本編
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【万里】
「褒めてんだよ。モーロクした割にはやってくれるな、あんた。」
【万里】
「手のこんだ事してくれて……」
俺は橘の、少しだけ乱れた衣服を見る。
―手に裂傷がある…恐らく、何者かに殴られて、倒れた時についたものだろう。
【万里】
「橘に怪我させて…偶然通りかかったところで白々しくあんたが介抱したんだろう」
【万里】
「…GPSの動きがおかしかったんでな」
【彩音】
「…………………」
彩音は表情を変えずにこちらを見据えている。
―余計な事を喋る気はないだろう。言質をとらせる気などないのだ。
【万里】
「…橘。帰るぞ」
【橘】
「…………ご主人様……」
橘は…俺と、母だった女に戸惑うような視線を送った。
【彩音】
「脩二……っ……どうして……、私の…脩二」
橘の膝元に泣き崩れる彩音。橘はそれを…軽蔑するでもなく、親愛の情を見せるでもなく…ただ食い入るように見ていた。
俺は彩音を橘から引き離すように、橘を抱き寄せる。
【万里】
「お前のじゃねーよ。触んな」
【橘】
「ご主人様………」
【橘】
「―彩音さん………私は、貴方が嫌いなのでは―…。ただ私には家族等、もうおりません」
【彩音】
「…………!どうして―……!…ダメよ……、貴方はあそこに居る限り……心も体も殺される!」
…殺そうとしているのはお前だろう、という言葉は飲みこんだ。
【橘】
「それでも…構いません。もし―これ以上、私に何かするというのなら…万里様のご迷惑になります。」
【橘】
「そうなれば、私は自らを殺さざるを得なくなってしまいますから…、いっそ殺して頂いた方が」
【彩音】
「脩二……………脩二!脩二………………、脩二ぃ………」
【万里】
「彩音さん……あんたが其処までやるんならコッチも手段は選ばねえ」
【万里】
「橘脩二の本当の父親が誰か―、俺自らマスコミに売ってやろう。会見を開いたっていい」
【彩音】
「!!!」
【万里】
「失踪している三宮玲二と橘彩音に隠し子―なんて事が世間に知れたら…失踪の理由だって勘繰られる」
【万里】
「第一あんた事務所の代表は愚か…自分の弁護以外出来なくなるんじゃないか。ダブル不倫弁護士さん?」
【彩音】
「そ…んな事になったら……脩二だって…世間から、何て言われるか」
【橘】
「―貴方に殺されるよりは、余程有意義な選択でしょうね」
【彩音】
「……嫌………!」
途端に彩音の顔が凍る。
―橘は俺と彩音の会話を特に無感動に聞いていた。
【万里】
「脩二……長男につける名前じゃねえよなあ。玲二の玲で名付けたら露骨すぎるからソッチをとったか」
【万里】
「―女ってのは…下らねえ事考えるな」
【彩音】
「あ………ああ……………、アアアアっ………」
彩音は異常に取り乱し―床に泣き崩れた……。
【万里】
「橘」
【橘】
「―はい」
【万里】
「何故わざわざ休暇を取った。屋敷を離れて1人になれば余計危ない」
【万里】
「第一、俺の傍にいる間に危険が及んだなら証拠が掴めて好都合だろう」
【橘】
「ご主人様にほんの僅かなでも不愉快な輩と接触させたくなかったのです……出来れば彩音さんとも」
【橘】
「もう―……誰にも……どんな事からも……ご主人様を傷つけさせたく等、なく………」
【万里】
「っチ…………。やめろ。俺は―、あんな事もう忘れた。お前も忘れろ」
【橘】
「……失礼致しました。…ご主人様のお嫌いな…感傷に、私は時折侵されてしまいます」
【万里】
「……………フン」
口には出さなかったが、それでいい、と思うような自分が居た。
【万里】
「ああ―…それから」
【橘】
「はい」
【万里】
「彩音は……相変わらずお前を玲二の子供だと思ってんだな」
【橘】
「…そう思って…いたいのですよ。だから…彼女がDNA鑑定を行う事は今後もないでしょう」
【橘】
「先ほどああも取り乱した理由は―玲二様との子ではないという事実を衝きつけられる恐怖があったから…」
【橘】
「同時に…本当に私が玲二様の子供だとしても、それが公になれば玲二様の逆鱗に触れ、二度と会っては貰えない…」
【橘】
「―玲二様は……ご主人様のお母様…菜穂子様との間以外に子供は絶対に御作りにならないと決めていらっしゃいましたから
【万里】
「どの道手詰まりって訳だな」
【橘】
「ええ……いずれも彼女にとっての死を意味します―」
【万里】
「―前に調べた通り、お前は間違いなく橘弘文…彩音の夫だった男の子だ」
親父の腹心だった、―橘弘文。
【橘】
「―はい…。私自身……調べる前から、そのように確信致しておりました。ずっと…」
【橘】
「父は…三宮に生涯を捧げました。…私にも同じ血が流れているに―違いないのです」
橘は少し複雑な面持ちで…視線を宙に泳がせた。
気に食わず、俺は橘のネクタイを引き、こちらを向かせる。
【万里】
「橘」
【橘】
「―っ………ご主人様」
―数年前…失踪直前・玲二の独白―
「万里。俺は、お前が可愛い。菜穂子によく似た唇…目元…、これ以上の形見はないだろう」
「けれど―お前がもがき苦しむ程に俺は心が震える。お前の泣き叫ぶ声に絶頂の幸せを覚えるのだ」
「弘文と…菜穂子を殺したお前に復讐したいのだ―俺は。…その誘惑が、いつも俺を狂わせてきた」
「―時が経てば…忘れると思った。しかし―お前が一人の男に育つ程、力を持つ程―その欲望が膨らんで…もう限界だ」
「無論、菜穂子も弘文も…事故死である。直接お前が殺した訳ではない。けれど―俺はお前を責め続けている…」
【万里】
(…………懐かしい話だ)
【万里】
(…あの男、まだ生きてる、か………クク……)
ベッドの上で寝がえりを打ち―何故だか込み上がる笑みを噛み殺す。
ちょうどあの時も……目を瞑って、こんな風にうつらうつらとしていたところに親父がやってきて
―俺が寝ているのか起きているのか…確かめずに、一人でぽつりぽつりと話し始めたのだ。
【橘】
「ご主人様」
過去の記憶をたどっていると…ふと部屋の扉があき、橘が顔を出した。
「褒めてんだよ。モーロクした割にはやってくれるな、あんた。」
【万里】
「手のこんだ事してくれて……」
俺は橘の、少しだけ乱れた衣服を見る。
―手に裂傷がある…恐らく、何者かに殴られて、倒れた時についたものだろう。
【万里】
「橘に怪我させて…偶然通りかかったところで白々しくあんたが介抱したんだろう」
【万里】
「…GPSの動きがおかしかったんでな」
【彩音】
「…………………」
彩音は表情を変えずにこちらを見据えている。
―余計な事を喋る気はないだろう。言質をとらせる気などないのだ。
【万里】
「…橘。帰るぞ」
【橘】
「…………ご主人様……」
橘は…俺と、母だった女に戸惑うような視線を送った。
【彩音】
「脩二……っ……どうして……、私の…脩二」
橘の膝元に泣き崩れる彩音。橘はそれを…軽蔑するでもなく、親愛の情を見せるでもなく…ただ食い入るように見ていた。
俺は彩音を橘から引き離すように、橘を抱き寄せる。
【万里】
「お前のじゃねーよ。触んな」
【橘】
「ご主人様………」
【橘】
「―彩音さん………私は、貴方が嫌いなのでは―…。ただ私には家族等、もうおりません」
【彩音】
「…………!どうして―……!…ダメよ……、貴方はあそこに居る限り……心も体も殺される!」
…殺そうとしているのはお前だろう、という言葉は飲みこんだ。
【橘】
「それでも…構いません。もし―これ以上、私に何かするというのなら…万里様のご迷惑になります。」
【橘】
「そうなれば、私は自らを殺さざるを得なくなってしまいますから…、いっそ殺して頂いた方が」
【彩音】
「脩二……………脩二!脩二………………、脩二ぃ………」
【万里】
「彩音さん……あんたが其処までやるんならコッチも手段は選ばねえ」
【万里】
「橘脩二の本当の父親が誰か―、俺自らマスコミに売ってやろう。会見を開いたっていい」
【彩音】
「!!!」
【万里】
「失踪している三宮玲二と橘彩音に隠し子―なんて事が世間に知れたら…失踪の理由だって勘繰られる」
【万里】
「第一あんた事務所の代表は愚か…自分の弁護以外出来なくなるんじゃないか。ダブル不倫弁護士さん?」
【彩音】
「そ…んな事になったら……脩二だって…世間から、何て言われるか」
【橘】
「―貴方に殺されるよりは、余程有意義な選択でしょうね」
【彩音】
「……嫌………!」
途端に彩音の顔が凍る。
―橘は俺と彩音の会話を特に無感動に聞いていた。
【万里】
「脩二……長男につける名前じゃねえよなあ。玲二の玲で名付けたら露骨すぎるからソッチをとったか」
【万里】
「―女ってのは…下らねえ事考えるな」
【彩音】
「あ………ああ……………、アアアアっ………」
彩音は異常に取り乱し―床に泣き崩れた……。
【万里】
「橘」
【橘】
「―はい」
【万里】
「何故わざわざ休暇を取った。屋敷を離れて1人になれば余計危ない」
【万里】
「第一、俺の傍にいる間に危険が及んだなら証拠が掴めて好都合だろう」
【橘】
「ご主人様にほんの僅かなでも不愉快な輩と接触させたくなかったのです……出来れば彩音さんとも」
【橘】
「もう―……誰にも……どんな事からも……ご主人様を傷つけさせたく等、なく………」
【万里】
「っチ…………。やめろ。俺は―、あんな事もう忘れた。お前も忘れろ」
【橘】
「……失礼致しました。…ご主人様のお嫌いな…感傷に、私は時折侵されてしまいます」
【万里】
「……………フン」
口には出さなかったが、それでいい、と思うような自分が居た。
【万里】
「ああ―…それから」
【橘】
「はい」
【万里】
「彩音は……相変わらずお前を玲二の子供だと思ってんだな」
【橘】
「…そう思って…いたいのですよ。だから…彼女がDNA鑑定を行う事は今後もないでしょう」
【橘】
「先ほどああも取り乱した理由は―玲二様との子ではないという事実を衝きつけられる恐怖があったから…」
【橘】
「同時に…本当に私が玲二様の子供だとしても、それが公になれば玲二様の逆鱗に触れ、二度と会っては貰えない…」
【橘】
「―玲二様は……ご主人様のお母様…菜穂子様との間以外に子供は絶対に御作りにならないと決めていらっしゃいましたから
【万里】
「どの道手詰まりって訳だな」
【橘】
「ええ……いずれも彼女にとっての死を意味します―」
【万里】
「―前に調べた通り、お前は間違いなく橘弘文…彩音の夫だった男の子だ」
親父の腹心だった、―橘弘文。
【橘】
「―はい…。私自身……調べる前から、そのように確信致しておりました。ずっと…」
【橘】
「父は…三宮に生涯を捧げました。…私にも同じ血が流れているに―違いないのです」
橘は少し複雑な面持ちで…視線を宙に泳がせた。
気に食わず、俺は橘のネクタイを引き、こちらを向かせる。
【万里】
「橘」
【橘】
「―っ………ご主人様」
―数年前…失踪直前・玲二の独白―
「万里。俺は、お前が可愛い。菜穂子によく似た唇…目元…、これ以上の形見はないだろう」
「けれど―お前がもがき苦しむ程に俺は心が震える。お前の泣き叫ぶ声に絶頂の幸せを覚えるのだ」
「弘文と…菜穂子を殺したお前に復讐したいのだ―俺は。…その誘惑が、いつも俺を狂わせてきた」
「―時が経てば…忘れると思った。しかし―お前が一人の男に育つ程、力を持つ程―その欲望が膨らんで…もう限界だ」
「無論、菜穂子も弘文も…事故死である。直接お前が殺した訳ではない。けれど―俺はお前を責め続けている…」
【万里】
(…………懐かしい話だ)
【万里】
(…あの男、まだ生きてる、か………クク……)
ベッドの上で寝がえりを打ち―何故だか込み上がる笑みを噛み殺す。
ちょうどあの時も……目を瞑って、こんな風にうつらうつらとしていたところに親父がやってきて
―俺が寝ているのか起きているのか…確かめずに、一人でぽつりぽつりと話し始めたのだ。
【橘】
「ご主人様」
過去の記憶をたどっていると…ふと部屋の扉があき、橘が顔を出した。
