[本編] 春川 樹生 編
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【春川 樹生】
「……クロノ」
電気を消してカーテン越しの月明かりだけが頼りの寝室。
ベッドに押し倒された樹生は少し困った顔だった。
2ヶ月ぶりの行為だった。
皮肉なもので、50年前は昨日のことのようでも、
お預けの2ヶ月間は50年待たされていたような気がする。
【春川 樹生】
「急に……あ、待てって! な、なんで。どうしたんだよ」
上に着ているものには手を出さず、ズボンの前だけを寛げて。
中から取り出したモノを口に含んだ俺を、樹生は呆然と見下ろしている。
そのまま……
口全体を使って愛撫をしてやると、物言いたげに俺の頭にやっていた手を震わせて、熱い吐息を零した。
【春川 樹生】
「ふ、ぁ…っ」
【春川 樹生】
「……久し振りだよ、な。こういうこと……するの」
【春川 樹生】
「……」
樹生が口をつぐんだ理由を、俺は知っていた。
どうして二ヶ月ぶりなのかわかっているからだ。
樹生がこういうことをするのが得意じゃないと、俺がちゃんとわかってるから迫らなかったと、
言わなくても知っていたからだ。
だから、どうして急にする気になったのか訊けないのだろう。
俺も、訊かれたくない。
【春川 樹生】
「あ……っ、…つ、……く、ぅ」
【春川 樹生】
「クロノ……。あんまりやったら、……出るよ、このまま」
【クロノ】
「いいよ、出して」
【春川 樹生】
「……ふ、」
いつもなら飲み干すところを、今日は口に溜めておく。
ズボンを片足だけ脱がせてから、もう片方の足を押し上げる。
樹生は抵抗しなかったが、待ちきれないようにも見えなかった。
頼りない薄明かりに浮かぶのはいつまでも困った顔でしかない。
だから灯りをつけなかった。
後ろの窄まりに顔を近付けて、口から直接、中に粘液を注ぎ込むと、
樹生は身悶えるように体をくの字に曲げた。
【春川 樹生】
「あ、ぁ、あ……」
逃げようとする下半身を両手で押さえて、吹き込むように全てを飲ませてから。
零れる前にそこに自身をあてがって、ゆっくりを身を沈める。
樹生は足を突っ張らせて、貫かれていく感触に堪えているようだった。
辛そうに顔を背けてるから、感じているのは快楽だけじゃないだろう。
何度も体を重ねても初々しい反応が覗くこともあるけれど、
樹生の体は俺にすっかり馴染んできていた。
もう少しだけ待ってて。すぐ辛くなくなるから。
俺に任せておけば大丈夫と心の中でそう告げてから、
できる限り時間をかけて行き止まりまで挿し込んで。
上下に揺さぶって粘液と混ぜながら柔らかくする。
すっかり収縮して、固くなってしまった中を広げるところから始めなければ。
【春川 樹生】
「ぐっ……ぅ、うぐっ」
痛そうだ。
だけどごめんは言わない。
謝ったところで、やめるつもりはない。
だから早く俺の形に変わるように解すことが、やるべきことだと思う。
【春川 樹生】
「ンっ、んふ……っ、ひゃ、ぁう……」
控えめだった上下の動きを徐々に強くしていくと、
スプリングが軋んで体まで跳ねるようになった。
【春川 樹生】
「はうッ…! あっ、あぁ……! やっ、やぁ、あぁ…っ!」
みっちりと俺に吸い付いて1ミリも余裕のなかった中が、
熱く熟して、柔軟に収縮するようになってきた。
その頃には樹生の口は半開きになって、蕩けた目で俺を見つめるようになる。
涙を孕んだ真っ赤な瞳は、泣いているようにも見えた。
どうして、と。
大勢の人と関係を持つことは誠実じゃないとしている人間にとって。
死神のようにすぐ体を結ぼうとする者は誠実とは思われないだろう。
だけど死神は3大欲求の中で一番強いのが性欲で、
これはもう本能であってどうしようもない。
でも人間の恋人と暮らしてる以上、
はいそうですかというわけにはいかなくて、何かないかと考えて。
あまり性交渉が得意ではない樹生の気持ちを汲んで、
回数を減らすという結論に行き着いた。
軽いタッチくらいで我慢して本番は減らす。
樹生と一緒にいるために、俺が編み出した苦肉の策だった。
死神とは。
人間に言わせればきっと動物的な生き物だ。
理性で欲求を殺すことを美徳としている人間は『理性的』であり『人間的』なのだろう。
樹生はきっと人間的な俺を望んでいる。
俺は理性的で、誠実でなければならない。
樹生を悲しませず傷付けず一緒にいるには、絶対にそうでなければならない。
樹生は優しくて我慢強いから。
俺のことばかり気にして何でも1人で溜め込むから。
もうそんな苦しい思いはしなくていいように、誠実に接しようと決めていた。
『誠実』とは。
嘘偽りがなく、真面目で、まごころが感じられるような人柄を指す。
俺はもう、2つ破った。
【クロノ】
(どうして俺は……)
【クロノ】
(どうして、樹生を傷つける事ばかりしてしまうんだ……。本当に、大切に思ってるのに)
【クロノ】
(…………っ)
自分で自分がわからないなんて、逃げの言葉でしかないと思うから。
心を見つめて、きちんと答えを導き出そう。
そう思ったら考えるまでもなく、答えはすぐに見つかった。
嘘をついたことからの罪悪感から逃げるために樹生を抱いた。
樹生が嫌がらないとわかってたから、無理やりにはならないと言い訳まで作って。
無理やりじゃなきゃいいのか。だったら傷ついてないのか。
また不誠実だった。
【???】
『かわいそう』
どこからか聞こえた声に辺りを見渡す。
いやその前に、ここはどこだろう。
【???】
『僕だったら絶対に、クロノにそんな思いをさせたりしないよ』
光の粒子が集まって何かの形をとる。
それは――――昼間に見た青年の姿になった。
ナギだった。
【ナギ】
『僕を忘れようとして、その人と一緒にいたんだね』
【ナギ】
『でももう僕が生き返ったんだから、そんな身代わりは必要ないよ』
【ナギ】
『辛いことがあったんだろう? せっかく抱いてあげたのに、逆に傷付けられたんだろう?』
一糸纏わぬ姿のナギが近付いてきて、俺の頬に手を添える。
【ナギ】
『おいで、クロノ。僕になら何をしたって構わない』
【ナギ】
『全て受け止めてあげるよ。クロノの全てを許してあげる』
【ナギ】
『全部注いで。僕を抱いて、嫌なことも何もかも忘れていいんだ』
違うんだナギ、俺が抱きたいと思うのは樹生だけだ。
【ナギ】
『だから彼は僕の身代わり。僕が傍にいない間に情が移っただけなんだよ』
【ナギ】
『思い出して。クロノは本当に僕のことを何とも思ってなかったの?』
【ナギ】
『何とも思ってない人間のことを、60年も引き摺ってるの?』
【クロノ】
(何とも思ってないわけないだろう)
【クロノ】
(大事に思ってるし、今だって会って話したい)
【クロノ】
(友人として、親しみを込めてそう想ってる)
【ナギ】
『……そっかぁ』
【ナギ】
『じゃあ僕が新しく、クロノの感情に名前をつけてあげる』
頬に添えた手を引き寄せて、ナギのきれいな顔が近付く。
ふわりと金木犀の匂いがした。
【ナギ】
『友愛じゃなく親愛でもなく……性愛っていうのはどうだろう』
【春川 樹生】
「クロノ」
【クロノ】
「……」
【春川 樹生】
「うなされてたぞ。悪い夢でも見てたのか」
隣で眠っていた樹生が心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。
目が覚めても耳に残る声を振り払いたくて、恋人の体を抱き寄せようとしたけれど。
眠りにつく前に自分がやったことをを思い出して手を引いた。
【クロノ】
「……なんでもないよ」
うなされるなら俺じゃなくて樹生の方だ。
【クロノ】
「体、辛くない? どこも痛くない?」
【春川 樹生】
「今はオレの話はしてない」
めったに怒らない樹生が、露骨に顔をしかめている。
本当に。どこまでも底抜けにお人好しで、優しい。
さっきとは違う感情で、俺は今度こそ樹生を抱き寄せてキスをする。
【クロノ】
「大丈夫だから」
少し生々しいだけの夢に過ぎない。
【クロノ】
(リビドーの悪夢じゃあるまいし……)
疑う樹生を笑顔を見せることで宥め、再びベッドに伏せて深く目をつむる。
俺を試す夢に、出くわさないように祈りながら。
「……クロノ」
電気を消してカーテン越しの月明かりだけが頼りの寝室。
ベッドに押し倒された樹生は少し困った顔だった。
2ヶ月ぶりの行為だった。
皮肉なもので、50年前は昨日のことのようでも、
お預けの2ヶ月間は50年待たされていたような気がする。
【春川 樹生】
「急に……あ、待てって! な、なんで。どうしたんだよ」
上に着ているものには手を出さず、ズボンの前だけを寛げて。
中から取り出したモノを口に含んだ俺を、樹生は呆然と見下ろしている。
そのまま……
口全体を使って愛撫をしてやると、物言いたげに俺の頭にやっていた手を震わせて、熱い吐息を零した。
【春川 樹生】
「ふ、ぁ…っ」
【春川 樹生】
「……久し振りだよ、な。こういうこと……するの」
【春川 樹生】
「……」
樹生が口をつぐんだ理由を、俺は知っていた。
どうして二ヶ月ぶりなのかわかっているからだ。
樹生がこういうことをするのが得意じゃないと、俺がちゃんとわかってるから迫らなかったと、
言わなくても知っていたからだ。
だから、どうして急にする気になったのか訊けないのだろう。
俺も、訊かれたくない。
【春川 樹生】
「あ……っ、…つ、……く、ぅ」
【春川 樹生】
「クロノ……。あんまりやったら、……出るよ、このまま」
【クロノ】
「いいよ、出して」
【春川 樹生】
「……ふ、」
いつもなら飲み干すところを、今日は口に溜めておく。
ズボンを片足だけ脱がせてから、もう片方の足を押し上げる。
樹生は抵抗しなかったが、待ちきれないようにも見えなかった。
頼りない薄明かりに浮かぶのはいつまでも困った顔でしかない。
だから灯りをつけなかった。
後ろの窄まりに顔を近付けて、口から直接、中に粘液を注ぎ込むと、
樹生は身悶えるように体をくの字に曲げた。
【春川 樹生】
「あ、ぁ、あ……」
逃げようとする下半身を両手で押さえて、吹き込むように全てを飲ませてから。
零れる前にそこに自身をあてがって、ゆっくりを身を沈める。
樹生は足を突っ張らせて、貫かれていく感触に堪えているようだった。
辛そうに顔を背けてるから、感じているのは快楽だけじゃないだろう。
何度も体を重ねても初々しい反応が覗くこともあるけれど、
樹生の体は俺にすっかり馴染んできていた。
もう少しだけ待ってて。すぐ辛くなくなるから。
俺に任せておけば大丈夫と心の中でそう告げてから、
できる限り時間をかけて行き止まりまで挿し込んで。
上下に揺さぶって粘液と混ぜながら柔らかくする。
すっかり収縮して、固くなってしまった中を広げるところから始めなければ。
【春川 樹生】
「ぐっ……ぅ、うぐっ」
痛そうだ。
だけどごめんは言わない。
謝ったところで、やめるつもりはない。
だから早く俺の形に変わるように解すことが、やるべきことだと思う。
【春川 樹生】
「ンっ、んふ……っ、ひゃ、ぁう……」
控えめだった上下の動きを徐々に強くしていくと、
スプリングが軋んで体まで跳ねるようになった。
【春川 樹生】
「はうッ…! あっ、あぁ……! やっ、やぁ、あぁ…っ!」
みっちりと俺に吸い付いて1ミリも余裕のなかった中が、
熱く熟して、柔軟に収縮するようになってきた。
その頃には樹生の口は半開きになって、蕩けた目で俺を見つめるようになる。
涙を孕んだ真っ赤な瞳は、泣いているようにも見えた。
どうして、と。
大勢の人と関係を持つことは誠実じゃないとしている人間にとって。
死神のようにすぐ体を結ぼうとする者は誠実とは思われないだろう。
だけど死神は3大欲求の中で一番強いのが性欲で、
これはもう本能であってどうしようもない。
でも人間の恋人と暮らしてる以上、
はいそうですかというわけにはいかなくて、何かないかと考えて。
あまり性交渉が得意ではない樹生の気持ちを汲んで、
回数を減らすという結論に行き着いた。
軽いタッチくらいで我慢して本番は減らす。
樹生と一緒にいるために、俺が編み出した苦肉の策だった。
死神とは。
人間に言わせればきっと動物的な生き物だ。
理性で欲求を殺すことを美徳としている人間は『理性的』であり『人間的』なのだろう。
樹生はきっと人間的な俺を望んでいる。
俺は理性的で、誠実でなければならない。
樹生を悲しませず傷付けず一緒にいるには、絶対にそうでなければならない。
樹生は優しくて我慢強いから。
俺のことばかり気にして何でも1人で溜め込むから。
もうそんな苦しい思いはしなくていいように、誠実に接しようと決めていた。
『誠実』とは。
嘘偽りがなく、真面目で、まごころが感じられるような人柄を指す。
俺はもう、2つ破った。
【クロノ】
(どうして俺は……)
【クロノ】
(どうして、樹生を傷つける事ばかりしてしまうんだ……。本当に、大切に思ってるのに)
【クロノ】
(…………っ)
自分で自分がわからないなんて、逃げの言葉でしかないと思うから。
心を見つめて、きちんと答えを導き出そう。
そう思ったら考えるまでもなく、答えはすぐに見つかった。
嘘をついたことからの罪悪感から逃げるために樹生を抱いた。
樹生が嫌がらないとわかってたから、無理やりにはならないと言い訳まで作って。
無理やりじゃなきゃいいのか。だったら傷ついてないのか。
また不誠実だった。
【???】
『かわいそう』
どこからか聞こえた声に辺りを見渡す。
いやその前に、ここはどこだろう。
【???】
『僕だったら絶対に、クロノにそんな思いをさせたりしないよ』
光の粒子が集まって何かの形をとる。
それは――――昼間に見た青年の姿になった。
ナギだった。
【ナギ】
『僕を忘れようとして、その人と一緒にいたんだね』
【ナギ】
『でももう僕が生き返ったんだから、そんな身代わりは必要ないよ』
【ナギ】
『辛いことがあったんだろう? せっかく抱いてあげたのに、逆に傷付けられたんだろう?』
一糸纏わぬ姿のナギが近付いてきて、俺の頬に手を添える。
【ナギ】
『おいで、クロノ。僕になら何をしたって構わない』
【ナギ】
『全て受け止めてあげるよ。クロノの全てを許してあげる』
【ナギ】
『全部注いで。僕を抱いて、嫌なことも何もかも忘れていいんだ』
違うんだナギ、俺が抱きたいと思うのは樹生だけだ。
【ナギ】
『だから彼は僕の身代わり。僕が傍にいない間に情が移っただけなんだよ』
【ナギ】
『思い出して。クロノは本当に僕のことを何とも思ってなかったの?』
【ナギ】
『何とも思ってない人間のことを、60年も引き摺ってるの?』
【クロノ】
(何とも思ってないわけないだろう)
【クロノ】
(大事に思ってるし、今だって会って話したい)
【クロノ】
(友人として、親しみを込めてそう想ってる)
【ナギ】
『……そっかぁ』
【ナギ】
『じゃあ僕が新しく、クロノの感情に名前をつけてあげる』
頬に添えた手を引き寄せて、ナギのきれいな顔が近付く。
ふわりと金木犀の匂いがした。
【ナギ】
『友愛じゃなく親愛でもなく……性愛っていうのはどうだろう』
【春川 樹生】
「クロノ」
【クロノ】
「……」
【春川 樹生】
「うなされてたぞ。悪い夢でも見てたのか」
隣で眠っていた樹生が心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。
目が覚めても耳に残る声を振り払いたくて、恋人の体を抱き寄せようとしたけれど。
眠りにつく前に自分がやったことをを思い出して手を引いた。
【クロノ】
「……なんでもないよ」
うなされるなら俺じゃなくて樹生の方だ。
【クロノ】
「体、辛くない? どこも痛くない?」
【春川 樹生】
「今はオレの話はしてない」
めったに怒らない樹生が、露骨に顔をしかめている。
本当に。どこまでも底抜けにお人好しで、優しい。
さっきとは違う感情で、俺は今度こそ樹生を抱き寄せてキスをする。
【クロノ】
「大丈夫だから」
少し生々しいだけの夢に過ぎない。
【クロノ】
(リビドーの悪夢じゃあるまいし……)
疑う樹生を笑顔を見せることで宥め、再びベッドに伏せて深く目をつむる。
俺を試す夢に、出くわさないように祈りながら。
