本編
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【梶井】
「宮沢さん?中にいらっしゃるのですか?」
【宮沢】
「梶井さん!?」
【梶井】
「ああ、やはりここだったのですね
『清掃中』の札がありましたので一応ノックをしてみたのですが」
【梶井】
「どうしたのですか、もう3チーム目の演技が始まる頃ですのに。谷崎さんも心配して……」
【梶井】
「…おや、志賀さんも宮沢さんを捜しに?」
更衣室へと入ってきた梶井さんが、いま気づいた…というふうに声を上げ、探る様な目線を助教に向けた
【志賀】
「俺は宮沢の緩み浮ついた気持ちを正していただけだ」
そんな視線を物ともせずに、助教は言い放った
【志賀】
「梶井、貴様にも言っておく
宮沢は俺のものだ。不用意な手出しは許さん」
【梶井】
「それは困りましたね
私とて、宮沢さんをお慕いしておりますのに」
【宮沢】
「ええっ!?」
【梶井】
「驚く事でもないでしょう?チームの皆さんは全員、貴方の事が大好きなのですから」
【宮沢】
「あ、ああ…そういう……」
ついさっきまでの出来事で混乱していて、思わず勘違いしてしまった自分を慌てて恥じる
【宮沢】
「俺もみなさんのこと、大好きです!」
【梶井】
「フフ、貴方という方は本当に可愛らしいですね」
さも可笑しそうに、少し眉根を下げて梶井さんが笑った
【梶井】
「ね、志賀さん
―貴方も、彼のこんな純粋なところに惹かれているのでしょう?」
【梶井】
「焦って手に入れようとしては、この透明な器を濁らせてしまうかもしれませんよ」
【志賀】
「フン。手に入れるも何も、宮沢は端から俺のものだ」
【宮沢】
「で、ですから助きょ………」
【志賀】
「しかし、貴様が愚かで鈍いということも知っている。今日のところはこれ以上の咎めは無しにしてやろう」
助教が、俺の言葉を遮るようにそう言った
【志賀】
「だが、貴様が俺のものだという事実は揺らがん。そのことは肝に銘じておけ」
【宮沢】
「あ、あの…、それは……」
【梶井】
「宮沢さん。志賀さんのおっしゃっているのは、貴方が大事な生徒だから、管轄する義務がある…ということですよ」
にっこり微笑んだ梶井さんが、俺を見つめている
【宮沢】
「……………あ!」
途端に、頭の中のモヤがぱあっと晴れた気がした
【宮沢】
「そ、そうだったんですね…!」
【宮沢】
「俺、またすっかり勘違いしてしまって…。うう…、恥ずかしい。申し訳ありません!」
【志賀】
「!!??」
【宮沢】
「あんな事されたの初めてで、びっくりしちゃって…、俺……」
【宮沢】
「でも!助教は身体の専門家ですもんね!」
【宮沢】
「身体を張って、俺に緊張感の大切さを教えてくれたんですね!」
男のあんなところを口に含むなんて、助教だって本当は嫌な筈だ
でも、俺ができそこないの生徒だから、敢えてそこまでして俺にコーチとしての心構えを教えてくれたのだ
【宮沢】
「それなのに俺、助教を責める様なことを言ってしまって…。本当に…申し訳ありません」
【宮沢】
「やっぱり志賀助教は、俺の尊敬する先生で、素晴らしい研究者で、すごいシンクロ選手です!」
【宮沢】
「俺!もっと気を引き締めて頑張ります!」
【志賀】
「き、貴様という奴は……」
何故か助教の肩が震えている
まだお怒りなのだろうか…
【梶井】
「フフ…。良かったではないですが。F.R.の前にお互いに誤解もわだかまりも消えて…」
震える助教の肩へ、梶井さんが柔らかく手を置いて、言った
【梶井】
「さあ。もう4チーム目が始まる前に、私たちも観客席へ参りましょう」
-to be continued-
【梶井】
「さあ。もう4チーム目が始まる前に、私たちも観客席へ参りましょう」
【宮沢】
「ああ!そうでした!」
【宮沢】
「SDカード取ってすぐ戻るって言ったのに、潤司に記録任せっぱなしで……!」
もう、あれから20分以上経過している
潤司も、きっとすごく心配してる筈だ
【宮沢】
「すみません!俺、先に戻りますね!
失礼します!」
バタバタと駆けて、更衣室を後にする
―だから、俺はその後の2人の会話を…知る由もなかったのだ
【梶井】
「くすくす…。いけませんよ
気持ちが昂ったとはいえ、あれでは宮沢さんには逆効果です」
【志賀】
「梶井貴様、やはり全て分かった上での言動か」
【梶井】
「宮沢さんの表情が曇ったままでは、出番を目前にしたチームの皆にも障りますし」
【梶井】
「私たちの演技が失敗して、一番悲しむのは宮沢さんですから…ね」
【志賀】
「そんなこと、俺とて理解している」
【志賀】
「くっ!よもやあそこまで鈍いとは理解の範疇を超え過ぎだ!」
【梶井】
「まあ確かに……
あれはもう…記念物的な意味での天然ですね……」
2人が観客席へ戻ってきたのは、俺が戻ってから2分ほど経った頃だった
【夏目】
「いよいよ最後。俺たちの出番か」
【井伏】
「F.R.は2チーム残して30点台が1チーム。まあ脅威ではねーな」
【谷崎】
「油断は禁物ですが、確かに慌てずとも良い点差ではありますね」
【井上】
「それになんたって!俺たちには必殺技もありますから!」
【井上】
「軽く大差で楽勝です!」
【吉川】
「それが油断だっつーんだコラ」
【宮沢】
「試合中は応援しか出来ませんけど。でも俺、精一杯応援します!」
【梶井】
「それだけで充分すぎるくらいですよ。志賀さんも、そうお思いでしょう?」
【宮沢】
「あ…あの。俺、本当に気持ちを引き締めて、しっかりコーチとして務めますから…!」
先程の叱責を思い出し、真剣な想いを込めて助教を見つめる
ぐわしっ!
【宮沢】
「ふぐわっ!!」
突如、俺の頭蓋が巨大な手でホールドされた
【志賀】
「市民大会ごときの優勝など、俺が楽にもぎ取って貴様の前に掲げてやるから、大人しく待っているがいい」
【宮沢】
「…………あ」
この助教は、いつもの助教だ
自分にも他人にも厳しいけど、強くて真っ直ぐで…、本当の意味で生徒想いの……
【宮沢】
「はい!ありがとうございます!」
コンコン
【市の職員】
「チームМYZWの皆さん、10チーム目の演技終わりましたのでプールサイドへ移動してください」
【井伏】
「よっしゃ!暴れてこーぜ!」
【全員】
「おーっ!」
改めて、皆の心が1つになっているのを感じる
世界へ届く階段に第一歩を踏み出した
その感触が、まさに今…足元に伝わった気がした
「宮沢さん?中にいらっしゃるのですか?」
【宮沢】
「梶井さん!?」
【梶井】
「ああ、やはりここだったのですね
『清掃中』の札がありましたので一応ノックをしてみたのですが」
【梶井】
「どうしたのですか、もう3チーム目の演技が始まる頃ですのに。谷崎さんも心配して……」
【梶井】
「…おや、志賀さんも宮沢さんを捜しに?」
更衣室へと入ってきた梶井さんが、いま気づいた…というふうに声を上げ、探る様な目線を助教に向けた
【志賀】
「俺は宮沢の緩み浮ついた気持ちを正していただけだ」
そんな視線を物ともせずに、助教は言い放った
【志賀】
「梶井、貴様にも言っておく
宮沢は俺のものだ。不用意な手出しは許さん」
【梶井】
「それは困りましたね
私とて、宮沢さんをお慕いしておりますのに」
【宮沢】
「ええっ!?」
【梶井】
「驚く事でもないでしょう?チームの皆さんは全員、貴方の事が大好きなのですから」
【宮沢】
「あ、ああ…そういう……」
ついさっきまでの出来事で混乱していて、思わず勘違いしてしまった自分を慌てて恥じる
【宮沢】
「俺もみなさんのこと、大好きです!」
【梶井】
「フフ、貴方という方は本当に可愛らしいですね」
さも可笑しそうに、少し眉根を下げて梶井さんが笑った
【梶井】
「ね、志賀さん
―貴方も、彼のこんな純粋なところに惹かれているのでしょう?」
【梶井】
「焦って手に入れようとしては、この透明な器を濁らせてしまうかもしれませんよ」
【志賀】
「フン。手に入れるも何も、宮沢は端から俺のものだ」
【宮沢】
「で、ですから助きょ………」
【志賀】
「しかし、貴様が愚かで鈍いということも知っている。今日のところはこれ以上の咎めは無しにしてやろう」
助教が、俺の言葉を遮るようにそう言った
【志賀】
「だが、貴様が俺のものだという事実は揺らがん。そのことは肝に銘じておけ」
【宮沢】
「あ、あの…、それは……」
【梶井】
「宮沢さん。志賀さんのおっしゃっているのは、貴方が大事な生徒だから、管轄する義務がある…ということですよ」
にっこり微笑んだ梶井さんが、俺を見つめている
【宮沢】
「……………あ!」
途端に、頭の中のモヤがぱあっと晴れた気がした
【宮沢】
「そ、そうだったんですね…!」
【宮沢】
「俺、またすっかり勘違いしてしまって…。うう…、恥ずかしい。申し訳ありません!」
【志賀】
「!!??」
【宮沢】
「あんな事されたの初めてで、びっくりしちゃって…、俺……」
【宮沢】
「でも!助教は身体の専門家ですもんね!」
【宮沢】
「身体を張って、俺に緊張感の大切さを教えてくれたんですね!」
男のあんなところを口に含むなんて、助教だって本当は嫌な筈だ
でも、俺ができそこないの生徒だから、敢えてそこまでして俺にコーチとしての心構えを教えてくれたのだ
【宮沢】
「それなのに俺、助教を責める様なことを言ってしまって…。本当に…申し訳ありません」
【宮沢】
「やっぱり志賀助教は、俺の尊敬する先生で、素晴らしい研究者で、すごいシンクロ選手です!」
【宮沢】
「俺!もっと気を引き締めて頑張ります!」
【志賀】
「き、貴様という奴は……」
何故か助教の肩が震えている
まだお怒りなのだろうか…
【梶井】
「フフ…。良かったではないですが。F.R.の前にお互いに誤解もわだかまりも消えて…」
震える助教の肩へ、梶井さんが柔らかく手を置いて、言った
【梶井】
「さあ。もう4チーム目が始まる前に、私たちも観客席へ参りましょう」
-to be continued-
【梶井】
「さあ。もう4チーム目が始まる前に、私たちも観客席へ参りましょう」
【宮沢】
「ああ!そうでした!」
【宮沢】
「SDカード取ってすぐ戻るって言ったのに、潤司に記録任せっぱなしで……!」
もう、あれから20分以上経過している
潤司も、きっとすごく心配してる筈だ
【宮沢】
「すみません!俺、先に戻りますね!
失礼します!」
バタバタと駆けて、更衣室を後にする
―だから、俺はその後の2人の会話を…知る由もなかったのだ
【梶井】
「くすくす…。いけませんよ
気持ちが昂ったとはいえ、あれでは宮沢さんには逆効果です」
【志賀】
「梶井貴様、やはり全て分かった上での言動か」
【梶井】
「宮沢さんの表情が曇ったままでは、出番を目前にしたチームの皆にも障りますし」
【梶井】
「私たちの演技が失敗して、一番悲しむのは宮沢さんですから…ね」
【志賀】
「そんなこと、俺とて理解している」
【志賀】
「くっ!よもやあそこまで鈍いとは理解の範疇を超え過ぎだ!」
【梶井】
「まあ確かに……
あれはもう…記念物的な意味での天然ですね……」
2人が観客席へ戻ってきたのは、俺が戻ってから2分ほど経った頃だった
【夏目】
「いよいよ最後。俺たちの出番か」
【井伏】
「F.R.は2チーム残して30点台が1チーム。まあ脅威ではねーな」
【谷崎】
「油断は禁物ですが、確かに慌てずとも良い点差ではありますね」
【井上】
「それになんたって!俺たちには必殺技もありますから!」
【井上】
「軽く大差で楽勝です!」
【吉川】
「それが油断だっつーんだコラ」
【宮沢】
「試合中は応援しか出来ませんけど。でも俺、精一杯応援します!」
【梶井】
「それだけで充分すぎるくらいですよ。志賀さんも、そうお思いでしょう?」
【宮沢】
「あ…あの。俺、本当に気持ちを引き締めて、しっかりコーチとして務めますから…!」
先程の叱責を思い出し、真剣な想いを込めて助教を見つめる
ぐわしっ!
【宮沢】
「ふぐわっ!!」
突如、俺の頭蓋が巨大な手でホールドされた
【志賀】
「市民大会ごときの優勝など、俺が楽にもぎ取って貴様の前に掲げてやるから、大人しく待っているがいい」
【宮沢】
「…………あ」
この助教は、いつもの助教だ
自分にも他人にも厳しいけど、強くて真っ直ぐで…、本当の意味で生徒想いの……
【宮沢】
「はい!ありがとうございます!」
コンコン
【市の職員】
「チームМYZWの皆さん、10チーム目の演技終わりましたのでプールサイドへ移動してください」
【井伏】
「よっしゃ!暴れてこーぜ!」
【全員】
「おーっ!」
改めて、皆の心が1つになっているのを感じる
世界へ届く階段に第一歩を踏み出した
その感触が、まさに今…足元に伝わった気がした
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