[本編] 春川 樹生 編
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【アンク】
「死神界と違って我々には探しにくいですし」
【クロノ】
「うん。……あいつが簡単に捕まったり、諦めたりするはずない」
【クロノ】
「きっと逃げまわるだけじゃなく、何か仕掛けてくるはず。そういう性格だから」
【クロノ】
「ユリスが最後にやりそうなことって……」
そこまで言いかけて、俺は口を噤んだ。……そんなの簡単に予想できる。
【アンク】
「……春川さんが危ないかもしれませんな」
【アンク】
「ユリスがクロノ様に固執している以上は、春川さんから離れない方がよろしいかと」
【アンク】
「今後は今日のように、死神界に御用の際は、出来る限り私めがお助けしましょう」
じいの言葉と、全く同じ事を考えていた。
どうして春川から目を離したりしたんだろう。
いてもたってもいられなくなり、俺は席を立つ。
【アンク】
「人間界にお戻りになりますか?」
【クロノ】
「うん。今すぐ行く」
【アンク】
「それならば、じいもお供しますぞ」
【アンク】
「死神界での調査はほぼ終わっておりますからな」
【クロノ】
「そっか……なら一緒に行こう」
【クロノ】
「頭数はひとつでも多いほうが助かるしね」
【アンク】
「そうでしょうとも!じいのサポートに期待してくだされ!」
【クロノ】
「……じーさんがあいつの人質にならないように祈ってるよ」
そうは言ったけど、じいが人質にとられるなんてありえないだろうな。
なんてったってじいは百戦錬磨の死神。油断さえなければ、怖いものは無い。
【クロノ】
「じゃ、行く。準備して、じい」
【アンク】
「かしこまりました!」
急いで人間界に下りる。
春川……何事もなければ、いいんだけど……。
何度も訪れた春川の部屋。
そこには、見るたびに心が重くなる光景があった。
ベッドに寝て―――リビドーを装着した春川の姿だ。
【クロノ】
「春川……!」
【クロノ】
「どうして……またリビドーなんか!」
こんな装置なんか、もう使わないと信じていたのに。
―――ベッドに眠っている状況からして、誰かに強制されたわけではなさそうだけど。
それなら、自分で使うことを選んだ……?
【アンク】
「クロノ様、そう気を落とされますな」
【アンク】
「どんな状況でリビドーを使うことになったのか、まだ分かっていませんぞ」
【クロノ】
「どういうこと……?」
【アンク】
「春川様がリビドーを使う理由はトラウマ……でしたな」
【クロノ】
「うん。もちろん弟に会いたい、話したいっていう気持ちもあると思うけど」
【アンク】
「トラウマに関してはクロノ様がある程度、克服させた」
【アンク】
「じいはそう思っております」
それは……俺もそう思っていた。
だからこそ、まだリビドーを使っている春川にショックを受けたんだ。
【アンク】
「それならば、春川さんは他の理由でリビドーを使うことにしたのかもしれませんぞ」
理由……
【クロノ】
「他の理由って……?」
【アンク】
「……それはじいには分かりかねます。申し訳ございません」
【クロノ】
(考えてても埒が明かない……)
【クロノ】
(春川に直接聞いてみないと……!)
【クロノ】
「じい、今から夢に介入する」
【アンク】
「用意は出来ております」
じいが差し出したリビドーを受け取った俺は、素早く春川の隣に横になり、頭にリビドーを装着する。
【クロノ】
「行ってくるよ」
【アンク】
「行ってらっしゃいませ」
【アンク】
「御用の際はお呼びくだされ!」
スイッチを入れ―――俺は現実世界から落下していく。
憧憬夢に下りた俺が目にしたのは、いつもの部屋。
そして―――ベッドに座り、ぼうっとしている春川の姿だった。
【クロノ】
「春川……!」
俺が声をかけると、はっと気がついたように顔をあげる。
【春川 樹生】
「クロノ……!」
嬉しそうな笑顔の春川が立ち上がり、歩み寄ってくる。
手放しで訪問を喜んでくれていることが分かり、俺は安心した。
春川はもう―――前のように、俺が夢に介入することを拒んだりしない。
それはリビドーへの依存が終わりかけているのを暗示していると思う。
しかし、疑問は残ったままだ。
……なぜリビドーを使っている?
【クロノ】
「話、聞かせて貰える?」
【クロノ】
「どうしてまたリビドーを使ってるの」
俺の目の前までやってきた春川が、気まずそうに顔をそらす。
【春川 樹生】
「試してみたんだよ」
【クロノ】
「試したって……何を?」
【春川 樹生】
「……オレが、弟のトラウマを、克服出来たかどうか」
【春川 樹生】
「リビドーを使って、その夢に弟が出てこなかったら、その時は本当にやめようと思ったんだ」
【クロノ】
「……そうだったんだ」
春川は自分なりにトラウマを克服しようといていたんだ。
……冷たくなりかけていた心が、温かくなった気がする。
春川は、ちゃんと前を見て進んでいってるんだ。
【春川 樹生】
「弟は、……見ての通りだ」
辺りを見回すけど、部屋の中には、俺と春川の二人だけしかいない。
【クロノ】
「そっか……良かったじゃん」
俺は春川の頭にぽんと手をやり、思い切り撫で回してやる。
春川が恥ずかしそうに俯いた。
【春川 樹生】
「クロノのおかげだよ」
【クロノ】
「……どういたしまして」
仕事だから、とはもう言わない。
―――それ以上の気持ちが、春川を助けたいという気持ちがあるから。
「死神界と違って我々には探しにくいですし」
【クロノ】
「うん。……あいつが簡単に捕まったり、諦めたりするはずない」
【クロノ】
「きっと逃げまわるだけじゃなく、何か仕掛けてくるはず。そういう性格だから」
【クロノ】
「ユリスが最後にやりそうなことって……」
そこまで言いかけて、俺は口を噤んだ。……そんなの簡単に予想できる。
【アンク】
「……春川さんが危ないかもしれませんな」
【アンク】
「ユリスがクロノ様に固執している以上は、春川さんから離れない方がよろしいかと」
【アンク】
「今後は今日のように、死神界に御用の際は、出来る限り私めがお助けしましょう」
じいの言葉と、全く同じ事を考えていた。
どうして春川から目を離したりしたんだろう。
いてもたってもいられなくなり、俺は席を立つ。
【アンク】
「人間界にお戻りになりますか?」
【クロノ】
「うん。今すぐ行く」
【アンク】
「それならば、じいもお供しますぞ」
【アンク】
「死神界での調査はほぼ終わっておりますからな」
【クロノ】
「そっか……なら一緒に行こう」
【クロノ】
「頭数はひとつでも多いほうが助かるしね」
【アンク】
「そうでしょうとも!じいのサポートに期待してくだされ!」
【クロノ】
「……じーさんがあいつの人質にならないように祈ってるよ」
そうは言ったけど、じいが人質にとられるなんてありえないだろうな。
なんてったってじいは百戦錬磨の死神。油断さえなければ、怖いものは無い。
【クロノ】
「じゃ、行く。準備して、じい」
【アンク】
「かしこまりました!」
急いで人間界に下りる。
春川……何事もなければ、いいんだけど……。
何度も訪れた春川の部屋。
そこには、見るたびに心が重くなる光景があった。
ベッドに寝て―――リビドーを装着した春川の姿だ。
【クロノ】
「春川……!」
【クロノ】
「どうして……またリビドーなんか!」
こんな装置なんか、もう使わないと信じていたのに。
―――ベッドに眠っている状況からして、誰かに強制されたわけではなさそうだけど。
それなら、自分で使うことを選んだ……?
【アンク】
「クロノ様、そう気を落とされますな」
【アンク】
「どんな状況でリビドーを使うことになったのか、まだ分かっていませんぞ」
【クロノ】
「どういうこと……?」
【アンク】
「春川様がリビドーを使う理由はトラウマ……でしたな」
【クロノ】
「うん。もちろん弟に会いたい、話したいっていう気持ちもあると思うけど」
【アンク】
「トラウマに関してはクロノ様がある程度、克服させた」
【アンク】
「じいはそう思っております」
それは……俺もそう思っていた。
だからこそ、まだリビドーを使っている春川にショックを受けたんだ。
【アンク】
「それならば、春川さんは他の理由でリビドーを使うことにしたのかもしれませんぞ」
理由……
【クロノ】
「他の理由って……?」
【アンク】
「……それはじいには分かりかねます。申し訳ございません」
【クロノ】
(考えてても埒が明かない……)
【クロノ】
(春川に直接聞いてみないと……!)
【クロノ】
「じい、今から夢に介入する」
【アンク】
「用意は出来ております」
じいが差し出したリビドーを受け取った俺は、素早く春川の隣に横になり、頭にリビドーを装着する。
【クロノ】
「行ってくるよ」
【アンク】
「行ってらっしゃいませ」
【アンク】
「御用の際はお呼びくだされ!」
スイッチを入れ―――俺は現実世界から落下していく。
憧憬夢に下りた俺が目にしたのは、いつもの部屋。
そして―――ベッドに座り、ぼうっとしている春川の姿だった。
【クロノ】
「春川……!」
俺が声をかけると、はっと気がついたように顔をあげる。
【春川 樹生】
「クロノ……!」
嬉しそうな笑顔の春川が立ち上がり、歩み寄ってくる。
手放しで訪問を喜んでくれていることが分かり、俺は安心した。
春川はもう―――前のように、俺が夢に介入することを拒んだりしない。
それはリビドーへの依存が終わりかけているのを暗示していると思う。
しかし、疑問は残ったままだ。
……なぜリビドーを使っている?
【クロノ】
「話、聞かせて貰える?」
【クロノ】
「どうしてまたリビドーを使ってるの」
俺の目の前までやってきた春川が、気まずそうに顔をそらす。
【春川 樹生】
「試してみたんだよ」
【クロノ】
「試したって……何を?」
【春川 樹生】
「……オレが、弟のトラウマを、克服出来たかどうか」
【春川 樹生】
「リビドーを使って、その夢に弟が出てこなかったら、その時は本当にやめようと思ったんだ」
【クロノ】
「……そうだったんだ」
春川は自分なりにトラウマを克服しようといていたんだ。
……冷たくなりかけていた心が、温かくなった気がする。
春川は、ちゃんと前を見て進んでいってるんだ。
【春川 樹生】
「弟は、……見ての通りだ」
辺りを見回すけど、部屋の中には、俺と春川の二人だけしかいない。
【クロノ】
「そっか……良かったじゃん」
俺は春川の頭にぽんと手をやり、思い切り撫で回してやる。
春川が恥ずかしそうに俯いた。
【春川 樹生】
「クロノのおかげだよ」
【クロノ】
「……どういたしまして」
仕事だから、とはもう言わない。
―――それ以上の気持ちが、春川を助けたいという気持ちがあるから。
