[期間限定イベント"年末年始"]
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【クロノ】
「移動中の車内で襲われて事故、て可能性を心配してたけど、今のところ大丈夫そうだね」
【アンク】
「クロノ様が妖獣について『知恵が回る』と言っていたのが気にかかって」
【アンク】
「実は、メリーちゃんを呼んでいる間に、少し調べてみました」
【クロノ】
「へえ、流石だね、じい。それで、結果は?」
【アンク】
「あの妖獣は、魔物の中では知能のある種族だったようです」
【アンク】
「ある程度の学習能力が確認されておりますし、目的の為に手段を考える能力もあるようです」
【クロノ】
(なるほど、確かに)
今までの行動を振り返っても、心当たりがある。
【クロノ】
「確かにそうかもね。エレベーターで襲われた時、かなり早い段階で俺を制止しようとした」
【クロノ】
「一回目の時と、昂正の状況で、俺は邪魔だと学習したのかもしれない」
【アンク】
「ただでさえ体が頑丈だというのに、知恵も回るとなると少してこずりますな」
【クロノ】
「……ねえ、知能が高いって、具体的なデータある?」
体が頑丈で、学習能力が高い、ということは。
【クロノ】
(使い魔にするには、最適だ)
あの魔物が、今回の事件の犯人によって人間界に送り込まれたなら、使い魔の可能性は充分にある。
あれが使い魔なら、その主が犯人…、少なくとも事件の関係者だから、重要な手掛かりになる。
【アンク】
「あの種族は、高い所にあるバナナを、枝を使ってとる事が出来るそうです」
【クロノ】
「触手で取りなよ」
【アンク】
「何をおっしゃいます! 道具を使えると言うのは、知能が高い証拠ですぞ!」
【クロノ】
「うん、まあ、そうだけど…」
じいは何故か不満そうに、色々と話を続けたけど。
どうやらあの妖獣が、使い魔に適しているというデータはないらしい。
【クロノ】
(それならいいんだけど……)
【クロノ】
(ていうか、誰だよ。あの妖獣が高い所のバナナを、枝を使って取れるか実験した奴…)
【アンク】
「しかし、今はその知能の高さに助けられましたな」
じいが、不意に真面目な声で言った。
【アンク】
「運転中に襲うと、自分も事故に巻き込まれる危険があると分かっているのかもしれません」
【クロノ】
「ふーん」
確かに、俺達の気配を感じ取っているのなら尚更、俺達が離れた今は樹生を襲う絶好のチャンスだ。
それなのに何もしないということは、じいの仮説を信じていいと思う。
【クロノ】
「じゃあ下手に信号待ちで車内に瞬間移動して、妖獣に悟られるより」
【クロノ】
「こうして上空から追って行った方がいいかもしれないね」
【アンク】
「そうですな。運転を終えてからの方が、春川さんはより安全かと思われます」
念の為、すぐに異変に気付けるように細心の注意を払いながらも。
じいは、メリーちゃんに、あまり近付き過ぎないよう命じた。
俺たちが助けに入るまで、樹生に危害が及ばない為には、妖獣を警戒させないほうがいい。
樹生のトラックは、安定した走りで大通りを暫く走ると。
やがて角を曲がり、道の端に寄って止まった。
トラックが停止した辺りの景色を見回すと。
【クロノ】
(……来たことあるな、ここ…………)
何で来たんだっけ…。
いつもと違う位置から見ているせいか、すぐに思い出せない……。
じっくり考える間もなく、樹生が運転席から下りるのが見えた。
【クロノ】
「よし、行こう」
【アンク】
「メリーちゃん、下へ!!」
俺達を乗せたメリーちゃんが急降下する間に、俺は人間の姿を取る。
【クロノ】
「樹生!!」
【春川】
「――クロノ!? どうしたんだ、突然」
名前を呼びながら着地すると。
荷台の鍵を開けていた樹生が、驚いた顔をして振り返った。
【クロノ】
「樹生、まだ開けるな――っ」
【春川】
「え? ――うわっ!」
鍵が開いた瞬間、中から戸を押し開けて、男の腕ぐらい太い触手が飛び出して来た。
【クロノ】
「樹生!!」
【春川】
「うわっ!! な、なんだっ!?」
太い触手は、樹生の脚に絡み付くと。
うねうねと蠢きながら樹生の全身に絡み付くように這い上がり、拘束する。
駆け寄ろうとした俺に向けて、妖獣が何かを放った。
【クロノ】
「―――っ!!!」
【クロノ】
「―――っ!!!」
俺は咄嗟に後ろへ跳んでかわす。
【アンク】
「クロノ様!」
心配そうな顔で走って来るじいをチラッと見遣り、俺は正面へ視線を戻した。
【クロノ】
「大丈夫、当たってない。けど…」
俺がいた位置のアスファルトには、べっとりと白いモノが付着している。
【クロノ】
(なんだ……?)
【春川】
「ああああっ!!!」
樹生の絶叫に視線を遣ると――、樹生の顔が蒼白になっていた。
【クロノ】
「樹生、どうし…!?」
【春川】
「お届け物のケーキ!! あのホテルのケーキは高いのに、なんて事をするんだ!!」
【クロノ】
「あ、これ、ケーキか…」
白いモノをよく見ると、確かにスポンジや苺の残骸が混じっている。
触手は俺を目がけ、次々とケーキを放って来る。
【春川】
「一番小さいサイズで税込5980円! それに送料と代引き手数料で、合計7180円!!」
【春川】
「やめろよ!! 弊社の信用と、損害賠償に関わるからやめて下さい!!」
【春川】
「お前のこと書いたって信用されないだろ!! 始末書になんて書けばいいんだよ!!」
俺が避けるのには、どうってことない攻撃だけど……。
樹生の精神には、かなり効いているらしい。
明らかに地球上の生き物じゃない触手に絡み付かれながら、必死に社会的な責任問題を話している。
【クロノ】
(樹生って、パニック起こすとこうなるのか……)
日頃、真面目で温厚な樹生は、取り乱し方も真面目だった…。
【クロノ】
「樹生、えーっと、俺、記憶操作とか出来るから。この事故、無かった事に出来るから」
【春川】
「でも、送り状が破かれてたら、記憶操作する相手が解らないかもしれないぞ!?」
「移動中の車内で襲われて事故、て可能性を心配してたけど、今のところ大丈夫そうだね」
【アンク】
「クロノ様が妖獣について『知恵が回る』と言っていたのが気にかかって」
【アンク】
「実は、メリーちゃんを呼んでいる間に、少し調べてみました」
【クロノ】
「へえ、流石だね、じい。それで、結果は?」
【アンク】
「あの妖獣は、魔物の中では知能のある種族だったようです」
【アンク】
「ある程度の学習能力が確認されておりますし、目的の為に手段を考える能力もあるようです」
【クロノ】
(なるほど、確かに)
今までの行動を振り返っても、心当たりがある。
【クロノ】
「確かにそうかもね。エレベーターで襲われた時、かなり早い段階で俺を制止しようとした」
【クロノ】
「一回目の時と、昂正の状況で、俺は邪魔だと学習したのかもしれない」
【アンク】
「ただでさえ体が頑丈だというのに、知恵も回るとなると少してこずりますな」
【クロノ】
「……ねえ、知能が高いって、具体的なデータある?」
体が頑丈で、学習能力が高い、ということは。
【クロノ】
(使い魔にするには、最適だ)
あの魔物が、今回の事件の犯人によって人間界に送り込まれたなら、使い魔の可能性は充分にある。
あれが使い魔なら、その主が犯人…、少なくとも事件の関係者だから、重要な手掛かりになる。
【アンク】
「あの種族は、高い所にあるバナナを、枝を使ってとる事が出来るそうです」
【クロノ】
「触手で取りなよ」
【アンク】
「何をおっしゃいます! 道具を使えると言うのは、知能が高い証拠ですぞ!」
【クロノ】
「うん、まあ、そうだけど…」
じいは何故か不満そうに、色々と話を続けたけど。
どうやらあの妖獣が、使い魔に適しているというデータはないらしい。
【クロノ】
(それならいいんだけど……)
【クロノ】
(ていうか、誰だよ。あの妖獣が高い所のバナナを、枝を使って取れるか実験した奴…)
【アンク】
「しかし、今はその知能の高さに助けられましたな」
じいが、不意に真面目な声で言った。
【アンク】
「運転中に襲うと、自分も事故に巻き込まれる危険があると分かっているのかもしれません」
【クロノ】
「ふーん」
確かに、俺達の気配を感じ取っているのなら尚更、俺達が離れた今は樹生を襲う絶好のチャンスだ。
それなのに何もしないということは、じいの仮説を信じていいと思う。
【クロノ】
「じゃあ下手に信号待ちで車内に瞬間移動して、妖獣に悟られるより」
【クロノ】
「こうして上空から追って行った方がいいかもしれないね」
【アンク】
「そうですな。運転を終えてからの方が、春川さんはより安全かと思われます」
念の為、すぐに異変に気付けるように細心の注意を払いながらも。
じいは、メリーちゃんに、あまり近付き過ぎないよう命じた。
俺たちが助けに入るまで、樹生に危害が及ばない為には、妖獣を警戒させないほうがいい。
樹生のトラックは、安定した走りで大通りを暫く走ると。
やがて角を曲がり、道の端に寄って止まった。
トラックが停止した辺りの景色を見回すと。
【クロノ】
(……来たことあるな、ここ…………)
何で来たんだっけ…。
いつもと違う位置から見ているせいか、すぐに思い出せない……。
じっくり考える間もなく、樹生が運転席から下りるのが見えた。
【クロノ】
「よし、行こう」
【アンク】
「メリーちゃん、下へ!!」
俺達を乗せたメリーちゃんが急降下する間に、俺は人間の姿を取る。
【クロノ】
「樹生!!」
【春川】
「――クロノ!? どうしたんだ、突然」
名前を呼びながら着地すると。
荷台の鍵を開けていた樹生が、驚いた顔をして振り返った。
【クロノ】
「樹生、まだ開けるな――っ」
【春川】
「え? ――うわっ!」
鍵が開いた瞬間、中から戸を押し開けて、男の腕ぐらい太い触手が飛び出して来た。
【クロノ】
「樹生!!」
【春川】
「うわっ!! な、なんだっ!?」
太い触手は、樹生の脚に絡み付くと。
うねうねと蠢きながら樹生の全身に絡み付くように這い上がり、拘束する。
駆け寄ろうとした俺に向けて、妖獣が何かを放った。
【クロノ】
「―――っ!!!」
【クロノ】
「―――っ!!!」
俺は咄嗟に後ろへ跳んでかわす。
【アンク】
「クロノ様!」
心配そうな顔で走って来るじいをチラッと見遣り、俺は正面へ視線を戻した。
【クロノ】
「大丈夫、当たってない。けど…」
俺がいた位置のアスファルトには、べっとりと白いモノが付着している。
【クロノ】
(なんだ……?)
【春川】
「ああああっ!!!」
樹生の絶叫に視線を遣ると――、樹生の顔が蒼白になっていた。
【クロノ】
「樹生、どうし…!?」
【春川】
「お届け物のケーキ!! あのホテルのケーキは高いのに、なんて事をするんだ!!」
【クロノ】
「あ、これ、ケーキか…」
白いモノをよく見ると、確かにスポンジや苺の残骸が混じっている。
触手は俺を目がけ、次々とケーキを放って来る。
【春川】
「一番小さいサイズで税込5980円! それに送料と代引き手数料で、合計7180円!!」
【春川】
「やめろよ!! 弊社の信用と、損害賠償に関わるからやめて下さい!!」
【春川】
「お前のこと書いたって信用されないだろ!! 始末書になんて書けばいいんだよ!!」
俺が避けるのには、どうってことない攻撃だけど……。
樹生の精神には、かなり効いているらしい。
明らかに地球上の生き物じゃない触手に絡み付かれながら、必死に社会的な責任問題を話している。
【クロノ】
(樹生って、パニック起こすとこうなるのか……)
日頃、真面目で温厚な樹生は、取り乱し方も真面目だった…。
【クロノ】
「樹生、えーっと、俺、記憶操作とか出来るから。この事故、無かった事に出来るから」
【春川】
「でも、送り状が破かれてたら、記憶操作する相手が解らないかもしれないぞ!?」