[本編] 浅多 侑思 編
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【浅多 侑思】
「やっ…早い…っ」
自身を握っている手とは違う手で、俺の手を離そうとするが、全く力の入っていない手では俺の手に添えているように見える。
そんな弱々しい抵抗など気にせず、そのまま手を激しく動かす。
そして―――
【浅多 侑思】
「ああっ……!」
浅多は俺の手のひらの中に熱を吐き出した。
【クロノ】
「……凄い量」
【浅多 侑思】
「……」
反論する気力もないらしい。
浅多は、服を直しもせず、そっぽを向いたまま動かない。
たっぷりと欲望が付着している掌を顔の前に突き出してやると。
思った通り、浅多は飛び上がって体の向きを変えようとする。
こちらを向いた瞬間に合わせて、それを目の前で全て舐めとってみせると。
浅多の顔が青くなり―――赤くなった。信号みたいだな。
【浅多 侑思】
「だっ、だだだだ出せ!!今すぐ出せ!! それを!!」
【クロノ】
「無理だ。全部飲んだ」
【浅多 侑思】
「そんなバカな……」
しおしおと崩れ落ちそうになる体を支えて、頭を撫でてやる。
【クロノ】
「どうするかは受け取った側の自由。つべこべ言われる筋合いはない」
【クロノ】
「ほら。とにかく、眠くなっただろ?」
【浅多 侑思】
「ますます目が冴えただけだ!!」
【クロノ】
「もうすぐ、すぐに眠くなる」
そのままの体勢で頭ごと抱き寄せると、腕の中で激しく抵抗されたけど。
俺の方が力が強いと知り、ヤケになって諦めたのか、呆気無いほど大人しくなる。
しばらくすると、安らかな寝息が聞こえてきた。
【クロノ】
「……お休み」
そっと体を横たえてやって、穏やかに添い寝をした。
眠るつもりのなかった俺まで、危うく寝てしまいそうになったのは。
謎の安心感のせいだと思う。
目覚めると死神はいなかった。
絶対にタダでは済まさないと眠る前に誓っていただけに、肩透かしを食らった。
…今日も仕事があるので、別の意味で気だるい体を引きずって出社した。
仕事をこなして昼休憩の時間になると、高島田が俺の元にやってきた。
【高島田】
「ちょっと屋上行きません?お話があるんで」
一度きちんと話す必要があるとは思っていたので、すぐに了承して屋上へ向かう。
【高島田】
「あ、風気持ちいいっすね~!」
【浅多 侑思】
「まさか、そんなことを聞かせるために呼んだわけじゃないよな」
【高島田】
「もちろんっす。せっかくだから、浅多さんの知らないこと教えてあげようと思って」
【高島田】
「あのですね、俺もう少しで海外に行くんすよ。ほら、例の海外事業の件で」
【浅多 侑思】
「そうか」
【高島田】
「それで、部署の皆がお祝いで飲み会してくれたんすよ。いや~楽しかった!」
【浅多 侑思】
「そうか」
高島田は口を閉ざして、僕の顔をじっと見ている。
【浅多 侑思】
「なんだ?自慢話をするために呼んだだけか?」
【高島田】
「あれー? おかしいなぁ……」
【浅多 侑思】
「何がおかしいと言うんだ」
高島田の言葉に眉をひそめる。
【浅多 侑思】
「……?」
【高島田】
「いやまあ、こっちの話なんすけどー。つーか、何余裕ぶってんですかね、浅多さん」
【浅多 侑思】
「は?」
風に乱される髪をいじっている高島田の目付きは、なんだか少し僕に似ている気がする。
【高島田】
「いつもみたいにあの、俺のことチョー憎んでますって顔、してくださいよ」
【高島田】
「気付いてないと思ったんすか?俺の営業成績とか見るときのあんたの顔、やばいっすよ」
【高島田】
「何かに取り憑かれたみたいな、鬼みたいな顔してるんすよ。でもね俺、その顔見るの好きだったんですよね」
【高島田】
「あー、この人と同じ人生歩んでなくて良かったなーって」
【高島田】
「プライドだけは高いくせに肝心なところでヘマして、他の人を羨むだけの人生なんて真っ平っすわ」
【高島田】
「あー、俺は俺でよかったなって思います、マジで」
【クロノ】
「言いたいことはそれだけか?」
フェンスの上から声が聞こえて、見上げると死神が座っている。
高島田にも姿が見えるのか、少し驚いたように死神を見た。
僕は死神から視線を逸らすことなく、死神と目を合わせたまま口を開く。
高島田に向かって。死神に向かって。
―――僕自身に向かって。
【浅多 侑思】
「確かに僕は要領のいいお前を恨んでいたし、いつか会社の奴等を見返してやると思ってた」
【浅多 侑思】
「でも今はなぜだろう、そんな気がどんどん消えていっている」
死神は、まだフェンスの上にいる。
彼に語りかけるように、俺は微笑んだ。
【浅多 侑思】
「僕は僕で良かった、か。……今は、いい言葉だなと思う」
そう言い残し、俺1人屋上を去った。
ドアが閉まる前に振り向くと、死神が笑って、消えたような気がした。
浅多の自室を訪れると、待っていたかのようにベッドの上に行儀よく座っていた。
奴も俺も、目を合わせたまま何も言わない。だけど今は言葉なんて必要ないのかもしれない。
浅多に近付いて、目の前に屈むと。
どちらからともなく唇が近付いて―――軽く触れ合った。
それはすぐに離れたが、話せば微かに唇が触れる距離を挟んだまま、互いに身を引こうとはしない。
【クロノ】
「今回は抵抗しないのか」
【浅多 侑思】
「……自分でもよく理解できないんだが、困惑は……している」
【浅多 侑思】
「お前も僕も男だし、お前は死神だ。こんな……非科学的なこと、絶対に認められなかったのに」
【浅多 侑思】
「僕は一体、どうしてしまったんだろうな」
そこまで言って、浅多は力無く瞼を伏せる。
【浅多 侑思】
「それだけじゃない。僕が囚われていたのは、どうしようもない過去だったのに」
【浅多 侑思】
「世間に対する憎しみも薄れてきている」
【クロノ】
「……なるほど」
こいつは変わってきているのか。だけどそれは、俺も一緒だな。
人間には肩入れしないと決めたのに、気づけばこんなところまで来てしまった。
無気力だけが特徴のようなこの俺が、お前に対してどれほど多くの感情を抱いているか。
……お前はきっと、一生知らないままなんだろう。俺が何も言わない限り。
いつの間にか湿っぽくなっている心の中を整理して。
仕事なのだからと言い聞かせ、今すべきことを考える。
俺は今までの浅多の言動を鑑みて、結論に至り、身を乗り出す。
【クロノ】
「お前さ、実家に帰省してみたら」
【浅多 侑思】
「……は?」
次の日の昼、俺達は浅多の実家の前に来ていた。
手入れの行き届いた庭先のある、きれいな一軒家だ。
「やっ…早い…っ」
自身を握っている手とは違う手で、俺の手を離そうとするが、全く力の入っていない手では俺の手に添えているように見える。
そんな弱々しい抵抗など気にせず、そのまま手を激しく動かす。
そして―――
【浅多 侑思】
「ああっ……!」
浅多は俺の手のひらの中に熱を吐き出した。
【クロノ】
「……凄い量」
【浅多 侑思】
「……」
反論する気力もないらしい。
浅多は、服を直しもせず、そっぽを向いたまま動かない。
たっぷりと欲望が付着している掌を顔の前に突き出してやると。
思った通り、浅多は飛び上がって体の向きを変えようとする。
こちらを向いた瞬間に合わせて、それを目の前で全て舐めとってみせると。
浅多の顔が青くなり―――赤くなった。信号みたいだな。
【浅多 侑思】
「だっ、だだだだ出せ!!今すぐ出せ!! それを!!」
【クロノ】
「無理だ。全部飲んだ」
【浅多 侑思】
「そんなバカな……」
しおしおと崩れ落ちそうになる体を支えて、頭を撫でてやる。
【クロノ】
「どうするかは受け取った側の自由。つべこべ言われる筋合いはない」
【クロノ】
「ほら。とにかく、眠くなっただろ?」
【浅多 侑思】
「ますます目が冴えただけだ!!」
【クロノ】
「もうすぐ、すぐに眠くなる」
そのままの体勢で頭ごと抱き寄せると、腕の中で激しく抵抗されたけど。
俺の方が力が強いと知り、ヤケになって諦めたのか、呆気無いほど大人しくなる。
しばらくすると、安らかな寝息が聞こえてきた。
【クロノ】
「……お休み」
そっと体を横たえてやって、穏やかに添い寝をした。
眠るつもりのなかった俺まで、危うく寝てしまいそうになったのは。
謎の安心感のせいだと思う。
目覚めると死神はいなかった。
絶対にタダでは済まさないと眠る前に誓っていただけに、肩透かしを食らった。
…今日も仕事があるので、別の意味で気だるい体を引きずって出社した。
仕事をこなして昼休憩の時間になると、高島田が俺の元にやってきた。
【高島田】
「ちょっと屋上行きません?お話があるんで」
一度きちんと話す必要があるとは思っていたので、すぐに了承して屋上へ向かう。
【高島田】
「あ、風気持ちいいっすね~!」
【浅多 侑思】
「まさか、そんなことを聞かせるために呼んだわけじゃないよな」
【高島田】
「もちろんっす。せっかくだから、浅多さんの知らないこと教えてあげようと思って」
【高島田】
「あのですね、俺もう少しで海外に行くんすよ。ほら、例の海外事業の件で」
【浅多 侑思】
「そうか」
【高島田】
「それで、部署の皆がお祝いで飲み会してくれたんすよ。いや~楽しかった!」
【浅多 侑思】
「そうか」
高島田は口を閉ざして、僕の顔をじっと見ている。
【浅多 侑思】
「なんだ?自慢話をするために呼んだだけか?」
【高島田】
「あれー? おかしいなぁ……」
【浅多 侑思】
「何がおかしいと言うんだ」
高島田の言葉に眉をひそめる。
【浅多 侑思】
「……?」
【高島田】
「いやまあ、こっちの話なんすけどー。つーか、何余裕ぶってんですかね、浅多さん」
【浅多 侑思】
「は?」
風に乱される髪をいじっている高島田の目付きは、なんだか少し僕に似ている気がする。
【高島田】
「いつもみたいにあの、俺のことチョー憎んでますって顔、してくださいよ」
【高島田】
「気付いてないと思ったんすか?俺の営業成績とか見るときのあんたの顔、やばいっすよ」
【高島田】
「何かに取り憑かれたみたいな、鬼みたいな顔してるんすよ。でもね俺、その顔見るの好きだったんですよね」
【高島田】
「あー、この人と同じ人生歩んでなくて良かったなーって」
【高島田】
「プライドだけは高いくせに肝心なところでヘマして、他の人を羨むだけの人生なんて真っ平っすわ」
【高島田】
「あー、俺は俺でよかったなって思います、マジで」
【クロノ】
「言いたいことはそれだけか?」
フェンスの上から声が聞こえて、見上げると死神が座っている。
高島田にも姿が見えるのか、少し驚いたように死神を見た。
僕は死神から視線を逸らすことなく、死神と目を合わせたまま口を開く。
高島田に向かって。死神に向かって。
―――僕自身に向かって。
【浅多 侑思】
「確かに僕は要領のいいお前を恨んでいたし、いつか会社の奴等を見返してやると思ってた」
【浅多 侑思】
「でも今はなぜだろう、そんな気がどんどん消えていっている」
死神は、まだフェンスの上にいる。
彼に語りかけるように、俺は微笑んだ。
【浅多 侑思】
「僕は僕で良かった、か。……今は、いい言葉だなと思う」
そう言い残し、俺1人屋上を去った。
ドアが閉まる前に振り向くと、死神が笑って、消えたような気がした。
浅多の自室を訪れると、待っていたかのようにベッドの上に行儀よく座っていた。
奴も俺も、目を合わせたまま何も言わない。だけど今は言葉なんて必要ないのかもしれない。
浅多に近付いて、目の前に屈むと。
どちらからともなく唇が近付いて―――軽く触れ合った。
それはすぐに離れたが、話せば微かに唇が触れる距離を挟んだまま、互いに身を引こうとはしない。
【クロノ】
「今回は抵抗しないのか」
【浅多 侑思】
「……自分でもよく理解できないんだが、困惑は……している」
【浅多 侑思】
「お前も僕も男だし、お前は死神だ。こんな……非科学的なこと、絶対に認められなかったのに」
【浅多 侑思】
「僕は一体、どうしてしまったんだろうな」
そこまで言って、浅多は力無く瞼を伏せる。
【浅多 侑思】
「それだけじゃない。僕が囚われていたのは、どうしようもない過去だったのに」
【浅多 侑思】
「世間に対する憎しみも薄れてきている」
【クロノ】
「……なるほど」
こいつは変わってきているのか。だけどそれは、俺も一緒だな。
人間には肩入れしないと決めたのに、気づけばこんなところまで来てしまった。
無気力だけが特徴のようなこの俺が、お前に対してどれほど多くの感情を抱いているか。
……お前はきっと、一生知らないままなんだろう。俺が何も言わない限り。
いつの間にか湿っぽくなっている心の中を整理して。
仕事なのだからと言い聞かせ、今すべきことを考える。
俺は今までの浅多の言動を鑑みて、結論に至り、身を乗り出す。
【クロノ】
「お前さ、実家に帰省してみたら」
【浅多 侑思】
「……は?」
次の日の昼、俺達は浅多の実家の前に来ていた。
手入れの行き届いた庭先のある、きれいな一軒家だ。
