[本編] 緑川 彰一 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【ハク】
「寮……!?」
その言葉に、どきっとする。
寮とはつまり、部屋であり家であり……
俺がこれから暮らせる場所だ。
【緑川】
「そう。だからうちで働くことになれば仕事も家も両方安心」
【緑川】
「どう? これでもなびいてくれない?」
【緑川】
「君にとっても悪くない条件だと思うけど」
【ハク】
「寮っ……!」
とんでもなく魅力的な誘いだった。
だって俺は、今日帰る家さえないのだ。
【ハク】
(寮があるなら、いいか…な)
昨日のやたら高い飲み代のせいで、ホテルに泊まるのだってままならない。
仕事も家もなく、お金が尽きるのも時間の問題だ。
【緑川】
「……ダメかな?」
【ハク】
「き、汚いですよ、そんな弱みに付け込んで……」
【緑川】
「付け込んでるわけじゃないよ。ただ俺は君にどうしてもうちに来てほしいだけ」
【ハク】
「うっ……」
【緑川】
「体験入店、ちゃんと給料もでるよ」
【緑川】
「試すだけ、今日の部屋も貸してあげる。君に損はないよね?」
【ハク】
「ううっ……」
そう言われたら、ぐうの音も出なくなってしまう。
魅力的過ぎる誘いを断るほど、この人やホストが嫌いなわけじゃない。
【緑川】
「どうかな?」
【ハク】
「……じゃ、じゃあ、体験だけなら……」
結局俺は、緑川さんの誘いに乗ってしまった。
【緑川】
「よし、決まり」
【緑川】
「ありがとう、今日からよろしくね」
【緑川】
「君も今日から王子様だ」
【ハク】
(この人に『王子様』とかどんな嫌味だよっ……)
言いたいことはあったし自信なんか全然なかったけれど……。
【緑川】
「っていうか、君まだ朝食も昼食も食べてないだろう?」
【ハク】
「あ、はい……こんなことになってしまっていたので……」
【緑川】
「それに日用品なんかも買いに行かなくちゃいけないしね」
【ハク】
「そうだ……!」
俺の私物は今全て焼けてなくなってしまって、何もないのだ。
【緑川】
「じゃあまずはお腹を満たして、それから買い出し」
【緑川】
「その後に……店に行こう」
【ハク】
「わかりました」
窮地を救ってもらったことには感謝しつつ……
俺は緑川さんに連れられてまずは腹を満たすためにバーを出た。
【和久井】
「……大丈夫かな、緑川さん」
【和久井】
「でも、あんなに必死でスカウトしてる姿、初めて見たかも」
【和久井】
「……あれ?」
【和久井】
「そもそも、あのホストクラブ……」
【和久井】
「ホスト足りないなんて言ってたっけ……?」
ご飯をご馳走になって、最低限の日用品とスーツも緑川さんに調達してもらった俺が足を運んだのは……。
これから俺の職場となる、ホストクラブ。
当たり前だがホストクラブに足を踏み入れるのは初めてだ。
一言でいうなら……そう、きらびやか。
絨毯もグラスも、カーテンも調度品もすべてのものが俺の生活圏内では見たことのないようなものばかり。
初めて足を踏み入れたホストクラブは、床を踏むのさえ躊躇する空間だった。
【緑川】
「ここがうちの店。みんないいヤツばっかりだから、困ったら何でも相談して」
【ハク】
「はぁ、そうですか……」
まだ開店前だが、それでも高級そうなスーツに身を包んだ男の子たちがあちこちをうろうろしている。
みんな、俺の生活圏内にはいなかったイケメンばっかりだ。
【緑川】
「開店前と閉店後にミーティングがあるから。そこでみんなに改めて紹介するね」
【緑川】
「注意事項とかもそこで伝えるし。あ、体験入店は3日間」
【ハク】
「3日も!?」
体験入店というからにはてっきり1日ぐらいだと思っていたので驚いた。
【緑川】
「3日ぐらいやってみないとわからないでしょ?」
【ハク】
「そう…ですね……」
【緑川】
「うちはね、そういうの充実してるの」
【緑川】
「その間はもちろん寮も貸すよ」
【ハク】
「!」
【ハク】
(正直それだけはすごくありがたい……)
帰る家のない俺にはものすごくありがたい話だ。
【ハク】
(3日間の屋根が確保できたのは嬉しい……)
【桃島】
「何言ってんですか、緑川さん」
【緑川】
「モモ!」
【ハク】
「もも……?」
声のした方を振り返ると……そこには、緑川さんとはまた違ったタイプのそうとうかっこいい男がいた。
それに、俺よりもかなり若い。
緑川さんを『王子様』と称するなら、こっちのモモさんはさしずめ『小悪魔』と言ったところだ。
【ハク】
(すっごいイケメン……)
【緑川】
「紹介するよ、モモ。桃島光彦。うちのナンバー2だよ」
【桃島】
「……」
桃島さんは何も言わずに俺を睨みつけてくる。
【ハク】
(……何か……怖い……)
【ハク】
「よろしくお願いしま……」
【桃島】
「ってゆーか! 緑川さんまたオトコ拾ってきたんですか!?」
桃島さんが俺の顔を見て、心底嫌そうな顔をする。
「寮……!?」
その言葉に、どきっとする。
寮とはつまり、部屋であり家であり……
俺がこれから暮らせる場所だ。
【緑川】
「そう。だからうちで働くことになれば仕事も家も両方安心」
【緑川】
「どう? これでもなびいてくれない?」
【緑川】
「君にとっても悪くない条件だと思うけど」
【ハク】
「寮っ……!」
とんでもなく魅力的な誘いだった。
だって俺は、今日帰る家さえないのだ。
【ハク】
(寮があるなら、いいか…な)
昨日のやたら高い飲み代のせいで、ホテルに泊まるのだってままならない。
仕事も家もなく、お金が尽きるのも時間の問題だ。
【緑川】
「……ダメかな?」
【ハク】
「き、汚いですよ、そんな弱みに付け込んで……」
【緑川】
「付け込んでるわけじゃないよ。ただ俺は君にどうしてもうちに来てほしいだけ」
【ハク】
「うっ……」
【緑川】
「体験入店、ちゃんと給料もでるよ」
【緑川】
「試すだけ、今日の部屋も貸してあげる。君に損はないよね?」
【ハク】
「ううっ……」
そう言われたら、ぐうの音も出なくなってしまう。
魅力的過ぎる誘いを断るほど、この人やホストが嫌いなわけじゃない。
【緑川】
「どうかな?」
【ハク】
「……じゃ、じゃあ、体験だけなら……」
結局俺は、緑川さんの誘いに乗ってしまった。
【緑川】
「よし、決まり」
【緑川】
「ありがとう、今日からよろしくね」
【緑川】
「君も今日から王子様だ」
【ハク】
(この人に『王子様』とかどんな嫌味だよっ……)
言いたいことはあったし自信なんか全然なかったけれど……。
【緑川】
「っていうか、君まだ朝食も昼食も食べてないだろう?」
【ハク】
「あ、はい……こんなことになってしまっていたので……」
【緑川】
「それに日用品なんかも買いに行かなくちゃいけないしね」
【ハク】
「そうだ……!」
俺の私物は今全て焼けてなくなってしまって、何もないのだ。
【緑川】
「じゃあまずはお腹を満たして、それから買い出し」
【緑川】
「その後に……店に行こう」
【ハク】
「わかりました」
窮地を救ってもらったことには感謝しつつ……
俺は緑川さんに連れられてまずは腹を満たすためにバーを出た。
【和久井】
「……大丈夫かな、緑川さん」
【和久井】
「でも、あんなに必死でスカウトしてる姿、初めて見たかも」
【和久井】
「……あれ?」
【和久井】
「そもそも、あのホストクラブ……」
【和久井】
「ホスト足りないなんて言ってたっけ……?」
ご飯をご馳走になって、最低限の日用品とスーツも緑川さんに調達してもらった俺が足を運んだのは……。
これから俺の職場となる、ホストクラブ。
当たり前だがホストクラブに足を踏み入れるのは初めてだ。
一言でいうなら……そう、きらびやか。
絨毯もグラスも、カーテンも調度品もすべてのものが俺の生活圏内では見たことのないようなものばかり。
初めて足を踏み入れたホストクラブは、床を踏むのさえ躊躇する空間だった。
【緑川】
「ここがうちの店。みんないいヤツばっかりだから、困ったら何でも相談して」
【ハク】
「はぁ、そうですか……」
まだ開店前だが、それでも高級そうなスーツに身を包んだ男の子たちがあちこちをうろうろしている。
みんな、俺の生活圏内にはいなかったイケメンばっかりだ。
【緑川】
「開店前と閉店後にミーティングがあるから。そこでみんなに改めて紹介するね」
【緑川】
「注意事項とかもそこで伝えるし。あ、体験入店は3日間」
【ハク】
「3日も!?」
体験入店というからにはてっきり1日ぐらいだと思っていたので驚いた。
【緑川】
「3日ぐらいやってみないとわからないでしょ?」
【ハク】
「そう…ですね……」
【緑川】
「うちはね、そういうの充実してるの」
【緑川】
「その間はもちろん寮も貸すよ」
【ハク】
「!」
【ハク】
(正直それだけはすごくありがたい……)
帰る家のない俺にはものすごくありがたい話だ。
【ハク】
(3日間の屋根が確保できたのは嬉しい……)
【桃島】
「何言ってんですか、緑川さん」
【緑川】
「モモ!」
【ハク】
「もも……?」
声のした方を振り返ると……そこには、緑川さんとはまた違ったタイプのそうとうかっこいい男がいた。
それに、俺よりもかなり若い。
緑川さんを『王子様』と称するなら、こっちのモモさんはさしずめ『小悪魔』と言ったところだ。
【ハク】
(すっごいイケメン……)
【緑川】
「紹介するよ、モモ。桃島光彦。うちのナンバー2だよ」
【桃島】
「……」
桃島さんは何も言わずに俺を睨みつけてくる。
【ハク】
(……何か……怖い……)
【ハク】
「よろしくお願いしま……」
【桃島】
「ってゆーか! 緑川さんまたオトコ拾ってきたんですか!?」
桃島さんが俺の顔を見て、心底嫌そうな顔をする。