[本編] 緑川 彰一 編
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【和久井】
「今、呼び出しちゃって大丈夫でしたか?」
【緑川】
「全然だよ、ありがとう。……どうも、昨日ぶりです」
【ハク】
「あなたは……! 昨日のおう……!」
昨日の王子様、と言いかけてはっとする。
【藍建】
「念のため確認ですが、あなたも昨日ここで彼を?」
【緑川】
「はい」
【藍建】
「これだけ証人がいれば、間違いないですね」
それからいくつか、刑事は俺に質問をしてきた。
誰かの恨みを買っていないかとか、不審な人を見かけなかったかだとか……。
どれも心当たりがないので、正直に答える。
【藍建】
「この度は本当に、ご愁傷様です」
【藍建】
「捜査にご協力いただきありがとうございました」
【藍建】
「それじゃ今日はこれで。また何かあったらご連絡します」
【藍建】
「……俺がこんなこと言うのもあれですけど」
【藍建】
「そのうちきっといいことありますって」
【ハク】
「そう、ですね……」
そう言って刑事はバーを出て行った。
【和久井】
「何があったんですか?」
【ハク】
「実は……その、家が火事になっていて」
【和久井】
「えっ……!? だってハクさん、確か昨日……!」
そう、会社を解雇された。
和久井さんも、俺に連続して降りかかった災難に絶句している。
【緑川】
「……」
……『王子様』は黙って俺のことをじっと見つめていた。
【ハク】
「そんなわけで、もうどうすればいいか……」
【ハク】
「部屋はもう消し炭状態で、住むところもなくて……」
【和久井】
「なんと声をかけたらいいか……」
【緑川】
「……」
【ハク】
(……緑川さん、俺のこと見てる……)
何を言うでもなく、じっと俺のことを見ている『王子様』。
【ハク】
(みじめだって思ってるのかな……)
きっと彼に、こんな経験はないだろう。
……だが彼は、思いもよらないことを言い出した。
【緑川】
「助けるよ」
【ハク】
「えっ……!?」
今度絶句するのは俺の番だった。
【緑川】
「昨日も言っただろう? 君をホストにスカウトしたい」
【ハク】
「そんな、冗談やめてください……」
【ハク】
「俺にホストなんか勤まるわけないでしょう!?」
【緑川】
「冗談じゃないよ。その証拠に、今俺がここにいるの……なんでだと思う?」
【ハク】
「えっ? それは俺が昨日ここいたことの証明に、和久井さんが電話で……」
今目の前で行われたやりとりを述べると、緑川さんが違うと首を振った。
【和久井】
「実は、次にハクさんがここに来たら、緑川さんに連絡するよう、昨日頼まれていたんです」
【ハク】
「えぇっ!? どうしてそんなこと……」
【緑川】
「どうしても君に、うちの店に来てほしかったから」
【緑川】
「君ともう一度会えるならチャンスを逃したくなかったんだ」
【ハク】
「無理に決まってます!」
【ハク】
(だってホストって……)
ホストクラブなんて今まで行ったこともないから、ドラマで見た想像でしかないけれど。
ものすごくかっこいい男子たちが聞いたこともないような高いお酒を飲んでウィットに富んだ会話をして……。
とてもじゃないけど地味なサラリーマンだった俺にできる仕事とは思えない。
【緑川】
「どうして聞く前からかたくなに断るのかな」
【ハク】
「だって……俺、どこからどう見たってホストになるような器の男じゃないです!」
【緑川】
「そんなことないと思うけど……ね?」
【和久井】
「はい」
緑川さんが和久井さんのほうを向く。
和久井さんまで頷いている。
【ハク】
「どこがっ……! 俺なんか全然カッコよくないし!」
【緑川】
「顔はいいと思うけど。カワイイ系なら今からでも十分」
【緑川】
「ちょうどウチ、カワイイ系が足りないんだよね」
【和久井】
「……」
【ハク】
「カワイイ系って……!」
今まで、子どもの頃ならいざ知らず、大人になって『カワイイ系』なんて言われたことはない。
……こんな『王子様』に容姿を褒められて、照れてしまう。
【緑川】
「やってみない? 体験入店でも構わないよ」
【ハク】
「体験入店?」
【緑川】
「試しに店で働いてみるってこと」
【緑川】
「まぁ接客業だし、やってみないと向き不向きもわかんないしね」
【ハク】
「それって実際にホストやってみるってことですか?」
【緑川】
「そうなるけど」
【ハク】
「そんなこと言われたって……」
ただでさえ仕事も家もないのに、ホストの道なんてうまくいきっこないもので失敗したくない。
【ハク】
「やっぱり俺には無理です、だから……」
きっぱり断りかけた言葉を遮って、緑川さんが口を開いた。
【緑川】
「寮」
【ハク】
「……へっ?」
【緑川】
「寮あるんだけど、うち」
「今、呼び出しちゃって大丈夫でしたか?」
【緑川】
「全然だよ、ありがとう。……どうも、昨日ぶりです」
【ハク】
「あなたは……! 昨日のおう……!」
昨日の王子様、と言いかけてはっとする。
【藍建】
「念のため確認ですが、あなたも昨日ここで彼を?」
【緑川】
「はい」
【藍建】
「これだけ証人がいれば、間違いないですね」
それからいくつか、刑事は俺に質問をしてきた。
誰かの恨みを買っていないかとか、不審な人を見かけなかったかだとか……。
どれも心当たりがないので、正直に答える。
【藍建】
「この度は本当に、ご愁傷様です」
【藍建】
「捜査にご協力いただきありがとうございました」
【藍建】
「それじゃ今日はこれで。また何かあったらご連絡します」
【藍建】
「……俺がこんなこと言うのもあれですけど」
【藍建】
「そのうちきっといいことありますって」
【ハク】
「そう、ですね……」
そう言って刑事はバーを出て行った。
【和久井】
「何があったんですか?」
【ハク】
「実は……その、家が火事になっていて」
【和久井】
「えっ……!? だってハクさん、確か昨日……!」
そう、会社を解雇された。
和久井さんも、俺に連続して降りかかった災難に絶句している。
【緑川】
「……」
……『王子様』は黙って俺のことをじっと見つめていた。
【ハク】
「そんなわけで、もうどうすればいいか……」
【ハク】
「部屋はもう消し炭状態で、住むところもなくて……」
【和久井】
「なんと声をかけたらいいか……」
【緑川】
「……」
【ハク】
(……緑川さん、俺のこと見てる……)
何を言うでもなく、じっと俺のことを見ている『王子様』。
【ハク】
(みじめだって思ってるのかな……)
きっと彼に、こんな経験はないだろう。
……だが彼は、思いもよらないことを言い出した。
【緑川】
「助けるよ」
【ハク】
「えっ……!?」
今度絶句するのは俺の番だった。
【緑川】
「昨日も言っただろう? 君をホストにスカウトしたい」
【ハク】
「そんな、冗談やめてください……」
【ハク】
「俺にホストなんか勤まるわけないでしょう!?」
【緑川】
「冗談じゃないよ。その証拠に、今俺がここにいるの……なんでだと思う?」
【ハク】
「えっ? それは俺が昨日ここいたことの証明に、和久井さんが電話で……」
今目の前で行われたやりとりを述べると、緑川さんが違うと首を振った。
【和久井】
「実は、次にハクさんがここに来たら、緑川さんに連絡するよう、昨日頼まれていたんです」
【ハク】
「えぇっ!? どうしてそんなこと……」
【緑川】
「どうしても君に、うちの店に来てほしかったから」
【緑川】
「君ともう一度会えるならチャンスを逃したくなかったんだ」
【ハク】
「無理に決まってます!」
【ハク】
(だってホストって……)
ホストクラブなんて今まで行ったこともないから、ドラマで見た想像でしかないけれど。
ものすごくかっこいい男子たちが聞いたこともないような高いお酒を飲んでウィットに富んだ会話をして……。
とてもじゃないけど地味なサラリーマンだった俺にできる仕事とは思えない。
【緑川】
「どうして聞く前からかたくなに断るのかな」
【ハク】
「だって……俺、どこからどう見たってホストになるような器の男じゃないです!」
【緑川】
「そんなことないと思うけど……ね?」
【和久井】
「はい」
緑川さんが和久井さんのほうを向く。
和久井さんまで頷いている。
【ハク】
「どこがっ……! 俺なんか全然カッコよくないし!」
【緑川】
「顔はいいと思うけど。カワイイ系なら今からでも十分」
【緑川】
「ちょうどウチ、カワイイ系が足りないんだよね」
【和久井】
「……」
【ハク】
「カワイイ系って……!」
今まで、子どもの頃ならいざ知らず、大人になって『カワイイ系』なんて言われたことはない。
……こんな『王子様』に容姿を褒められて、照れてしまう。
【緑川】
「やってみない? 体験入店でも構わないよ」
【ハク】
「体験入店?」
【緑川】
「試しに店で働いてみるってこと」
【緑川】
「まぁ接客業だし、やってみないと向き不向きもわかんないしね」
【ハク】
「それって実際にホストやってみるってことですか?」
【緑川】
「そうなるけど」
【ハク】
「そんなこと言われたって……」
ただでさえ仕事も家もないのに、ホストの道なんてうまくいきっこないもので失敗したくない。
【ハク】
「やっぱり俺には無理です、だから……」
きっぱり断りかけた言葉を遮って、緑川さんが口を開いた。
【緑川】
「寮」
【ハク】
「……へっ?」
【緑川】
「寮あるんだけど、うち」