[本編] 緑川 彰一 編
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【ハク】
「俺の部屋!?」
【藍建】
「俺の部屋ってことは、あんたハクさん?」
【ハク】
「そうです、ハクです!」
名前を言われて、現実ではないことを思い知らされる。
【藍建】
「あちゃあ、そりゃ災難だ。じゃあちょっと現場の方に来てもらえます?」
【ハク】
「そんな……全焼って……」
立ち入り禁止のロープをくぐり抜けて行くと、変わり果てた俺の部屋があった。
家具も何もかも真っ黒な炭と化し、何も残っているようには見えない。
【ハク】
「……真っ黒だ……」
愕然となって、俺はそれ以上何も言うことが出来なくなった。
【藍建】
「この感じだと、放火されたときは留守だったってことですよね?」
呆然としながら頷く。
【藍建】
「……なんと声をかけたらいいか……」
それから簡単な事情聴取がその場で行われた。
けれど俺は、なんと答えたかあまり覚えていない。
【ハク】
(仕事も家もなくなって……俺はこれからどうすれば……)
何もかもなくなってしまった。
そんな状況でどうすればいいか全くわからない。想像もつかない。
【藍建】
「一応決まりだから聞きますけど、昨夜はどこに?」
【ハク】
「バーで酒を飲んでいました。……会社を、クビになって……」
【藍建】
「……」
刑事も自分の状況を知って絶句していた。
【藍建】
「……大変、でしたね」
【ハク】
「これからもっと大変になると思いますけどね……」
【藍建】
「ちなみに……それを証明できる方は?」
【藍建】
「こんなことを疑って恐縮ですが、一応」
【藍建】
「自分のうちに自分で放火する火災保険の詐欺もありますから」
申し訳なさそうに刑事が尋ねてくる。
【ハク】
「バーでひとりで飲んでいたので……証明できる人は……」
【藍建】
「じゃあそのお店に連れて行っていただいてもいいですか」
【ハク】
「わかりました、それなら」
来たばかりの道を逆戻りし、バーに戻ることにする。
【ハク】
(どうしてこんなことに……)
人間はあまりにもショックを受けると涙も出ないんだと思い知らされた。
【和久井】
「あれ、ハクさん!」
和久井さんは店に戻ってきた俺に驚いていた。
【ハク】
「すみません……いろいろあって」
【和久井】
「いろいろですか?」
【和久井】
「この方が昨晩ここにいたということを証明していただきたいのですが」
【和久井】
「もちろん。確かにいましたよ」
【和久井】
「あぁ、でしたらこちらの書類に……」
【和久井】
「……あぁそうだ、もうひとり証明できる人がいます」
【和久井】
「もうひとり?」
【和久井】
「ちょっと待っててください」
そう言って和久井さんは何やら店の電話をかけている。
【ハク】
(誰に電話を……?)
不思議に思っていると、ほどなくしてバーのドアベルが鳴る。
【緑川】
「どうも」
【ハク】
「……!」
ほどなくして……店に現れたのは昨日の『王子様』だった―――!
続く…
「俺の部屋!?」
【藍建】
「俺の部屋ってことは、あんたハクさん?」
【ハク】
「そうです、ハクです!」
名前を言われて、現実ではないことを思い知らされる。
【藍建】
「あちゃあ、そりゃ災難だ。じゃあちょっと現場の方に来てもらえます?」
【ハク】
「そんな……全焼って……」
立ち入り禁止のロープをくぐり抜けて行くと、変わり果てた俺の部屋があった。
家具も何もかも真っ黒な炭と化し、何も残っているようには見えない。
【ハク】
「……真っ黒だ……」
愕然となって、俺はそれ以上何も言うことが出来なくなった。
【藍建】
「この感じだと、放火されたときは留守だったってことですよね?」
呆然としながら頷く。
【藍建】
「……なんと声をかけたらいいか……」
それから簡単な事情聴取がその場で行われた。
けれど俺は、なんと答えたかあまり覚えていない。
【ハク】
(仕事も家もなくなって……俺はこれからどうすれば……)
何もかもなくなってしまった。
そんな状況でどうすればいいか全くわからない。想像もつかない。
【藍建】
「一応決まりだから聞きますけど、昨夜はどこに?」
【ハク】
「バーで酒を飲んでいました。……会社を、クビになって……」
【藍建】
「……」
刑事も自分の状況を知って絶句していた。
【藍建】
「……大変、でしたね」
【ハク】
「これからもっと大変になると思いますけどね……」
【藍建】
「ちなみに……それを証明できる方は?」
【藍建】
「こんなことを疑って恐縮ですが、一応」
【藍建】
「自分のうちに自分で放火する火災保険の詐欺もありますから」
申し訳なさそうに刑事が尋ねてくる。
【ハク】
「バーでひとりで飲んでいたので……証明できる人は……」
【藍建】
「じゃあそのお店に連れて行っていただいてもいいですか」
【ハク】
「わかりました、それなら」
来たばかりの道を逆戻りし、バーに戻ることにする。
【ハク】
(どうしてこんなことに……)
人間はあまりにもショックを受けると涙も出ないんだと思い知らされた。
【和久井】
「あれ、ハクさん!」
和久井さんは店に戻ってきた俺に驚いていた。
【ハク】
「すみません……いろいろあって」
【和久井】
「いろいろですか?」
【和久井】
「この方が昨晩ここにいたということを証明していただきたいのですが」
【和久井】
「もちろん。確かにいましたよ」
【和久井】
「あぁ、でしたらこちらの書類に……」
【和久井】
「……あぁそうだ、もうひとり証明できる人がいます」
【和久井】
「もうひとり?」
【和久井】
「ちょっと待っててください」
そう言って和久井さんは何やら店の電話をかけている。
【ハク】
(誰に電話を……?)
不思議に思っていると、ほどなくしてバーのドアベルが鳴る。
【緑川】
「どうも」
【ハク】
「……!」
ほどなくして……店に現れたのは昨日の『王子様』だった―――!
続く…