本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【万里】
「――見つかった?」
【橘】
「はい。イギリス在住の女性で、住所は…」
例の――代理母、らしき女が見つかった、と橘から報告があった。
イギリスに住んでいる女だが、日本国籍のようだった。
【橘】
「…怜二様とは、親しい間柄のようです」
報告書によれば、二人は男女の仲だと言う。
もしそれが事実ならば、代理母など承諾するだろうか。
――いや…あの男ならゴリ推しででもすすめそうだ。
【万里】
「妊娠は?」
【橘】
「不明です」
【万里】
「…………」
―――こちらに呼び寄せでもすれば、雲隠れされる可能性もある。
渡英の手配をすすめるよう、橘に命じるのだった。
【万里】
「――」
――目を覚ます。一瞬、ここがどこか解らなくなるが――
……そうか。イギリスに向かっている…、機内だと、思い出した。
例の代理母――らしき女には連絡をとらず、住まいの近くへ向かう事にしたのだ。
【万里】
「……、あー、今どこ?」
【進藤】
「あと2時間程でロンドンです」
誰にともなく寝ぼけた調子でそう言ったが、
隣の進藤さんが、疲労が感じられない佇まいでそう答える。
【万里】
「そう」
【進藤】
「何かお飲みになりますか?」
手にしていた仕事絡みであろう書類を置いてそう尋ねてきた。
【万里】
「―――じゃあ、水」
機内チャイムを鳴らしてスチュワーデスを呼ぶ。
職業柄か、旅慣れているらしい様子。進藤さんに同行を命じた事に満足感を覚えていた。
………………………………
イギリス―ロンドンからコヴェントリーに電車で移動し、
代理母、と思われる女の住まいがある町へ向かう。
【万里】
(――あの女…)
住所を辿っていくと近くに商店街があり、そこへ入っていく一人の女に視線を奪われる。
―調査資料に同封されていた写真と同じ女だ。
日本国籍であり、日本人の血しか入っていないらしいが、
西洋とのハーフといっても通じる顔立ちをしている。
【進藤】
「?三宮様…?」
今回の渡英理由を知らない進藤さんが不思議そうに声をかけてくる。
―が、考えるより先に、女の背を追いかけていた。
俺は振り返らずに一人で、ホテルにチェックインしているように告げるのだった。
【女】
「三宮万里くん?」
【万里】
「――」
【女】
「すごい。わざわざ来たんだ」
女に声をかけようとすると、それより早く女が振り向いて俺にそう言った。
商店街では雑多な会話が繰り広げられ騒がしいが、女の日本語ははっきりと聞き取れる。
【万里】
「……はじめまして」
【女】
「私、菜々子っていうの。……って、そんなの知ってるか。どれぐらい調べてくれたんだろ」
【万里】
「……」
ななこ……母親と似た響きの名前。しかし、喋り方も雰囲気も、何一つ菜穂子には似ていない。
【女】
「万里くん、怜二によく似てる」
【万里】
「……親父には母親似って言われますがね」
【菜々子】
「顔っていうか、声とか、雰囲気かな」
【菜々子】
「確かに怜二より万里くんの方が綺麗だわ。お母さん美人だったのね」
キーの外れた音楽を聴いているような調子で喋る女だった。
【菜々子】
「私の子も、綺麗だったらラッキー。男でも女でも、便利よね」
【万里】
「……、―――」
腹を触りながら言われ…妊娠しているか否か――の答えがあっさりと告げられる。
一体どうやって人の子種を盗んでこの女にあてがったのか知らないが、
――アメリカで行為の最中に放たれたソレが勝手に活用された事件なんてのもあったか…。
我ながら、ガキの頃はあちこちで排泄してたもんで、心当たりがありすぎるのだった。
【菜々子】
「ねえ、怜二と貴方の万里くんの子供、どっちだと思う?」
【菜々子】
「……早く出てきてくれないかな」
この女は知っているのか知らないのか解らなかったが、
――堕胎の意思がないことだけは明白だった。
【万里】
「………」
しかし、そもそも本当に妊娠しているのか――と疑う眼差しで女を見れば
わざわざこっちで言う母子手帳…らしい、緑色の冊子を見せてきた。
【菜々子】
「男も、歳とると腐るんだって、アレが」
【菜々子】
「だからね、私の卵ちゃんはきっとあなたの種を選んだと思うの」
嬉しそうに微笑まれて――、
俺の一部から出来ているかもしれないソレを壊す算段が自分の意思とは別に
半ば反射的に組み上がっていく。
無論、道の往来でそんな真似をする訳にもいかないが
―――とにかく、理性を逆なでする女だ。
意図的に挑発しているようにも見えるし、元来そういう性質のようにも見える。
【万里】
(親父はこんな女のどこがいいんだか)
菜穂子は菜穂子で変わった母親だったが……。
菜々子と名乗るこの女はトラブルメーカーに違いないタイプである。
一言二言会話しただけで酷く疲れる――早く屋敷に帰りたいといつになく思った。
――コヴェントリー内ホテル
【万里】
(――子供、な…)
ベッドに寝転がりながら、酒を舐める。
あの市場で…怜二のメールに「美味い」と書かれていたスコッチを買ったが
確かに悪くない味だった。
―――コンコン
【進藤】
「三宮様」
【万里】
「…入れ」
進藤さんへ、適当に食糧を買ってくるようメールしていたのである。
ノックの後、アレコレ両手に持って入室してきた。
日本食もいくつか持ち込んでいたようで、ラインナップの中には
カップラーメンだとか、湯で戻せる白米―漬物…なんかがあった。
【万里】
「進藤さんも飲んだら?」
一通り配膳を終えてから…更に用件がないか尋ねてきた進藤さんへ、
スコッチ――と一緒に購入したビールを差し出す。
「――見つかった?」
【橘】
「はい。イギリス在住の女性で、住所は…」
例の――代理母、らしき女が見つかった、と橘から報告があった。
イギリスに住んでいる女だが、日本国籍のようだった。
【橘】
「…怜二様とは、親しい間柄のようです」
報告書によれば、二人は男女の仲だと言う。
もしそれが事実ならば、代理母など承諾するだろうか。
――いや…あの男ならゴリ推しででもすすめそうだ。
【万里】
「妊娠は?」
【橘】
「不明です」
【万里】
「…………」
―――こちらに呼び寄せでもすれば、雲隠れされる可能性もある。
渡英の手配をすすめるよう、橘に命じるのだった。
【万里】
「――」
――目を覚ます。一瞬、ここがどこか解らなくなるが――
……そうか。イギリスに向かっている…、機内だと、思い出した。
例の代理母――らしき女には連絡をとらず、住まいの近くへ向かう事にしたのだ。
【万里】
「……、あー、今どこ?」
【進藤】
「あと2時間程でロンドンです」
誰にともなく寝ぼけた調子でそう言ったが、
隣の進藤さんが、疲労が感じられない佇まいでそう答える。
【万里】
「そう」
【進藤】
「何かお飲みになりますか?」
手にしていた仕事絡みであろう書類を置いてそう尋ねてきた。
【万里】
「―――じゃあ、水」
機内チャイムを鳴らしてスチュワーデスを呼ぶ。
職業柄か、旅慣れているらしい様子。進藤さんに同行を命じた事に満足感を覚えていた。
………………………………
イギリス―ロンドンからコヴェントリーに電車で移動し、
代理母、と思われる女の住まいがある町へ向かう。
【万里】
(――あの女…)
住所を辿っていくと近くに商店街があり、そこへ入っていく一人の女に視線を奪われる。
―調査資料に同封されていた写真と同じ女だ。
日本国籍であり、日本人の血しか入っていないらしいが、
西洋とのハーフといっても通じる顔立ちをしている。
【進藤】
「?三宮様…?」
今回の渡英理由を知らない進藤さんが不思議そうに声をかけてくる。
―が、考えるより先に、女の背を追いかけていた。
俺は振り返らずに一人で、ホテルにチェックインしているように告げるのだった。
【女】
「三宮万里くん?」
【万里】
「――」
【女】
「すごい。わざわざ来たんだ」
女に声をかけようとすると、それより早く女が振り向いて俺にそう言った。
商店街では雑多な会話が繰り広げられ騒がしいが、女の日本語ははっきりと聞き取れる。
【万里】
「……はじめまして」
【女】
「私、菜々子っていうの。……って、そんなの知ってるか。どれぐらい調べてくれたんだろ」
【万里】
「……」
ななこ……母親と似た響きの名前。しかし、喋り方も雰囲気も、何一つ菜穂子には似ていない。
【女】
「万里くん、怜二によく似てる」
【万里】
「……親父には母親似って言われますがね」
【菜々子】
「顔っていうか、声とか、雰囲気かな」
【菜々子】
「確かに怜二より万里くんの方が綺麗だわ。お母さん美人だったのね」
キーの外れた音楽を聴いているような調子で喋る女だった。
【菜々子】
「私の子も、綺麗だったらラッキー。男でも女でも、便利よね」
【万里】
「……、―――」
腹を触りながら言われ…妊娠しているか否か――の答えがあっさりと告げられる。
一体どうやって人の子種を盗んでこの女にあてがったのか知らないが、
――アメリカで行為の最中に放たれたソレが勝手に活用された事件なんてのもあったか…。
我ながら、ガキの頃はあちこちで排泄してたもんで、心当たりがありすぎるのだった。
【菜々子】
「ねえ、怜二と貴方の万里くんの子供、どっちだと思う?」
【菜々子】
「……早く出てきてくれないかな」
この女は知っているのか知らないのか解らなかったが、
――堕胎の意思がないことだけは明白だった。
【万里】
「………」
しかし、そもそも本当に妊娠しているのか――と疑う眼差しで女を見れば
わざわざこっちで言う母子手帳…らしい、緑色の冊子を見せてきた。
【菜々子】
「男も、歳とると腐るんだって、アレが」
【菜々子】
「だからね、私の卵ちゃんはきっとあなたの種を選んだと思うの」
嬉しそうに微笑まれて――、
俺の一部から出来ているかもしれないソレを壊す算段が自分の意思とは別に
半ば反射的に組み上がっていく。
無論、道の往来でそんな真似をする訳にもいかないが
―――とにかく、理性を逆なでする女だ。
意図的に挑発しているようにも見えるし、元来そういう性質のようにも見える。
【万里】
(親父はこんな女のどこがいいんだか)
菜穂子は菜穂子で変わった母親だったが……。
菜々子と名乗るこの女はトラブルメーカーに違いないタイプである。
一言二言会話しただけで酷く疲れる――早く屋敷に帰りたいといつになく思った。
――コヴェントリー内ホテル
【万里】
(――子供、な…)
ベッドに寝転がりながら、酒を舐める。
あの市場で…怜二のメールに「美味い」と書かれていたスコッチを買ったが
確かに悪くない味だった。
―――コンコン
【進藤】
「三宮様」
【万里】
「…入れ」
進藤さんへ、適当に食糧を買ってくるようメールしていたのである。
ノックの後、アレコレ両手に持って入室してきた。
日本食もいくつか持ち込んでいたようで、ラインナップの中には
カップラーメンだとか、湯で戻せる白米―漬物…なんかがあった。
【万里】
「進藤さんも飲んだら?」
一通り配膳を終えてから…更に用件がないか尋ねてきた進藤さんへ、
スコッチ――と一緒に購入したビールを差し出す。
