[本編] 浅多 侑思 編
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【ユリス】
「……」
俺は、潜伏先に戻り、パソコン画面に向かった。
だけどいつも通り、落ち着いて作業ができない。
【ユリス】
「クソッ!」
その辺にあった書類をばら撒くけど、まったく気が晴れない。
【ユリス】
「なんでこんなことになった……ちょっと魂を多く狩りたかっただけじゃんかよ……」
さっき見た、クロノとクソ忌々しい人間風情が仲良く歩いている光景が頭の中から離れない。
【ユリス】
「人間なんかに肩入れしやがって。……ふざけんなよ、俺のことは無視するくせに……!!」
【ユリス】
「そんなに人間といちゃつきたいなら、そうなるようにしてやるよ……」
パソコンのキーを叩いて、LIPに改良型の悪夢プログラムを注入する。
改良型。そういうタイトルだが……正確には改悪型だな。
【ユリス】
「せいぜい足掻け!! 苦しめ!!あははははは!!」
クロノが仲良くしている人間の部屋へと行き、本棚を蹴りつける。
そして、棚から転がり落ちたリビドーを拾い上げ、改悪型にすり替えた
【浅多 侑思】
「……ん?」
リビドーが落ちていた。
見上げると本棚の上から落ちてきたようだ。
……何故本棚からリビドーが落ちてくるんだ?
それにしても、あいつと出会ってから、リビドーはどんどん必要なくなっている。
憧憬夢を見たいという欲求は、今はほとんどない。
……今回の事件のユリスが、僕の夢の中にも現れるかもしれないと、
あいつは心配していたが。
こちらが夢を見る機会を、わざわざ待っているとは思えないし。
そもそも、僕のようなただの一般人に危害を加える理由がわからない。
僕はしばらくリビドーを見下ろして―――。
――――。
【浅多 侑思】
「……でも、一度だけなら」
【浅多 侑思】
(これで最後にするから…)
(あいつ、使ったことに怒るかな…)
そして―――装着した。
『いつかそうなりたい自分』を夢で見ることが出来ればいい。
今なら、それを目標にして、頑張れる気がする。
前向きな気持ちでリビドーを装着した。
……僕はもう夢の世界には依存しない。
完璧になりたいとも思わないし、周囲の人間より抜きん出たいとも思わないのだから。
自分の未熟なところを含めて、好きになりたいと思っているのだから。
だけど、こんなところをあいつが見たら、怒るかもしれない。
それならそれでいい。
あいつになら、怒られても嫌じゃないし苦痛もないだろう。
――だけど。
その時、あいつは、僕のことをどう思うのだろう。
また夢に逃げるのか。まだ死にたいのかと軽蔑するのだろうか。
それとももう、お前なんかどうでもいいと
突き放すのだろうか。
僕はその誤解を、本当に解けるのか?
僕達は、そこまで深い信頼関係を築けているか?
……僕は、普段からあいつに
どう思われているのだろう。
一緒にいると不思議と落ち着くし、体に触れられても嫌ではないし、
むしろ心地いい。
僕のこの感情は言葉には表せないけれど、おおまかに分類すると、好意だ。
だけどあいつは?その口から、何も聞いたことはない。
あいつが以前仕事で担当していたという、自殺してしまったという、あの人物。
そいつのことの方が、大事なんじゃないか?
―――僕と一緒にいる、その時も。
【クロノ】
「お前、またリビドーを使ったのか」
【浅多 侑思】
「あ……」
目の前に死神がいる。
だが、夢なのか現実なのか、まだ判別できない。
見上げたその表情には、軽蔑の感情が浮かんでいて、
僕は息を飲んだ。
【浅多 侑思】
「待て、誤解するな。今なら穏やかな夢が見れると思って―――」
【クロノ】
「だから、そういう期待を夢に求めるなと言ってるんだ」
押し殺したような死神の声に、全身から血の気が引いていく。
【浅多 侑思】
「……っ正論だが、僕はもうリビドーには依存しないと誓える!」
死神が鼻で笑う。
【クロノ】
「なら、神にかけて誓え。今ここで」
【浅多 侑思】
「……神にかけて、誓おう」
だけど、死神の冷たい表情は変わらなかった。
【クロノ】
「俺は神に会ったことがある。神社なんかに祀られてるモノ達に、直接な」
【クロノ】
「彼らは言ってた。誓いは、立てた側が勝手にやることで、
自分達は見守るだけだと」
【クロノ】
「神にかけて誓わなければ天罰は下らないが、神にかけて誓った場合は、果たさなければ天罰が下る」
【クロノ】
「お前、神にかけて誓ったな?」
気がつくと、死神の後ろに誰かがいて、背後からを両手を伸ばし―――
死神の顎を優しく掴んで振り向かせ、口付けをした。
そして死神の体を激しく掻き抱きながら、僕に笑いかける。
彼の顔は、なかった。
【ユリス】
「けど、今使っちゃってるからね―――天罰だよ」
【クロノ】
「はー……疲れた」
【アンク】
「もう少しで資料もまとまります。もう一踏ん張りですぞ」
【クロノ】
「こういう地道な作業嫌い。面倒臭いしすぐ飽きるし……」
俺は、死神界に戻って、今回の報告書作成に取り掛かっていた。
じいが淹れてくれたお茶をすすりながら、お茶菓子を頬張る。
【アンク】
「最近よく食べておられますが、どうしたのです? 飲み物くらいなら前から嗜んでおられましたが」
【クロノ】
「前に、浅多のとこで見よう見まねで料理したんだけど、なんか食事って行為に興味が出て」
【クロノ】
「栄養にはならないけど味覚はあるし。使わないともったいないって思い直した」
【アンク】
「なるほど」
じいもつられてお茶菓子を食べ、これはなかなかと、満更でもないようだった。
そうして休憩を挟んだ後、再び机に向かう。
【クロノ】
「それにしてもユリス、どこに隠れてると思う?」
【アンク】
「こちらでも探していますが、まだ見つかりません」
【アンク】
「やり残したことでもあるのでしょう」
【クロノ】
「……人間界は探した?」
【アンク】
「ええ。ターゲットの近辺も見張らせています」
【クロノ】
「……報告は?」
【アンク】
「まだ何も」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「不満そうな顔ですな。下っ端の護衛では、安心できないとみました」
【クロノ】
「だって仕方ないだろ。四六時中見張ってるわけじゃないだろうし」
【アンク】
「では、戻りましょう」
あっけなく立ち上がったじいを、ぼんやりと見上げる。
【クロノ】
「……いいの?」
「……」
俺は、潜伏先に戻り、パソコン画面に向かった。
だけどいつも通り、落ち着いて作業ができない。
【ユリス】
「クソッ!」
その辺にあった書類をばら撒くけど、まったく気が晴れない。
【ユリス】
「なんでこんなことになった……ちょっと魂を多く狩りたかっただけじゃんかよ……」
さっき見た、クロノとクソ忌々しい人間風情が仲良く歩いている光景が頭の中から離れない。
【ユリス】
「人間なんかに肩入れしやがって。……ふざけんなよ、俺のことは無視するくせに……!!」
【ユリス】
「そんなに人間といちゃつきたいなら、そうなるようにしてやるよ……」
パソコンのキーを叩いて、LIPに改良型の悪夢プログラムを注入する。
改良型。そういうタイトルだが……正確には改悪型だな。
【ユリス】
「せいぜい足掻け!! 苦しめ!!あははははは!!」
クロノが仲良くしている人間の部屋へと行き、本棚を蹴りつける。
そして、棚から転がり落ちたリビドーを拾い上げ、改悪型にすり替えた
【浅多 侑思】
「……ん?」
リビドーが落ちていた。
見上げると本棚の上から落ちてきたようだ。
……何故本棚からリビドーが落ちてくるんだ?
それにしても、あいつと出会ってから、リビドーはどんどん必要なくなっている。
憧憬夢を見たいという欲求は、今はほとんどない。
……今回の事件のユリスが、僕の夢の中にも現れるかもしれないと、
あいつは心配していたが。
こちらが夢を見る機会を、わざわざ待っているとは思えないし。
そもそも、僕のようなただの一般人に危害を加える理由がわからない。
僕はしばらくリビドーを見下ろして―――。
――――。
【浅多 侑思】
「……でも、一度だけなら」
【浅多 侑思】
(これで最後にするから…)
(あいつ、使ったことに怒るかな…)
そして―――装着した。
『いつかそうなりたい自分』を夢で見ることが出来ればいい。
今なら、それを目標にして、頑張れる気がする。
前向きな気持ちでリビドーを装着した。
……僕はもう夢の世界には依存しない。
完璧になりたいとも思わないし、周囲の人間より抜きん出たいとも思わないのだから。
自分の未熟なところを含めて、好きになりたいと思っているのだから。
だけど、こんなところをあいつが見たら、怒るかもしれない。
それならそれでいい。
あいつになら、怒られても嫌じゃないし苦痛もないだろう。
――だけど。
その時、あいつは、僕のことをどう思うのだろう。
また夢に逃げるのか。まだ死にたいのかと軽蔑するのだろうか。
それとももう、お前なんかどうでもいいと
突き放すのだろうか。
僕はその誤解を、本当に解けるのか?
僕達は、そこまで深い信頼関係を築けているか?
……僕は、普段からあいつに
どう思われているのだろう。
一緒にいると不思議と落ち着くし、体に触れられても嫌ではないし、
むしろ心地いい。
僕のこの感情は言葉には表せないけれど、おおまかに分類すると、好意だ。
だけどあいつは?その口から、何も聞いたことはない。
あいつが以前仕事で担当していたという、自殺してしまったという、あの人物。
そいつのことの方が、大事なんじゃないか?
―――僕と一緒にいる、その時も。
【クロノ】
「お前、またリビドーを使ったのか」
【浅多 侑思】
「あ……」
目の前に死神がいる。
だが、夢なのか現実なのか、まだ判別できない。
見上げたその表情には、軽蔑の感情が浮かんでいて、
僕は息を飲んだ。
【浅多 侑思】
「待て、誤解するな。今なら穏やかな夢が見れると思って―――」
【クロノ】
「だから、そういう期待を夢に求めるなと言ってるんだ」
押し殺したような死神の声に、全身から血の気が引いていく。
【浅多 侑思】
「……っ正論だが、僕はもうリビドーには依存しないと誓える!」
死神が鼻で笑う。
【クロノ】
「なら、神にかけて誓え。今ここで」
【浅多 侑思】
「……神にかけて、誓おう」
だけど、死神の冷たい表情は変わらなかった。
【クロノ】
「俺は神に会ったことがある。神社なんかに祀られてるモノ達に、直接な」
【クロノ】
「彼らは言ってた。誓いは、立てた側が勝手にやることで、
自分達は見守るだけだと」
【クロノ】
「神にかけて誓わなければ天罰は下らないが、神にかけて誓った場合は、果たさなければ天罰が下る」
【クロノ】
「お前、神にかけて誓ったな?」
気がつくと、死神の後ろに誰かがいて、背後からを両手を伸ばし―――
死神の顎を優しく掴んで振り向かせ、口付けをした。
そして死神の体を激しく掻き抱きながら、僕に笑いかける。
彼の顔は、なかった。
【ユリス】
「けど、今使っちゃってるからね―――天罰だよ」
【クロノ】
「はー……疲れた」
【アンク】
「もう少しで資料もまとまります。もう一踏ん張りですぞ」
【クロノ】
「こういう地道な作業嫌い。面倒臭いしすぐ飽きるし……」
俺は、死神界に戻って、今回の報告書作成に取り掛かっていた。
じいが淹れてくれたお茶をすすりながら、お茶菓子を頬張る。
【アンク】
「最近よく食べておられますが、どうしたのです? 飲み物くらいなら前から嗜んでおられましたが」
【クロノ】
「前に、浅多のとこで見よう見まねで料理したんだけど、なんか食事って行為に興味が出て」
【クロノ】
「栄養にはならないけど味覚はあるし。使わないともったいないって思い直した」
【アンク】
「なるほど」
じいもつられてお茶菓子を食べ、これはなかなかと、満更でもないようだった。
そうして休憩を挟んだ後、再び机に向かう。
【クロノ】
「それにしてもユリス、どこに隠れてると思う?」
【アンク】
「こちらでも探していますが、まだ見つかりません」
【アンク】
「やり残したことでもあるのでしょう」
【クロノ】
「……人間界は探した?」
【アンク】
「ええ。ターゲットの近辺も見張らせています」
【クロノ】
「……報告は?」
【アンク】
「まだ何も」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「不満そうな顔ですな。下っ端の護衛では、安心できないとみました」
【クロノ】
「だって仕方ないだろ。四六時中見張ってるわけじゃないだろうし」
【アンク】
「では、戻りましょう」
あっけなく立ち上がったじいを、ぼんやりと見上げる。
【クロノ】
「……いいの?」
