[本編] 春川 樹生 編
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【クロノ】
(このまま症状が悪化して……か)
書類が散らばるのも構わずに机に伏せる。
心を擦り減らして得た情報は、やっぱり何の役にも立たなかった。
ナギが死ぬのをまた見届けなければいけないということが、はっきりしただけだった。
仕事の分を超えてるのではないと怯えながら、みすみすエゴに振り回されて。
与えられた答えが『自分にできることはなにもない』という、薄々は勘付いていたもの1つだけ。
たったこれだけの情報を仕入れるのに、こんなに消耗して。
こんなに不義理を働いて、俺は何がしたいんだろう。
【???】
「ただいま」
リビングのドアが開いて、樹生が帰って来た。
上着を脱ぎながら俺を見やり、山積みの書類に面食らったように瞬きをしている。
【春川 樹生】
「凄い量だな。かなり疲れてるみたいだけど、無理するなよ」
【クロノ】
「……」
今の俺は、樹生にかける言葉を持ってない。
謝ることすら自分の首を絞めるだけだし、申し訳なくて顔だって見れないのに。
ごめんね、樹生。
俺は今、たくさん嘘をついて、たくさん隠し事をして、不誠実なんだ。
だけど樹生のことが大好きなんだよ。
【春川 樹生】
「クロノ。本当に、根を詰めすぎるのは良くない」
【春川 樹生】
「そんなに急ぎの仕事なのか? オレにできることがあるなら手伝うから」
【春川 樹生】
「今日はもう休めよ。仮眠しかできないなら起こすから。何時がいい?」
――――樹生が心配している。
ぐったりしている俺を覗き込んできた顔を見て、
俺の体はバネのように勢い良く跳ね上がって、あくびまでしてみせた。
そして、ぺしゃんと壊れた。
【クロノ】
「じいから仕事をたくさん依頼されてさ、ちょっとうんざりしてただけ」
【クロノ】
「今日さ、樹生も帰ってくるの遅かったし、外にご飯食べに行こう」
【春川 樹生】
「? いいけど……、外出して大丈夫か? 体調はなんともない?」
【クロノ】
「心配性だよね、樹生って」
【クロノ】
「でも、座ってばかりで体が鈍っちゃったから、ちょっと歩きたい」
【クロノ】
「それにさ、最近お互い、仕事が忙しくてデートしてなかったから」
【春川 樹生】
「……っ! ちょっと、そんなとこ触るなよ……」
【クロノ】
「久し振りに人間の姿でさ、いちゃいちゃデートしたい」
【春川 樹生】
「……、ったく……」
【春川 樹生】
「わ、わかったよ、でも! 外ではあんまり変なことするなよ……?」
【クロノ】
「変なこと? へえ、変なことってどんなこと?」
【クロノ】
「例えばこんな……?」
【春川 樹生】
「んっ……、ちょっと、だから。そういうのは駄目だって……!」
【クロノ】
「はいはい。こういうのは……」
【春川 樹生】
「また今度ベッドの上で」
【クロノ】
「えっ、あ……うん……」
【春川 樹生】
「…………」
【クロノ】
「あ……そうだ。ごめんね、謝ろうと思ってたんだ」
【クロノ】
「昨夜はごめんね? 無理やりしちゃって。嫌だったろ?」
【春川 樹生】
「い……、嫌じゃ、なかったし。それに、別に無理やりじゃなかった」
【春川 樹生】
「久し振りだったから……、驚いただけで。大丈夫」
【クロノ】
「そっか、なら良かった」
【クロノ】
「じゃあ外に行こうか。今日は何食べようかなー」
【クロノ】
「あ、今度から俺も食事作れるように練習するからさ、教えてよ」
【春川 樹生】
「いいんだよ、オレがしたくてしてるんだから」
【クロノ】
「そう……?」
【クロノ】
「でもなあ、毎回準備してもらって悪い気がする」
【春川 樹生】
「いいから。ほら、早く行かないと店も閉まるし、仕事もあるんだろ?」
【春川 樹生】
「あっ、って言っても無理は駄目だぞ」
【春川 樹生】
「今日は帰ってきたらちょっとでもいいから寝ること」
【クロノ】
「えー? はーい」
樹生と一緒に生きるためにと願いを込めて、
こつこつと織り上げてきた人間のキグルミ。
きれいな言葉だけで自分を飾っても、どれほど取り繕っても。
死神は死神にしかなれないんだろうか。
どこかのマンションの給水塔から下界を見下ろす影は、
体じゅうに包帯を巻いた異様な姿だったが。
街へ繰り出す俺達が気付くことはなかった。
【???】
「……俺のことを忘れて」
【???】
「他の奴と幸せに生きてるなんて、許せねえ」
(このまま症状が悪化して……か)
書類が散らばるのも構わずに机に伏せる。
心を擦り減らして得た情報は、やっぱり何の役にも立たなかった。
ナギが死ぬのをまた見届けなければいけないということが、はっきりしただけだった。
仕事の分を超えてるのではないと怯えながら、みすみすエゴに振り回されて。
与えられた答えが『自分にできることはなにもない』という、薄々は勘付いていたもの1つだけ。
たったこれだけの情報を仕入れるのに、こんなに消耗して。
こんなに不義理を働いて、俺は何がしたいんだろう。
【???】
「ただいま」
リビングのドアが開いて、樹生が帰って来た。
上着を脱ぎながら俺を見やり、山積みの書類に面食らったように瞬きをしている。
【春川 樹生】
「凄い量だな。かなり疲れてるみたいだけど、無理するなよ」
【クロノ】
「……」
今の俺は、樹生にかける言葉を持ってない。
謝ることすら自分の首を絞めるだけだし、申し訳なくて顔だって見れないのに。
ごめんね、樹生。
俺は今、たくさん嘘をついて、たくさん隠し事をして、不誠実なんだ。
だけど樹生のことが大好きなんだよ。
【春川 樹生】
「クロノ。本当に、根を詰めすぎるのは良くない」
【春川 樹生】
「そんなに急ぎの仕事なのか? オレにできることがあるなら手伝うから」
【春川 樹生】
「今日はもう休めよ。仮眠しかできないなら起こすから。何時がいい?」
――――樹生が心配している。
ぐったりしている俺を覗き込んできた顔を見て、
俺の体はバネのように勢い良く跳ね上がって、あくびまでしてみせた。
そして、ぺしゃんと壊れた。
【クロノ】
「じいから仕事をたくさん依頼されてさ、ちょっとうんざりしてただけ」
【クロノ】
「今日さ、樹生も帰ってくるの遅かったし、外にご飯食べに行こう」
【春川 樹生】
「? いいけど……、外出して大丈夫か? 体調はなんともない?」
【クロノ】
「心配性だよね、樹生って」
【クロノ】
「でも、座ってばかりで体が鈍っちゃったから、ちょっと歩きたい」
【クロノ】
「それにさ、最近お互い、仕事が忙しくてデートしてなかったから」
【春川 樹生】
「……っ! ちょっと、そんなとこ触るなよ……」
【クロノ】
「久し振りに人間の姿でさ、いちゃいちゃデートしたい」
【春川 樹生】
「……、ったく……」
【春川 樹生】
「わ、わかったよ、でも! 外ではあんまり変なことするなよ……?」
【クロノ】
「変なこと? へえ、変なことってどんなこと?」
【クロノ】
「例えばこんな……?」
【春川 樹生】
「んっ……、ちょっと、だから。そういうのは駄目だって……!」
【クロノ】
「はいはい。こういうのは……」
【春川 樹生】
「また今度ベッドの上で」
【クロノ】
「えっ、あ……うん……」
【春川 樹生】
「…………」
【クロノ】
「あ……そうだ。ごめんね、謝ろうと思ってたんだ」
【クロノ】
「昨夜はごめんね? 無理やりしちゃって。嫌だったろ?」
【春川 樹生】
「い……、嫌じゃ、なかったし。それに、別に無理やりじゃなかった」
【春川 樹生】
「久し振りだったから……、驚いただけで。大丈夫」
【クロノ】
「そっか、なら良かった」
【クロノ】
「じゃあ外に行こうか。今日は何食べようかなー」
【クロノ】
「あ、今度から俺も食事作れるように練習するからさ、教えてよ」
【春川 樹生】
「いいんだよ、オレがしたくてしてるんだから」
【クロノ】
「そう……?」
【クロノ】
「でもなあ、毎回準備してもらって悪い気がする」
【春川 樹生】
「いいから。ほら、早く行かないと店も閉まるし、仕事もあるんだろ?」
【春川 樹生】
「あっ、って言っても無理は駄目だぞ」
【春川 樹生】
「今日は帰ってきたらちょっとでもいいから寝ること」
【クロノ】
「えー? はーい」
樹生と一緒に生きるためにと願いを込めて、
こつこつと織り上げてきた人間のキグルミ。
きれいな言葉だけで自分を飾っても、どれほど取り繕っても。
死神は死神にしかなれないんだろうか。
どこかのマンションの給水塔から下界を見下ろす影は、
体じゅうに包帯を巻いた異様な姿だったが。
街へ繰り出す俺達が気付くことはなかった。
【???】
「……俺のことを忘れて」
【???】
「他の奴と幸せに生きてるなんて、許せねえ」
