本編
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《兆し》
CDデビューを果たしたポラリスメンバーは、
インストアライブに追われていた。
初シングルということもあり知名度を上げる必要がある。
その為、インストアライブを数多く開催することとなった。
今日は、地域に密着したショッピングモールの屋上でのインストアライブだ。
無料でライブを行い、興味が出たらアイドルたちが直接手渡しで販売する。
CDお渡し会も兼ねているライブイベントになる。
その準備で、朝から山口はスタッフと一緒に走り回っていた。
政親は総監督として現場の隅々までチェックしている。
山口が準備をして会場を走り回ると、取材に来ていた記者の会話が耳に入った。
【記者1】
「おお……本当に政親プロデューサーがいるぞ」
【記者2】
「あの『EMOTION』のっすか?復帰したって噂、本当だったんだ…」
【記者1】
「こりゃあ、今後の為にもちゃんとチェックしとかなきゃな」
【山口 遼太】
(ふふ、そうだ、黒田さんが手がけてるんだぞ…!!)
自分のことを褒められたかのように山口は誇らしげな気持ちになる。
益々、ライブの準備に気合が入っていたところに、政親がやって来た。
【政親】
「山口、手が動いてないようですが」
【山口 遼太】
「はいぃっすみません!あの、俺、頑張りますからっ!」
真剣な表情で山口は政親の肩に両手を置いて告げる。
いきなりの宣言に眉をしかめながら、政親は遠慮なく肩の手を払い答えた。
【政親】
「頑張らなくてはいけないのは貴方ではなくアイドルです」
【山口 遼太】
「はい……」
【政親】
「ですから、サポートは任せましたよ」
【山口 遼太】
「政親さぁああああああああん」
飼い犬を走らせたところで、政親は控え室へと向かった。
《本番》
控え室はアイドルたちの楽屋となっており、思い思いに過ごしている。
梓乃・侑生・笹雨が三人で話しているかと思えば、
果凛・壱川・芦沢がダンスの確認をしあい、二條・葛城はハーモニーを合わせ、墨代は弁当を食べていた。
政親が控室に入ると、全員立ち上がりお辞儀をする。
おはようございます、と挨拶をするアイドル達に
手を上げ気にしないようにジェスチャーをする。
すると、また先ほどまでの作業に戻っていった。
そこに、侑生が両手を梓乃と清明の腕に巻きつけて政親の元へやってくる。
【大須賀 侑生】
「黒田さんっ、おはようございます!」
【政親】
「おはようございます」
満面の笑みの侑生の表情とは反対に、梓乃と笹雨の表情は固い。
【大須賀 侑生】
「シノくんもキヨくんも緊張してるんですよ~!」
【日月 梓乃】
「ばっか、そんなんじゃねーって…!」
【笹雨 清明】
「違っ……俺はともかく、梓乃だけです」
【日月 梓乃】
「うわっ、セイメイ裏切った!手汗すげーくせに!」
【笹雨 清明】
「なっ……言いがかりはよしてください」
【大須賀 侑生】
「シノくんもキヨくんもかわいい~」
政親が何かを言う前にわいのわいのと騒ぎ始めだした3人に、
ダンスを確認やハーモニーを合わせていたメンツも集まりだし
墨代も後から弁当を持ったままやってきた。
【政親】
「あまり楽屋で煩く騒ぎすぎないように。
ここではしゃいでライブで体力が残ってないということは許しません。
……なにより、夜も夜でありますから」
そうしめくくる政親の言葉に、アイドル達は苦笑を漏らし押し黙ったのだった。
《絶頂》
イベントは大成功に終わった。
ライブ後のCDお渡し会で最後のひとりを見送り、
客が全て退場した後の会場でアイドルたちは片付けに参加していた。
ファンとの触れ合いに、アイドルたちは片付けをしながらも笑顔で話に花が咲いている。
【日月 梓乃】
「なんか、女子も来てくれたけど……男の数多くなかったか?」
【葛城 雄眞】
「今は男性ファンも多い時代だからな」
【大須賀 侑生】
「僕のところ、お姉さんも沢山来たよ?」
【二條 榛貴】
「んだよ~羨ましいなぼっちゃん!
俺なんて同年代のおば、もっと大きいお姉様ばかりだぜ」
【墨代 睡蓮】
「……でも、皆さん比較的男性のファンも多かったですよね!」
【政親】
「エンジェル営業の効果かもしれませんね。
惹きつける要素が多いことには問題ないと思いますが」
【日月 梓乃】
「げ、黒田さん…」
いきなり現れたことに驚く梓乃を政親の眼が窘める。
【大須賀 侑生】
「そうだよ!少しでも多くの人がファンになってくれるの、僕は嬉しいな」
【日月 梓乃】
「それはある!ファンとの交流、すっげー楽しかった!」
和やかな空気に包まれたところに、政親の容赦ない言葉が降りかかる。
【政親】
「地域に密着したアピールも必要ですが、
勿論都心の大型ショップで取材を呼んだインストアライブも開催します。
……そうなると、自然と貴方たちの仕事はわかりますね」
新人アイドルに休む暇はない。
次の仕事、―エンジェル営業へと向かう一同であった。