[本編] 春川 樹生 編
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【クロノ】
(他人の夢に介入するとこうなるのか……)
【クロノ】
(今の感覚、あまり好きじゃない)
目を開けると、見覚えのある部屋だった。
【クロノ】
「……あれ、いつも通りの世界だけど……これが夢?」
ここは―――春川の部屋?
今まで居た現実の春川の部屋と同じ間取りだが、随分と雰囲気が違う気がする。
昼の陽射しのせい?
それとも、人の気配がそうさせている?
部屋のベッドの上には春川と、春川に少しだけ似た男の子が座っている。
【クロノ】
(あれって、死んだはずの弟……?)
【クロノ】
(前に見た姿よりも少し成長してる)
【クロノ】
(現実では見ることの出来ない姿か……結局、また弟の夢を見てるわけか)
二人は俺の姿には全く気が付いていない。
思わず微笑ましくなるくらい楽しそうに、会話を続けている。
【春川 樹生】
「生汰、何か欲しいものはないか?」
【春川 樹生】
「初任給が入ったからなんでも買ってやるぞ!」
【春川 生汰】
「本当!?なんでもいいの?」
【春川 樹生】
「ああ、なんでもいいぞ。そうだ、欲しがってたゲームでも買ってくるか!」
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、ありがとう!ねえ、買ったら一緒にゲームしてくれる?」
【春川 樹生】
「兄ちゃんがゲーム下手なの知ってるだろ?」
【春川 生汰】
「僕が教えてあげるから、大丈夫だよ」
本当に仲の良い兄弟だったんだろうと思う。
【クロノ】
「……仲が良かったんだろうけど」
【クロノ】
(リビドーで亡くなった弟の夢ねぇ……)
【クロノ】
「……何が面白いんだか」
二人の会話はとどまる事がなかった。
他愛のない内容だが、本当にお互いを信頼しあっているのが伝わってくるようだった。
【クロノ】
(……とは言え、夢の中の人間との信頼関係なんて、あるわけないか)
【クロノ】
(ここはプログラムされた虚構の世界だし)
ここには自分に都合のいい幻しかない。
その甘美な夢から目を醒まさせるのが俺の役目だ。
春川にそっと近づく。
じいは接触しても問題無いと言っていたけど、やはり何が起こるか解らない。
少し慎重にやってみよう。
【クロノ】
「あんたは弟と会うのに、夢の中を選ぶんだ?」
……そのせいで寿命が縮んでるのに、とは流石に…初対面で言うのは、まずいよな。
【クロノ】
「こんばんは」
声をかけると春川が静かに顔を上げる。
その表情は穏やかで優しく、悪意が全く無い。
幸せな夢に浸っている時、人はこういう顔をするのか。
それとも春川が元々こんな表情の人間なのか?
【春川 樹生】
「今まで生汰以外、出てきた事ないのに」
【春川 樹生】
「あんたは……一体誰だ?」
【クロノ】
「死神。あんたの夢に介入してる」
【クロノ】
「あんたを助けに来た」
【春川 樹生】
「死神か。……初めて見たな」
その表情には恐れが感じられなかった。
下手に騒ぎたてられる事もなくて、正直ほっとする。
【春川 樹生】
「…夢で見るってことは、死神もオレの願望なのかな」
【クロノ】
「いいや。俺は現実に存在してる」
【クロノ】
「簡単には信じられないかもしれないけど」
【春川 樹生】
「じゃあ、本物の死神?」
春川は妙に関心したように言う。
信じているわけじゃないだろう、どうでもいいって顔をして。
【春川 樹生】
「意外と、普通の格好してんだな」
【クロノ】
「お望みなら、鎌でも出すけど」
【春川 樹生】
「……オレ、死んじまうのか?」
春川は特に悲観した様子もなく、そう言った。
【クロノ】
「……さっきも言ったんだけど、その逆」
【クロノ】
「今回は、あんたを死なせないために俺が来た」
【春川 樹生】
「死神なのに、殺さないのか?」
【クロノ】
「死神だからって、人を殺すわけじゃない」
【クロノ】
「あんたの寿命がなくなった時、魂を持ってくだけ」
【クロノ】
「死神が人を殺すんじゃない。寿命が人を殺すんだ」
【春川 樹生】
「そうか……」
【春川 樹生】
「……死神ってもっとおっかないもんだと思ってたけど」
【春川 樹生】
「そっか。そういうもんなんだな」
願望通りの夢の中に、まったく予期しない人物が登場したにも関わらず、
取り乱しも怒りもしない。
会話の内容も口調も穏やかで、少しも気負ったところがない。
こういう人間は珍しい。
それにしても……この夢の中の弟は俺に目もくれない。
プログラム通りの動作しかしないのかもしれない。
作られすぎた世界……なんだか奇妙すぎて、居心地が悪くなってきた。
【クロノ】
「信じる信じないは好きにして」
【クロノ】
「とにかく、あんたに忠告をしにきた」
【クロノ】
「このままだと、あんたは近い内に死ぬ。……というよりは極端に寿命が縮まってる」
【春川 樹生】
「オレを助けるって言ってたけど、どうするつもりなんだ?」
【クロノ】
「リビドー使うの、やめろ」
その時―――。
春川が少しだけ苦しげな表情に変わるのが分かった。
【春川 樹生】
「……それは出来ない」
【クロノ】
「そんなに早く死にたいのか」
【春川 樹生】
「……生汰の為なら、死んでもいい」
【クロノ】
「どうして?」
【春川 樹生】
「オレにはこれが必要だ」
壁の歪みは、何事もなかったかのように消えていた。
……どうやら、春川の精神状態が夢に直接影響してるらしい。
【クロノ】
「おい、春川……!」
春川と弟は楽しそうな会話をやめない。
何度か話しかけてみたが、何の反応も示さなかった。俺の姿が見えていないようだ。
【クロノ】
(……こうして見ると、本当に二人は幸せそうだな。兄弟で話してるだけなのに)
いや、なんだか少し仲が良すぎるような気も……。
普通の兄弟の距離感に比べて、ベタベタし過ぎというか……。
弟が春川の膝の上に跨って抱きついても、笑顔で弟の腰を抱き寄せて…まるで恋人同士のような……。
二人にとってはこれが普通なのかもしれないけど、少し気にかかる。
会話はリビドーの時間が許す限り続きそうだし。
【クロノ】
(話も聞けないみたいだし、今日はこんなところか)
―――目を閉じて…。
春川と弟の声が次第に遠ざかり、聞こえなくなった。
意識が沈み込み、……現実に戻ってくる。
【アンク】
「おかえりなさいませ。いかがでしたか?」
【クロノ】
「また弟の夢。相当内に篭ってるみたいで、二人だけの世界」
【アンク】
「なるほど。それで、何か手がかりはございましたか?」
【クロノ】
「弟。二人の関係性が気になった。まずは弟のことを調べよう」
【アンク】
「事故で死んだとされているようですが」
【クロノ】
「弟を亡くしたとはいえ、あそこまで固執するのは不自然だ」
【クロノ】
「弟と接するにしては、仲が良すぎる気がした」
【クロノ】
「もっと綿密に調べてみる必要がある」
(他人の夢に介入するとこうなるのか……)
【クロノ】
(今の感覚、あまり好きじゃない)
目を開けると、見覚えのある部屋だった。
【クロノ】
「……あれ、いつも通りの世界だけど……これが夢?」
ここは―――春川の部屋?
今まで居た現実の春川の部屋と同じ間取りだが、随分と雰囲気が違う気がする。
昼の陽射しのせい?
それとも、人の気配がそうさせている?
部屋のベッドの上には春川と、春川に少しだけ似た男の子が座っている。
【クロノ】
(あれって、死んだはずの弟……?)
【クロノ】
(前に見た姿よりも少し成長してる)
【クロノ】
(現実では見ることの出来ない姿か……結局、また弟の夢を見てるわけか)
二人は俺の姿には全く気が付いていない。
思わず微笑ましくなるくらい楽しそうに、会話を続けている。
【春川 樹生】
「生汰、何か欲しいものはないか?」
【春川 樹生】
「初任給が入ったからなんでも買ってやるぞ!」
【春川 生汰】
「本当!?なんでもいいの?」
【春川 樹生】
「ああ、なんでもいいぞ。そうだ、欲しがってたゲームでも買ってくるか!」
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、ありがとう!ねえ、買ったら一緒にゲームしてくれる?」
【春川 樹生】
「兄ちゃんがゲーム下手なの知ってるだろ?」
【春川 生汰】
「僕が教えてあげるから、大丈夫だよ」
本当に仲の良い兄弟だったんだろうと思う。
【クロノ】
「……仲が良かったんだろうけど」
【クロノ】
(リビドーで亡くなった弟の夢ねぇ……)
【クロノ】
「……何が面白いんだか」
二人の会話はとどまる事がなかった。
他愛のない内容だが、本当にお互いを信頼しあっているのが伝わってくるようだった。
【クロノ】
(……とは言え、夢の中の人間との信頼関係なんて、あるわけないか)
【クロノ】
(ここはプログラムされた虚構の世界だし)
ここには自分に都合のいい幻しかない。
その甘美な夢から目を醒まさせるのが俺の役目だ。
春川にそっと近づく。
じいは接触しても問題無いと言っていたけど、やはり何が起こるか解らない。
少し慎重にやってみよう。
【クロノ】
「あんたは弟と会うのに、夢の中を選ぶんだ?」
……そのせいで寿命が縮んでるのに、とは流石に…初対面で言うのは、まずいよな。
【クロノ】
「こんばんは」
声をかけると春川が静かに顔を上げる。
その表情は穏やかで優しく、悪意が全く無い。
幸せな夢に浸っている時、人はこういう顔をするのか。
それとも春川が元々こんな表情の人間なのか?
【春川 樹生】
「今まで生汰以外、出てきた事ないのに」
【春川 樹生】
「あんたは……一体誰だ?」
【クロノ】
「死神。あんたの夢に介入してる」
【クロノ】
「あんたを助けに来た」
【春川 樹生】
「死神か。……初めて見たな」
その表情には恐れが感じられなかった。
下手に騒ぎたてられる事もなくて、正直ほっとする。
【春川 樹生】
「…夢で見るってことは、死神もオレの願望なのかな」
【クロノ】
「いいや。俺は現実に存在してる」
【クロノ】
「簡単には信じられないかもしれないけど」
【春川 樹生】
「じゃあ、本物の死神?」
春川は妙に関心したように言う。
信じているわけじゃないだろう、どうでもいいって顔をして。
【春川 樹生】
「意外と、普通の格好してんだな」
【クロノ】
「お望みなら、鎌でも出すけど」
【春川 樹生】
「……オレ、死んじまうのか?」
春川は特に悲観した様子もなく、そう言った。
【クロノ】
「……さっきも言ったんだけど、その逆」
【クロノ】
「今回は、あんたを死なせないために俺が来た」
【春川 樹生】
「死神なのに、殺さないのか?」
【クロノ】
「死神だからって、人を殺すわけじゃない」
【クロノ】
「あんたの寿命がなくなった時、魂を持ってくだけ」
【クロノ】
「死神が人を殺すんじゃない。寿命が人を殺すんだ」
【春川 樹生】
「そうか……」
【春川 樹生】
「……死神ってもっとおっかないもんだと思ってたけど」
【春川 樹生】
「そっか。そういうもんなんだな」
願望通りの夢の中に、まったく予期しない人物が登場したにも関わらず、
取り乱しも怒りもしない。
会話の内容も口調も穏やかで、少しも気負ったところがない。
こういう人間は珍しい。
それにしても……この夢の中の弟は俺に目もくれない。
プログラム通りの動作しかしないのかもしれない。
作られすぎた世界……なんだか奇妙すぎて、居心地が悪くなってきた。
【クロノ】
「信じる信じないは好きにして」
【クロノ】
「とにかく、あんたに忠告をしにきた」
【クロノ】
「このままだと、あんたは近い内に死ぬ。……というよりは極端に寿命が縮まってる」
【春川 樹生】
「オレを助けるって言ってたけど、どうするつもりなんだ?」
【クロノ】
「リビドー使うの、やめろ」
その時―――。
春川が少しだけ苦しげな表情に変わるのが分かった。
【春川 樹生】
「……それは出来ない」
【クロノ】
「そんなに早く死にたいのか」
【春川 樹生】
「……生汰の為なら、死んでもいい」
【クロノ】
「どうして?」
【春川 樹生】
「オレにはこれが必要だ」
壁の歪みは、何事もなかったかのように消えていた。
……どうやら、春川の精神状態が夢に直接影響してるらしい。
【クロノ】
「おい、春川……!」
春川と弟は楽しそうな会話をやめない。
何度か話しかけてみたが、何の反応も示さなかった。俺の姿が見えていないようだ。
【クロノ】
(……こうして見ると、本当に二人は幸せそうだな。兄弟で話してるだけなのに)
いや、なんだか少し仲が良すぎるような気も……。
普通の兄弟の距離感に比べて、ベタベタし過ぎというか……。
弟が春川の膝の上に跨って抱きついても、笑顔で弟の腰を抱き寄せて…まるで恋人同士のような……。
二人にとってはこれが普通なのかもしれないけど、少し気にかかる。
会話はリビドーの時間が許す限り続きそうだし。
【クロノ】
(話も聞けないみたいだし、今日はこんなところか)
―――目を閉じて…。
春川と弟の声が次第に遠ざかり、聞こえなくなった。
意識が沈み込み、……現実に戻ってくる。
【アンク】
「おかえりなさいませ。いかがでしたか?」
【クロノ】
「また弟の夢。相当内に篭ってるみたいで、二人だけの世界」
【アンク】
「なるほど。それで、何か手がかりはございましたか?」
【クロノ】
「弟。二人の関係性が気になった。まずは弟のことを調べよう」
【アンク】
「事故で死んだとされているようですが」
【クロノ】
「弟を亡くしたとはいえ、あそこまで固執するのは不自然だ」
【クロノ】
「弟と接するにしては、仲が良すぎる気がした」
【クロノ】
「もっと綿密に調べてみる必要がある」
