[本編] 春川 樹生 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
じいの言葉を聞き終えないうちに、俺は樹生の部屋へ瞬間移動した。
突然現れた俺を見た樹生が、少し驚いた後、気まずそうに顔を背ける。
最後の別れ方――俺が言い合いから逃げるように死神界に戻ってしまったから……。
それは仕方ない事なのかもしれないけど、……やっぱり心が痛い。
【春川 樹生】
「……来たのか」
【クロノ】
「あんたと、ちゃんと話をしに来た」
【クロノ】
「それと……」
前から、樹生を強く抱きしめる。
今度こそ驚いた顔をした樹生が、それでも反射的に俺を受け止めてくれる。
【クロノ】
「あんたに……選択を、押し付けようとしたこと謝ろうと思って」
【クロノ】
「あんたのはっきりした気持ちが知りたくて……焦ってた」
【クロノ】
「俺は自分の気持ちも言ってないのに。それって、卑怯だろ」
【クロノ】
「だから、……ごめん」
樹生は優しく抱きしめ返してくれる。
片手で頭を撫でられて、それでやっと安心した気分になれた。
死神界で悶々と考えてた自分が、なんだか馬鹿らしい。
―――話し合わないと、気持ちは伝わらない……早くこうすればよかった。
【春川 樹生】
「……それでわざわざ来てくれたのか?オレに、謝るためだけに?」
【クロノ】
「そう。あんたに謝って、抱きしめるためだけど」
【春川 樹生】
「そうか……、ありがとう」
【春川 樹生】
「あんたはそうやって、自分に正直だし……いつもしっかりした意見を持ってるよな」
【春川 樹生】
「オレも、あんたみたいに……自分に正直になるよ」
樹生が緊張したような、真剣な目で俺を見つめている。
【春川 樹生】
「クロノ……人間界に居てくれ。オレと暮らそう」
【クロノ】
「やっと言ってくれた。……もちろん、そのつもり」
驚くほど自然に、唇が重ね合わされ―――それだけで、死神界へ戻りたくなくなってしまう。
―――心は既に決まっている。樹生と一緒に人間界で暮らす。
じいのアドバイスに従って、長の部屋に踏み込んだ。
隣には、俺を心配した、じいが付いていてきてくれた。
やれやれ……世話好きの、頼れるじーさんだよ。
【長】
「お前達を呼んだ覚えはないが……何か用かね」
【クロノ】
「長。突然ですが俺は、人間界で暮らします。……許可を下さい」
【長】
「突然押しかけてきたと思ったら……。まったく、無茶を言う」
苦笑混じりに長が呟く。
【長】
「クロノ、お前は確か以前にも調査対象の人間に深入りし、問題を起こしているな」
【クロノ】
「はい……。でもずっと昔の事です。今回は問題も無かったし、事件も解決させました」
【アンク】
「……死神長様。クロノは、いつも人間の心を理解しようと努力しております」
じいが助け船を出してくれる。ありがたい。
【アンク】
「だからこそ人間に心を惹かれてしまうのでしょう。しかし、それは悪い面ばかりでもありません」
【アンク】
「今回の事件のように、人間に対する理解が死神にとって良い効果を及ぼすこともあります」
【クロノ】
「……人間界で、死神と悟られずに暮らすこと。その経験が、いつか死神界に役立つ時が来るはずです」
【長】
「言うまでもないが、人間界で死神が暮らすことは許されない。我々と人間では世界に対する役割が違う」
【長】
「本来なら、人間に姿を見せるだけで危険なのだ。それは分かっているな?」
【クロノ】
「分かっています。でも、今の俺には……人間界で暮らす事が、何よりも必要なんです」
俺の熱い視線を、冷静に受け止める長が、もう一度深いため息をついて、自嘲するように笑った
【長】
「いいだろう。特例中の特例だ。人間界で暮らす事を許可する。以上」
あの法律書みたいに真面目な長が、あっさりと人間界行きを認めるなんて、驚いた。
【クロノ】
「……そんなに簡単に決めていいんですか?」
【長】
「人間界で暮らしても、お前は死神だ。人間に正体を知られないように注意して、仕事は続けてもらう」
【長】
「仕事の質も、量も、態度も、今より改善していることを期待しているからな」
……ちょっといい人なのかなと思い始めていた自分が悔しい。
それから、数年が経った。
―――今日は、生汰の命日で、俺と樹生は二人で墓参りに来ていた。
花を添えて、手を合わせ、冥福を祈る。どうか生汰の魂が幸せでありますようにと。
【春川 樹生】
「そう言えば、聞きたい事があったんだけど」
【クロノ】
「なに?」
続きを促すように顔を覗き込んでやると、真面目くさった顔で樹生が言う。
【春川 樹生】
「あんたは死神なわけだけど……死神に狩られた魂は、どうなるんだ?」
【クロノ】
「……ああ、生汰の魂がどうなったか、知りたいの?」
【春川 樹生】
「ああ。……まさか消えてしまってるわけじゃないよな?」
【クロノ】
「実は詳しいことは俺にも分かってない。そういうのは、上層の連中のみが知ってる」
【クロノ】
「出世したって言っても、俺はなんだかんだでまだ下っ端だし」
正直に答えると、樹生は少しだけ落ち込んだような顔をする。
【クロノ】
「そんな顔するな。……詳しくは知らないけど、大まかには知ってるから」
【春川 樹生】
「え? ほ、本当か?!」
【クロノ】
「俺たちに狩られた魂は、巡り巡っていく」
【クロノ】
「消えてしまうなんてことはない。この世界を巡っていくんだ」
【クロノ】
「……そういう風に聞いてる。だからきっと、生汰も……」
樹生の目に涙が浮かび、ボロボロと零れ落ちた。
もっと早く、この話を聞かせてやればよかったな。……そう思った。
【クロノ】
「俺達もいつか死んだら、この世界を巡るんだろうな」
【春川 樹生】
「死神も、死ぬのか?」
【クロノ】
「生きている限りは、どんなものにも死はある」
【春川 樹生】
「そうだよな……。す、すまん、暗い話になっちまったな」
樹生は慌てて踵を返すと、
【春川 樹生】
「もう行こう。……毎年付き合ってもらって、本当にありがとう」
【クロノ】
「……」
樹生の部屋で、俺達は抱き合っていた。
二人の間には空気すらも必要ないってくらいに密着して。
【クロノ】
「ん……」
【春川 樹生】
「ん、っ……ん、」
囁くように呟く樹生の唇に、そっと自分の唇を重ねる。
樹生はすんなりとキスを受け入れて、それから恥ずかしそうに俯いた。
こんな時、体も大きくて力もあるのに、本当に可愛いやつだって思ってしまう。
突然現れた俺を見た樹生が、少し驚いた後、気まずそうに顔を背ける。
最後の別れ方――俺が言い合いから逃げるように死神界に戻ってしまったから……。
それは仕方ない事なのかもしれないけど、……やっぱり心が痛い。
【春川 樹生】
「……来たのか」
【クロノ】
「あんたと、ちゃんと話をしに来た」
【クロノ】
「それと……」
前から、樹生を強く抱きしめる。
今度こそ驚いた顔をした樹生が、それでも反射的に俺を受け止めてくれる。
【クロノ】
「あんたに……選択を、押し付けようとしたこと謝ろうと思って」
【クロノ】
「あんたのはっきりした気持ちが知りたくて……焦ってた」
【クロノ】
「俺は自分の気持ちも言ってないのに。それって、卑怯だろ」
【クロノ】
「だから、……ごめん」
樹生は優しく抱きしめ返してくれる。
片手で頭を撫でられて、それでやっと安心した気分になれた。
死神界で悶々と考えてた自分が、なんだか馬鹿らしい。
―――話し合わないと、気持ちは伝わらない……早くこうすればよかった。
【春川 樹生】
「……それでわざわざ来てくれたのか?オレに、謝るためだけに?」
【クロノ】
「そう。あんたに謝って、抱きしめるためだけど」
【春川 樹生】
「そうか……、ありがとう」
【春川 樹生】
「あんたはそうやって、自分に正直だし……いつもしっかりした意見を持ってるよな」
【春川 樹生】
「オレも、あんたみたいに……自分に正直になるよ」
樹生が緊張したような、真剣な目で俺を見つめている。
【春川 樹生】
「クロノ……人間界に居てくれ。オレと暮らそう」
【クロノ】
「やっと言ってくれた。……もちろん、そのつもり」
驚くほど自然に、唇が重ね合わされ―――それだけで、死神界へ戻りたくなくなってしまう。
―――心は既に決まっている。樹生と一緒に人間界で暮らす。
じいのアドバイスに従って、長の部屋に踏み込んだ。
隣には、俺を心配した、じいが付いていてきてくれた。
やれやれ……世話好きの、頼れるじーさんだよ。
【長】
「お前達を呼んだ覚えはないが……何か用かね」
【クロノ】
「長。突然ですが俺は、人間界で暮らします。……許可を下さい」
【長】
「突然押しかけてきたと思ったら……。まったく、無茶を言う」
苦笑混じりに長が呟く。
【長】
「クロノ、お前は確か以前にも調査対象の人間に深入りし、問題を起こしているな」
【クロノ】
「はい……。でもずっと昔の事です。今回は問題も無かったし、事件も解決させました」
【アンク】
「……死神長様。クロノは、いつも人間の心を理解しようと努力しております」
じいが助け船を出してくれる。ありがたい。
【アンク】
「だからこそ人間に心を惹かれてしまうのでしょう。しかし、それは悪い面ばかりでもありません」
【アンク】
「今回の事件のように、人間に対する理解が死神にとって良い効果を及ぼすこともあります」
【クロノ】
「……人間界で、死神と悟られずに暮らすこと。その経験が、いつか死神界に役立つ時が来るはずです」
【長】
「言うまでもないが、人間界で死神が暮らすことは許されない。我々と人間では世界に対する役割が違う」
【長】
「本来なら、人間に姿を見せるだけで危険なのだ。それは分かっているな?」
【クロノ】
「分かっています。でも、今の俺には……人間界で暮らす事が、何よりも必要なんです」
俺の熱い視線を、冷静に受け止める長が、もう一度深いため息をついて、自嘲するように笑った
【長】
「いいだろう。特例中の特例だ。人間界で暮らす事を許可する。以上」
あの法律書みたいに真面目な長が、あっさりと人間界行きを認めるなんて、驚いた。
【クロノ】
「……そんなに簡単に決めていいんですか?」
【長】
「人間界で暮らしても、お前は死神だ。人間に正体を知られないように注意して、仕事は続けてもらう」
【長】
「仕事の質も、量も、態度も、今より改善していることを期待しているからな」
……ちょっといい人なのかなと思い始めていた自分が悔しい。
それから、数年が経った。
―――今日は、生汰の命日で、俺と樹生は二人で墓参りに来ていた。
花を添えて、手を合わせ、冥福を祈る。どうか生汰の魂が幸せでありますようにと。
【春川 樹生】
「そう言えば、聞きたい事があったんだけど」
【クロノ】
「なに?」
続きを促すように顔を覗き込んでやると、真面目くさった顔で樹生が言う。
【春川 樹生】
「あんたは死神なわけだけど……死神に狩られた魂は、どうなるんだ?」
【クロノ】
「……ああ、生汰の魂がどうなったか、知りたいの?」
【春川 樹生】
「ああ。……まさか消えてしまってるわけじゃないよな?」
【クロノ】
「実は詳しいことは俺にも分かってない。そういうのは、上層の連中のみが知ってる」
【クロノ】
「出世したって言っても、俺はなんだかんだでまだ下っ端だし」
正直に答えると、樹生は少しだけ落ち込んだような顔をする。
【クロノ】
「そんな顔するな。……詳しくは知らないけど、大まかには知ってるから」
【春川 樹生】
「え? ほ、本当か?!」
【クロノ】
「俺たちに狩られた魂は、巡り巡っていく」
【クロノ】
「消えてしまうなんてことはない。この世界を巡っていくんだ」
【クロノ】
「……そういう風に聞いてる。だからきっと、生汰も……」
樹生の目に涙が浮かび、ボロボロと零れ落ちた。
もっと早く、この話を聞かせてやればよかったな。……そう思った。
【クロノ】
「俺達もいつか死んだら、この世界を巡るんだろうな」
【春川 樹生】
「死神も、死ぬのか?」
【クロノ】
「生きている限りは、どんなものにも死はある」
【春川 樹生】
「そうだよな……。す、すまん、暗い話になっちまったな」
樹生は慌てて踵を返すと、
【春川 樹生】
「もう行こう。……毎年付き合ってもらって、本当にありがとう」
【クロノ】
「……」
樹生の部屋で、俺達は抱き合っていた。
二人の間には空気すらも必要ないってくらいに密着して。
【クロノ】
「ん……」
【春川 樹生】
「ん、っ……ん、」
囁くように呟く樹生の唇に、そっと自分の唇を重ねる。
樹生はすんなりとキスを受け入れて、それから恥ずかしそうに俯いた。
こんな時、体も大きくて力もあるのに、本当に可愛いやつだって思ってしまう。
