[本編] 春川 樹生 編
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そう聞かれて、咄嗟に何も言えず、俺は口ごもってしまった。
樹生は、少し目を細めて苦笑する。
【春川 樹生】
「急にこんなことを聞かれても、答えにくいよな」
【クロノ】
「……」
【春川 樹生】
「わかってはいるつもりなんだ」
【春川 樹生】
「あんたは死神で、オレは人間だから」
【春川 樹生】
「居るべき場所が違うってことは、理解してるつもりなんだけど」
【春川 樹生】
「理解してても……オレの気持ちは少し違うような気がするんだ」
【クロノ】
「……気がするだけ?」
俺の問いかけに樹生は瞬きをして、結局首を縦に振った。
【春川 樹生】
「本当は、自分でもわからないんだ」
【春川 樹生】
「自分の気持ちを、押し通していいのか、駄目なのか」
【春川 樹生】
「誰にでも、本来やるべきことって、やっぱりあると思うんだ」
【春川 樹生】
「幾らどう願っても、駄目なことだって存在する」
【クロノ】
「……今日は、やけに素直だ」
【春川 樹生】
「結構、切羽詰まってるからな。こう見えて」
手を伸ばして樹生の手を取ると、しっかりとした意思を持って握り返された。
【春川 樹生】
「あんたは死神で、オレは人間なんだよな」
そんな力のない呟きに、俺は窓の外の遠くの空を見上げる。
―――死神と人間。
そんな全く異なる存在が一緒にいることなんて、可能なんだろうか。
【クロノ】
「俺まだ、肝心なことを聞いてない」
【春川 樹生】
「え?」
【クロノ】
「あんたは、本当はどうしてほしいの。―――俺に」
樹生は瞬きをして、自問自答するように口元を抑える。
【春川 樹生】
「……さっき、自分の気持ちがわからないって言ったじゃないか」
【クロノ】
「うん、聞いた。だけどもう一度考えて欲しい」
【クロノ】
「自分の心に聞いてみて。もう一度」
自惚れるなと言われるかもしれないけど、こいつの気持ちが何となくわかる。
だって、きっと樹生が考えてることって、俺が今言ってもらいたい言葉だと思うから。
だからこそ言って欲しい。今まで散々つぐんできたその口で。
もしこれが勘違いだったら、俺は素直にフラれたってことを認めて引き下がろう。
樹生は言おうか言うまいか悩んでいるように、目を泳がせている。
待ちくたびれて、樹生の耳たぶを引っ張ると。
その手を丁寧に下ろし、樹生は胡座を掻いて俯いてしまった。
【クロノ】
「またそうやって、自分の殻に閉じこもるのか」
【春川 樹生】
「違う。真剣に考えてるんだ、これでも」
声が低いので、どうやら本当に考えこんでいるらしい。
俺はため息をついて、腰を上げた。
【クロノ】
「そんなに急がないけど、なるべく早めに決断して」
【クロノ】
「俺は、ちょっと仕事の件で出てくるから」
小さく頷いた樹生の頬に不意打ちでキスをして、怒られる前に俺は死神界へ戻った。
自分の部屋に戻り、今回の事件の書類を作成する。
提出期限はとっくに過ぎていた分だ。
……色々、俺も悶々としてたからな。集中できてなかったんだと思う。
【クロノ】
「意地っ張り」
ほら、キーを叩いてる今だって、やっぱり集中できてない。
樹生は今頃何を考えてるのか、俺の質問の答えは出たのか……
そんなことばかりが気になって―――仕事がまったくはかどらない。
【アンク】
「報告書は出来ましたかな」
【クロノ】
「うわっ……急に出てくるなよ、ビックリするから」
【アンク】
「おや、何か考え事でもしておられましたかな」
【クロノ】
「……なんでそう思う」
【アンク】
「年の功によるカンでございます」
【クロノ】
「……当たり……」
書類の山をなぎ倒して机の上に倒れ込むと、じいが背中をさすってくれる。
【アンク】
「人間とは、かくも難しく繊細な生き物でございますな」
【クロノ】
「とにかく扱いづらい。もー……樹生め」
【アンク】
「先程、人間界にちらりと足を運んだ際に、
お二人の会話を小耳に挟んだのですが」
俺はガバリと顔を上げる。
【クロノ】
「じゃあ、年の功関係ないじゃん。全然気付かなかった…いつから見てたの」
【アンク】
「ご安心ください、終始見ていたわけではありません。プライベートというものがございますから」
全部見られていたのかと焦ったが…じいの言葉にほっとする。
【アンク】
「何やら一緒にいたいとか、いたくないとか」
【クロノ】
「……俺は、いたいんだけど」
じいはふむと呟いて、何やら思案しているようだった。
【アンク】
「ではまず、死神長様に相談してみるのが一番かと」
【クロノ】
「相談って、何を」
【アンク】
「人間界で暮らす許可をくださるかどうかを、尋ねてみるのです」
じいの言葉に、俺は呆然とした。
【クロノ】
「その発想は、なかった」
【アンク】
「いいえ、頭の片隅にあった筈です。しかしクロノ様は気付かないフリをしておりましたな」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「私の見たところ、一緒にいたい、人間界で暮らしたい、そう思う理由そのものである春川さんが」
【アンク】
「なかなか欲しい答えをくれないため、クロノ様はイジケているのです」
じいは俺の両目をじっと見据えて、珍しく真剣な顔をしていた。
だけど、冷静になって考えてみると、言われた通りだとも思う。
認めるのは非常に癪だけど。
俺が黙っていると、じいがのほほんと笑った。
【アンク】
「春川さんも変わられたはずです。それを間近で見てきたのはクロノ様ではありませんか」
――無性に樹生を抱きしめたい気分だった。
少し俺も、意地悪し過ぎたのかもしれない。
それに俺だって、自分がどうしたいのかわかってる癖に、まだ何も言ってない。
【クロノ】
「……俺ちょっと、人間界に行ってくる」
【アンク】
「はい、行ってらっしゃいませ」
樹生は、少し目を細めて苦笑する。
【春川 樹生】
「急にこんなことを聞かれても、答えにくいよな」
【クロノ】
「……」
【春川 樹生】
「わかってはいるつもりなんだ」
【春川 樹生】
「あんたは死神で、オレは人間だから」
【春川 樹生】
「居るべき場所が違うってことは、理解してるつもりなんだけど」
【春川 樹生】
「理解してても……オレの気持ちは少し違うような気がするんだ」
【クロノ】
「……気がするだけ?」
俺の問いかけに樹生は瞬きをして、結局首を縦に振った。
【春川 樹生】
「本当は、自分でもわからないんだ」
【春川 樹生】
「自分の気持ちを、押し通していいのか、駄目なのか」
【春川 樹生】
「誰にでも、本来やるべきことって、やっぱりあると思うんだ」
【春川 樹生】
「幾らどう願っても、駄目なことだって存在する」
【クロノ】
「……今日は、やけに素直だ」
【春川 樹生】
「結構、切羽詰まってるからな。こう見えて」
手を伸ばして樹生の手を取ると、しっかりとした意思を持って握り返された。
【春川 樹生】
「あんたは死神で、オレは人間なんだよな」
そんな力のない呟きに、俺は窓の外の遠くの空を見上げる。
―――死神と人間。
そんな全く異なる存在が一緒にいることなんて、可能なんだろうか。
【クロノ】
「俺まだ、肝心なことを聞いてない」
【春川 樹生】
「え?」
【クロノ】
「あんたは、本当はどうしてほしいの。―――俺に」
樹生は瞬きをして、自問自答するように口元を抑える。
【春川 樹生】
「……さっき、自分の気持ちがわからないって言ったじゃないか」
【クロノ】
「うん、聞いた。だけどもう一度考えて欲しい」
【クロノ】
「自分の心に聞いてみて。もう一度」
自惚れるなと言われるかもしれないけど、こいつの気持ちが何となくわかる。
だって、きっと樹生が考えてることって、俺が今言ってもらいたい言葉だと思うから。
だからこそ言って欲しい。今まで散々つぐんできたその口で。
もしこれが勘違いだったら、俺は素直にフラれたってことを認めて引き下がろう。
樹生は言おうか言うまいか悩んでいるように、目を泳がせている。
待ちくたびれて、樹生の耳たぶを引っ張ると。
その手を丁寧に下ろし、樹生は胡座を掻いて俯いてしまった。
【クロノ】
「またそうやって、自分の殻に閉じこもるのか」
【春川 樹生】
「違う。真剣に考えてるんだ、これでも」
声が低いので、どうやら本当に考えこんでいるらしい。
俺はため息をついて、腰を上げた。
【クロノ】
「そんなに急がないけど、なるべく早めに決断して」
【クロノ】
「俺は、ちょっと仕事の件で出てくるから」
小さく頷いた樹生の頬に不意打ちでキスをして、怒られる前に俺は死神界へ戻った。
自分の部屋に戻り、今回の事件の書類を作成する。
提出期限はとっくに過ぎていた分だ。
……色々、俺も悶々としてたからな。集中できてなかったんだと思う。
【クロノ】
「意地っ張り」
ほら、キーを叩いてる今だって、やっぱり集中できてない。
樹生は今頃何を考えてるのか、俺の質問の答えは出たのか……
そんなことばかりが気になって―――仕事がまったくはかどらない。
【アンク】
「報告書は出来ましたかな」
【クロノ】
「うわっ……急に出てくるなよ、ビックリするから」
【アンク】
「おや、何か考え事でもしておられましたかな」
【クロノ】
「……なんでそう思う」
【アンク】
「年の功によるカンでございます」
【クロノ】
「……当たり……」
書類の山をなぎ倒して机の上に倒れ込むと、じいが背中をさすってくれる。
【アンク】
「人間とは、かくも難しく繊細な生き物でございますな」
【クロノ】
「とにかく扱いづらい。もー……樹生め」
【アンク】
「先程、人間界にちらりと足を運んだ際に、
お二人の会話を小耳に挟んだのですが」
俺はガバリと顔を上げる。
【クロノ】
「じゃあ、年の功関係ないじゃん。全然気付かなかった…いつから見てたの」
【アンク】
「ご安心ください、終始見ていたわけではありません。プライベートというものがございますから」
全部見られていたのかと焦ったが…じいの言葉にほっとする。
【アンク】
「何やら一緒にいたいとか、いたくないとか」
【クロノ】
「……俺は、いたいんだけど」
じいはふむと呟いて、何やら思案しているようだった。
【アンク】
「ではまず、死神長様に相談してみるのが一番かと」
【クロノ】
「相談って、何を」
【アンク】
「人間界で暮らす許可をくださるかどうかを、尋ねてみるのです」
じいの言葉に、俺は呆然とした。
【クロノ】
「その発想は、なかった」
【アンク】
「いいえ、頭の片隅にあった筈です。しかしクロノ様は気付かないフリをしておりましたな」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「私の見たところ、一緒にいたい、人間界で暮らしたい、そう思う理由そのものである春川さんが」
【アンク】
「なかなか欲しい答えをくれないため、クロノ様はイジケているのです」
じいは俺の両目をじっと見据えて、珍しく真剣な顔をしていた。
だけど、冷静になって考えてみると、言われた通りだとも思う。
認めるのは非常に癪だけど。
俺が黙っていると、じいがのほほんと笑った。
【アンク】
「春川さんも変わられたはずです。それを間近で見てきたのはクロノ様ではありませんか」
――無性に樹生を抱きしめたい気分だった。
少し俺も、意地悪し過ぎたのかもしれない。
それに俺だって、自分がどうしたいのかわかってる癖に、まだ何も言ってない。
【クロノ】
「……俺ちょっと、人間界に行ってくる」
【アンク】
「はい、行ってらっしゃいませ」
