本編
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【水嶋】
「体調悪い…のか。…元気ないって…」
【万里】
「―何が言いたい」
【水嶋】
「あんたがおかしい所為で…政春がぼーっとしてんだよ」
案の定進藤さんの事だった。
【万里】
「お前……」
恥ずかしくねぇのか…と思わずため息が漏れそうになる。
ああも叩きのめされた上でなおもストレートに食いさがってくるとは。
若さからか、ただの馬鹿なのか―それとも
【水嶋】
「政春は元々ぽけーっとしてんだから、これ以上危なっかしくなられると困る」
【水嶋】
「あんたが何で落ちてるのかは知らないが、さっさと元に戻れよ」
【万里】
「何で俺がお前の都合を聞くと思う。いい加減学習しろ」
【水嶋】
「………。他に方法がねえんだから、仕方ないだろ」
【万里】
「ああ…相手にされていない自覚はあるんだな。結構な事だ」
【水嶋】
「言ってろ。……俺は、自棄になってる訳じゃないし、諦めた訳でもない」
【水嶋】
「単に、政春が悲しいより笑ってる方がイイだってだけだ」
【万里】
「へえ………」
【水嶋】
「っな……っにすんだ」
頭を撫でようと手を伸ばすと大袈裟に後ずさる水嶋。
【万里】
「お前、可愛いじゃねーか」
【水嶋】
「……気持ち悪ぃ……っ何で政春はこんな男…」
小声で悪態を吐く水嶋。
【万里】
「くくく……進藤さんに選ばれない理由、まだ解んねえのか?」
【水嶋】
「……っ…」
【万里】
「お前じゃどうしたって相手にされねえよ」
悔しそうに頬を紅潮させる水嶋。…可愛がってやろうじゃねえか。
…………
…………………
【水嶋】
「……あんたの酔狂に付き合ったんだからな」
【水嶋】
「政春が何で……俺じゃ駄目-…って思うのか、教えろよ」
【万里】
「―――…」
プライドも見栄も…人一倍強いであろうこの男は―
しかし愛しい従兄弟の為であれば、それらをゴミのようにかなぐり捨てるようだ。
【万里】
「水嶋。お前の家は裕福だろう」
【水嶋】
「は……?何だそれ。……まぁ、金がない訳はないと思うけどな」
【万里】
「両親は……共働きで、関係性は良好、ってとこか」
【水嶋】
「……?そんなモン当ててどうする」
【万里】
「当てる事が目的じゃねーよ。…お前には兄も居たな。確か―安武保険会社勤務」
【水嶋】
「………ああ」
【万里】
「恵まれているな」
【水嶋】
「っ……さっきから……何が言いたい。俺が…傲慢だって言いたいのか?」
【水嶋】
「何もかも……持ってるから…他人の気持ちが解らない、……」
【万里】
「進藤さんにそう言われたのか?」
【水嶋】
「っ…………。だから…それからは……気をつけてる、し……」
【万里】
「…くっ…はははは。お前……随分進藤さんに愛されてるな」
【水嶋】
「…ちっ…!嫌味なら付き合わないぞ…!!馬鹿馬鹿しい…っ」
【万里】
「嫌味じゃねえよ……何で進藤さんが俺を選ぶか、教えてやってんだろう」
【水嶋】
「??どういう意味だよ……全然―……」
意味が解らないという顔で困惑する水嶋。…簡単な事がまだ解らないらしい。
進藤さんは…男に欲情する自分を潔癖に否定して、抑圧している。
両親にも姉にも愛情をそそがれ…何不自由なく育てて貰ったのに、オカシクなってしまった…、と思っているのだ。
だから俺が非常識であればある程―良識を欠く程に、無意識下で安心し、…解放されるんだろう。
【万里】
(お前を、巻き込む訳がねーんだよ)
当たり前のように愛情を注がれてきた水嶋には、進藤さんの意志が解りにくいようだ。
【万里】
「後は自分で考えろ」
【万里】
「理由が解ったところで…どうしようも出来ないと思うがな」
【水嶋】
「っ………!」
―可哀そうで可愛い進藤さん…
キッカケはどうあれ、あの人はもう逃げる事など出来ない。
水嶋はいそいそと部屋を出て行った。
…無償の愛に浸りきってきた人間は、幸か不幸か、駆け引きに向かないのだ。
【万里】
(………………)
俺は目をつむり―橘と出逢った頃の事を考え始めた―
「体調悪い…のか。…元気ないって…」
【万里】
「―何が言いたい」
【水嶋】
「あんたがおかしい所為で…政春がぼーっとしてんだよ」
案の定進藤さんの事だった。
【万里】
「お前……」
恥ずかしくねぇのか…と思わずため息が漏れそうになる。
ああも叩きのめされた上でなおもストレートに食いさがってくるとは。
若さからか、ただの馬鹿なのか―それとも
【水嶋】
「政春は元々ぽけーっとしてんだから、これ以上危なっかしくなられると困る」
【水嶋】
「あんたが何で落ちてるのかは知らないが、さっさと元に戻れよ」
【万里】
「何で俺がお前の都合を聞くと思う。いい加減学習しろ」
【水嶋】
「………。他に方法がねえんだから、仕方ないだろ」
【万里】
「ああ…相手にされていない自覚はあるんだな。結構な事だ」
【水嶋】
「言ってろ。……俺は、自棄になってる訳じゃないし、諦めた訳でもない」
【水嶋】
「単に、政春が悲しいより笑ってる方がイイだってだけだ」
【万里】
「へえ………」
【水嶋】
「っな……っにすんだ」
頭を撫でようと手を伸ばすと大袈裟に後ずさる水嶋。
【万里】
「お前、可愛いじゃねーか」
【水嶋】
「……気持ち悪ぃ……っ何で政春はこんな男…」
小声で悪態を吐く水嶋。
【万里】
「くくく……進藤さんに選ばれない理由、まだ解んねえのか?」
【水嶋】
「……っ…」
【万里】
「お前じゃどうしたって相手にされねえよ」
悔しそうに頬を紅潮させる水嶋。…可愛がってやろうじゃねえか。
…………
…………………
【水嶋】
「……あんたの酔狂に付き合ったんだからな」
【水嶋】
「政春が何で……俺じゃ駄目-…って思うのか、教えろよ」
【万里】
「―――…」
プライドも見栄も…人一倍強いであろうこの男は―
しかし愛しい従兄弟の為であれば、それらをゴミのようにかなぐり捨てるようだ。
【万里】
「水嶋。お前の家は裕福だろう」
【水嶋】
「は……?何だそれ。……まぁ、金がない訳はないと思うけどな」
【万里】
「両親は……共働きで、関係性は良好、ってとこか」
【水嶋】
「……?そんなモン当ててどうする」
【万里】
「当てる事が目的じゃねーよ。…お前には兄も居たな。確か―安武保険会社勤務」
【水嶋】
「………ああ」
【万里】
「恵まれているな」
【水嶋】
「っ……さっきから……何が言いたい。俺が…傲慢だって言いたいのか?」
【水嶋】
「何もかも……持ってるから…他人の気持ちが解らない、……」
【万里】
「進藤さんにそう言われたのか?」
【水嶋】
「っ…………。だから…それからは……気をつけてる、し……」
【万里】
「…くっ…はははは。お前……随分進藤さんに愛されてるな」
【水嶋】
「…ちっ…!嫌味なら付き合わないぞ…!!馬鹿馬鹿しい…っ」
【万里】
「嫌味じゃねえよ……何で進藤さんが俺を選ぶか、教えてやってんだろう」
【水嶋】
「??どういう意味だよ……全然―……」
意味が解らないという顔で困惑する水嶋。…簡単な事がまだ解らないらしい。
進藤さんは…男に欲情する自分を潔癖に否定して、抑圧している。
両親にも姉にも愛情をそそがれ…何不自由なく育てて貰ったのに、オカシクなってしまった…、と思っているのだ。
だから俺が非常識であればある程―良識を欠く程に、無意識下で安心し、…解放されるんだろう。
【万里】
(お前を、巻き込む訳がねーんだよ)
当たり前のように愛情を注がれてきた水嶋には、進藤さんの意志が解りにくいようだ。
【万里】
「後は自分で考えろ」
【万里】
「理由が解ったところで…どうしようも出来ないと思うがな」
【水嶋】
「っ………!」
―可哀そうで可愛い進藤さん…
キッカケはどうあれ、あの人はもう逃げる事など出来ない。
水嶋はいそいそと部屋を出て行った。
…無償の愛に浸りきってきた人間は、幸か不幸か、駆け引きに向かないのだ。
【万里】
(………………)
俺は目をつむり―橘と出逢った頃の事を考え始めた―
