[本編] 浅多 侑思 編
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浅多は、さっきから引っ切り無しに眼鏡や手を触っていて、とても緊張しているようだ。
移動方法は、もちろん普通に電車と徒歩。
折角の機会だったので、俺も人間の姿に扮して一緒にここまで来た。
【クロノ】
「ここに来るのは学生の時以来……なんだっけ?」
【浅多 侑思】
「……ああ」
――昨夜、俺達はこんな会話をした。
【クロノ】
「親と話せばいい。お前のトラウマの起点は親だろ。……夢で見た」
【浅多 侑思】
「……これは、人に指図されることじゃない」
相変わらずの意地っ張りに、頭を抱えながら、なんと言って説き伏せようかと考える。
こいつなら、理屈で説明すればきっと納得するだろうとは思うけど。
『トラウマを克服することは俺にも利があるから』と言うのは誤解を生みそうで、言えなかった。
個人的にも、浅多が楽になれればいいとは思ってるから。……ほんの少しだけな。
リビドーを必要としなくなることは、俺の仕事の終わりと、俺達の別れを意味する。
だけど―――こいつが幸せになれるなら、そんなのどうでもいいと思える。……ちょっとだけ。
なんとかこいつが納得できるような理由を探していると、浅多がぼそっと呟いた。
【浅多 侑思】
「でも名案だとは、思う。問題はひとつずつ片付けるものだ」
【クロノ】
「……実家に最後に帰ったのはいつ」
【浅多 侑思】
「……就職したのと同時に家を出たっきりだ」
家族と折り合いが悪かったのなら仕方ないか。
【クロノ】
「そう不安がるな、俺もついてく」
話を隣で聞かれることは、さすがに嫌だったのか、激しく拒否されたけど。
姿を消すことを条件に、首を縦に振らせた。
前もって連絡をしていたけれど、インターホンを押しても返事はなかった。
だけどすぐに玄関が開き、母が慌てた様子で出てきて―――。
じっと俺を見詰めた後―――
【母】
「…おかえりなさい」
それは嬉しそうに微笑んだ。
10年振りに見た母の笑顔には、皺が増えていた。
【母】
「お父さんも待ってたのよ」
靴を脱いでいる時に聞こえた母の小さなに言葉に振り返ると――僕を叱った時の神経質そうな母の面影は、どこにもなかった。
そのままリビングへと通された。
母に出されたお茶と向かい合ったまま、僕は居間で正座をする。
それは、テストであまり良くない点数を取った時に、決まってさせられていた格好だった。
嫌な記憶が頭にチラついて、落ち着かない。
……しばらくして現れた父の姿は、随分小さくなっているように思えた。
【父】
「……胃の調子が良くなくてな」
しゃがれ声で呟きながら、僕の前に胡座を掻いて座り―――。
【父】
「調子は…どうだ」
湯呑みを傾けながら問われた言葉に僕は正直に今の現状を話した。
自分が狙っていたポストに就けなかったことを。
【父】
「…そうか」
僕の話に一言だけ返すと、口を閉じた。
そして―――不意に閉じていた口を静かに開いた。
【父】
「何年経っても、お前が実家に寄りつかないから、実家に帰りたくない理由でもあるんだろうと……私なりに考えていた」
【父】
「……思い返せば、お前がこの家で笑っていたのは…本当に小さい頃だけだったな…」
【父】
「あとはずっと、私に怯えていた事に今更気付いたんだ……今まで本当に、すまなかったな」
【父】
「ずっと気にしていたのだろう…少し厳しくし過ぎたのかもしれないな……」
【父】
「お前も、もう大人になったんだ…お前の好きなようにしなさい」
【父】
「…無理をして身体を壊したりするなよ。……それと、年末年始くらいは帰ってきなさい。私も母さんも…お前の事が心配だから、な」
父の言葉に母も笑顔で相づちを打っていた。
その後、2人が懐かしそうに語るのは、僕の幼いころの話だったり、厳しく育てられた頃の話だった……本当に様々な事を話していた。
厳しく育てられた頃の話をするときに、母は何度も「ごめんね」と苦しそうな顔をして謝ってきた。
父は、目を閉じて眉間に皺を寄せていたが…閉じられた目から流れ落ちて行く透明な雫を見て、心が軽くなった気がした。
―――厳しく育てられた頃は、本当に辛い日々だったが、
―――こうして、両親と和解できたことが何よりも嬉しかった。
―――だって、もう両親と笑って話せることはできないと思っていたから。
思い出話の中で、父と母も目に涙を溜めており…僕もそんな姿の二人を見て、瞳が潤んできて―――。
―――静かに涙を流した。
【浅多 侑思】
(死神のおかげで、和解出来た…)
僕は隣にいる死神をチラリと横目で見ると―――、死神は僕の隣で、優しく微笑んでいた。
移動方法は、もちろん普通に電車と徒歩。
折角の機会だったので、俺も人間の姿に扮して一緒にここまで来た。
【クロノ】
「ここに来るのは学生の時以来……なんだっけ?」
【浅多 侑思】
「……ああ」
――昨夜、俺達はこんな会話をした。
【クロノ】
「親と話せばいい。お前のトラウマの起点は親だろ。……夢で見た」
【浅多 侑思】
「……これは、人に指図されることじゃない」
相変わらずの意地っ張りに、頭を抱えながら、なんと言って説き伏せようかと考える。
こいつなら、理屈で説明すればきっと納得するだろうとは思うけど。
『トラウマを克服することは俺にも利があるから』と言うのは誤解を生みそうで、言えなかった。
個人的にも、浅多が楽になれればいいとは思ってるから。……ほんの少しだけな。
リビドーを必要としなくなることは、俺の仕事の終わりと、俺達の別れを意味する。
だけど―――こいつが幸せになれるなら、そんなのどうでもいいと思える。……ちょっとだけ。
なんとかこいつが納得できるような理由を探していると、浅多がぼそっと呟いた。
【浅多 侑思】
「でも名案だとは、思う。問題はひとつずつ片付けるものだ」
【クロノ】
「……実家に最後に帰ったのはいつ」
【浅多 侑思】
「……就職したのと同時に家を出たっきりだ」
家族と折り合いが悪かったのなら仕方ないか。
【クロノ】
「そう不安がるな、俺もついてく」
話を隣で聞かれることは、さすがに嫌だったのか、激しく拒否されたけど。
姿を消すことを条件に、首を縦に振らせた。
前もって連絡をしていたけれど、インターホンを押しても返事はなかった。
だけどすぐに玄関が開き、母が慌てた様子で出てきて―――。
じっと俺を見詰めた後―――
【母】
「…おかえりなさい」
それは嬉しそうに微笑んだ。
10年振りに見た母の笑顔には、皺が増えていた。
【母】
「お父さんも待ってたのよ」
靴を脱いでいる時に聞こえた母の小さなに言葉に振り返ると――僕を叱った時の神経質そうな母の面影は、どこにもなかった。
そのままリビングへと通された。
母に出されたお茶と向かい合ったまま、僕は居間で正座をする。
それは、テストであまり良くない点数を取った時に、決まってさせられていた格好だった。
嫌な記憶が頭にチラついて、落ち着かない。
……しばらくして現れた父の姿は、随分小さくなっているように思えた。
【父】
「……胃の調子が良くなくてな」
しゃがれ声で呟きながら、僕の前に胡座を掻いて座り―――。
【父】
「調子は…どうだ」
湯呑みを傾けながら問われた言葉に僕は正直に今の現状を話した。
自分が狙っていたポストに就けなかったことを。
【父】
「…そうか」
僕の話に一言だけ返すと、口を閉じた。
そして―――不意に閉じていた口を静かに開いた。
【父】
「何年経っても、お前が実家に寄りつかないから、実家に帰りたくない理由でもあるんだろうと……私なりに考えていた」
【父】
「……思い返せば、お前がこの家で笑っていたのは…本当に小さい頃だけだったな…」
【父】
「あとはずっと、私に怯えていた事に今更気付いたんだ……今まで本当に、すまなかったな」
【父】
「ずっと気にしていたのだろう…少し厳しくし過ぎたのかもしれないな……」
【父】
「お前も、もう大人になったんだ…お前の好きなようにしなさい」
【父】
「…無理をして身体を壊したりするなよ。……それと、年末年始くらいは帰ってきなさい。私も母さんも…お前の事が心配だから、な」
父の言葉に母も笑顔で相づちを打っていた。
その後、2人が懐かしそうに語るのは、僕の幼いころの話だったり、厳しく育てられた頃の話だった……本当に様々な事を話していた。
厳しく育てられた頃の話をするときに、母は何度も「ごめんね」と苦しそうな顔をして謝ってきた。
父は、目を閉じて眉間に皺を寄せていたが…閉じられた目から流れ落ちて行く透明な雫を見て、心が軽くなった気がした。
―――厳しく育てられた頃は、本当に辛い日々だったが、
―――こうして、両親と和解できたことが何よりも嬉しかった。
―――だって、もう両親と笑って話せることはできないと思っていたから。
思い出話の中で、父と母も目に涙を溜めており…僕もそんな姿の二人を見て、瞳が潤んできて―――。
―――静かに涙を流した。
【浅多 侑思】
(死神のおかげで、和解出来た…)
僕は隣にいる死神をチラリと横目で見ると―――、死神は僕の隣で、優しく微笑んでいた。
