[本編] 春川 樹生 編
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それから、数日が経った。
あの日、じいが死神界に犯人のことや、事件の詳細について報告した後。
死神界ではユリスを指名手配し、今でも行方を追っている。
……そう、ユリスは姿を消した。
家や普段行きそうな場所を探したけど、未だに見つかっていないとのことだ。
俺はと言えば……非常に忙しい日々を送っている。
死神の仕事は、事件の解決によって少しだけ減ったけれど。
やらなきゃいけない事務処理なんかはたくさんある。
そのせいで、なかなか人間界に行くことも出来ず。
樹生に早く会いたい一心で、仕事をこなしていた。
でも、俺がそうやって油断している間に、ことは動いていた。
それも……最悪の形で。
【ユリス】
「あは……アハハハハッ……!なんだよ春川君? 随分かわいー顔して寝てるじゃん?」
【ユリス】
「クロノとくっついたみたいだけど?良かったじゃん? 幸せなんだよなー?」
【ユリス】
「羨ましいよ。今すぐ殺したいくらいに……!」
【ユリス】
「お前のせいで……!」
【ユリス】
「お前のせいで!!!!俺は死神界を追われた!!!! もう帰れない!!!」
【ユリス】
「お前のせいでクロノに嫌われたしな??!!」
【ユリス】
「俺の方が先に出会って、先に目ェつけたのにな?!」
【ユリス】
「このままにしておくわけないよねえ……?そんなの不公平だもんな?」
【ユリス】
「お前らだけ幸せになんてさせるもんか…。みんな…みんな壊れちゃえばいいんだ…!」
【アンク】
「お疲れ様でございました!ようやく事務処理が片付きましたな!」
【クロノ】
「本当に疲れたんだけど。ご褒美ちょうだい」
【アンク】
「しばらくはオフでございます。羽を伸ばしてくださいませ!」
【クロノ】
「じゃあ、行って来ます」
俺はじいの言葉を待たず、人間界へと瞬間移動する。
――そこで、最悪の事態が待ち受けているとも知らずに…。
久しぶりの樹生の部屋。だけど、部屋の中は昼間だというのに真っ暗だった。
【クロノ】
「……カーテン閉めっぱなし?」
部屋の中から樹生の気配はする。
今日は仕事が休みで、昼過ぎまで寝ているんだろうか?
カーテンを開けて、ベッドの上を見て――絶句した。
そこにはリビドーをつけたまま、死んだように眠る樹生の姿があった。
【クロノ】
「樹生!!!!!」
慌ててリビドーのスイッチを切ろうとして、気付く。
今までに見たことも無い形のリビドーだった。
【クロノ】
「おい!起きろよ! 樹生!!」
何度呼びかけても、樹生は起きなかった。触れても、キスをしても、……起きなかった。
それから先のことは、ほとんど覚えてない。
パニックになったまま、じいを呼んだところだけ、うっすらと覚えている。
【アンク】
「春川様に付けられていたリビドーですが、ちまたに出回っていたものとは違いました」
【アンク】
「最大出力まで改造されておりました」
【アンク】
「……眠っている間に、勝手に付けられたようでございます」
【アンク】
「春川様の脳波は完全にリビドーに侵されており……、その…言いにくいことなのですが…」
【クロノ】
「言って。はっきりと」
【アンク】
「……春川様は、もう起きることはございません」
【アンク】
「このまま夢を見続けることになります。昏睡状態でございます」
【クロノ】
「……回復の見込みは?」
じいが言いよどむ。
―――それだけで、回復が難しい状態なんだと理解出来た。
気持ちよくて、気持ちよくて、気持ちよくて……気が狂いそうだった。
もう、何度も達して、何度も気絶して、何度も目を覚ます。
オレはクロノと生汰に―――抱かれていた。
【クロノ】
「気持ちいいか?次はもっと深く貫いてやるから……」
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、可愛い。僕はもっといっぱい舐めてあげるね」
【春川 樹生】
「あッ……、あ、ううっ、うあっ、…ああっ」
クロノに後ろをえぐられながら、前を生汰に吸われてている。
目の前がチカチカと明滅する。何度目か知れない絶頂がきて、オレの出したものが生汰の顔を汚した。
【春川 生汰】
「わ、いっぱい出たぁ。すごいねぇ、お兄ちゃん」
【クロノ】
「次はお前が挿れるか?」
【春川 生汰】
「いいの?!お兄ちゃんのナカ…、熱くてきつくて大好き!」
【春川 樹生】
「や……やめ…、頼む……から…」
言いかけた言葉は、キスによって塞がれる。
口の中を蛇のように動き回るクロノの舌に、意識まで持っていかれそうだ。
【クロノ】
「やめてほしい?嫌なの? ここから出たい?」
試すように聞いてくるクロノの目が、怪しい光を帯びる。
その光を見ていると、何もかもがどうでもよくなってくる。
何もかも、忘れちゃいけない事まで……忘れていくような気がする。
……けど、オレは首を横に振った。
【春川 樹生】
「出て行きたく……ない。オレはここにいるのが…いいような気がする」
オレの返事を聞いて満足したらしいクロノが、にっこりと微笑む。
【クロノ】
「よく出来ました。そうだよ。樹生はここにいれば、幸せになれるんだ」
そう言いながら、オレの前を鷲掴みにして、ヌルヌルとしごきながらキスを繰り返す。
【春川 生汰】
「わあ、お兄ちゃんのここ、真っ赤になってすごくエッチだね!」
【春川 樹生】
「あ、……あああっ……」
今度は生汰のもので貫かれる。背徳感で胸が締め付けられるのに……何故か興奮してしまう。
【春川 生汰】
「すごいよ……ああっ、お兄ちゃんのここ……すごく気持ちいい……」
【春川 樹生】
「ひ、ひあ、あ、あう……っ、ああ、あ、あ、あ、あ、あ!!」
【クロノ】
「こっちにも集中しろよ、樹生」
胸の突起を強く潰されて、その快感に、目の前に火花が散った。
【春川 樹生】
「も、ダメだ……!イく……、あ、あああっ…」
【春川 生汰】
「僕もっ……!お兄ちゃん一緒に……!」
後ろに、熱いものが入ってくる感覚が気持ちよくて、またオレは達してしまう。
手にべっとりとついた粘液を、クロノは美味しそうに舐め取って笑う。
【クロノ】
「じゃあまた、俺が後ろ。ほら樹生、起きろよ。ここじゃ、疲れなんて感じないだろ?」
【クロノ】
「何回だってあんたを抱ける。……俺も幸せだ」
【春川 生汰】
「僕も幸せ。だって、ずーっとこうしたかったんだもん。お兄ちゃんと」
その言葉を聞いたオレの目に、涙が滲んだ。
そうか。二人とも、幸せなのか。
それなら……オレも幸せだ。そう思ったら、涙が止まらなくなった。
【春川 樹生】
「お前達が幸せなら……オレも幸せだ。他には何も、いらない」
その瞬間、目の前が真っ白になる。
真っ白な世界を抜けると、目の前に幼い頃の生汰がいた。
オレも、昔の姿になっている。景色も実家になっていて、父さんと母さんもいる。
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、今度の日曜日、僕の運動会があるんだけど…」
【春川 樹生】
「ああ、知ってるぞ。もちろん見に行ってやるから頑張れよ!」
【春川 生汰】
「うーん、自信ないかも。……いいなあ。お兄ちゃんは運動神経が良くて」
【春川 樹生】
「お前だってオレの弟なんだから、きっと運動神経いいはずなんだけどなあ」
【春川 生汰】
「そうだ、お兄ちゃん、僕の特訓に付き合ってよ!」
屈託のない笑顔で、生汰が立ち上がる。
……これは、幸せだった頃の記憶だった。今はもう取り返せない、記憶。
オレは頷いて立ち上がる。体中からベトつく粘液を垂らしながら。
【春川 生汰】
「あれ、お兄ちゃん、何で裸なの?……それに、なんだかやらしい匂いがする…」
【春川 樹生】
「これは……これは…、だから……」
【春川 生汰】
「そっか、お兄ちゃんはエッチが大好きなんだったね。じゃあ、たくさんエッチしよう?」
幸せだった記憶が、飲み込まれる。
次の瞬間、そこは元の場所だった。クロノがいて、生汰がいて、オレが二人に抱かれている。
それからしばらくすると、また幸せな記憶を見る。生汰が生まれた時の記憶だった。
夢は何度も切り替わって、オレはどんどんわけがわからなくなって、そのうち―――
何も考えられなくなった。
【春川 樹生】
「あ、あああっ、ああ、気持ちい……!クロノ……好きだ……好きだ…」
【春川 樹生】
「ああ、ああ、あっうあ……、生汰、お前が幸せで……兄ちゃん嬉し……っ」
オレがオレでなくなるように、オレは夢の中に溶けていった。
リビドーを外して、俺は椅子から立ち上がった。
辛くて、悲しくて、死んでしまえたらどんなに楽かと思う。
……死神だから、まだ死ぬことが出来ない自分が恨めしい。
あの日から毎日、樹生の夢を訪れているけど―――樹生に、俺の声は届かなかった。
何かの膜がかかっているかのように、夢の中の樹生に近づけない。
こちらからは向こうが見えているのに……樹生は、俺のことが見えていない。
樹生は俺と、自分の弟に抱かれている夢を見続け、幸せな記憶を見続け。
夢に自分を委ねてしまった。
もう、俺の力ではどうすることも出来ないところに……行ってしまったんだ。
【クロノ】
「また人間と関わったことで、自分も、相手も不幸にしてしまった」
【クロノ】
「もう2度と、人間に関わったりはしない…。だから……」
俺は樹生の顔を覗き込む。幸せで、安らかな寝顔を。
【クロノ】
「許してくれ」
樹生の唇に、そっとキスを落とす。
柔らかくて暖かい、あの日キスした時と何も変わらない唇だった。
【クロノ】
「助けてやれなくて……ごめん」
謝罪の言葉も、もう樹生には届かない。
樹生が幸せだと感じられる夢を見ているのだけが、唯一の救いだった。
【クロノ】
「そろそろ行くよ」
もう二度と、あんたの前に姿を現すことはないけど。
【クロノ】
「あんたのこと、好きだ」
【クロノ】
「だから、さよなら」
別れの言葉を呟いて、俺はその部屋から姿を消した。
ただひたすら、眠り続ける樹生の、幸せだけを願いながら。
あの日、じいが死神界に犯人のことや、事件の詳細について報告した後。
死神界ではユリスを指名手配し、今でも行方を追っている。
……そう、ユリスは姿を消した。
家や普段行きそうな場所を探したけど、未だに見つかっていないとのことだ。
俺はと言えば……非常に忙しい日々を送っている。
死神の仕事は、事件の解決によって少しだけ減ったけれど。
やらなきゃいけない事務処理なんかはたくさんある。
そのせいで、なかなか人間界に行くことも出来ず。
樹生に早く会いたい一心で、仕事をこなしていた。
でも、俺がそうやって油断している間に、ことは動いていた。
それも……最悪の形で。
【ユリス】
「あは……アハハハハッ……!なんだよ春川君? 随分かわいー顔して寝てるじゃん?」
【ユリス】
「クロノとくっついたみたいだけど?良かったじゃん? 幸せなんだよなー?」
【ユリス】
「羨ましいよ。今すぐ殺したいくらいに……!」
【ユリス】
「お前のせいで……!」
【ユリス】
「お前のせいで!!!!俺は死神界を追われた!!!! もう帰れない!!!」
【ユリス】
「お前のせいでクロノに嫌われたしな??!!」
【ユリス】
「俺の方が先に出会って、先に目ェつけたのにな?!」
【ユリス】
「このままにしておくわけないよねえ……?そんなの不公平だもんな?」
【ユリス】
「お前らだけ幸せになんてさせるもんか…。みんな…みんな壊れちゃえばいいんだ…!」
【アンク】
「お疲れ様でございました!ようやく事務処理が片付きましたな!」
【クロノ】
「本当に疲れたんだけど。ご褒美ちょうだい」
【アンク】
「しばらくはオフでございます。羽を伸ばしてくださいませ!」
【クロノ】
「じゃあ、行って来ます」
俺はじいの言葉を待たず、人間界へと瞬間移動する。
――そこで、最悪の事態が待ち受けているとも知らずに…。
久しぶりの樹生の部屋。だけど、部屋の中は昼間だというのに真っ暗だった。
【クロノ】
「……カーテン閉めっぱなし?」
部屋の中から樹生の気配はする。
今日は仕事が休みで、昼過ぎまで寝ているんだろうか?
カーテンを開けて、ベッドの上を見て――絶句した。
そこにはリビドーをつけたまま、死んだように眠る樹生の姿があった。
【クロノ】
「樹生!!!!!」
慌ててリビドーのスイッチを切ろうとして、気付く。
今までに見たことも無い形のリビドーだった。
【クロノ】
「おい!起きろよ! 樹生!!」
何度呼びかけても、樹生は起きなかった。触れても、キスをしても、……起きなかった。
それから先のことは、ほとんど覚えてない。
パニックになったまま、じいを呼んだところだけ、うっすらと覚えている。
【アンク】
「春川様に付けられていたリビドーですが、ちまたに出回っていたものとは違いました」
【アンク】
「最大出力まで改造されておりました」
【アンク】
「……眠っている間に、勝手に付けられたようでございます」
【アンク】
「春川様の脳波は完全にリビドーに侵されており……、その…言いにくいことなのですが…」
【クロノ】
「言って。はっきりと」
【アンク】
「……春川様は、もう起きることはございません」
【アンク】
「このまま夢を見続けることになります。昏睡状態でございます」
【クロノ】
「……回復の見込みは?」
じいが言いよどむ。
―――それだけで、回復が難しい状態なんだと理解出来た。
気持ちよくて、気持ちよくて、気持ちよくて……気が狂いそうだった。
もう、何度も達して、何度も気絶して、何度も目を覚ます。
オレはクロノと生汰に―――抱かれていた。
【クロノ】
「気持ちいいか?次はもっと深く貫いてやるから……」
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、可愛い。僕はもっといっぱい舐めてあげるね」
【春川 樹生】
「あッ……、あ、ううっ、うあっ、…ああっ」
クロノに後ろをえぐられながら、前を生汰に吸われてている。
目の前がチカチカと明滅する。何度目か知れない絶頂がきて、オレの出したものが生汰の顔を汚した。
【春川 生汰】
「わ、いっぱい出たぁ。すごいねぇ、お兄ちゃん」
【クロノ】
「次はお前が挿れるか?」
【春川 生汰】
「いいの?!お兄ちゃんのナカ…、熱くてきつくて大好き!」
【春川 樹生】
「や……やめ…、頼む……から…」
言いかけた言葉は、キスによって塞がれる。
口の中を蛇のように動き回るクロノの舌に、意識まで持っていかれそうだ。
【クロノ】
「やめてほしい?嫌なの? ここから出たい?」
試すように聞いてくるクロノの目が、怪しい光を帯びる。
その光を見ていると、何もかもがどうでもよくなってくる。
何もかも、忘れちゃいけない事まで……忘れていくような気がする。
……けど、オレは首を横に振った。
【春川 樹生】
「出て行きたく……ない。オレはここにいるのが…いいような気がする」
オレの返事を聞いて満足したらしいクロノが、にっこりと微笑む。
【クロノ】
「よく出来ました。そうだよ。樹生はここにいれば、幸せになれるんだ」
そう言いながら、オレの前を鷲掴みにして、ヌルヌルとしごきながらキスを繰り返す。
【春川 生汰】
「わあ、お兄ちゃんのここ、真っ赤になってすごくエッチだね!」
【春川 樹生】
「あ、……あああっ……」
今度は生汰のもので貫かれる。背徳感で胸が締め付けられるのに……何故か興奮してしまう。
【春川 生汰】
「すごいよ……ああっ、お兄ちゃんのここ……すごく気持ちいい……」
【春川 樹生】
「ひ、ひあ、あ、あう……っ、ああ、あ、あ、あ、あ、あ!!」
【クロノ】
「こっちにも集中しろよ、樹生」
胸の突起を強く潰されて、その快感に、目の前に火花が散った。
【春川 樹生】
「も、ダメだ……!イく……、あ、あああっ…」
【春川 生汰】
「僕もっ……!お兄ちゃん一緒に……!」
後ろに、熱いものが入ってくる感覚が気持ちよくて、またオレは達してしまう。
手にべっとりとついた粘液を、クロノは美味しそうに舐め取って笑う。
【クロノ】
「じゃあまた、俺が後ろ。ほら樹生、起きろよ。ここじゃ、疲れなんて感じないだろ?」
【クロノ】
「何回だってあんたを抱ける。……俺も幸せだ」
【春川 生汰】
「僕も幸せ。だって、ずーっとこうしたかったんだもん。お兄ちゃんと」
その言葉を聞いたオレの目に、涙が滲んだ。
そうか。二人とも、幸せなのか。
それなら……オレも幸せだ。そう思ったら、涙が止まらなくなった。
【春川 樹生】
「お前達が幸せなら……オレも幸せだ。他には何も、いらない」
その瞬間、目の前が真っ白になる。
真っ白な世界を抜けると、目の前に幼い頃の生汰がいた。
オレも、昔の姿になっている。景色も実家になっていて、父さんと母さんもいる。
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、今度の日曜日、僕の運動会があるんだけど…」
【春川 樹生】
「ああ、知ってるぞ。もちろん見に行ってやるから頑張れよ!」
【春川 生汰】
「うーん、自信ないかも。……いいなあ。お兄ちゃんは運動神経が良くて」
【春川 樹生】
「お前だってオレの弟なんだから、きっと運動神経いいはずなんだけどなあ」
【春川 生汰】
「そうだ、お兄ちゃん、僕の特訓に付き合ってよ!」
屈託のない笑顔で、生汰が立ち上がる。
……これは、幸せだった頃の記憶だった。今はもう取り返せない、記憶。
オレは頷いて立ち上がる。体中からベトつく粘液を垂らしながら。
【春川 生汰】
「あれ、お兄ちゃん、何で裸なの?……それに、なんだかやらしい匂いがする…」
【春川 樹生】
「これは……これは…、だから……」
【春川 生汰】
「そっか、お兄ちゃんはエッチが大好きなんだったね。じゃあ、たくさんエッチしよう?」
幸せだった記憶が、飲み込まれる。
次の瞬間、そこは元の場所だった。クロノがいて、生汰がいて、オレが二人に抱かれている。
それからしばらくすると、また幸せな記憶を見る。生汰が生まれた時の記憶だった。
夢は何度も切り替わって、オレはどんどんわけがわからなくなって、そのうち―――
何も考えられなくなった。
【春川 樹生】
「あ、あああっ、ああ、気持ちい……!クロノ……好きだ……好きだ…」
【春川 樹生】
「ああ、ああ、あっうあ……、生汰、お前が幸せで……兄ちゃん嬉し……っ」
オレがオレでなくなるように、オレは夢の中に溶けていった。
リビドーを外して、俺は椅子から立ち上がった。
辛くて、悲しくて、死んでしまえたらどんなに楽かと思う。
……死神だから、まだ死ぬことが出来ない自分が恨めしい。
あの日から毎日、樹生の夢を訪れているけど―――樹生に、俺の声は届かなかった。
何かの膜がかかっているかのように、夢の中の樹生に近づけない。
こちらからは向こうが見えているのに……樹生は、俺のことが見えていない。
樹生は俺と、自分の弟に抱かれている夢を見続け、幸せな記憶を見続け。
夢に自分を委ねてしまった。
もう、俺の力ではどうすることも出来ないところに……行ってしまったんだ。
【クロノ】
「また人間と関わったことで、自分も、相手も不幸にしてしまった」
【クロノ】
「もう2度と、人間に関わったりはしない…。だから……」
俺は樹生の顔を覗き込む。幸せで、安らかな寝顔を。
【クロノ】
「許してくれ」
樹生の唇に、そっとキスを落とす。
柔らかくて暖かい、あの日キスした時と何も変わらない唇だった。
【クロノ】
「助けてやれなくて……ごめん」
謝罪の言葉も、もう樹生には届かない。
樹生が幸せだと感じられる夢を見ているのだけが、唯一の救いだった。
【クロノ】
「そろそろ行くよ」
もう二度と、あんたの前に姿を現すことはないけど。
【クロノ】
「あんたのこと、好きだ」
【クロノ】
「だから、さよなら」
別れの言葉を呟いて、俺はその部屋から姿を消した。
ただひたすら、眠り続ける樹生の、幸せだけを願いながら。
