[本編] 春川 樹生 編
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死神界に戻った俺は春川の弟について調べ始めた。
膨大な死者のリストの中から、弟の資料を探しだす作業は骨が折れた。
みつかった資料は思っていたよりもずっと薄い。
それは、たったの16年という歳月で亡くなった弟の人生を端的に示しているみたいだ。
【クロノ】
「―――さて、何が出くるか……」
プロフィールなどを軽く読み飛ばし、人生最後のページへ。
春川の弟が死んだ原因が書かれた部分を読む。
昨日の夢への介入で、単なる事故死というわけではないんじゃ、と推測していたけど。
【クロノ】
「……ふーん」
【アンク】
「何か手がかりがございましたか?」
【クロノ】
「少しだけ分かった」
【クロノ】
「弟は、死の直前に春川と揉めていたようだ」
【アンク】
「揉め事、ですか。あの仲のいい兄弟が……」
【クロノ】
「うん。何が原因かまでは書かれていないけど」
【クロノ】
「とにかくそれがきっかけで家を飛び出した」
【クロノ】
「きっと周りが見えなくなるくらい衝撃的な事があったんじゃない?」
【クロノ】
「そのまま……彼は道路に飛び出した」
【アンク】
「そこで事故が起きたのでございますね」
【クロノ】
「そう。轢かれた後も、まだ少し息があったみたいだ」
【クロノ】
「……そのまま弟は病院に搬入された」
【クロノ】
「もちろん病院側は家族に連絡して、兄が――春川が駆けつける」
【クロノ】
「弟は、春川の目の前で苦しんで、亡くなった」
痛ましい話に、じいが眉を寄せる。
【アンク】
「……春川様はどう思ったのでしょう?」
【クロノ】
「二人は仲が良かったから」
【クロノ】
「まずは罪悪感があったろうね。もちろん後悔も」
【クロノ】
「ケンカした直後に死んだんだ。……そりゃ夢に逃げたくもなる」
【アンク】
「リビドーを使うのは弟に会いたいから、といった理由でしょうか?」
【クロノ】
「ただ単に会いたいっていうより、何らかの罪滅ぼし―――のつもりかもしれない」
【クロノ】
「でも、そんなの資料にないし、本人に聞くのが一番かな」
【アンク】
「そうですな…それが一番確実かと思います」
【クロノ】
「……そうだよな」
リビドーを使う目的は人それぞれ。
果たされない贖罪のために夢が使われる事もあるだろう。
しかし、何が目的にしても、それが現実でないからこそ、夢から抜け出せない。
夢の中の願望の成就は、所詮夢の中の出来事でしかない。
だから深みに嵌っていくんだ。
【クロノ】
(……今のところはこんな感じか)
【クロノ】
「そういえば、じいに聞きたい事があったんだ」
【アンク】
「なんでございましょう?じいになんでもお聞きくだされ!」
じいが嬉しそうに答える。
やる気満々みたいだ。
【クロノ】
「昨日、春川を観察していて気になったんだけど」
【クロノ】
「リビドーは3時間だけ自分の好きな夢を見れるっていう装置だったはず」
【クロノ】
「なのにあいつは3時間以上も夢を見てた」
【クロノ】
「どういう事?」
昨日夢から出たときに見た時計は、大体4時間くらい経過していたことを思い出しながら言う。
【アンク】
「リビドーの使用時間を越えて夢を見ていた……。ふーむ…」
【アンク】
「それはですな……」
じいは、腕を組んで考えこんでから、
【アンク】
「調べてみる必要がありそうですな!」
……どうやら何も知らないらしい。
姿を消して春川の部屋に侵入する。
春川はパソコンに向かって文字を打ち込んでいる。
リビドーの正体を探るためにも、春川の就寝時間より早めに来たんだけど。
春川がパソコンに向かってる光景は予想外。
モニターを覗きこむと、誰かとチャットをしている。
サイトの名前は『paraiso』。
春川の肩越しにモニターを見ていると、会話の中には『LIP』という言葉がしきりに出てくる。
その使い方や、夢の感じ、接続時間などが主な話題になっている。
【クロノ】
「LIPって何?」
【アンク】
「Libido-inflate plug-in―─通称LIPと呼ばれているようです」
【アンク】
「どうやら、夢を3時間以上持続させる事が出来るシステムのようですが……」
【クロノ】
「ああなるほど。追加でインストールできるデータがLIPっていうのか……」
【クロノ】
「ということは、春川もLIPを使ってる」
【クロノ】
「だから昨日も3時間以上の使用が出来た」
【アンク】
「そういうことになりますな……」
【クロノ】
「……へえ。このサイトはLIPユーザーしか見られないみたいだな」
【アンク】
「道理でLIPの情報が、我々の手元まで回らなかった訳ですな」
春川も淡々とチャットに書き込みをしている。
その内容もチェックしておこう。
【カイン】
「夢を見ていると幸せだ。」
【カイン】
「ずっとこのままでいたい。」
その書き込みに、妙に絡んでくる人物がいる。
【イクシード】
「LIP使ってる奴が、どーなるかわかってんだろ?www」
【イクシード】
「使い過ぎると死んじゃうけどいいのー?www」
相手はかなりネットでの対応に慣れているらしい。
口調もどこか人を小馬鹿にしたような雰囲気で、嫌味っぽい。
【カイン】
「死ぬのはもちろん怖い。」
【カイン】
「でもあの夢を手放す事はできない。」
【イクシード】
「あっそwwつーかあんたさ、どういう夢見てんの?www」
【イクシード】
「リビドーを使ってる奴の8割はやらしい事か恋愛絡みらしいけどwww」
【イクシード】
「あんたも気持ちよくなる夢見ちゃってるわけ?www」
【カイン】
「オレは、そんな……」
膨大な死者のリストの中から、弟の資料を探しだす作業は骨が折れた。
みつかった資料は思っていたよりもずっと薄い。
それは、たったの16年という歳月で亡くなった弟の人生を端的に示しているみたいだ。
【クロノ】
「―――さて、何が出くるか……」
プロフィールなどを軽く読み飛ばし、人生最後のページへ。
春川の弟が死んだ原因が書かれた部分を読む。
昨日の夢への介入で、単なる事故死というわけではないんじゃ、と推測していたけど。
【クロノ】
「……ふーん」
【アンク】
「何か手がかりがございましたか?」
【クロノ】
「少しだけ分かった」
【クロノ】
「弟は、死の直前に春川と揉めていたようだ」
【アンク】
「揉め事、ですか。あの仲のいい兄弟が……」
【クロノ】
「うん。何が原因かまでは書かれていないけど」
【クロノ】
「とにかくそれがきっかけで家を飛び出した」
【クロノ】
「きっと周りが見えなくなるくらい衝撃的な事があったんじゃない?」
【クロノ】
「そのまま……彼は道路に飛び出した」
【アンク】
「そこで事故が起きたのでございますね」
【クロノ】
「そう。轢かれた後も、まだ少し息があったみたいだ」
【クロノ】
「……そのまま弟は病院に搬入された」
【クロノ】
「もちろん病院側は家族に連絡して、兄が――春川が駆けつける」
【クロノ】
「弟は、春川の目の前で苦しんで、亡くなった」
痛ましい話に、じいが眉を寄せる。
【アンク】
「……春川様はどう思ったのでしょう?」
【クロノ】
「二人は仲が良かったから」
【クロノ】
「まずは罪悪感があったろうね。もちろん後悔も」
【クロノ】
「ケンカした直後に死んだんだ。……そりゃ夢に逃げたくもなる」
【アンク】
「リビドーを使うのは弟に会いたいから、といった理由でしょうか?」
【クロノ】
「ただ単に会いたいっていうより、何らかの罪滅ぼし―――のつもりかもしれない」
【クロノ】
「でも、そんなの資料にないし、本人に聞くのが一番かな」
【アンク】
「そうですな…それが一番確実かと思います」
【クロノ】
「……そうだよな」
リビドーを使う目的は人それぞれ。
果たされない贖罪のために夢が使われる事もあるだろう。
しかし、何が目的にしても、それが現実でないからこそ、夢から抜け出せない。
夢の中の願望の成就は、所詮夢の中の出来事でしかない。
だから深みに嵌っていくんだ。
【クロノ】
(……今のところはこんな感じか)
【クロノ】
「そういえば、じいに聞きたい事があったんだ」
【アンク】
「なんでございましょう?じいになんでもお聞きくだされ!」
じいが嬉しそうに答える。
やる気満々みたいだ。
【クロノ】
「昨日、春川を観察していて気になったんだけど」
【クロノ】
「リビドーは3時間だけ自分の好きな夢を見れるっていう装置だったはず」
【クロノ】
「なのにあいつは3時間以上も夢を見てた」
【クロノ】
「どういう事?」
昨日夢から出たときに見た時計は、大体4時間くらい経過していたことを思い出しながら言う。
【アンク】
「リビドーの使用時間を越えて夢を見ていた……。ふーむ…」
【アンク】
「それはですな……」
じいは、腕を組んで考えこんでから、
【アンク】
「調べてみる必要がありそうですな!」
……どうやら何も知らないらしい。
姿を消して春川の部屋に侵入する。
春川はパソコンに向かって文字を打ち込んでいる。
リビドーの正体を探るためにも、春川の就寝時間より早めに来たんだけど。
春川がパソコンに向かってる光景は予想外。
モニターを覗きこむと、誰かとチャットをしている。
サイトの名前は『paraiso』。
春川の肩越しにモニターを見ていると、会話の中には『LIP』という言葉がしきりに出てくる。
その使い方や、夢の感じ、接続時間などが主な話題になっている。
【クロノ】
「LIPって何?」
【アンク】
「Libido-inflate plug-in―─通称LIPと呼ばれているようです」
【アンク】
「どうやら、夢を3時間以上持続させる事が出来るシステムのようですが……」
【クロノ】
「ああなるほど。追加でインストールできるデータがLIPっていうのか……」
【クロノ】
「ということは、春川もLIPを使ってる」
【クロノ】
「だから昨日も3時間以上の使用が出来た」
【アンク】
「そういうことになりますな……」
【クロノ】
「……へえ。このサイトはLIPユーザーしか見られないみたいだな」
【アンク】
「道理でLIPの情報が、我々の手元まで回らなかった訳ですな」
春川も淡々とチャットに書き込みをしている。
その内容もチェックしておこう。
【カイン】
「夢を見ていると幸せだ。」
【カイン】
「ずっとこのままでいたい。」
その書き込みに、妙に絡んでくる人物がいる。
【イクシード】
「LIP使ってる奴が、どーなるかわかってんだろ?www」
【イクシード】
「使い過ぎると死んじゃうけどいいのー?www」
相手はかなりネットでの対応に慣れているらしい。
口調もどこか人を小馬鹿にしたような雰囲気で、嫌味っぽい。
【カイン】
「死ぬのはもちろん怖い。」
【カイン】
「でもあの夢を手放す事はできない。」
【イクシード】
「あっそwwつーかあんたさ、どういう夢見てんの?www」
【イクシード】
「リビドーを使ってる奴の8割はやらしい事か恋愛絡みらしいけどwww」
【イクシード】
「あんたも気持ちよくなる夢見ちゃってるわけ?www」
【カイン】
「オレは、そんな……」
