[本編] 浅多 侑思 編
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【アンク】
「それでは私は死神界に戻りますが」
【アンク】
「クロノ様は引き続き、ターゲットの動向から目を離さないで下さいませ」
【クロノ】
「……急に一人だけ死神界に戻るって、なんで?」
【アンク】
「私にも、死神としての仕事が他にもございますので」
【クロノ】
「あ、そう……わかった、いってらっしゃい」
じいを見送ってから身支度を整える。
俺も眠っている浅多を横目に見てから自分の家へと戻った。
【クロノ】
「はあ、行きたくない」
あいつの夢に入ったら、また追い出されるんじゃないだろうか。
昨日は、浅多との不毛な応酬のせいで何もかも面倒になったから逃げてしまったけど。
毎回そんなことしてたら仕事にならない。
ここは俺が一歩譲って、大人になるしかないんだろう。
重い体を引きずって、家を出た。
そして、いつも使っている手順を踏んで人間界へ降り立つと、浅多が働いているオフィスまで飛んだ。
【クロノ】
「さて、現実世界での仕事ぶりは……」
夢の中と同じ様に、開いている窓から中へ入り浅多のデスクへ向かう。
奴は、黙々と資料作成をしていた。
人間には死神の姿が見えないのを良いことに、浅多と資料の間に顔を突っ込んで、内容を吟味する。
それからも浅多にくっついて、一日の仕事ぶりを見学した。
……
…
【マネージャー】
「まったく…困るよ、浅多くん。なんだね、さっきの受け答えの仕方は」
【マネージャー】
「先方からの質問には全て答えられるようにしておいてくれよ」
【浅多 侑思】
「はい……」
【マネージャー】
「何度も同じ事を指摘しているのに…どうして出来ないのかな…」
【浅多 侑思】
「……すみません」
……
…
【クロノ】
(なるほど……どうやら情報収集能力や資料作り、戦略提案などは上手いけど)
【クロノ】
(営業面で粗があるみたいだな。即興で対応ができないタイプ……と)
そのたびに浅多は、辛そうな、何かを我慢するような表情を浮かべていた……。
【クロノ】
「突発的な事態に対して、柔軟に対応できないことを
自分でも気にしている……か」
昨日の夢の中でもそうだ。
俺が声をかけただけで慌てふためいてたのも、
その性質を表してるんだろう。
しきりに眼鏡を拭いてたのも、心を落ち着かせるためか。
憧憬夢の中での様子と、今日得た情報を組み合わせてみると―――。
一番でありたいという高いプライドと、思うようにできない自分への歯がゆさから、
憧憬夢に逃げる。
おそらくこれで間違いないはず。
……
…
【クロノ】
「……そろそろあいつの部屋に行くか」
【クロノ】
「いつもなら、パソコンをやってる時間だし」
何度か行ったので場所は覚えてるし、速やかに浅多の住んでいるマンションへと
移動したが……。
【クロノ】
「……窓、開いてない」
【クロノ】
「……仕方ないか」
用心深そうだし、それに夜だしなあ。
仕方ないのでドアをすり抜けて中に入る。
この何かをすり抜ける感覚が気持ち悪くて、俺は極力、開いている所から侵入するようにしている。
部屋の中は薄暗いが、一つの部屋から灯りが漏れ出している。
ここも閉まっていたので、鳥肌を立てながらすり抜ける。
中に入ると丁度、浅多の自室で、ちょうどパソコンに向かっている所だった。
どうやら、今はメールチェック中らしい。
【浅多 侑思】
「……ん?」
浅多と一緒に首を傾げ、メールの内容を覗いてみる。
だけど読む前に閉じられてしまい、パソコンの画面は
一つのサイトのトップ画面を映し出す。
リビドー関連のサイトのようだけど……事前にこんな情報はなかった。
俺は目を細めて、画面に映る文字を追う。
浅多はおもむろに、机の上に置いてあった
リビドーに手を伸ばす。
パソコンと繋いで、サイトから何かをインストールしている。
……これも、事前情報にはなかった。
画面を消されてしまう前にサイトの概要を把握したいので、急いでパソコンに視線を戻す。
さっき浅多が読んでいたメールに貼ってあったURLから、ここのサイトに飛んだのだろうか。
もしくは、何かがダウンロード可能になったという通知のメールか?
答えが出せないうちに、インストールは終了してしまい。
浅多は、サイトに記されてあった何かのURLを見て、チャットを始めたようだった。
覗き込んでみると、数人がログインしていて、
よく使われている所みたいだ。
話題は―――リビドーについて。
チャットでは、色んなハンドルネームの人間が、好き勝手話したり、情報交換をしている。
雑談というよりは、リビドーについての話しが基本だろうか。
……これは、よく調べてみる価値がありそうだ。
チャットサイトのタイトルは……。
―――『paraiso』―――
【浅多 侑思】
「クク……」
誰かが面白いことを発言したらしく、浅多が面白そうに笑っている。
こんな、灯りがパソコン画面だけの、薄暗い部屋で一人笑う男。
傍から見れば、少し気味悪い光景だ。
しかし、初めて見る浅多の笑顔が珍しくて、暫くその顔を眺めていた。
間違っても可愛いとは思わないが、いつものしかめっ面よりはマシじゃないか。
もし俺がここで姿を現すことが出来たら、そう言ってやりたい気分だった。
チャットで数十分会話をした後、浅多は一度台所に向かい、お茶を飲んだ。
それからすぐにパソコンを消して、リビドーを持って、ベッドに倒れ込む。
【クロノ】
「……」
やっぱり、昨日の俺の忠告は全く無駄に終わったようだ。
だからといって、立場上放っておくこともできない。
じいから渡されていたリビドーをセットして、俺も浅多の後を追った。
目を閉じてすぐに、内臓を引っ張られるような感覚が襲ってくる。
それを超えると……夢の中だった。
【クロノ】
「……いつまで経っても慣れそうもない、この感覚」
口元を手で押さえながら、浅多の気配を探る。
周囲には、昨日と同様、鮮明だが平凡なオフィス街が広がっている。
浅多は、おそらく今日も勤務先にいるだろう。
会議室まで上昇して窓から中を覗くと、浅多は今日も社員に囲まれていた。
どのタイミングで会話に割り込もう
【クロノ】
「タイミング見て割って入るか…」
【クロノ】
「……面倒くさいな」
昨日のように追い出されては困るから、もう少し計画的にいかないと。
ちょうどいい高さの木に座って、様子を見ることにする。
【社員】
「浅多さん、マジ凄いっすよ!どれだけ契約取ってくるんすか!?」
【社員2】
「本当に、僕の地位を譲りたいくらいだ」
【社員2】
「この部署を率いるには、君のような人柄と才能が必要なんだよ」
仮初の世界の人間に、チヤホヤされて嬉しいか?
毎度毎度、よく飽きないもんだ。
頬杖をつきながら、呑気に眺めていると。
俺は、なぜか浅多の顔つきが険しいことに気がつく。
【クロノ】
「……あいつのせいか…?」
【浅多 侑思】
「……マネージャー」
【マネージャー】
「うん? なんだね、浅多くん」
【マネージャー】
「何でも言ってくれよ、僕はいくらでも君の力になるよ」
あの男……愛想笑いをしている男は、確か浅多の上司だ。
ネームプレートを見るに、マネージャーだろう。
そういえば今日、現実世界で、2人は一緒に営業に行ってたな。
いきなり相手先から質問されて、浅多はテンパって答えられなかったんだっけな。
浅多はマネージャーと向かい合い、冷たい眼差しのまま口を開いた。
「それでは私は死神界に戻りますが」
【アンク】
「クロノ様は引き続き、ターゲットの動向から目を離さないで下さいませ」
【クロノ】
「……急に一人だけ死神界に戻るって、なんで?」
【アンク】
「私にも、死神としての仕事が他にもございますので」
【クロノ】
「あ、そう……わかった、いってらっしゃい」
じいを見送ってから身支度を整える。
俺も眠っている浅多を横目に見てから自分の家へと戻った。
【クロノ】
「はあ、行きたくない」
あいつの夢に入ったら、また追い出されるんじゃないだろうか。
昨日は、浅多との不毛な応酬のせいで何もかも面倒になったから逃げてしまったけど。
毎回そんなことしてたら仕事にならない。
ここは俺が一歩譲って、大人になるしかないんだろう。
重い体を引きずって、家を出た。
そして、いつも使っている手順を踏んで人間界へ降り立つと、浅多が働いているオフィスまで飛んだ。
【クロノ】
「さて、現実世界での仕事ぶりは……」
夢の中と同じ様に、開いている窓から中へ入り浅多のデスクへ向かう。
奴は、黙々と資料作成をしていた。
人間には死神の姿が見えないのを良いことに、浅多と資料の間に顔を突っ込んで、内容を吟味する。
それからも浅多にくっついて、一日の仕事ぶりを見学した。
……
…
【マネージャー】
「まったく…困るよ、浅多くん。なんだね、さっきの受け答えの仕方は」
【マネージャー】
「先方からの質問には全て答えられるようにしておいてくれよ」
【浅多 侑思】
「はい……」
【マネージャー】
「何度も同じ事を指摘しているのに…どうして出来ないのかな…」
【浅多 侑思】
「……すみません」
……
…
【クロノ】
(なるほど……どうやら情報収集能力や資料作り、戦略提案などは上手いけど)
【クロノ】
(営業面で粗があるみたいだな。即興で対応ができないタイプ……と)
そのたびに浅多は、辛そうな、何かを我慢するような表情を浮かべていた……。
【クロノ】
「突発的な事態に対して、柔軟に対応できないことを
自分でも気にしている……か」
昨日の夢の中でもそうだ。
俺が声をかけただけで慌てふためいてたのも、
その性質を表してるんだろう。
しきりに眼鏡を拭いてたのも、心を落ち着かせるためか。
憧憬夢の中での様子と、今日得た情報を組み合わせてみると―――。
一番でありたいという高いプライドと、思うようにできない自分への歯がゆさから、
憧憬夢に逃げる。
おそらくこれで間違いないはず。
……
…
【クロノ】
「……そろそろあいつの部屋に行くか」
【クロノ】
「いつもなら、パソコンをやってる時間だし」
何度か行ったので場所は覚えてるし、速やかに浅多の住んでいるマンションへと
移動したが……。
【クロノ】
「……窓、開いてない」
【クロノ】
「……仕方ないか」
用心深そうだし、それに夜だしなあ。
仕方ないのでドアをすり抜けて中に入る。
この何かをすり抜ける感覚が気持ち悪くて、俺は極力、開いている所から侵入するようにしている。
部屋の中は薄暗いが、一つの部屋から灯りが漏れ出している。
ここも閉まっていたので、鳥肌を立てながらすり抜ける。
中に入ると丁度、浅多の自室で、ちょうどパソコンに向かっている所だった。
どうやら、今はメールチェック中らしい。
【浅多 侑思】
「……ん?」
浅多と一緒に首を傾げ、メールの内容を覗いてみる。
だけど読む前に閉じられてしまい、パソコンの画面は
一つのサイトのトップ画面を映し出す。
リビドー関連のサイトのようだけど……事前にこんな情報はなかった。
俺は目を細めて、画面に映る文字を追う。
浅多はおもむろに、机の上に置いてあった
リビドーに手を伸ばす。
パソコンと繋いで、サイトから何かをインストールしている。
……これも、事前情報にはなかった。
画面を消されてしまう前にサイトの概要を把握したいので、急いでパソコンに視線を戻す。
さっき浅多が読んでいたメールに貼ってあったURLから、ここのサイトに飛んだのだろうか。
もしくは、何かがダウンロード可能になったという通知のメールか?
答えが出せないうちに、インストールは終了してしまい。
浅多は、サイトに記されてあった何かのURLを見て、チャットを始めたようだった。
覗き込んでみると、数人がログインしていて、
よく使われている所みたいだ。
話題は―――リビドーについて。
チャットでは、色んなハンドルネームの人間が、好き勝手話したり、情報交換をしている。
雑談というよりは、リビドーについての話しが基本だろうか。
……これは、よく調べてみる価値がありそうだ。
チャットサイトのタイトルは……。
―――『paraiso』―――
【浅多 侑思】
「クク……」
誰かが面白いことを発言したらしく、浅多が面白そうに笑っている。
こんな、灯りがパソコン画面だけの、薄暗い部屋で一人笑う男。
傍から見れば、少し気味悪い光景だ。
しかし、初めて見る浅多の笑顔が珍しくて、暫くその顔を眺めていた。
間違っても可愛いとは思わないが、いつものしかめっ面よりはマシじゃないか。
もし俺がここで姿を現すことが出来たら、そう言ってやりたい気分だった。
チャットで数十分会話をした後、浅多は一度台所に向かい、お茶を飲んだ。
それからすぐにパソコンを消して、リビドーを持って、ベッドに倒れ込む。
【クロノ】
「……」
やっぱり、昨日の俺の忠告は全く無駄に終わったようだ。
だからといって、立場上放っておくこともできない。
じいから渡されていたリビドーをセットして、俺も浅多の後を追った。
目を閉じてすぐに、内臓を引っ張られるような感覚が襲ってくる。
それを超えると……夢の中だった。
【クロノ】
「……いつまで経っても慣れそうもない、この感覚」
口元を手で押さえながら、浅多の気配を探る。
周囲には、昨日と同様、鮮明だが平凡なオフィス街が広がっている。
浅多は、おそらく今日も勤務先にいるだろう。
会議室まで上昇して窓から中を覗くと、浅多は今日も社員に囲まれていた。
どのタイミングで会話に割り込もう
【クロノ】
「タイミング見て割って入るか…」
【クロノ】
「……面倒くさいな」
昨日のように追い出されては困るから、もう少し計画的にいかないと。
ちょうどいい高さの木に座って、様子を見ることにする。
【社員】
「浅多さん、マジ凄いっすよ!どれだけ契約取ってくるんすか!?」
【社員2】
「本当に、僕の地位を譲りたいくらいだ」
【社員2】
「この部署を率いるには、君のような人柄と才能が必要なんだよ」
仮初の世界の人間に、チヤホヤされて嬉しいか?
毎度毎度、よく飽きないもんだ。
頬杖をつきながら、呑気に眺めていると。
俺は、なぜか浅多の顔つきが険しいことに気がつく。
【クロノ】
「……あいつのせいか…?」
【浅多 侑思】
「……マネージャー」
【マネージャー】
「うん? なんだね、浅多くん」
【マネージャー】
「何でも言ってくれよ、僕はいくらでも君の力になるよ」
あの男……愛想笑いをしている男は、確か浅多の上司だ。
ネームプレートを見るに、マネージャーだろう。
そういえば今日、現実世界で、2人は一緒に営業に行ってたな。
いきなり相手先から質問されて、浅多はテンパって答えられなかったんだっけな。
浅多はマネージャーと向かい合い、冷たい眼差しのまま口を開いた。
