[本編] 緑川 彰一 編
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【緑川】
「拾ってきたって……言葉には気を付けて、モモ」
【桃島】
「どうせこいつものたれ死にそうになってたとこ、緑川さんに助けてもらったんでしょ」
【緑川】
「っ……!」
【桃島】
「何人目ですか。ウチ、もう寮いっぱいですよ? 泊めるとこもないし」
【ハク】
(えっ……!?)
先ほど聞いていた話と違う。
【ハク】
(ホスト……足りてないんじゃなかったのか!?)
和久井さんが何か言いかけていたのはもしかしてこのことだったんだろうか。
【ハク】
(って、寮がいっぱいって俺……今日もしかして泊まれないんじゃ!?)
急に自分のことが不安になる。
【桃島】
「……それに」
そう言うと桃島さんは緑川さんの後ろにぴったりくっついた。
【桃島】
「……ホストの経験あるんですか? この人」
【ハク】
「あっ、いや……」
【桃島】
「緑川さんにみとれて、ついてきただけだったりしない?」
【ハク】
「そんなっ……」
【ハク】
(たしかにかっこいいけど、そういうわけじゃっ……)
どちらかというと惹かれたのは寮の方だ……と正直に言えるわけもない。
【桃島】
「……緑川さんが連れてくるぐらいだから、きっとセンスはあるんだろうけど」
【桃島】
「俺たちに仕事教えてる余裕なんてないし……緑川さんだって忙しいでしょ?」
【桃島】
「緑川さんがこのヒト相手にしてる時間なんかあるわけないよね」
【緑川】
「大丈夫」
ナンバー1ホストとなれば指名の数も段違いなのだろう。
だが緑川さんは断言してくれる。
【桃島】
「ただでさえ忙しくて、俺と食事も行けない状況なのに?」
【緑川】
「それは関係ないだろう? モモ」
【ハク】
(……なんか……)
【ハク】
(嫌味を言われている……?)
桃島さんは話している間じゅう緑川さんにべったり。
俺……というよりも『緑川さんが連れてきた』俺のことが気に食わないみたいだ。
【緑川】
「やさしくしてあげて、モモ」
【緑川】
「こう見えてこの人……ユキ、大変なんだからさ」
【桃島】
「大変だったら大事にすんの? それだったら俺だって、それに他にもっ……」
【緑川】
「モモ。まだ彼はうちのホストじゃない」
【桃島】
「……!」
【緑川】
「体験入店の間はお客様と同じ」
【緑川】
「この店を好きになってもらうように振る舞う。……ルール、忘れたわけじゃないよね?」
【桃島】
「っ……!」
そう言われると桃島さんは不貞腐れたように小さく舌打ちをして、どこかに行ってしまった。
【ハク】
(もしかして……いや、もしかしなくても……)
【ハク】
(全然歓迎されていない……)
【ハク】
(とはいっても……)
気に入られていないし、ホストの経験もない。
そのうえ寮もないならここに俺がいる意味もあんまりない。
でも……緑川さんが俺を認めてスカウトしてくれたということを信じたい気持ちはある。
【ハク】
(どうしよう……帰った方がいいのかな……)
【緑川】
「で、とりあえず体験入店の話だけど」
【ハク】
「えっ……」
【緑川】
「えっ、て、どうしたの?」
【ハク】
「俺……いいんですか?」
【緑川】
「いいもなにも、引き込んだのは俺」
そう言って『王子様』の笑顔を見せられたら何も言えない。
【緑川】
「口で説明するより、実際に見た方が早いと思うから」
【ハク】
「はぁ……」
【緑川】
「さっきの……モモと俺が君のことを接客するね」
【ハク】
「えっ?」
【緑川】
「まずはそれでホストがどういうものか知ってほしいんだ」
【緑川】
「あぁ、そうだ。名前を決めないとね」
【ハク】
「名前? って、あ……源氏名……?」
【緑川】
「君の名前……そうだな、『ユキ』でどう?」
【ハク】
「ユキ……!」
【緑川】
「おいで、ユキ」
そう言って俺は緑川さんに腕を引かれ、客席のテーブルに連れて行かれた。
続く…
「拾ってきたって……言葉には気を付けて、モモ」
【桃島】
「どうせこいつものたれ死にそうになってたとこ、緑川さんに助けてもらったんでしょ」
【緑川】
「っ……!」
【桃島】
「何人目ですか。ウチ、もう寮いっぱいですよ? 泊めるとこもないし」
【ハク】
(えっ……!?)
先ほど聞いていた話と違う。
【ハク】
(ホスト……足りてないんじゃなかったのか!?)
和久井さんが何か言いかけていたのはもしかしてこのことだったんだろうか。
【ハク】
(って、寮がいっぱいって俺……今日もしかして泊まれないんじゃ!?)
急に自分のことが不安になる。
【桃島】
「……それに」
そう言うと桃島さんは緑川さんの後ろにぴったりくっついた。
【桃島】
「……ホストの経験あるんですか? この人」
【ハク】
「あっ、いや……」
【桃島】
「緑川さんにみとれて、ついてきただけだったりしない?」
【ハク】
「そんなっ……」
【ハク】
(たしかにかっこいいけど、そういうわけじゃっ……)
どちらかというと惹かれたのは寮の方だ……と正直に言えるわけもない。
【桃島】
「……緑川さんが連れてくるぐらいだから、きっとセンスはあるんだろうけど」
【桃島】
「俺たちに仕事教えてる余裕なんてないし……緑川さんだって忙しいでしょ?」
【桃島】
「緑川さんがこのヒト相手にしてる時間なんかあるわけないよね」
【緑川】
「大丈夫」
ナンバー1ホストとなれば指名の数も段違いなのだろう。
だが緑川さんは断言してくれる。
【桃島】
「ただでさえ忙しくて、俺と食事も行けない状況なのに?」
【緑川】
「それは関係ないだろう? モモ」
【ハク】
(……なんか……)
【ハク】
(嫌味を言われている……?)
桃島さんは話している間じゅう緑川さんにべったり。
俺……というよりも『緑川さんが連れてきた』俺のことが気に食わないみたいだ。
【緑川】
「やさしくしてあげて、モモ」
【緑川】
「こう見えてこの人……ユキ、大変なんだからさ」
【桃島】
「大変だったら大事にすんの? それだったら俺だって、それに他にもっ……」
【緑川】
「モモ。まだ彼はうちのホストじゃない」
【桃島】
「……!」
【緑川】
「体験入店の間はお客様と同じ」
【緑川】
「この店を好きになってもらうように振る舞う。……ルール、忘れたわけじゃないよね?」
【桃島】
「っ……!」
そう言われると桃島さんは不貞腐れたように小さく舌打ちをして、どこかに行ってしまった。
【ハク】
(もしかして……いや、もしかしなくても……)
【ハク】
(全然歓迎されていない……)
【ハク】
(とはいっても……)
気に入られていないし、ホストの経験もない。
そのうえ寮もないならここに俺がいる意味もあんまりない。
でも……緑川さんが俺を認めてスカウトしてくれたということを信じたい気持ちはある。
【ハク】
(どうしよう……帰った方がいいのかな……)
【緑川】
「で、とりあえず体験入店の話だけど」
【ハク】
「えっ……」
【緑川】
「えっ、て、どうしたの?」
【ハク】
「俺……いいんですか?」
【緑川】
「いいもなにも、引き込んだのは俺」
そう言って『王子様』の笑顔を見せられたら何も言えない。
【緑川】
「口で説明するより、実際に見た方が早いと思うから」
【ハク】
「はぁ……」
【緑川】
「さっきの……モモと俺が君のことを接客するね」
【ハク】
「えっ?」
【緑川】
「まずはそれでホストがどういうものか知ってほしいんだ」
【緑川】
「あぁ、そうだ。名前を決めないとね」
【ハク】
「名前? って、あ……源氏名……?」
【緑川】
「君の名前……そうだな、『ユキ』でどう?」
【ハク】
「ユキ……!」
【緑川】
「おいで、ユキ」
そう言って俺は緑川さんに腕を引かれ、客席のテーブルに連れて行かれた。
続く…