[期間限定イベント"年末年始"]
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【クロノ】
「勘弁してよ……」
これは……、異常だと管理者まで出てくるはずだ。
――リビドー事件のターゲットだった者だけが、死亡予定者名簿に浮かび上がるなんて――
【クロノ】
「………あれ?」
ふと、俺はある違和感に気付いた。
【クロノ】
「死因が書いてないですけど。…もう事件は解決したのに、まさかまた脳波の……」
【管理者】
「死因は書かれなかったのだ、クロノ」
【クロノ】
「……え?」
【管理者】
「詳しくは言えないが、五人とも、死因は書かれなかったのだ」
なんだそれ。
そんな死亡予定者リスト、見た事がない。
思わずじいへ振り返ると、じいも驚いた顔をしていた。
【アンク】
「死亡予定時間も、記載がございませんな」
じいの声が、いつもと違って真剣で、低い。
【管理者】
「死亡予定日は本日。時間は、書かれなかったのだ。アンク=アンク=モルテ」
【クロノ】
(確かにこれは……)
普段起きる書き換えとは、明らかに違う。
不明な点が多すぎる。
………これは、本格的にヤバいかもしれない。
………
…………………
………………………………………
俺とじいは相談して、死亡予定者数が一番多かった、帝国ホテルから回る事にした。
【クロノ】
「死亡予定時間が分からないのが痛いけど、可能性としてはここが一番高いからね」
【アンク】
「そうですな、解決の糸口が見つかるといいのですが」
【クロノ】
「死因の特定が出来るといいな。そうすれば、色々予想も対策も取りやすくなる」
ホテルで、上総と侑思と昂正が命を落とす理由を、あれこれと考えながら。
俺は、リストを見ていた時から思っていた疑問を口にした。
【クロノ】
「どうして、三人が同じホテルにいるんだろう。もしかして、これはつまり…」
【アンク】
「綾さんと浅多さんは同じ会社にお勤めですから、なにかお仕事でしょう」
【クロノ】
「それだとやっぱり、昂正がいる理由が分からないから、やっぱり、これはつまり……」
【アンク】
「国重さんは私立探偵ですからな。お二人とは別件のお仕事では?」
【クロノ】
「でも、これはつまり……」
【アンク】
「場所は、こちらのホテルですな」
じいが指差したのは、俺でも名前を聞いたことがあるほど、人間界の有名な一流ホテルだった。
【クロノ】
「なんだ、そういうホテルじゃなかったのか」
俺を巡って痴情のもつれ、もしくは3人で宜しくやっているという可能性は途絶え…いや、待て。
【クロノ】
「でも別に、ここでそういうコトをしないとも限らな…、っ!」
【アンク】
「さあさあさあ、調査開始ですぞ! 頑張りましょう、オー!!」
【アンク】
「さあさあさあ!!」
張り切るじいに背中を押されながら、俺はホテルへと足を踏み入れた。
ホテルのロビーに、宴会場案内という看板があって。
「朱雀の間」という文字の下には『ヨントリー社様 新春パーティー』と書かれた紙が貼ってあった。
【クロノ】
「これ、あの二人が働いてる会社の名前だね。じゃあ、そこかな」
案内図で位置を確認し、俺とじいは「朱雀の間」へ向かった。
「朱雀の間」のドアを開けると、そこは有名ホテルの宴会場らしい、いかにも豪華な広間で。
広間には所狭しと、白いテーブルクロスを掛けた円卓が幾つも並べられていた。
【綾】
「だーから、やれって浅多」
【浅多】
「やりません」
【クロノ】
「あ、いた」
上総と侑思は、部屋の隅の方で何か打ち合わせをしていた。
【綾】
「大丈夫だって、恥ずかしがらなきゃ成功するって。これ鉄板ネタだから」
【浅多】
「嫌です」
【綾】
「俺が完璧なネタ振りとツッコミ入れてやるから、ここでお前も一皮むけようぜ」
【浅多】
「嫌です。僕もう、メニューの確認に行ってもいいですか?」
【綾】
「やれよ、浅多ー! お前が『メガネメガネ』ってやったら絶対ウケルって! おいしいからあ!」
【浅多】
「やりません。それじゃ、支配人に確認してきます」
【綾】
「ちぇー」
スタスタと歩き出した侑思の後ろに、拗ねたような顔をして上総が付いて行く。
上総は諦めていないのか、侑思をつついたり後ろから抱き付いたりして。
「上司の言うことは聞いとけよー」なんて笑っている。
けれど、侑思は上総を軽く払うと、気にせずに支配人と話し続ける。
【クロノ】
「あいつら、やっぱり仲良いね。職場でも偶に話してるの見かけるけど」
あ、話してるというより上総が侑思に絡んでるだけかな。
【アンク】
「そうですなあ。仲良き事は美しきかな」
ふたりの姿を呑気に眺めていると、じいがコホンとひとつ咳払いをした。
【アンク】
「ところでクロノ様」
【アンク】
「――この部屋、微かに魔力の気配が致します」
【クロノ】
「……魔力?」
じいの言葉に、俺も意識を部屋へ巡らせると。
――確かに、俺とじいのものではない魔力の気配がする。
【クロノ】
「……これってもしかして」
【アンク】
「魔物…でしょうな」
魔力を持った獣と言えば分かりやすいだろうか。
魔力もあるし、頑丈な身体をしているが、知能はあまり高くないものが多い。
だから魔物は、複雑な術は使えない。
【クロノ】
「…魔物が、人間界へ渡って来られるとは思えない」
【アンク】
「魔物を人間界へ送り込んだ者がいる…、と考えるのが自然でしょうな」
【クロノ】
「今回の事件、犯人がいるなら、何か狙いがあると思うんだけど」
【クロノ】
「人間界に魔物を呼び出して、侑思と上総を襲わせる目的って何だ…?」
あの五人には、いずれもリビドー事件のターゲットだったという以外、特に共通点はない。
彼らを選び出して、魔物を差し向ける目的って一体―――。
【クロノ】
「とりあえず、このホテルから上総と侑思を避難させよう」
【アンク】
「そうですな! 他の方は被害に遭われないようですし、まずはお二人の安全を!」
【クロノ】
「うん、魔物はその後で対処すればいいし。じゃ、行ってくるね」
侑思と上総に事情を説明しようと、俺は人間の姿を取ろうとしたが――。
「勘弁してよ……」
これは……、異常だと管理者まで出てくるはずだ。
――リビドー事件のターゲットだった者だけが、死亡予定者名簿に浮かび上がるなんて――
【クロノ】
「………あれ?」
ふと、俺はある違和感に気付いた。
【クロノ】
「死因が書いてないですけど。…もう事件は解決したのに、まさかまた脳波の……」
【管理者】
「死因は書かれなかったのだ、クロノ」
【クロノ】
「……え?」
【管理者】
「詳しくは言えないが、五人とも、死因は書かれなかったのだ」
なんだそれ。
そんな死亡予定者リスト、見た事がない。
思わずじいへ振り返ると、じいも驚いた顔をしていた。
【アンク】
「死亡予定時間も、記載がございませんな」
じいの声が、いつもと違って真剣で、低い。
【管理者】
「死亡予定日は本日。時間は、書かれなかったのだ。アンク=アンク=モルテ」
【クロノ】
(確かにこれは……)
普段起きる書き換えとは、明らかに違う。
不明な点が多すぎる。
………これは、本格的にヤバいかもしれない。
………
…………………
………………………………………
俺とじいは相談して、死亡予定者数が一番多かった、帝国ホテルから回る事にした。
【クロノ】
「死亡予定時間が分からないのが痛いけど、可能性としてはここが一番高いからね」
【アンク】
「そうですな、解決の糸口が見つかるといいのですが」
【クロノ】
「死因の特定が出来るといいな。そうすれば、色々予想も対策も取りやすくなる」
ホテルで、上総と侑思と昂正が命を落とす理由を、あれこれと考えながら。
俺は、リストを見ていた時から思っていた疑問を口にした。
【クロノ】
「どうして、三人が同じホテルにいるんだろう。もしかして、これはつまり…」
【アンク】
「綾さんと浅多さんは同じ会社にお勤めですから、なにかお仕事でしょう」
【クロノ】
「それだとやっぱり、昂正がいる理由が分からないから、やっぱり、これはつまり……」
【アンク】
「国重さんは私立探偵ですからな。お二人とは別件のお仕事では?」
【クロノ】
「でも、これはつまり……」
【アンク】
「場所は、こちらのホテルですな」
じいが指差したのは、俺でも名前を聞いたことがあるほど、人間界の有名な一流ホテルだった。
【クロノ】
「なんだ、そういうホテルじゃなかったのか」
俺を巡って痴情のもつれ、もしくは3人で宜しくやっているという可能性は途絶え…いや、待て。
【クロノ】
「でも別に、ここでそういうコトをしないとも限らな…、っ!」
【アンク】
「さあさあさあ、調査開始ですぞ! 頑張りましょう、オー!!」
【アンク】
「さあさあさあ!!」
張り切るじいに背中を押されながら、俺はホテルへと足を踏み入れた。
ホテルのロビーに、宴会場案内という看板があって。
「朱雀の間」という文字の下には『ヨントリー社様 新春パーティー』と書かれた紙が貼ってあった。
【クロノ】
「これ、あの二人が働いてる会社の名前だね。じゃあ、そこかな」
案内図で位置を確認し、俺とじいは「朱雀の間」へ向かった。
「朱雀の間」のドアを開けると、そこは有名ホテルの宴会場らしい、いかにも豪華な広間で。
広間には所狭しと、白いテーブルクロスを掛けた円卓が幾つも並べられていた。
【綾】
「だーから、やれって浅多」
【浅多】
「やりません」
【クロノ】
「あ、いた」
上総と侑思は、部屋の隅の方で何か打ち合わせをしていた。
【綾】
「大丈夫だって、恥ずかしがらなきゃ成功するって。これ鉄板ネタだから」
【浅多】
「嫌です」
【綾】
「俺が完璧なネタ振りとツッコミ入れてやるから、ここでお前も一皮むけようぜ」
【浅多】
「嫌です。僕もう、メニューの確認に行ってもいいですか?」
【綾】
「やれよ、浅多ー! お前が『メガネメガネ』ってやったら絶対ウケルって! おいしいからあ!」
【浅多】
「やりません。それじゃ、支配人に確認してきます」
【綾】
「ちぇー」
スタスタと歩き出した侑思の後ろに、拗ねたような顔をして上総が付いて行く。
上総は諦めていないのか、侑思をつついたり後ろから抱き付いたりして。
「上司の言うことは聞いとけよー」なんて笑っている。
けれど、侑思は上総を軽く払うと、気にせずに支配人と話し続ける。
【クロノ】
「あいつら、やっぱり仲良いね。職場でも偶に話してるの見かけるけど」
あ、話してるというより上総が侑思に絡んでるだけかな。
【アンク】
「そうですなあ。仲良き事は美しきかな」
ふたりの姿を呑気に眺めていると、じいがコホンとひとつ咳払いをした。
【アンク】
「ところでクロノ様」
【アンク】
「――この部屋、微かに魔力の気配が致します」
【クロノ】
「……魔力?」
じいの言葉に、俺も意識を部屋へ巡らせると。
――確かに、俺とじいのものではない魔力の気配がする。
【クロノ】
「……これってもしかして」
【アンク】
「魔物…でしょうな」
魔力を持った獣と言えば分かりやすいだろうか。
魔力もあるし、頑丈な身体をしているが、知能はあまり高くないものが多い。
だから魔物は、複雑な術は使えない。
【クロノ】
「…魔物が、人間界へ渡って来られるとは思えない」
【アンク】
「魔物を人間界へ送り込んだ者がいる…、と考えるのが自然でしょうな」
【クロノ】
「今回の事件、犯人がいるなら、何か狙いがあると思うんだけど」
【クロノ】
「人間界に魔物を呼び出して、侑思と上総を襲わせる目的って何だ…?」
あの五人には、いずれもリビドー事件のターゲットだったという以外、特に共通点はない。
彼らを選び出して、魔物を差し向ける目的って一体―――。
【クロノ】
「とりあえず、このホテルから上総と侑思を避難させよう」
【アンク】
「そうですな! 他の方は被害に遭われないようですし、まずはお二人の安全を!」
【クロノ】
「うん、魔物はその後で対処すればいいし。じゃ、行ってくるね」
侑思と上総に事情を説明しようと、俺は人間の姿を取ろうとしたが――。