本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【三日月】
「パパがママを殺したんですか?」
【万里】
「いや」
【三日月】
「そう……良かった。それは未遂だったんだね」
【万里】
「―………」
それは未遂…。つまり事故死とは別に、親父が母親を殺しかけた事を知っているらしい。
俺は三日月の顔を見た。
【三日月】
「あ、俺のパパと似た感じがしたから、絶対そうかなって。想像、ですよ」
【三日月】
「すーごく好きになると、殺したくなる事があるんだって、…パパから知りました」
実際親父は何度か菜穂子を失神させていた。特に菜穂子も抵抗しないから拍車がかかるんだろう。
ハタ迷惑な夫婦だ。
【万里】
「…お前の母親は生きているのか?」
【三日月】
「うん。元気ですよ。パパはお家出ていきましたけどー…たまにママと会ってます」
【万里】
「そうか」
今も生きながらえているなら未遂だった事を喜べるだろう。
だが―…親父の場合は……後々自分以外の要因で女を失った。自分の手で殺しておけばよかったと思ったに違いない。
それも、別の男の所為で死んだとなれば……
【三日月】
「っご主人様、…ん、ふふ……俺が……したいのにぃ」
俺は体勢を交代して、逆に三日月の首に手をかけた。
少しだけ力を込めると、白い肢体が誘い込むように反応する―
―橘の休暇、4日目……
【東雲】
「ご主人様、ちょっと……いーすか」
【万里】
「…なんだ。面倒事でもあったか?」
慌てた様子でオフィスにまで訪れた東雲。
【東雲】
「いやっ……面倒……って訳じゃあ」
【万里】
「ふん…随分勿体ぶるじゃないか」
【東雲】
「あの……ですね。えーと……ご主人様の……おとう、さん……が」
【万里】
「は?」
―聞けば…昨日までのイギリス出張で…、三宮玲二を見かけたと言うのだ。
メディアへの露出も少なくなかった癖に、特に隠れる様子もなくただ歩いていたようである。
【万里】
「……………」
【東雲】
「人通り少ない場所だったんで、俺…思わず話しかけて」
【東雲】
「………人違い、って………言い切られちゃいましたけど……あれは絶対……」
【万里】
「ハ。海外逃亡…か…………、ふ、ははは」
三流ドラマにもならないような茶番。
どうせ、いくつかの国を渡り歩いているに違いないが、よりにもよってイギリス…
【東雲】
「ご主人様………すいません……俺、もっと…話して、説得したかったんですけど」
【万里】
「やめておけ。他人が関与すれば、余計面倒になるだけだ」
【東雲】
「…っ、そうです、よね……」
他人と言われて、少し肩をすくめる東雲。
【万里】
「何だ……不満そうだな?」
【東雲】
「いっ……いえ、そんな訳じゃ……」
慌てて取り繕う東雲。俺は体に聞いてやることにした。
…………
…………………
【丸山】
「はい、ご主人様」
【万里】
「……ああ」
差しだされた紅茶から…ふわりと少しスパイシーな香りが広がった。
【丸山】
「ハーブティーです。中から温まりますよ」
【万里】
「Revitalise kapha…だな」
イギリス発祥の品で、複数のハーブをブレンドしているものだ。
【丸山】
「お詳しいですね、本当に」
【丸山】
「俺よりも色々ご存じなので、こちらに伺うようになってから勉強し直しました」
【丸山】
「もしかして、イギリスにもよく行かれるんですか?」
【万里】
「昔はな。―今は稀だ」
イギリス人の紅茶消費量は日本人の20倍以上。
淹れ方へのこだわりも葉の多様性も日本とは比べ物にならないのだ。
【丸山】
「俺、イギリスは行った事ないんですけど、…興味はあります。街並みも綺麗だし…」
【万里】
「ふ。食が個性的だからな。丸山には合わないんじゃないか?」
【丸山】
「……そ……うでしょうか。一般的にはそう…言われますよね」
そう。イギリス料理は…日本人の肥えた舌に衝撃を与える不味…いや、ユニークなものだ。
そんな飯を―何度も食わされたな…昔は。嫌だと駄々をこねる俺を親父が無視して…代わりに菜穂子が微笑む。
当時の様子が―はっきりと思い出されていく。
【丸山】
「昔…とおっしゃってましたが、いつ頃ですか?」
【万里】
「まだほんの、ガキの時分だ。父親と母親に連れられて…3人でな」
【丸山】
「へえ…!そうだったんですか。じゃあ…、とても思い出深い土地なんですね」
俺の…というよりは、親父と菜穂子二人の、…だったが。
いつのまにか自分にとっても感慨深い国になっていた。
【丸山】
「ご主人様の紅茶好きがそういう理由だったなんて……変な話ですけど、何か嬉しいです」
【万里】
「―――」
たわいもない思い出話を丸山は酷く幸せそうな表情で聞き入っていた。
―その頬に指先で触れる。
【丸山】
「えっ……ご主人様…?」
【万里】
「舌出せ。可愛がってやるよ」
【丸山】
「ん……っ………ちゅ……」
【丸山】
「…ふ、あ………」
幸福な家庭しか知らないであろうコイツの脳裏では―きっと俺の幼少時代が透明なまま再生されていることだろう。
―その事が……少しだけ心地よかった。
―橘の休暇、5日目……
【水嶋】
「……おい。あんた…」
不機嫌な様子で水嶋が近寄ってくる。
一応立ち止まって聞いてやれば―
「パパがママを殺したんですか?」
【万里】
「いや」
【三日月】
「そう……良かった。それは未遂だったんだね」
【万里】
「―………」
それは未遂…。つまり事故死とは別に、親父が母親を殺しかけた事を知っているらしい。
俺は三日月の顔を見た。
【三日月】
「あ、俺のパパと似た感じがしたから、絶対そうかなって。想像、ですよ」
【三日月】
「すーごく好きになると、殺したくなる事があるんだって、…パパから知りました」
実際親父は何度か菜穂子を失神させていた。特に菜穂子も抵抗しないから拍車がかかるんだろう。
ハタ迷惑な夫婦だ。
【万里】
「…お前の母親は生きているのか?」
【三日月】
「うん。元気ですよ。パパはお家出ていきましたけどー…たまにママと会ってます」
【万里】
「そうか」
今も生きながらえているなら未遂だった事を喜べるだろう。
だが―…親父の場合は……後々自分以外の要因で女を失った。自分の手で殺しておけばよかったと思ったに違いない。
それも、別の男の所為で死んだとなれば……
【三日月】
「っご主人様、…ん、ふふ……俺が……したいのにぃ」
俺は体勢を交代して、逆に三日月の首に手をかけた。
少しだけ力を込めると、白い肢体が誘い込むように反応する―
―橘の休暇、4日目……
【東雲】
「ご主人様、ちょっと……いーすか」
【万里】
「…なんだ。面倒事でもあったか?」
慌てた様子でオフィスにまで訪れた東雲。
【東雲】
「いやっ……面倒……って訳じゃあ」
【万里】
「ふん…随分勿体ぶるじゃないか」
【東雲】
「あの……ですね。えーと……ご主人様の……おとう、さん……が」
【万里】
「は?」
―聞けば…昨日までのイギリス出張で…、三宮玲二を見かけたと言うのだ。
メディアへの露出も少なくなかった癖に、特に隠れる様子もなくただ歩いていたようである。
【万里】
「……………」
【東雲】
「人通り少ない場所だったんで、俺…思わず話しかけて」
【東雲】
「………人違い、って………言い切られちゃいましたけど……あれは絶対……」
【万里】
「ハ。海外逃亡…か…………、ふ、ははは」
三流ドラマにもならないような茶番。
どうせ、いくつかの国を渡り歩いているに違いないが、よりにもよってイギリス…
【東雲】
「ご主人様………すいません……俺、もっと…話して、説得したかったんですけど」
【万里】
「やめておけ。他人が関与すれば、余計面倒になるだけだ」
【東雲】
「…っ、そうです、よね……」
他人と言われて、少し肩をすくめる東雲。
【万里】
「何だ……不満そうだな?」
【東雲】
「いっ……いえ、そんな訳じゃ……」
慌てて取り繕う東雲。俺は体に聞いてやることにした。
…………
…………………
【丸山】
「はい、ご主人様」
【万里】
「……ああ」
差しだされた紅茶から…ふわりと少しスパイシーな香りが広がった。
【丸山】
「ハーブティーです。中から温まりますよ」
【万里】
「Revitalise kapha…だな」
イギリス発祥の品で、複数のハーブをブレンドしているものだ。
【丸山】
「お詳しいですね、本当に」
【丸山】
「俺よりも色々ご存じなので、こちらに伺うようになってから勉強し直しました」
【丸山】
「もしかして、イギリスにもよく行かれるんですか?」
【万里】
「昔はな。―今は稀だ」
イギリス人の紅茶消費量は日本人の20倍以上。
淹れ方へのこだわりも葉の多様性も日本とは比べ物にならないのだ。
【丸山】
「俺、イギリスは行った事ないんですけど、…興味はあります。街並みも綺麗だし…」
【万里】
「ふ。食が個性的だからな。丸山には合わないんじゃないか?」
【丸山】
「……そ……うでしょうか。一般的にはそう…言われますよね」
そう。イギリス料理は…日本人の肥えた舌に衝撃を与える不味…いや、ユニークなものだ。
そんな飯を―何度も食わされたな…昔は。嫌だと駄々をこねる俺を親父が無視して…代わりに菜穂子が微笑む。
当時の様子が―はっきりと思い出されていく。
【丸山】
「昔…とおっしゃってましたが、いつ頃ですか?」
【万里】
「まだほんの、ガキの時分だ。父親と母親に連れられて…3人でな」
【丸山】
「へえ…!そうだったんですか。じゃあ…、とても思い出深い土地なんですね」
俺の…というよりは、親父と菜穂子二人の、…だったが。
いつのまにか自分にとっても感慨深い国になっていた。
【丸山】
「ご主人様の紅茶好きがそういう理由だったなんて……変な話ですけど、何か嬉しいです」
【万里】
「―――」
たわいもない思い出話を丸山は酷く幸せそうな表情で聞き入っていた。
―その頬に指先で触れる。
【丸山】
「えっ……ご主人様…?」
【万里】
「舌出せ。可愛がってやるよ」
【丸山】
「ん……っ………ちゅ……」
【丸山】
「…ふ、あ………」
幸福な家庭しか知らないであろうコイツの脳裏では―きっと俺の幼少時代が透明なまま再生されていることだろう。
―その事が……少しだけ心地よかった。
―橘の休暇、5日目……
【水嶋】
「……おい。あんた…」
不機嫌な様子で水嶋が近寄ってくる。
一応立ち止まって聞いてやれば―
