[本編] 浅多 侑思 編
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【クロノ】
「―――このっ!」
頭に血が上り、浅多の頬を掠めて背後の壁に勢い良く両手をつくと、抵抗は一瞬だけ止まった。
しかし再び暴れ始めたため、足の動きを封じようと脚の間に腿を割り込ませると……。
【浅多 侑思】
「……っ!」
敏感な部分に触れたのか、その体がピクリと跳ねる。
【クロノ】
「へえ、お前を黙らせるには、こっちの方が有効そうだな」
【浅多 侑思】
「!? や、やめろ……っ!!」
慌てふためく浅多の無防備な首筋に、キスでもお見舞いしてやろうと唇を寄せた時―――。
会議室の中が歪んでることに気付いた。
よく見ると、窓の向こうの景色にも亀裂が入ってる。
【クロノ】
「……おい、お前これ……グフッ」
鳩尾に拳が入って、盛大に咳き込む。
これだけ血眼で暴れてる状態で、周囲の変化に気付いてるとは思えない。
痛がっている間にも、景色はどんどん融解していく。
浅多に顎や腹を殴られながら、どうして景色が歪み始めたのか必死で考えた。
さっき浅多が言ってたバグのせい?
……それか、俺の存在のせいかもしれない。この世界にいてはいけない存在。
【クロノ】
「……」
浅多を押さえつけておくのも、そろそろ限界だ。
……とりあえず、ここから出た方が良いかもしれない。
俺は浅多を解放し、地面を蹴って一気に浮上した。
建物を突き抜けてその先にある現実へ。
【クロノ】
「……っ!」
飛び起きると、じいの笑顔とティーカップが出迎えた。
【アンク】
「お帰りなさいませ。お茶を用意しておきましたぞ」
【クロノ】
「はあ、はあ……浅多は?」
【アンク】
「相変わらず、健やかに眠っているようですな」
俺は床に寝かされていたようで、見上げると浅多のいるベッドがあった。
立ち上がり寝顔を覗き込むと、確かに穏やかそうに見えた。
ほっと息をつき、じいからティーカップを受け取り、口をつける。
【クロノ】
「急いで戻ってきたから疲れた……ああ、そうだ、収穫があった」
浅多が送られてきたメールを見て、リビドーに何かをインストールしたこと。
『paraiso』というチャットサイトにアクセスしたこと。
夢の中の景色が急に歪み出したこと。
浅多が、リビドーにバグがあると掲示板に書いてあったと言ってたことなどをじいに伝える。
一通り話し終えた後、じいは難しい顔をして髭を触っていた。
【クロノ】
「……というわけだけど、何か思い当たることは?」
【アンク】
「そうですなあ、考えてはおりますが結論には至らず……むっ」
じいが立ち上がって、浅多の顔を覗き込む。
俺は空になったカップを置いて、足を伸ばした。
【アンク】
「クロノ様、浅多さんがちょっと厄介なことになっております」
【クロノ】
「……?」
立ち上がってじいの視線の先を追うと――
浅多は脂汗をかいてうなされていた。
【クロノ】
「嫌な夢でも見てるのか?」
【アンク】
「そうですな……」
【アンク】
「目を覚まさせてやって下さい」
頬を叩く。
【アンク】
「それだけの刺激では……」
【クロノ】
「んじゃ、どうすればいいの?」
何で俺がこいつを起こしてやらないといけないんだ…。
めんどくさいと思いつつも、起こす方法を考える。
じいの言葉に、もしかして力一杯叩けば起きるんじゃ?と思い、手を振り上げた―――。
―――しかし
振り上げた手は、じいに止められた。
じいが起こせって言ったのに…何で止めるんだ。
ムスッとしながら、じいの方へと振り向く。
すると、じいは真剣な表情で口を開く。
【アンク】
「ああ、それだけでは夢の残滓が残るのでいけません」
【アンク】
「古来より、姫を起こすのは王子の口付けだと相場が決まっております故」
【クロノ】
「…言ってる意味がよくわからないんだけど……」
【クロノ】
「…つまり、キスすればいいってこと?」
じいの言葉に、ポカンとしながら確認する。
【アンク】
「押して駄目なら引いてみろ、という言葉にあります通り―――」
【アンク】
「接吻には、どんな力技も敵わないほどの、魔力が宿ることがございます」
じいの目を見るに、どうやら冗談で言っているわけではないらしい。
改めて浅多の寝顔を見下ろす。
青白い顔、息も絶え絶えで、見るからに辛そうだ。
……俺が勝手に夢を訪れたせいで苦しませているのかと思うと、チクリと胸が痛む。
寝込みを襲うみたいで、何だか嫌な気分になる。
【クロノ】
「……キス、ね」
俺のせいなんだよな…。
先ほどの胸の痛みのせいか、責任感、罪悪感……そんな感情を思いだした気がした。
「―――このっ!」
頭に血が上り、浅多の頬を掠めて背後の壁に勢い良く両手をつくと、抵抗は一瞬だけ止まった。
しかし再び暴れ始めたため、足の動きを封じようと脚の間に腿を割り込ませると……。
【浅多 侑思】
「……っ!」
敏感な部分に触れたのか、その体がピクリと跳ねる。
【クロノ】
「へえ、お前を黙らせるには、こっちの方が有効そうだな」
【浅多 侑思】
「!? や、やめろ……っ!!」
慌てふためく浅多の無防備な首筋に、キスでもお見舞いしてやろうと唇を寄せた時―――。
会議室の中が歪んでることに気付いた。
よく見ると、窓の向こうの景色にも亀裂が入ってる。
【クロノ】
「……おい、お前これ……グフッ」
鳩尾に拳が入って、盛大に咳き込む。
これだけ血眼で暴れてる状態で、周囲の変化に気付いてるとは思えない。
痛がっている間にも、景色はどんどん融解していく。
浅多に顎や腹を殴られながら、どうして景色が歪み始めたのか必死で考えた。
さっき浅多が言ってたバグのせい?
……それか、俺の存在のせいかもしれない。この世界にいてはいけない存在。
【クロノ】
「……」
浅多を押さえつけておくのも、そろそろ限界だ。
……とりあえず、ここから出た方が良いかもしれない。
俺は浅多を解放し、地面を蹴って一気に浮上した。
建物を突き抜けてその先にある現実へ。
【クロノ】
「……っ!」
飛び起きると、じいの笑顔とティーカップが出迎えた。
【アンク】
「お帰りなさいませ。お茶を用意しておきましたぞ」
【クロノ】
「はあ、はあ……浅多は?」
【アンク】
「相変わらず、健やかに眠っているようですな」
俺は床に寝かされていたようで、見上げると浅多のいるベッドがあった。
立ち上がり寝顔を覗き込むと、確かに穏やかそうに見えた。
ほっと息をつき、じいからティーカップを受け取り、口をつける。
【クロノ】
「急いで戻ってきたから疲れた……ああ、そうだ、収穫があった」
浅多が送られてきたメールを見て、リビドーに何かをインストールしたこと。
『paraiso』というチャットサイトにアクセスしたこと。
夢の中の景色が急に歪み出したこと。
浅多が、リビドーにバグがあると掲示板に書いてあったと言ってたことなどをじいに伝える。
一通り話し終えた後、じいは難しい顔をして髭を触っていた。
【クロノ】
「……というわけだけど、何か思い当たることは?」
【アンク】
「そうですなあ、考えてはおりますが結論には至らず……むっ」
じいが立ち上がって、浅多の顔を覗き込む。
俺は空になったカップを置いて、足を伸ばした。
【アンク】
「クロノ様、浅多さんがちょっと厄介なことになっております」
【クロノ】
「……?」
立ち上がってじいの視線の先を追うと――
浅多は脂汗をかいてうなされていた。
【クロノ】
「嫌な夢でも見てるのか?」
【アンク】
「そうですな……」
【アンク】
「目を覚まさせてやって下さい」
頬を叩く。
【アンク】
「それだけの刺激では……」
【クロノ】
「んじゃ、どうすればいいの?」
何で俺がこいつを起こしてやらないといけないんだ…。
めんどくさいと思いつつも、起こす方法を考える。
じいの言葉に、もしかして力一杯叩けば起きるんじゃ?と思い、手を振り上げた―――。
―――しかし
振り上げた手は、じいに止められた。
じいが起こせって言ったのに…何で止めるんだ。
ムスッとしながら、じいの方へと振り向く。
すると、じいは真剣な表情で口を開く。
【アンク】
「ああ、それだけでは夢の残滓が残るのでいけません」
【アンク】
「古来より、姫を起こすのは王子の口付けだと相場が決まっております故」
【クロノ】
「…言ってる意味がよくわからないんだけど……」
【クロノ】
「…つまり、キスすればいいってこと?」
じいの言葉に、ポカンとしながら確認する。
【アンク】
「押して駄目なら引いてみろ、という言葉にあります通り―――」
【アンク】
「接吻には、どんな力技も敵わないほどの、魔力が宿ることがございます」
じいの目を見るに、どうやら冗談で言っているわけではないらしい。
改めて浅多の寝顔を見下ろす。
青白い顔、息も絶え絶えで、見るからに辛そうだ。
……俺が勝手に夢を訪れたせいで苦しませているのかと思うと、チクリと胸が痛む。
寝込みを襲うみたいで、何だか嫌な気分になる。
【クロノ】
「……キス、ね」
俺のせいなんだよな…。
先ほどの胸の痛みのせいか、責任感、罪悪感……そんな感情を思いだした気がした。