政親は上司だが正義ではなかった。
到底清明の中で許せる人物ではない。
…が、清明の知らない世界を見せてくれる人物…利用価値がある人物としては認識している。
理解はしているが、納得が出来ない人物。
それが政親だった。
そんな政親に完全に心酔している大事な友人の一人である大須賀 侑生。
【笹雨 清明】
(……不適切な行為―など、されていなければいいが)
…とは思うが、『不適切な行為』がされてない訳がないと自分の身を持って理解している。
重く圧し掛かる事実に、清明は頭に入らない台本を見つめて盛大に溜息をついた。
《拒否》
【政親】
「清明。何故呼ばれたか分かりますね」
【笹雨 清明】
「……さぁ。一切分かりかねます」
只管冷静に話を進めて行く政親に清明は落ちつかない気持ちになる。
怒るならば怒ればいいのに。
…静まりかえる事務所。社長もいつも騒がしい山口もいない。
【政親】
「随分子供っぽい真似ですね?仕事は仕事と割り切るべきかと」
【笹雨 清明】
「……っ」
政親の言う通り。
エンジェル営業の相手を邪険に扱ったのだ。
が、相手的には生意気な相手を屈服させるのがお好きだったようで。
それなりの対応はされてしまったが、少し気が晴れたのは事実だ。
その後、咎めはされなかったが、政親に通達されたらしい。
【政親】
「私が嫌なら移籍も可能ですよ?」
…ポラリスでなければ居る意味がない事なぞ、よく分かってる癖に。
腹立たしい言い回しに、清明の苛立ちや不快感がじわりと上がっていく。
いちいち突っかからなければいい。
分かっているのに、頭の片隅に侑生や梓乃の顔が浮かぶ度に、抑えきれない感情が湧きあがる。
【政親】
「やれやれ、侑生や梓乃も頑張っているのに……」
そんな時にドンピシャに名前を出されて清明は激昂した。
【笹雨 清明】
「…っ!梓乃と侑生は関係ないでしょう!」
【政親】
「関係ない、と。貴方が言うんですか」
―…ギクリ。
思わず身体に緊張が走る。
政親の口角が微かに上がったのを目の端で確認した。
カッ、と耳まで赤くなる感覚。
挑発されていると分かっているのに、先に口が出てしまう。
【笹雨 清明】
「こっ、の…っ!汚い手ばかり…!」
【政親】
「貴方が言う『汚い手』に従事して、夢を追いかける梓乃と侑生に何か言う事は」
【笹雨 清明】
「…っ…あ……」
黙り込む清明。政親は腕を取って立ち上がらせる。
【政親】
「頭で理解出来ないなら―」
清明の視線が怯えるようにすっと外されたのを、政親は見逃さなかった。
《不安》
【笹雨 清明】
「……う、ぅ…ぁあ…!」
絞り出すように声を上げ、清明がベッドに前かがみで倒れ込んだ。
口を閉じる事も忘れて、呼吸だけを繰り返した。
疼痛のように震える下腹部がどんどんと重くなるが、一向に解放される様子がない。
―ツライ。
【政親】
「ほら、自分だけ良くなってどうするんだ」
ぐいと顎を引かれ、衝動的に身体を起こす。
繋がれたままで内股が震えて、上手く立ち上がれない。
そのまま倒れ込んでしまいたい。
…が、そのささやかな願いは政親によって破壊される。
【笹雨 清明】
「ふ…ぅ……くっ、くそ…!」
じわじわと臨界点に達しそうな身体に鞭を打ち、
厭だと思いながらも屹立に手を這わせる。
―厭だ…!こんな事、あってはならない筈なのに…!
【政親】
「梓乃も侑生も、貴方よりもっと上手いですよ」
【笹雨 清明】
「……っ!!」
『二人の方が上手い』
…その言葉で競争心だか羞恥心だか…よく分からない感情が
快感と共にせめぎ合い始めた。
先程までの嫌悪感が払拭されるような一撃。
二人の手助けをしたい。
…その一心だった筈なのに。
清明は使っていない方の手を力強く握りこみ、よく分からない苛立ちを抑え込む。
したり顔で覗き込んで来る政親にも、この感情に飲み込まれそうな自分にも。
清明は熱の上がる身体と浸食するような不安に終止符を打つべく
先程まで躊躇っていた行動に迷いなく手をかけた。