[本編] 春川 樹生 編
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弾かれたように春川を見る。
化物は全身で圧し掛かるようにして、春川を壁に押さえつけていた。
【春川 樹生】
「ぐっ……! あ、ぐ……クロノ……っ」
巨大な化物と壁に圧迫され、春川が苦しそうに俺の名を呼ぶ。
その姿を見た瞬間、胸が焦げるような焦燥感が一気にやってくる。
【クロノ】
「春川……!」
夢中で手をかざし、死神の鎌を生成した。
そのまま化物目がけて走りだそうとして―――
【ユリス】
「よそ見しないでくれるー?」
―――横から向かってくる何かを、反射的に鎌で受けた。
鋭い衝撃に弾かれ、体勢が崩れて少しよろめいた。
振り向いた先に立っているのは――死神の鎌を持ったユリス。
その顔には、相変わらず嫌らしい笑みがべったりと張り付いている。
ちらっと春川の方を窺うと、化物に身動きを封じられているが、
化物はそれ以上の危害を加える様子がない。
でも―――夢の中で怪我をした場合、現実にどんな影響があるかわからない。
【クロノ】
(あの化物が、夢の中で春川を殺そうとしてるなら、今この瞬間にも出来るはず)
【クロノ】
(でも、それをしてないって事は……)
【クロノ】
「これも、全部お前が仕組んだこと……?」
【クロノ】
「弟を化物にしたのも、この悪夢の世界も……全部お前のせい?」
【ユリス】
「そんなの当たり前でしょ?」
勝ち誇ったようにユリスが言う。
【ユリス】
「そいつが今日、リビドー使ってるのが分かった時から」
【ユリス】
「どうせお前が夢に入って来るんだろうなってヤマ張ってたんだけど……案の定か」
【ユリス】
「そいつのことになると、お前はすぐにムキになるんだよね」
【ユリス】
「いつもは冷静ぶってる癖に」
俺は意図的に呼吸を大きく、ゆっくり繰り返す―――
そうでもしないと、怒りに任せてユリスを斬りつけてしまいそうだった。
殺してはいけない。そういう任務じゃない。
【ユリス】
「……その人間に夢中なんだろ?」
【ユリス】
「だから、この夢は、俺からのプレゼントなんだよ」
【ユリス】
「お前達に一生イチャイチャできる場所を準備してやったんだからさ。感謝しなよ?」
【クロノ】
「……お前からのプレゼントなんて、吐き気がする」
死神の鎌を突きつけてやると、肩をすくめたユリスが、がっかりしたような口調で言う。
【ユリス】
「クロノ。全部、お前の為にやってるんだけど?」
【ユリス】
「この夢にはとっくにロックがかかってる。わかるだろ。目覚められなくなってること」
【ユリス】
「それでお前は、お気に入りの人間と、二人っきりでずっとここにいられる」
【ユリス】
「ほら、最高に幸せだろ?」
【ユリス】
「それなのに……」
【ユリス】
「……なんでお前に憎まれなくちゃいけないんだよ!」
突然、ユリスが下段から鎌を振るい、斬りつけてきた。
とっさに身を引いてかわす。……これくらいの攻撃なら避けるのは簡単だ。
小柄なユリスは敏捷な動きで、鎌を構え直した。
【春川 樹生】
「……っクロノ……無事か……!」
化物に追い詰められながらも、春川は俺の身を案じてくれている。
その気持ちが嬉しくて、絶対に生きてここから出ようと思えた。
【クロノ】
「大丈夫。こんな奴に負けたりしない」
【クロノ】
「春川、ごめん。少しそこで見てて。必ず……助けるから」
【ユリス】
「……あーあ。外しちゃったわ」
【ユリス】
「お前って意外とケンカ慣れしてんだ」
自ら斬りかかって来ておいて、悪びれもせず飄々と言う。
【クロノ】
「だって……」
【クロノ】
「不意打ちなんて、お前が好きそうな方法」
【ユリス】
「あはは!俺の事、ようやく分かってきた?」
【ユリス】
「でも、理解すんの遅すぎ」
腕をだらんと下ろして、気だるそうにしているユリスだったが、
こちらの行動を目ざとく逐一観察しているようだ。
【クロノ】
「教えて。人間だけじゃなく、同胞だった者まで襲うのってどんな気分?」
【ユリス】
「……人間だろうが死神だろうが、知ったことじゃないね」
【ユリス】
「欲しい物を手に入れようとすることの何が悪いんだよ」
【ユリス】
「手に入らない物がいつまでも目の前にあったら目障りでしょうがねー」
【ユリス】
「そんなの、ぶっ壊したくなるだろ」
【ユリス】
「それの何が悪いんだよ」
【クロノ】
「……聞いても理解できない事ってあるんだ」
【クロノ】
「それなら、好きなだけ欲しがってれば?」
【クロノ】
「お前みたいな奴にあげられる物は何ひとつとしてないけど」
【ユリス】
「……お前ならそう言うと思ったから」
【ユリス】
「だから、俺がくれてやったのにな」
【ユリス】
「お前が欲しがってるもの、こうやってくれてやってんのに?」
【ユリス】
「それでもお前は、俺を拒絶する」
ユリスが素早く迫ってくる―――でも、今度は俺も身構えている。
上段からまっすぐに振り下ろされた鎌を横から弾き、懐に一歩踏み込んで腹を狙って蹴る。
ユリスは反射的に腕で体を守るが、体格は俺の方が優れてるから。
体重が乗った蹴りでユリスがたたらを踏んだ所を、肩で突き飛ばし距離を取る。
相手の体勢が崩れる―――その隙を見逃さない。
鎌の柄を槍のように使い脇腹を突き飛ばす。
【ユリス】
「つっ……! んだよコレ!いったいんだけど?!」
【クロノ】
「痛い、か。人殺しの台詞とは思えない」
【クロノ】
「誰かを死なせる時には、相手の苦痛の事なんか考えないんだろ」
【クロノ】
「体の痛みだけじゃない。心の痛みのことも、考えやしないんだろ?」
【ユリス】
「お前だって俺と同じだろ?!」
【ユリス】
「オレの痛みなんか、何もわかってないくせに……!」
ユリスが腕を上げると、化物がのろのろと動き出した。
春川を壁に押し付ける力を強めているようで、春川の顔が苦痛に歪む。
【春川 樹生】
「ぐ……あ……!」
春川がもがくと化物は少しだけ揺れ動くが―――
戒めを解くまでには至らない。
化物は全身で圧し掛かるようにして、春川を壁に押さえつけていた。
【春川 樹生】
「ぐっ……! あ、ぐ……クロノ……っ」
巨大な化物と壁に圧迫され、春川が苦しそうに俺の名を呼ぶ。
その姿を見た瞬間、胸が焦げるような焦燥感が一気にやってくる。
【クロノ】
「春川……!」
夢中で手をかざし、死神の鎌を生成した。
そのまま化物目がけて走りだそうとして―――
【ユリス】
「よそ見しないでくれるー?」
―――横から向かってくる何かを、反射的に鎌で受けた。
鋭い衝撃に弾かれ、体勢が崩れて少しよろめいた。
振り向いた先に立っているのは――死神の鎌を持ったユリス。
その顔には、相変わらず嫌らしい笑みがべったりと張り付いている。
ちらっと春川の方を窺うと、化物に身動きを封じられているが、
化物はそれ以上の危害を加える様子がない。
でも―――夢の中で怪我をした場合、現実にどんな影響があるかわからない。
【クロノ】
(あの化物が、夢の中で春川を殺そうとしてるなら、今この瞬間にも出来るはず)
【クロノ】
(でも、それをしてないって事は……)
【クロノ】
「これも、全部お前が仕組んだこと……?」
【クロノ】
「弟を化物にしたのも、この悪夢の世界も……全部お前のせい?」
【ユリス】
「そんなの当たり前でしょ?」
勝ち誇ったようにユリスが言う。
【ユリス】
「そいつが今日、リビドー使ってるのが分かった時から」
【ユリス】
「どうせお前が夢に入って来るんだろうなってヤマ張ってたんだけど……案の定か」
【ユリス】
「そいつのことになると、お前はすぐにムキになるんだよね」
【ユリス】
「いつもは冷静ぶってる癖に」
俺は意図的に呼吸を大きく、ゆっくり繰り返す―――
そうでもしないと、怒りに任せてユリスを斬りつけてしまいそうだった。
殺してはいけない。そういう任務じゃない。
【ユリス】
「……その人間に夢中なんだろ?」
【ユリス】
「だから、この夢は、俺からのプレゼントなんだよ」
【ユリス】
「お前達に一生イチャイチャできる場所を準備してやったんだからさ。感謝しなよ?」
【クロノ】
「……お前からのプレゼントなんて、吐き気がする」
死神の鎌を突きつけてやると、肩をすくめたユリスが、がっかりしたような口調で言う。
【ユリス】
「クロノ。全部、お前の為にやってるんだけど?」
【ユリス】
「この夢にはとっくにロックがかかってる。わかるだろ。目覚められなくなってること」
【ユリス】
「それでお前は、お気に入りの人間と、二人っきりでずっとここにいられる」
【ユリス】
「ほら、最高に幸せだろ?」
【ユリス】
「それなのに……」
【ユリス】
「……なんでお前に憎まれなくちゃいけないんだよ!」
突然、ユリスが下段から鎌を振るい、斬りつけてきた。
とっさに身を引いてかわす。……これくらいの攻撃なら避けるのは簡単だ。
小柄なユリスは敏捷な動きで、鎌を構え直した。
【春川 樹生】
「……っクロノ……無事か……!」
化物に追い詰められながらも、春川は俺の身を案じてくれている。
その気持ちが嬉しくて、絶対に生きてここから出ようと思えた。
【クロノ】
「大丈夫。こんな奴に負けたりしない」
【クロノ】
「春川、ごめん。少しそこで見てて。必ず……助けるから」
【ユリス】
「……あーあ。外しちゃったわ」
【ユリス】
「お前って意外とケンカ慣れしてんだ」
自ら斬りかかって来ておいて、悪びれもせず飄々と言う。
【クロノ】
「だって……」
【クロノ】
「不意打ちなんて、お前が好きそうな方法」
【ユリス】
「あはは!俺の事、ようやく分かってきた?」
【ユリス】
「でも、理解すんの遅すぎ」
腕をだらんと下ろして、気だるそうにしているユリスだったが、
こちらの行動を目ざとく逐一観察しているようだ。
【クロノ】
「教えて。人間だけじゃなく、同胞だった者まで襲うのってどんな気分?」
【ユリス】
「……人間だろうが死神だろうが、知ったことじゃないね」
【ユリス】
「欲しい物を手に入れようとすることの何が悪いんだよ」
【ユリス】
「手に入らない物がいつまでも目の前にあったら目障りでしょうがねー」
【ユリス】
「そんなの、ぶっ壊したくなるだろ」
【ユリス】
「それの何が悪いんだよ」
【クロノ】
「……聞いても理解できない事ってあるんだ」
【クロノ】
「それなら、好きなだけ欲しがってれば?」
【クロノ】
「お前みたいな奴にあげられる物は何ひとつとしてないけど」
【ユリス】
「……お前ならそう言うと思ったから」
【ユリス】
「だから、俺がくれてやったのにな」
【ユリス】
「お前が欲しがってるもの、こうやってくれてやってんのに?」
【ユリス】
「それでもお前は、俺を拒絶する」
ユリスが素早く迫ってくる―――でも、今度は俺も身構えている。
上段からまっすぐに振り下ろされた鎌を横から弾き、懐に一歩踏み込んで腹を狙って蹴る。
ユリスは反射的に腕で体を守るが、体格は俺の方が優れてるから。
体重が乗った蹴りでユリスがたたらを踏んだ所を、肩で突き飛ばし距離を取る。
相手の体勢が崩れる―――その隙を見逃さない。
鎌の柄を槍のように使い脇腹を突き飛ばす。
【ユリス】
「つっ……! んだよコレ!いったいんだけど?!」
【クロノ】
「痛い、か。人殺しの台詞とは思えない」
【クロノ】
「誰かを死なせる時には、相手の苦痛の事なんか考えないんだろ」
【クロノ】
「体の痛みだけじゃない。心の痛みのことも、考えやしないんだろ?」
【ユリス】
「お前だって俺と同じだろ?!」
【ユリス】
「オレの痛みなんか、何もわかってないくせに……!」
ユリスが腕を上げると、化物がのろのろと動き出した。
春川を壁に押し付ける力を強めているようで、春川の顔が苦痛に歪む。
【春川 樹生】
「ぐ……あ……!」
春川がもがくと化物は少しだけ揺れ動くが―――
戒めを解くまでには至らない。
