本編
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―――執事いじり 第二部
―――玲二から万里への接触があってから1年が経っていた
【万里】
(ん……?)
――瞳をこじあけられるような感覚を覚える。いつのまにか眠っていたらしいこと、
それから、ノートパソコンを寝室に持ってきていた事を思い出す。
パソコンのディスプレイが光っているらしく、
またあの男…クソ親父からからメッセージが届いていた。
アレ以来、2か月おきだか3カ月おきだか……偶には2週間と空かないうちに
あの男からネット上でのメッセージが送られるようになっていた。
だが、内容はいつもとりとめのなく、イギリスのスコッチが案外気に入っただの
いやに高いカメラを新調しただの――といった内容だ。
【万里】
(今度はなんだよ)
元々浅かった眠り。ベッドへの未練もなく、起き上がって
ディスプレイに視線を落とした。
【万里】
(………ハ)
電子文字を他人言のように確認して。相変わらず、馬鹿な男だと思った。
【山野井】
「万里」
【万里】
「――何だ」
気だるさの中、先を予感させる訳でもなく、単にその毛先へ触れていたら
「深刻」を絵に描いたような表情で山野井がこっちを見上げた。
【山野井】
「お見合い、いつするの?」
【万里】
「見合い?」
【山野井】
「――、何で聞き返すの。お見合い。するんでしょ?」
【万里】
「しねえよ」
【山野井】
「え?」
【万里】
「誰からどう聞いてんだ、お前」
【山野井】
「っだって……、――その、……噂になってるよ」
【万里】
「噂ぁ?」
【山野井】
「うん。この間、橘さんに頼まれて書類持っていったら、社内の人達が―」
【万里】
「……へえ」
【山野井】
「……へえ、って。……じゃあ、お見合いしないの?」
【万里】
「だからしねえって」
【山野井】
「っ……そう、なんだ……」
山野井は解り易く嬉しそうな……屈託のない笑顔を浮かべて、
抱きついてくる。
後頭部に指を差し入れて、やわらかい髪の毛を堪能した。
【万里】
(噂……か)
どうせ、玲二の自作自演だ。第一、アイツが考えるのは見合いなんて可愛いモンじゃない。
ソレはもっとあの男らしい、可哀想でハタ迷惑な提案――いや、命令だった。
――玲二の提案……いや、命令はハタ迷惑極りないものだった。
【橘】
「お世継ぎ……ですか」
【万里】
「あの耄碌ジジィ。全然変わってねぇ」
【橘】
「左様で」
あの男は、菜穂子の死因になった息子が許せない等と言って俺と
距離を置いているが、いい加減それを打開したいとは思っているらしい。
で、その出した結論が……
【橘】
「きっと、ご主人様のお子さんなら可愛いに違いない。
そして……その中でご主人様へのしこりも無くなっていく……
そうお考えになったのでしょう」
【万里】
「―――」
【橘】
「実際そういったケースは少なくありません。
親子関係にヒビが入っていた場合でも、そのお孫さんの存在によって
再び親子の絆を取り戻す……ドラマや映画に限らず、耳に致します。
――ですが……」
橘が言い淀む事は珍しい。
……それぐらい、口にしない方がいいような、不吉な話題だった。
見合い、なんてハナから俺が受ける訳がない、と踏んでいるのか――
玲二は卵子提供だの、代理母出産だの言い出したのである。
結婚に興味がないのだったら、子供だけ作れ、というまるで自分都合の話だ。
まぁ、それだけ、だったなら、とんだ絵空事なのだが…
玲二は仮にも俺の父親で、異常なほどの収集癖というか
――何でもかんでも把握したがる癖があった。
菜穂子……俺の母親の写真やら行動のメモやらが親父の書斎には未だ眠っている。
【橘】
「つまり……」
【万里】
「――考えたくもねぇが、……なくはねぇだろ」
【橘】
「……おっしゃる通りです」
つまり。――俺の種を勝手に保存しやがってる。
なんて事が、有り得る、頭のおかしい男だった。
玲二は……つまり。――俺の種を勝手に保存しやがってる。
なんて事が、有り得る、頭のおかしい男だった。
同じ家に居たんだ。それぐらいいくらでも出来るし、
ご丁寧に冷凍保存をしていたっておかしくはない。
本人の承諾なしにコトがすすめられない、なんて事もあの男のコネクションを
もってすれば関係のない話で――
更に言えば代理出産の費用は普通の感覚ならバカみたいに高額だろうが
あの男にとったらハシタ金だ。
それに海外で出産されれば、そうそう簡単に見つかる事なんてない。
……アレコレと調べはついていて、夢みたいな事を本気でやろうとしている――
そういう男なのだ。
【万里】
(あの男…てめぇの都合で帰れねえ癖にな。
ガキ使って、親子の絆を取り戻したい?――器が小せぇ話だ)
狭量に違いない根本。――厄介なことは、狭量な男の為に動く人間が
少なくは無いということだった。
カタカタ、と電子文字を打ち出し、玲二に送る。
「お前、そんなガキ作ってどうすんだよ。今さら子育てごっこでもしたいのか?」
――返事はいつになるか解らない。
そう思いながらも送ってみたところ――
【万里】
「―――」
すぐに返事が返ってきた。
「子育てか。それもいいな」
【万里】
(ふん。この野郎……)
「俺は隠居したジジィと違って忙しい。さっさと目的を言え」
そう打ちこんでやれば――
「忙しいか。商売繁盛、何よりだな。俺はお前と違って暇なんでね。
目的なんて大層なもんはねえよ」
【万里】
(……チッ……)
コイツは本気でそうするつもりらしい。相変わらず気味が悪い事を考えつく。
「育てたけりゃ、お前にやってもいいんだぜ?」
玲二のメッセージはそう続いて、それ以降ふっつり途絶えた。
……………………………
【松木】
「ご主人様。お疲れ様です」
【万里】
「――ああ」
頼んでいた紅茶。松木さんが淹れたらしい。
【松木】
「良かったら、ドライフルーツも一緒にどうぞ」
―――玲二から万里への接触があってから1年が経っていた
【万里】
(ん……?)
――瞳をこじあけられるような感覚を覚える。いつのまにか眠っていたらしいこと、
それから、ノートパソコンを寝室に持ってきていた事を思い出す。
パソコンのディスプレイが光っているらしく、
またあの男…クソ親父からからメッセージが届いていた。
アレ以来、2か月おきだか3カ月おきだか……偶には2週間と空かないうちに
あの男からネット上でのメッセージが送られるようになっていた。
だが、内容はいつもとりとめのなく、イギリスのスコッチが案外気に入っただの
いやに高いカメラを新調しただの――といった内容だ。
【万里】
(今度はなんだよ)
元々浅かった眠り。ベッドへの未練もなく、起き上がって
ディスプレイに視線を落とした。
【万里】
(………ハ)
電子文字を他人言のように確認して。相変わらず、馬鹿な男だと思った。
【山野井】
「万里」
【万里】
「――何だ」
気だるさの中、先を予感させる訳でもなく、単にその毛先へ触れていたら
「深刻」を絵に描いたような表情で山野井がこっちを見上げた。
【山野井】
「お見合い、いつするの?」
【万里】
「見合い?」
【山野井】
「――、何で聞き返すの。お見合い。するんでしょ?」
【万里】
「しねえよ」
【山野井】
「え?」
【万里】
「誰からどう聞いてんだ、お前」
【山野井】
「っだって……、――その、……噂になってるよ」
【万里】
「噂ぁ?」
【山野井】
「うん。この間、橘さんに頼まれて書類持っていったら、社内の人達が―」
【万里】
「……へえ」
【山野井】
「……へえ、って。……じゃあ、お見合いしないの?」
【万里】
「だからしねえって」
【山野井】
「っ……そう、なんだ……」
山野井は解り易く嬉しそうな……屈託のない笑顔を浮かべて、
抱きついてくる。
後頭部に指を差し入れて、やわらかい髪の毛を堪能した。
【万里】
(噂……か)
どうせ、玲二の自作自演だ。第一、アイツが考えるのは見合いなんて可愛いモンじゃない。
ソレはもっとあの男らしい、可哀想でハタ迷惑な提案――いや、命令だった。
――玲二の提案……いや、命令はハタ迷惑極りないものだった。
【橘】
「お世継ぎ……ですか」
【万里】
「あの耄碌ジジィ。全然変わってねぇ」
【橘】
「左様で」
あの男は、菜穂子の死因になった息子が許せない等と言って俺と
距離を置いているが、いい加減それを打開したいとは思っているらしい。
で、その出した結論が……
【橘】
「きっと、ご主人様のお子さんなら可愛いに違いない。
そして……その中でご主人様へのしこりも無くなっていく……
そうお考えになったのでしょう」
【万里】
「―――」
【橘】
「実際そういったケースは少なくありません。
親子関係にヒビが入っていた場合でも、そのお孫さんの存在によって
再び親子の絆を取り戻す……ドラマや映画に限らず、耳に致します。
――ですが……」
橘が言い淀む事は珍しい。
……それぐらい、口にしない方がいいような、不吉な話題だった。
見合い、なんてハナから俺が受ける訳がない、と踏んでいるのか――
玲二は卵子提供だの、代理母出産だの言い出したのである。
結婚に興味がないのだったら、子供だけ作れ、というまるで自分都合の話だ。
まぁ、それだけ、だったなら、とんだ絵空事なのだが…
玲二は仮にも俺の父親で、異常なほどの収集癖というか
――何でもかんでも把握したがる癖があった。
菜穂子……俺の母親の写真やら行動のメモやらが親父の書斎には未だ眠っている。
【橘】
「つまり……」
【万里】
「――考えたくもねぇが、……なくはねぇだろ」
【橘】
「……おっしゃる通りです」
つまり。――俺の種を勝手に保存しやがってる。
なんて事が、有り得る、頭のおかしい男だった。
玲二は……つまり。――俺の種を勝手に保存しやがってる。
なんて事が、有り得る、頭のおかしい男だった。
同じ家に居たんだ。それぐらいいくらでも出来るし、
ご丁寧に冷凍保存をしていたっておかしくはない。
本人の承諾なしにコトがすすめられない、なんて事もあの男のコネクションを
もってすれば関係のない話で――
更に言えば代理出産の費用は普通の感覚ならバカみたいに高額だろうが
あの男にとったらハシタ金だ。
それに海外で出産されれば、そうそう簡単に見つかる事なんてない。
……アレコレと調べはついていて、夢みたいな事を本気でやろうとしている――
そういう男なのだ。
【万里】
(あの男…てめぇの都合で帰れねえ癖にな。
ガキ使って、親子の絆を取り戻したい?――器が小せぇ話だ)
狭量に違いない根本。――厄介なことは、狭量な男の為に動く人間が
少なくは無いということだった。
カタカタ、と電子文字を打ち出し、玲二に送る。
「お前、そんなガキ作ってどうすんだよ。今さら子育てごっこでもしたいのか?」
――返事はいつになるか解らない。
そう思いながらも送ってみたところ――
【万里】
「―――」
すぐに返事が返ってきた。
「子育てか。それもいいな」
【万里】
(ふん。この野郎……)
「俺は隠居したジジィと違って忙しい。さっさと目的を言え」
そう打ちこんでやれば――
「忙しいか。商売繁盛、何よりだな。俺はお前と違って暇なんでね。
目的なんて大層なもんはねえよ」
【万里】
(……チッ……)
コイツは本気でそうするつもりらしい。相変わらず気味が悪い事を考えつく。
「育てたけりゃ、お前にやってもいいんだぜ?」
玲二のメッセージはそう続いて、それ以降ふっつり途絶えた。
……………………………
【松木】
「ご主人様。お疲れ様です」
【万里】
「――ああ」
頼んでいた紅茶。松木さんが淹れたらしい。
【松木】
「良かったら、ドライフルーツも一緒にどうぞ」
