[本編] 浅多 侑思 編
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【ユリス】
「それでも壊れず立ってるんだから、流石としか言いようがないよ。
褒めてあげる」
【クロノ】
「……いらない」
【ユリス】
「は? ごめん、聞こえなかった」
もう一度はっきりと告げる
【クロノ】
「「お前の賛辞は必要ない。これは俺と浅多の問題だ」
【クロノ】
「とりあえずさ、消えてくれない?」
ユリスは、驚いたように目を見開いて、それから顔を歪めるという不可解な反応をした。
【ユリス】
「あっそう! じゃあ逆に叱ってやるよ!」
すぐに鎌を生成させて、飛びかかってくるユリスから飛び退いて。
小声で、じーさん宜しくと呟いた。
返事が聞こえて、一秒の間に、浅多を囲む透明な壁が出現する。
刃と刃をぶつかる音が響き渡る。
【ユリス】
「くっ……」
ユリスの顔が苦しそうに歪む。
その目が俺の目を見て、うっとりしたように曲がった。
【ユリス】
「……お前って、キレると瞳の色少し変わるんだよね」
そんなことどうでもいい。
ただ、下らないことを見てる余裕はあるのかと、俺の怒りを増大させる効果はあった。
そのまま容赦なく刃を押し返して、ユリスの鎌を弾き飛ばす。
手から離れた鎌は、粒子になって消えた。
ユリスは空高く舞い上がり、手首を振っている。
【ユリス】
「ふーっ……相変わらず馬鹿力。その体のどこに、んな力があるわけ?」
【ユリス】
「マジで、いい男だよ、お前」
【クロノ】
「褒めてる場合?俺はお前を殺す気でいるのに」
【ユリス】
「全然構わない。興味が無いよりは嫌いの方がマシだからね」
言ってる意味がわからないが、今はとにかく、浅多のことが心配だ。
【クロノ】
「浅多はどうやったら目覚める」
【ユリス】
「無理やり聞き出しなよ。今みたいに力にもの言わせてさ」
【クロノ】
「そうしようと思ったけど時間がもったいない」
ピクリとユリスの肩が揺れる。
【クロノ】
「自発的に言ってくれる方が時間短縮になる」
【クロノ】
「お前に構ってる時間すらもったいない」
【ユリス】
「―――今の言葉、後悔するなよ!」
ユリスの姿が消えたと思ったら、いつの間にか地上に降りていて。
じいが作ってくれた、浅多を囲んでいるシールドの中にいた。
【クロノ】
「なっ…!?」
【ユリス】
「このリビドーに悪夢を設定したの俺なんだから、じじいのシールドなんて俺には無意味だよ。残念だったねー」
【ユリス】
「ねえ、クロノ、夢の中で死んだらどうなると思う?」
ユリスが、浅多の首に切っ先を当てたままで笑う。
落ち着け。
あいつの狙いはおそらく、俺の動揺のはずだ。
だから必死で感情を殺す。
【クロノ】
「さあ」
【ユリス】
「ふふ、ポーカーフェイスが少し崩れてるよ」
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「はははは! いいもの見れたね!気分がいいから教えてあげる」
【ユリス】
「心が死ぬんだよな、実は」
【クロノ】
「ふーん」
心が死ぬということの重大さを、理解できなかったわけじゃない。
弱みを見せたら絶対につけ込まれる。こいつはそういう性格だ。
大丈夫だ。
たかが夢の中で死んだくらいで、実際に死ぬはずがない。
【ユリス】
「あ、もしかして、そんなバカなことがあってたまるかとか思ってる?」
【ユリス】
「でも本当なんだよね、これが」
【ユリス】
「リビドーは、脳波を無理矢理動かす装置だからさー。普通の夢とはシステムが違う」
【ユリス】
「脳波が狂えば脳も狂う。それって心の死なんだよ。わかる?」
【クロノ】
「で、人質か」
ユリスは言葉を失い……鬼神のような表情で俺を睨んだ。
【ユリス】
「……その飄々としたツラ、むかつくんだよ!」
むかつくと言われてもどうしようもない。
ツラが飄々としてるのは生まれつきだと言い返したかったけど。
今は何を言っても火に油を注ぐだけだと、冷静に考える。
正直なところ、浅多が人質になっているという状況に、今すぐ斬りかかりたい気持ちだけど。
何とか冷静に努めて、口を開く。
【クロノ】
「点数稼ぎがそんなに大事なのか」
俺の言葉にきょとんとしたユリスは、嬉しそうに口を開く。
【ユリス】
「最初は魂狩りの点数稼ぎが目的だったけど……。後は、ただの暇潰し?」
その時―――浅多の瞼が動いて、薄く目を開ける。
そして何かを言おうとしたが、黙れと言わんばかりに首に鎌を強く当てられて、言葉を飲む。
【ユリス】
「あとは、いつも退屈そうなお前を愉しませてやろうと思ってさ」
【ユリス】
「気付いてた? お前の管轄内の人間中心にリビドーを送りつけてたこと」
【ユリス】
「つか今はもうそういう次元じゃないかもね」
【ユリス】
「そうだな、まずは長への正式報告を取りやめてもらおっかな」
【ユリス】
「今ならお前とじじいの勘違いで済むだろうし」
【ユリス】
「間違った噂を流してすみませんって、全員の前で謝って」
口をつぐんでいる浅多が、驚いたようにユリスを見上げて。
まるで俺の代わりのように、奴を睨みつける。
……自分がそんな状況なのに、俺の心配をするのか。
だから俺も今、激昂するのを堪えられたんだと思う。
まったく、お人好しというか、なんというか。
【クロノ】
「寂しいのに寂しいって言えないガキか……、本当に面倒くさいな」
俺の呟きに、ユリスが眉を跳ね上げる。
【ユリス】
「お前、そんなこと言える立場だっけ?」
【クロノ】
「さあ、どうだったか」
【ユリス】
「んなこと聞いてないんだよ。やるの? やらないの? 答えろ!」
【クロノ】
「長への正式報告を取り下げて」
【クロノ】
「間違った噂を流してすみませんって、全員の前で謝るんだっけ?」
【ユリス】
「そう。簡単でしょ?」
【ユリス】
「要求してるのは、たったの2つだよ。どう? やれそう?」
浅多と目が合う。
首にあてられた刃は、今にも引かれそうな勢いだ。
土下座だろうが謝罪だろうが、報告を取り下げるのだって、どうってことない。
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「早く決めてよ。こいつの首が吹っ飛んでもいいわけ?」
【浅多 侑思】
「……っ」
薄皮に刃が食い込んだのか、つうっと赤い筋が浅多の首筋を流れ落ちる。
だけどのその瞳は、俺に向かって、そんなことはしなくていいと伝えていた。
もっと言うならおそらく『僕のことは気にするな』だ。
俺の都合のいい解釈だというなら、その方がよほど良かった。
目を見ただけで感情がわかるまでに、俺は浅多のことを知ってしまった。
これじゃもう、引き返せない。
ユリスが、焦れたように質問を繰り返すのと、俺が口を開くのは、ほぼ同時だった。
【クロノ】
「それをやれば、浅多を解放するのか?」
ユリスの目が輝いて、嬉々として浅多の首に鎌を押し当てる。
【ユリス】
「そうだよ! お前がやるとさえ言えば、こいつは解放してやるよ」
【クロノ】
「……なら」
【浅多 侑思】
「やめっ……」
叫びかけた浅多を見下ろして、ユリスが性悪そうに口元を歪める。
【ユリス】
「あ、やーめた」
【ユリス】
「さっきの交換条件じゃ、俺に不利すぎるよね」
【ユリス】
「だって、地位も名誉もプライドも、お前のどうでもいいものベストスリーじゃん」
俺は心の中で、舌打ちする。
浅多が俺に呼びかけたことが、ユリスの心変わりのきっかけになったとは思わないけど。
いずれにせよ、気持ちはありがたいものの、今ばかりはタイミングが悪かったのかもしれない。
【ユリス】
「そうだなぁ、……わかった、アレにしよ」
【ユリス】
「なあ、クロノ」
心底楽しそうに身を屈めて、ユリスが問うた。
【ユリス】
「お前、俺に絶対服従して、下僕になるって誓えよ」
【浅多 侑思】
「……!?」
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「そうしたらこいつは助けてやるし、リビドーをばら撒くのもやめてあげるよ」
「それでも壊れず立ってるんだから、流石としか言いようがないよ。
褒めてあげる」
【クロノ】
「……いらない」
【ユリス】
「は? ごめん、聞こえなかった」
もう一度はっきりと告げる
【クロノ】
「「お前の賛辞は必要ない。これは俺と浅多の問題だ」
【クロノ】
「とりあえずさ、消えてくれない?」
ユリスは、驚いたように目を見開いて、それから顔を歪めるという不可解な反応をした。
【ユリス】
「あっそう! じゃあ逆に叱ってやるよ!」
すぐに鎌を生成させて、飛びかかってくるユリスから飛び退いて。
小声で、じーさん宜しくと呟いた。
返事が聞こえて、一秒の間に、浅多を囲む透明な壁が出現する。
刃と刃をぶつかる音が響き渡る。
【ユリス】
「くっ……」
ユリスの顔が苦しそうに歪む。
その目が俺の目を見て、うっとりしたように曲がった。
【ユリス】
「……お前って、キレると瞳の色少し変わるんだよね」
そんなことどうでもいい。
ただ、下らないことを見てる余裕はあるのかと、俺の怒りを増大させる効果はあった。
そのまま容赦なく刃を押し返して、ユリスの鎌を弾き飛ばす。
手から離れた鎌は、粒子になって消えた。
ユリスは空高く舞い上がり、手首を振っている。
【ユリス】
「ふーっ……相変わらず馬鹿力。その体のどこに、んな力があるわけ?」
【ユリス】
「マジで、いい男だよ、お前」
【クロノ】
「褒めてる場合?俺はお前を殺す気でいるのに」
【ユリス】
「全然構わない。興味が無いよりは嫌いの方がマシだからね」
言ってる意味がわからないが、今はとにかく、浅多のことが心配だ。
【クロノ】
「浅多はどうやったら目覚める」
【ユリス】
「無理やり聞き出しなよ。今みたいに力にもの言わせてさ」
【クロノ】
「そうしようと思ったけど時間がもったいない」
ピクリとユリスの肩が揺れる。
【クロノ】
「自発的に言ってくれる方が時間短縮になる」
【クロノ】
「お前に構ってる時間すらもったいない」
【ユリス】
「―――今の言葉、後悔するなよ!」
ユリスの姿が消えたと思ったら、いつの間にか地上に降りていて。
じいが作ってくれた、浅多を囲んでいるシールドの中にいた。
【クロノ】
「なっ…!?」
【ユリス】
「このリビドーに悪夢を設定したの俺なんだから、じじいのシールドなんて俺には無意味だよ。残念だったねー」
【ユリス】
「ねえ、クロノ、夢の中で死んだらどうなると思う?」
ユリスが、浅多の首に切っ先を当てたままで笑う。
落ち着け。
あいつの狙いはおそらく、俺の動揺のはずだ。
だから必死で感情を殺す。
【クロノ】
「さあ」
【ユリス】
「ふふ、ポーカーフェイスが少し崩れてるよ」
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「はははは! いいもの見れたね!気分がいいから教えてあげる」
【ユリス】
「心が死ぬんだよな、実は」
【クロノ】
「ふーん」
心が死ぬということの重大さを、理解できなかったわけじゃない。
弱みを見せたら絶対につけ込まれる。こいつはそういう性格だ。
大丈夫だ。
たかが夢の中で死んだくらいで、実際に死ぬはずがない。
【ユリス】
「あ、もしかして、そんなバカなことがあってたまるかとか思ってる?」
【ユリス】
「でも本当なんだよね、これが」
【ユリス】
「リビドーは、脳波を無理矢理動かす装置だからさー。普通の夢とはシステムが違う」
【ユリス】
「脳波が狂えば脳も狂う。それって心の死なんだよ。わかる?」
【クロノ】
「で、人質か」
ユリスは言葉を失い……鬼神のような表情で俺を睨んだ。
【ユリス】
「……その飄々としたツラ、むかつくんだよ!」
むかつくと言われてもどうしようもない。
ツラが飄々としてるのは生まれつきだと言い返したかったけど。
今は何を言っても火に油を注ぐだけだと、冷静に考える。
正直なところ、浅多が人質になっているという状況に、今すぐ斬りかかりたい気持ちだけど。
何とか冷静に努めて、口を開く。
【クロノ】
「点数稼ぎがそんなに大事なのか」
俺の言葉にきょとんとしたユリスは、嬉しそうに口を開く。
【ユリス】
「最初は魂狩りの点数稼ぎが目的だったけど……。後は、ただの暇潰し?」
その時―――浅多の瞼が動いて、薄く目を開ける。
そして何かを言おうとしたが、黙れと言わんばかりに首に鎌を強く当てられて、言葉を飲む。
【ユリス】
「あとは、いつも退屈そうなお前を愉しませてやろうと思ってさ」
【ユリス】
「気付いてた? お前の管轄内の人間中心にリビドーを送りつけてたこと」
【ユリス】
「つか今はもうそういう次元じゃないかもね」
【ユリス】
「そうだな、まずは長への正式報告を取りやめてもらおっかな」
【ユリス】
「今ならお前とじじいの勘違いで済むだろうし」
【ユリス】
「間違った噂を流してすみませんって、全員の前で謝って」
口をつぐんでいる浅多が、驚いたようにユリスを見上げて。
まるで俺の代わりのように、奴を睨みつける。
……自分がそんな状況なのに、俺の心配をするのか。
だから俺も今、激昂するのを堪えられたんだと思う。
まったく、お人好しというか、なんというか。
【クロノ】
「寂しいのに寂しいって言えないガキか……、本当に面倒くさいな」
俺の呟きに、ユリスが眉を跳ね上げる。
【ユリス】
「お前、そんなこと言える立場だっけ?」
【クロノ】
「さあ、どうだったか」
【ユリス】
「んなこと聞いてないんだよ。やるの? やらないの? 答えろ!」
【クロノ】
「長への正式報告を取り下げて」
【クロノ】
「間違った噂を流してすみませんって、全員の前で謝るんだっけ?」
【ユリス】
「そう。簡単でしょ?」
【ユリス】
「要求してるのは、たったの2つだよ。どう? やれそう?」
浅多と目が合う。
首にあてられた刃は、今にも引かれそうな勢いだ。
土下座だろうが謝罪だろうが、報告を取り下げるのだって、どうってことない。
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「早く決めてよ。こいつの首が吹っ飛んでもいいわけ?」
【浅多 侑思】
「……っ」
薄皮に刃が食い込んだのか、つうっと赤い筋が浅多の首筋を流れ落ちる。
だけどのその瞳は、俺に向かって、そんなことはしなくていいと伝えていた。
もっと言うならおそらく『僕のことは気にするな』だ。
俺の都合のいい解釈だというなら、その方がよほど良かった。
目を見ただけで感情がわかるまでに、俺は浅多のことを知ってしまった。
これじゃもう、引き返せない。
ユリスが、焦れたように質問を繰り返すのと、俺が口を開くのは、ほぼ同時だった。
【クロノ】
「それをやれば、浅多を解放するのか?」
ユリスの目が輝いて、嬉々として浅多の首に鎌を押し当てる。
【ユリス】
「そうだよ! お前がやるとさえ言えば、こいつは解放してやるよ」
【クロノ】
「……なら」
【浅多 侑思】
「やめっ……」
叫びかけた浅多を見下ろして、ユリスが性悪そうに口元を歪める。
【ユリス】
「あ、やーめた」
【ユリス】
「さっきの交換条件じゃ、俺に不利すぎるよね」
【ユリス】
「だって、地位も名誉もプライドも、お前のどうでもいいものベストスリーじゃん」
俺は心の中で、舌打ちする。
浅多が俺に呼びかけたことが、ユリスの心変わりのきっかけになったとは思わないけど。
いずれにせよ、気持ちはありがたいものの、今ばかりはタイミングが悪かったのかもしれない。
【ユリス】
「そうだなぁ、……わかった、アレにしよ」
【ユリス】
「なあ、クロノ」
心底楽しそうに身を屈めて、ユリスが問うた。
【ユリス】
「お前、俺に絶対服従して、下僕になるって誓えよ」
【浅多 侑思】
「……!?」
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「そうしたらこいつは助けてやるし、リビドーをばら撒くのもやめてあげるよ」
