[本編] 緑川 彰一 編
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【ハク】
(体験入店……ってこれは普通に体験、だよな……)
客席に座らされ、右側に緑川さん、左側には……。
【緑川】
「モモ」
【桃島】
「えっ……」
露骨に嫌そうな顔で振り向く桃島さん。
【緑川】
「おいで、ユキの隣に座って」
【桃島】
「嫌なんですけど」
【緑川】
「嫌じゃないでしょ、お客様なんだから」
【桃島】
「……まだ開店前じゃないですか」
【緑川】
「開店前に終わらせないとまずいでしょ」
【緑川】
「開店前ミーティングまであと……うん。ちょうどおもてなしできるくらいじゃない?」
【桃島】
「この売り上げって入るんですか?」
【ハク】
「えっ、お金取るんですか!?」
桃島さんの言葉にぎょっとして思わず緑川さんに尋ねてしまう。
【ハク】
(ホストクラブに払うお金なんか今持ってないっ……!)
焦っていると。
【緑川】
「アハハ、そんなわけないでしょ」
【ハク】
「よかったぁ~」
ほっと胸をなでおろす。
【緑川】
「あぁ、でもモモが彼に注文させることができたら、その分はモモの売り上げにプラスしておくよ」
【桃島】
「そーでもないとやってらんないですよ」
【ハク】
(売り上げって……あぁ、そっちか)
ホストはついたお客が払った金額や指名数でランキングがつくという。
今日の体験の売上は、桃島さんのプラスにはなるってことか。
【ハク】
(っていうか、ナンバー1とナンバー2とか、豪華……)
【ハク】
(逆に豪華過ぎてビビるよ……)
見目麗しい男性二人に囲まれて。
【緑川】
「……じゃ、体験スタート」
そう緑川さんが合図をかけると、緑川さんも……
そして桃島さんもびしっと顔が変わった。
【緑川】
「いらっしゃいませ」
【桃島】
「ようこそ、ユキちゃん」
【桃島】
「今日はとことん、楽しませてあげるから」
【ハク】
「……!」
【ハク】
(さっきまでと、顔付きが違う……)
【ハク】
(これが本物のホストの顔……なのか)
【ハク】
(すごかった……)
ふたりにやってもらった接客は、うまく言えないけれど
『これは女の人ならはまってしまう』と実感せざるを得なかった。
魅力的な笑顔、楽しい会話、気の利いたサービス、美味しいお酒……。
【緑川】
「楽しかったでしょ?」
【ハク】
「はい。 ……でも、俺にこんなの、できる気が……」
【緑川】
「大丈夫。この仕事の基本はね、自分自身も楽しむことだから」
【ハク】
「自分自身も?」
【緑川】
「自分が楽しまなくっちゃ絶対にお客さんは楽しんでくれないからね」
【ハク】
「確かに……」
【緑川】
「今日はその気持ちで、開店したらお店の中を見学してて」
【ハク】
「接客しなくていいんですか?」
【緑川】
「今日はいいよ」
【緑川】
「その代わりにホストのみんながどんなふうに楽しんで仕事をしてるか、じっくり見てて」
【ハク】
「わかりました」
こうして俺の体験入店1日目は、お客体験と見学で幕を閉じた。
【緑川】
「さて、今日はおしまい。……どうだった、ユキ?」
閉店後のミーティング終了後に、緑川さんに声をかけられた。
【ハク】
「なんかもう、すごかったです……」
【緑川】
「最初はそう思うよね」
緑川さんはケラケラと笑っているけど、ただごとじゃない。
サラリーマンの月の給料ぐらいの額が、ものの数分で飛んでいく世界だ。
お金の価値観が根底から覆されてしまう。
【緑川】
「でもみんな楽しそうだったでしょ?」
【ハク】
「はい! それは……」
【緑川】
「なら良かった。じゃ、今日はこれでおしまい……」
【ハク】
「あ、あのっ……」
俺はそこで大事な話を思い出した。
【緑川】
「ん?」
【ハク】
「あ、あの……寮っていうのは……」
【緑川】
「あぁ、そうだ。泊まるとこだ」
【桃島】
「緑川さん!」
その言葉を出した瞬間、耳ざとく桃島さんが駆け寄ってくる。
【緑川】
「あぁ、良かった。モモ、寮の空いてる部屋にユキを……」
【桃島】
「だーかーら! 空いてる部屋はないって言ってるじゃないですか」
【緑川】
「相部屋でもいいんだけど?」
【桃島】
「相部屋もありませんよ」
【桃島】
こないだ入ってきた新人で俺の部屋までキッカリ全部ふたり部屋になったじゃないですか」
【緑川】
「あぁ、そうだったっけ……参ったな」
【桃島】
「だからこいつの住む部屋なんて……」
(体験入店……ってこれは普通に体験、だよな……)
客席に座らされ、右側に緑川さん、左側には……。
【緑川】
「モモ」
【桃島】
「えっ……」
露骨に嫌そうな顔で振り向く桃島さん。
【緑川】
「おいで、ユキの隣に座って」
【桃島】
「嫌なんですけど」
【緑川】
「嫌じゃないでしょ、お客様なんだから」
【桃島】
「……まだ開店前じゃないですか」
【緑川】
「開店前に終わらせないとまずいでしょ」
【緑川】
「開店前ミーティングまであと……うん。ちょうどおもてなしできるくらいじゃない?」
【桃島】
「この売り上げって入るんですか?」
【ハク】
「えっ、お金取るんですか!?」
桃島さんの言葉にぎょっとして思わず緑川さんに尋ねてしまう。
【ハク】
(ホストクラブに払うお金なんか今持ってないっ……!)
焦っていると。
【緑川】
「アハハ、そんなわけないでしょ」
【ハク】
「よかったぁ~」
ほっと胸をなでおろす。
【緑川】
「あぁ、でもモモが彼に注文させることができたら、その分はモモの売り上げにプラスしておくよ」
【桃島】
「そーでもないとやってらんないですよ」
【ハク】
(売り上げって……あぁ、そっちか)
ホストはついたお客が払った金額や指名数でランキングがつくという。
今日の体験の売上は、桃島さんのプラスにはなるってことか。
【ハク】
(っていうか、ナンバー1とナンバー2とか、豪華……)
【ハク】
(逆に豪華過ぎてビビるよ……)
見目麗しい男性二人に囲まれて。
【緑川】
「……じゃ、体験スタート」
そう緑川さんが合図をかけると、緑川さんも……
そして桃島さんもびしっと顔が変わった。
【緑川】
「いらっしゃいませ」
【桃島】
「ようこそ、ユキちゃん」
【桃島】
「今日はとことん、楽しませてあげるから」
【ハク】
「……!」
【ハク】
(さっきまでと、顔付きが違う……)
【ハク】
(これが本物のホストの顔……なのか)
【ハク】
(すごかった……)
ふたりにやってもらった接客は、うまく言えないけれど
『これは女の人ならはまってしまう』と実感せざるを得なかった。
魅力的な笑顔、楽しい会話、気の利いたサービス、美味しいお酒……。
【緑川】
「楽しかったでしょ?」
【ハク】
「はい。 ……でも、俺にこんなの、できる気が……」
【緑川】
「大丈夫。この仕事の基本はね、自分自身も楽しむことだから」
【ハク】
「自分自身も?」
【緑川】
「自分が楽しまなくっちゃ絶対にお客さんは楽しんでくれないからね」
【ハク】
「確かに……」
【緑川】
「今日はその気持ちで、開店したらお店の中を見学してて」
【ハク】
「接客しなくていいんですか?」
【緑川】
「今日はいいよ」
【緑川】
「その代わりにホストのみんながどんなふうに楽しんで仕事をしてるか、じっくり見てて」
【ハク】
「わかりました」
こうして俺の体験入店1日目は、お客体験と見学で幕を閉じた。
【緑川】
「さて、今日はおしまい。……どうだった、ユキ?」
閉店後のミーティング終了後に、緑川さんに声をかけられた。
【ハク】
「なんかもう、すごかったです……」
【緑川】
「最初はそう思うよね」
緑川さんはケラケラと笑っているけど、ただごとじゃない。
サラリーマンの月の給料ぐらいの額が、ものの数分で飛んでいく世界だ。
お金の価値観が根底から覆されてしまう。
【緑川】
「でもみんな楽しそうだったでしょ?」
【ハク】
「はい! それは……」
【緑川】
「なら良かった。じゃ、今日はこれでおしまい……」
【ハク】
「あ、あのっ……」
俺はそこで大事な話を思い出した。
【緑川】
「ん?」
【ハク】
「あ、あの……寮っていうのは……」
【緑川】
「あぁ、そうだ。泊まるとこだ」
【桃島】
「緑川さん!」
その言葉を出した瞬間、耳ざとく桃島さんが駆け寄ってくる。
【緑川】
「あぁ、良かった。モモ、寮の空いてる部屋にユキを……」
【桃島】
「だーかーら! 空いてる部屋はないって言ってるじゃないですか」
【緑川】
「相部屋でもいいんだけど?」
【桃島】
「相部屋もありませんよ」
【桃島】
こないだ入ってきた新人で俺の部屋までキッカリ全部ふたり部屋になったじゃないですか」
【緑川】
「あぁ、そうだったっけ……参ったな」
【桃島】
「だからこいつの住む部屋なんて……」