[本編] 浅多 侑思 編
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スズメの鳴き声で、目を覚ます。
とても良い夢を見ていたのか、いつものような憂鬱な気分ではない。
ぼんやりしていた頭に不意に蘇った昨夜の映像に飛び起きて、部屋の中を探し回ったが―――。
……死神はいない。
【浅多 侑思】
「……帰った、のか。寂しい、な…」
【浅多 侑思】
「寂しいと感じるなんて…」
死神の姿がないだけでこんな気持ちになるなんて……。
無意識のうちに唇に触れていて、はっとする。
そして、昨夜やったことを思い出して、今更のように赤面する。
―――あいつは男なのに。
いや、それだけじゃない。
あいつは人間ですらない。
なのに、あんな風になるなんて、僕はおかしくなってしまったんじゃないだろうか。
もしかして、リビドーのせいか?
昨日の出来事と、自分の心境を冷静に思い起こしてみる。
【浅多 侑思】
「……いや、違う」
悔しいし、認めたくはないけれど、それだけははっきり言えた。
僕はあの時、望んであいつを受け入れた。
差し出された指を、女のように咥えることで、あいつがそういう気分になればいいと思った。
そして、どうしてもそうしたいと思った。
理屈ではなく体が動いた。勝手に。
……何のために?
出社する時間が迫っていることに気付き、慌てて着替えて家を出た。
電車から降りる頃に、自分が会社で高島田に手を上げたことをようやく思い出す。
そんな重要なことを忘れるほど、死神との出来事が頭の中を占めていたのか。
仕事よりプライベートを優先するなんて、今までに一度だってなかったのに。
半ば呆れながら、会社へ向かう。
―――どうしてだろう、気分が軽い。
失態を犯した二日後だとはとても思えない。
出社すると早速白い目が向けられたが、無視して席へ向かう。
すると、既に出勤したいた高島田がヒョコヒョコと近寄ってきて、僕の肩を叩く。
【高島田】
「おはようございまっす」
【浅多 侑思】
「おはよう」
【高島田】
「一昨日のあれ、なんだったんスか~?超怖かったっスけど」
嫌味ったらしく覗き込んでくる顔を見返す。
……不思議だ。一昨日は、殺したいほどこの顔に苛ついたのに。
これだけ露骨に煽られていても、まったくどうでもいい。
こいつは確かに契約数は僕より多いが、小規模の契約しか取れていない。
海外事業部のマネージャーに抜擢されたのだって、単純に契約数だけを評価されたんだろう。
それに、こいつが僕よりも仕事ができるということが証明された訳じゃない。
まあ、どっちでもいいんだが。
その場合は、昇進に値する人物だったと認めるだけだ。
【浅多 侑思】
「悪かったな。少し仕事でイライラしてたのかもしれない」
素直に謝罪をすると、向こうも驚いたようだったが。
後は話すこともないので、仕事があるからと言って腰を上げた。
古来より、死神ってものは人の命を奪うとされている。
だけどあいつは、自分の役割は魂を運ぶことだと宣言し。
尚且つ、僕を救うのが今の仕事だと言った。
死神が人間を助けるなんて、聞いたことがない。
そんな死神を受け入れている自分のような人間の話も……聞いたことがない。
リビドーのせいではないのなら、一体どうなってしまってるんだ、僕は。
僕は食いかけの昼食から箸を上げ、そんなことを考えていた。
おかげで他の社員達が、自暴自棄になっているとか、とうとう会社を辞める気でいるとか―――
根も葉もない噂話をしているようだが、僕の悩みの種はそんなところにはない。
【浅多 侑思】
「はあ……」
今頃、僕を悩ませているあの死神は、こちらのことなぞお構いなしに。
いつもの調子の余裕顔で、茶でも飲みながら日光浴でもしてるのだろうか。
【クロノ】
「―――ユリスが消えた?」
湯呑みを落としそうになって、慌ててキャッチする。
【アンク】
「はい。先日から行方が掴めておりません」
【クロノ】
「……急いで引き続き調査をしよう。嫌な予感がする」
じいと一緒に調査をしていたら、思いがけずユリスのparaisoへのアクセスログが出てきた。
どんなに解析しても管理人は不明だったが…ようやく証拠を掴むことができた。
俺の立てた仮定が正しかったことが証明されていた。
そして―――全身の血の気が引いていく。
嫌な予感が頭に思い浮かぶ。
真っ先に思い出したのは浅多の顔だった。
【クロノ】
「俺、ちょっと浅多の所に行ってくるっ」
じいに手短かに告げて、そのまま部屋を飛び出す。
【クロノ】
「―――無事か!?」
【浅多 侑思】
「……」
浅多は、穏やかな午後のオフィスで、普通にパソコンに向かっていた。
自分の机の上に突如現れた俺を見て目を丸くしたが、イスから転げ落ちたりはしなかった。
それどころか、あまり驚いてないように見える。
……この様子だと、何事もなかったんだろうか。
だけど、ユリスが何の意味もなく行方不明になるわけもないし。
【クロノ】
「何か変わったことはなかった?」
訝しんで問うと、パソコン画面にメモ帳が開かれて『何もない』という文字が現れた。
【クロノ】
「そうか……良かった」
急いで瞬間移動したせいで、必要以上に精神力を使った。
どっと疲れが出たので、パソコンの脇に腰を下ろし、そのまま浅多へしなだれかかる。
【浅多 侑思】
「―――っつ!!」
イスの足を軋ませて浅多が激しく仰け反ったが、変な体勢のまま静止して。
やんわりと俺を押し返す仕草をし、俺の耳に唇を寄せる。
それはきっと、他の人間から見れば背筋を伸ばした体勢に見えるのだろう。
【浅多 侑思】
「この調子だと、定時には帰社できそうだ」
そして、頬を赤くしながら独り言くらいの声量で呟いた。
とりあえず頷きを返しながら、可愛い仕草をした浅多にご褒美でもやろうと思って。
鼻頭にキスをお見舞いすると―――。
浅多は今度こそ、派手にイスから転がり落ちた。
一度死神界に戻って、浅多の仕事が終わる頃まで証拠集めをして。
頃合いを見計らって浅多の部屋にやってきたが…
いつまで待てども戻ってこない。
まさか―――。
急いで探しに出ようとした時……。
―――別室から水の流れる音が聞こえてくる。
音の聞こえてくる場所に急いで向かう。
ドアを開け放つと、全裸の浅多が振り返る。
どうやら、入浴中だったらしい。
【クロノ】
「戻ってきてたならそう言って」
【クロノ】
「お前に確認したいことがある」
【浅多 侑思】
「……後にしろ」
【クロノ】
「そうも行かない。事は一刻を争うんだ」
【クロノ】
「今日誰かに尾けられてる気配とかしなかった?」
…心なしか浅多の顔が赤い。
俯いて肩を震わせながら、僅かに首を左右に振った。
【クロノ】
「あとは……そうだな、イスから転がり落ちた時、アザができたとか」
【クロノ】
「尻をこっちに向けろ、見てやる」
浅多の腰を抱きよせる。
【浅多 侑思】
「うわっ…!? 何するんだ…!?」
【クロノ】
「怪我をしていないか確認しただけだ」
【浅多 侑思】
「…っ、いいから出ていけ!!」
浴室から締め出されてポカンとしている俺の目の前で、再びドアが小さく開く。
【浅多 侑思】
「すり抜けて入ってくるのも許さん」
今度こそドアは完全に閉まった。
俺は、仕方なく薄暗いリビングに戻ってきた。
【クロノ】
「……何で照れてたんだ、あいつ」
生まれたきた時は、皆裸だっていうのに。
とりあえず、帰れとは言われなかっただけ、いいか。
とても良い夢を見ていたのか、いつものような憂鬱な気分ではない。
ぼんやりしていた頭に不意に蘇った昨夜の映像に飛び起きて、部屋の中を探し回ったが―――。
……死神はいない。
【浅多 侑思】
「……帰った、のか。寂しい、な…」
【浅多 侑思】
「寂しいと感じるなんて…」
死神の姿がないだけでこんな気持ちになるなんて……。
無意識のうちに唇に触れていて、はっとする。
そして、昨夜やったことを思い出して、今更のように赤面する。
―――あいつは男なのに。
いや、それだけじゃない。
あいつは人間ですらない。
なのに、あんな風になるなんて、僕はおかしくなってしまったんじゃないだろうか。
もしかして、リビドーのせいか?
昨日の出来事と、自分の心境を冷静に思い起こしてみる。
【浅多 侑思】
「……いや、違う」
悔しいし、認めたくはないけれど、それだけははっきり言えた。
僕はあの時、望んであいつを受け入れた。
差し出された指を、女のように咥えることで、あいつがそういう気分になればいいと思った。
そして、どうしてもそうしたいと思った。
理屈ではなく体が動いた。勝手に。
……何のために?
出社する時間が迫っていることに気付き、慌てて着替えて家を出た。
電車から降りる頃に、自分が会社で高島田に手を上げたことをようやく思い出す。
そんな重要なことを忘れるほど、死神との出来事が頭の中を占めていたのか。
仕事よりプライベートを優先するなんて、今までに一度だってなかったのに。
半ば呆れながら、会社へ向かう。
―――どうしてだろう、気分が軽い。
失態を犯した二日後だとはとても思えない。
出社すると早速白い目が向けられたが、無視して席へ向かう。
すると、既に出勤したいた高島田がヒョコヒョコと近寄ってきて、僕の肩を叩く。
【高島田】
「おはようございまっす」
【浅多 侑思】
「おはよう」
【高島田】
「一昨日のあれ、なんだったんスか~?超怖かったっスけど」
嫌味ったらしく覗き込んでくる顔を見返す。
……不思議だ。一昨日は、殺したいほどこの顔に苛ついたのに。
これだけ露骨に煽られていても、まったくどうでもいい。
こいつは確かに契約数は僕より多いが、小規模の契約しか取れていない。
海外事業部のマネージャーに抜擢されたのだって、単純に契約数だけを評価されたんだろう。
それに、こいつが僕よりも仕事ができるということが証明された訳じゃない。
まあ、どっちでもいいんだが。
その場合は、昇進に値する人物だったと認めるだけだ。
【浅多 侑思】
「悪かったな。少し仕事でイライラしてたのかもしれない」
素直に謝罪をすると、向こうも驚いたようだったが。
後は話すこともないので、仕事があるからと言って腰を上げた。
古来より、死神ってものは人の命を奪うとされている。
だけどあいつは、自分の役割は魂を運ぶことだと宣言し。
尚且つ、僕を救うのが今の仕事だと言った。
死神が人間を助けるなんて、聞いたことがない。
そんな死神を受け入れている自分のような人間の話も……聞いたことがない。
リビドーのせいではないのなら、一体どうなってしまってるんだ、僕は。
僕は食いかけの昼食から箸を上げ、そんなことを考えていた。
おかげで他の社員達が、自暴自棄になっているとか、とうとう会社を辞める気でいるとか―――
根も葉もない噂話をしているようだが、僕の悩みの種はそんなところにはない。
【浅多 侑思】
「はあ……」
今頃、僕を悩ませているあの死神は、こちらのことなぞお構いなしに。
いつもの調子の余裕顔で、茶でも飲みながら日光浴でもしてるのだろうか。
【クロノ】
「―――ユリスが消えた?」
湯呑みを落としそうになって、慌ててキャッチする。
【アンク】
「はい。先日から行方が掴めておりません」
【クロノ】
「……急いで引き続き調査をしよう。嫌な予感がする」
じいと一緒に調査をしていたら、思いがけずユリスのparaisoへのアクセスログが出てきた。
どんなに解析しても管理人は不明だったが…ようやく証拠を掴むことができた。
俺の立てた仮定が正しかったことが証明されていた。
そして―――全身の血の気が引いていく。
嫌な予感が頭に思い浮かぶ。
真っ先に思い出したのは浅多の顔だった。
【クロノ】
「俺、ちょっと浅多の所に行ってくるっ」
じいに手短かに告げて、そのまま部屋を飛び出す。
【クロノ】
「―――無事か!?」
【浅多 侑思】
「……」
浅多は、穏やかな午後のオフィスで、普通にパソコンに向かっていた。
自分の机の上に突如現れた俺を見て目を丸くしたが、イスから転げ落ちたりはしなかった。
それどころか、あまり驚いてないように見える。
……この様子だと、何事もなかったんだろうか。
だけど、ユリスが何の意味もなく行方不明になるわけもないし。
【クロノ】
「何か変わったことはなかった?」
訝しんで問うと、パソコン画面にメモ帳が開かれて『何もない』という文字が現れた。
【クロノ】
「そうか……良かった」
急いで瞬間移動したせいで、必要以上に精神力を使った。
どっと疲れが出たので、パソコンの脇に腰を下ろし、そのまま浅多へしなだれかかる。
【浅多 侑思】
「―――っつ!!」
イスの足を軋ませて浅多が激しく仰け反ったが、変な体勢のまま静止して。
やんわりと俺を押し返す仕草をし、俺の耳に唇を寄せる。
それはきっと、他の人間から見れば背筋を伸ばした体勢に見えるのだろう。
【浅多 侑思】
「この調子だと、定時には帰社できそうだ」
そして、頬を赤くしながら独り言くらいの声量で呟いた。
とりあえず頷きを返しながら、可愛い仕草をした浅多にご褒美でもやろうと思って。
鼻頭にキスをお見舞いすると―――。
浅多は今度こそ、派手にイスから転がり落ちた。
一度死神界に戻って、浅多の仕事が終わる頃まで証拠集めをして。
頃合いを見計らって浅多の部屋にやってきたが…
いつまで待てども戻ってこない。
まさか―――。
急いで探しに出ようとした時……。
―――別室から水の流れる音が聞こえてくる。
音の聞こえてくる場所に急いで向かう。
ドアを開け放つと、全裸の浅多が振り返る。
どうやら、入浴中だったらしい。
【クロノ】
「戻ってきてたならそう言って」
【クロノ】
「お前に確認したいことがある」
【浅多 侑思】
「……後にしろ」
【クロノ】
「そうも行かない。事は一刻を争うんだ」
【クロノ】
「今日誰かに尾けられてる気配とかしなかった?」
…心なしか浅多の顔が赤い。
俯いて肩を震わせながら、僅かに首を左右に振った。
【クロノ】
「あとは……そうだな、イスから転がり落ちた時、アザができたとか」
【クロノ】
「尻をこっちに向けろ、見てやる」
浅多の腰を抱きよせる。
【浅多 侑思】
「うわっ…!? 何するんだ…!?」
【クロノ】
「怪我をしていないか確認しただけだ」
【浅多 侑思】
「…っ、いいから出ていけ!!」
浴室から締め出されてポカンとしている俺の目の前で、再びドアが小さく開く。
【浅多 侑思】
「すり抜けて入ってくるのも許さん」
今度こそドアは完全に閉まった。
俺は、仕方なく薄暗いリビングに戻ってきた。
【クロノ】
「……何で照れてたんだ、あいつ」
生まれたきた時は、皆裸だっていうのに。
とりあえず、帰れとは言われなかっただけ、いいか。
