[本編] 浅多 侑思 編
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―――しかし、良いものを見れた。
顔に出ないようにしたし、冗談で誤魔化したりもしたから―――。
ちょっとムラッとしたのはバレなかったと思う。
……手の早い俺が健気なことだ。我ながら。
風呂から戻ってきた浅多は、リビングに入るなり持っていたバスタオルを落とす。
【浅多 侑思】
「……何をやってる」
【クロノ】
「夕飯を作ってみた」
テーブルの上に乗っている皿を示す。
【クロノ】
「味なら多分問題ない。ネットで分量や調理法を調べたから」
掌の上にパソコンを出現させると、浅多は後ずさり。
念動力で浅多側のイスを引いてやると、頭を抱えた。
【浅多 侑思】
「さっきから聞きたかったんだが、何しに来た?」
【クロノ】
「暫く警護をしようと思う」
浅多が落としたタオルを念動力で拾って、目の高さまで持ち上げてやる。
【浅多 侑思】
「誰の」
【クロノ】
「お前の」
フリーズしたままの浅多に、リビドー関連の不審死事件についての概要を、かいつまんで説明する。
ユリスが俺と同じ死神であることや、それに伴う危険性、俺が警護を行う必要性など。
【浅多 侑思】
「……常軌を逸していて、すぐに納得はできそうにないが状況はわかった」
【クロノ】
「今日は素直だな」
【浅多 侑思】
「そうでもない。―――断る」
またこのやり取りをしなきゃならないのかと思って、盛大に天を仰ぐ。
【クロノ】
「俺が把握している中で他にも数名、寿命が短くなっている奴がいる」
【クロノ】
「それに、相手は死神だから、人間がよってたかっても手に負えない」
【浅多 侑思】
「わかってる」
【クロノ】
「ならなんで―――」
苛つきながら尋ねると、真っ直ぐな瞳が俺を捉えていた。
【浅多 侑思】
「お前が危険な目に遭うかもしれないからだ」
思いがけない言葉に、口を閉ざす。
その時に、浮かせていたタオルが再度床に落ちる。
浅多はタオルを拾ってから、再び俺の目を見つめた。
【浅多 侑思】
「僕の寿命は残り少ない筈だ。どうせ死ぬ人間に、お前の手を煩わせる必要はない」
……まだ言うか。
頬杖をついて睨み返す。
【クロノ】
「お前、俺が似たようなこと言われて怒ったこと、もう忘れたの」
【浅多 侑思】
「忘れてない」
……まただ。俺が予想してない答えと、真摯な眼差しが返ってくる。
【浅多 侑思】
「さっきお前は、寿命が残り少ない人間を他にも数名把握してると言ってたな」
【クロノ】
「……ああ」
【浅多 侑思】
「なら、そっちを優先しろ」
【クロノ】
「……は?」
【浅多 侑思】
「そいつらはまだ間に合うかもしれない」
俺は、浅多から視線を動かせないでいる。
その表情が、変わった。
泣いている我が子を宥めるような笑顔に。
【浅多 侑思】
「だから、僕のことはいい」
感情をやり過ごすために目を瞑って、座ったまま体を大きく曲げる。
―――なんていうか。
この辺一帯、破壊して回りたい気分だな。
【クロノ】
「とりあえず、食べて」
作った夕食を示すと、浅多は何事も無かったかのように瞬きをして、椅子に座る。
浅多が箸を手に取る前に、俺が横から奪う。
そして―――。
【クロノ】
「はい、あーん」
【浅多 侑思】
「な、何をバカなことを…」
【クロノ】
「たくさん食べてね」
箸を浅多に渡す。
礼といただきますを言ってメシを食い、美味しかったとまで言われた挙句、食器まで綺麗に洗われた。
一切の、迷いも後悔もない、至って平素の横顔で。
俺の声の低さには、全く気付かなかったらしい。
【浅多 侑思】
「それで、さっきの話だが」
眠る浅多にくっ付いて行くと、ベッドに入りながら、浅多は口を開いた。
後ろ姿の為、どんな表情をしているのか分からないが…無防備な姿であることはハッキリとしている。
…憧憬夢の中で俺の偽物にも、同じようにしていたんだろうか。
俺がその気になれば、いくらでも好きにできるってこと、忘れてるんだろうか。
……また、イライラしてる自分に気付いて。
それならそれで美味しく頂くけど、と心の中で付け足しておく。
【浅多 侑思】
「もう行っていいぞ」
言いたいことをぐっと堪えて、先に重要なことを告げておく。
【クロノ】
「ユリスも俺と同じ死神だ。だから俺と同様に、いつでもお前の部屋や夢に入ることができる」
【クロノ】
「けど、寝てるお前の身体に、俺が触れていれば…」
【クロノ】
「奴がお前の夢に入ってきたのを察知できる」
【クロノ】
「だから、添い寝が必要。もう行っていいよ、なんてとんでもない」
【クロノ】
「以上。質問は」
奴に言わせれば『常軌を逸した内容』を噛み砕くのに時間が必要だろうから。
返事があるまでじっくり待つ。
しばらくして、浅多は真っ赤になってコクリと頷く。
【クロノ】
「じゃあそういうことだから。お邪魔します」
浅多の体を強引に押しのけてベッドへ潜り込むと、不自然に距離を取られた。
俺がいるせいか、リビドーは使わないようだけど、感心できるのはそこだけ。
【クロノ】
「それで、さっきの話に戻るけど」
【クロノ】
「なんだって? 俺の事は放っておいていいから、他の奴のところに行けって?」
そこで区切り、表情を確かめてやろうと素早く振り返る。
……浅多はやっぱり、真顔だった。
【浅多 侑思】
「ああ」
【クロノ】
「やっぱりまだ死にたいのか」
【浅多 侑思】
「違う」
【クロノ】
「俺がいなくなったら、またリビドーを使うのか」
【浅多 侑思】
「……今は、そうは思わない」
【クロノ】
「やっぱり使う気なんだな」
【浅多 侑思】
「わかってくれ。あれはそう簡単に手放せるものじゃないんだ」
顔に出ないようにしたし、冗談で誤魔化したりもしたから―――。
ちょっとムラッとしたのはバレなかったと思う。
……手の早い俺が健気なことだ。我ながら。
風呂から戻ってきた浅多は、リビングに入るなり持っていたバスタオルを落とす。
【浅多 侑思】
「……何をやってる」
【クロノ】
「夕飯を作ってみた」
テーブルの上に乗っている皿を示す。
【クロノ】
「味なら多分問題ない。ネットで分量や調理法を調べたから」
掌の上にパソコンを出現させると、浅多は後ずさり。
念動力で浅多側のイスを引いてやると、頭を抱えた。
【浅多 侑思】
「さっきから聞きたかったんだが、何しに来た?」
【クロノ】
「暫く警護をしようと思う」
浅多が落としたタオルを念動力で拾って、目の高さまで持ち上げてやる。
【浅多 侑思】
「誰の」
【クロノ】
「お前の」
フリーズしたままの浅多に、リビドー関連の不審死事件についての概要を、かいつまんで説明する。
ユリスが俺と同じ死神であることや、それに伴う危険性、俺が警護を行う必要性など。
【浅多 侑思】
「……常軌を逸していて、すぐに納得はできそうにないが状況はわかった」
【クロノ】
「今日は素直だな」
【浅多 侑思】
「そうでもない。―――断る」
またこのやり取りをしなきゃならないのかと思って、盛大に天を仰ぐ。
【クロノ】
「俺が把握している中で他にも数名、寿命が短くなっている奴がいる」
【クロノ】
「それに、相手は死神だから、人間がよってたかっても手に負えない」
【浅多 侑思】
「わかってる」
【クロノ】
「ならなんで―――」
苛つきながら尋ねると、真っ直ぐな瞳が俺を捉えていた。
【浅多 侑思】
「お前が危険な目に遭うかもしれないからだ」
思いがけない言葉に、口を閉ざす。
その時に、浮かせていたタオルが再度床に落ちる。
浅多はタオルを拾ってから、再び俺の目を見つめた。
【浅多 侑思】
「僕の寿命は残り少ない筈だ。どうせ死ぬ人間に、お前の手を煩わせる必要はない」
……まだ言うか。
頬杖をついて睨み返す。
【クロノ】
「お前、俺が似たようなこと言われて怒ったこと、もう忘れたの」
【浅多 侑思】
「忘れてない」
……まただ。俺が予想してない答えと、真摯な眼差しが返ってくる。
【浅多 侑思】
「さっきお前は、寿命が残り少ない人間を他にも数名把握してると言ってたな」
【クロノ】
「……ああ」
【浅多 侑思】
「なら、そっちを優先しろ」
【クロノ】
「……は?」
【浅多 侑思】
「そいつらはまだ間に合うかもしれない」
俺は、浅多から視線を動かせないでいる。
その表情が、変わった。
泣いている我が子を宥めるような笑顔に。
【浅多 侑思】
「だから、僕のことはいい」
感情をやり過ごすために目を瞑って、座ったまま体を大きく曲げる。
―――なんていうか。
この辺一帯、破壊して回りたい気分だな。
【クロノ】
「とりあえず、食べて」
作った夕食を示すと、浅多は何事も無かったかのように瞬きをして、椅子に座る。
浅多が箸を手に取る前に、俺が横から奪う。
そして―――。
【クロノ】
「はい、あーん」
【浅多 侑思】
「な、何をバカなことを…」
【クロノ】
「たくさん食べてね」
箸を浅多に渡す。
礼といただきますを言ってメシを食い、美味しかったとまで言われた挙句、食器まで綺麗に洗われた。
一切の、迷いも後悔もない、至って平素の横顔で。
俺の声の低さには、全く気付かなかったらしい。
【浅多 侑思】
「それで、さっきの話だが」
眠る浅多にくっ付いて行くと、ベッドに入りながら、浅多は口を開いた。
後ろ姿の為、どんな表情をしているのか分からないが…無防備な姿であることはハッキリとしている。
…憧憬夢の中で俺の偽物にも、同じようにしていたんだろうか。
俺がその気になれば、いくらでも好きにできるってこと、忘れてるんだろうか。
……また、イライラしてる自分に気付いて。
それならそれで美味しく頂くけど、と心の中で付け足しておく。
【浅多 侑思】
「もう行っていいぞ」
言いたいことをぐっと堪えて、先に重要なことを告げておく。
【クロノ】
「ユリスも俺と同じ死神だ。だから俺と同様に、いつでもお前の部屋や夢に入ることができる」
【クロノ】
「けど、寝てるお前の身体に、俺が触れていれば…」
【クロノ】
「奴がお前の夢に入ってきたのを察知できる」
【クロノ】
「だから、添い寝が必要。もう行っていいよ、なんてとんでもない」
【クロノ】
「以上。質問は」
奴に言わせれば『常軌を逸した内容』を噛み砕くのに時間が必要だろうから。
返事があるまでじっくり待つ。
しばらくして、浅多は真っ赤になってコクリと頷く。
【クロノ】
「じゃあそういうことだから。お邪魔します」
浅多の体を強引に押しのけてベッドへ潜り込むと、不自然に距離を取られた。
俺がいるせいか、リビドーは使わないようだけど、感心できるのはそこだけ。
【クロノ】
「それで、さっきの話に戻るけど」
【クロノ】
「なんだって? 俺の事は放っておいていいから、他の奴のところに行けって?」
そこで区切り、表情を確かめてやろうと素早く振り返る。
……浅多はやっぱり、真顔だった。
【浅多 侑思】
「ああ」
【クロノ】
「やっぱりまだ死にたいのか」
【浅多 侑思】
「違う」
【クロノ】
「俺がいなくなったら、またリビドーを使うのか」
【浅多 侑思】
「……今は、そうは思わない」
【クロノ】
「やっぱり使う気なんだな」
【浅多 侑思】
「わかってくれ。あれはそう簡単に手放せるものじゃないんだ」
