[本編] 国重 昴正 編
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【アンク】
「再び何者かが、魔力を用いて人間を脅かしている可能性が高いということを、長に報告して参ります」
じいはそう残して死神界に戻り、俺はその足で探偵事務所に向かう。
ようやく事件解決の手掛かりになるような情報を得られるんじゃないかと、昂正も思ってる筈だから。
家には帰らず、事務所で俺の戻りを待っている筈だ。
案の定、俺が事務所に入ると、昂正はイスから立ち上がって食い気味に顛末を尋ねてくる。
【クロノ】
「あの人は、無事に正気に戻ったよ」
【国重 昂正】
「そうかー、とりあえずはほっとしたぜ」
【国重 昂正】
「…お前の方は大丈夫か? その様子を見ると、特に危険な目には合ってないようだが」
【クロノ】
「俺?……心配してくれた?ありがと」
【国重 昂正】
「…心配するだけ損したな、見るからにピンピンしてやがる」
チッ、とバツが悪そうに舌打ちをして昂正は煙草を灰皿に押し付けた。
舌打ちは照れ隠しだと受け止めて笑うと、チラッと目線で制された。
【国重 昂正】
「…で、お前が言ってた魔力ってのは、結局なんだったんだ?」
【クロノ】
「……人間の精神を、外部から何らかの方法によって操作する……」
【クロノ】
「多分、今回のことも、人間の仕業じゃないと思う」
【国重 昂正】
「……お前の口から『魔力』って言葉が出た時点で、そうじゃねえかとは思ってたが」
【国重 昂正】
「またかよ……うんざりだな」
昂正は苦々しい表情を浮かべて、盛大に溜息をついた。
リビドー事件のことを思い返しているのだろう。
再びソファに腰を沈める昂正に近付き、慰めるようにネクタイに手をかける。
昂正も、まずは被害者が無事に目覚めたことを喜ぶべきと気が緩めたのか、
俺の手首を掴んで引き寄せるような仕草で返した。
【クロノ】
「とりあえず、解決の糸口が見えたんだから良かったじゃない」
【国重 昂正】
「楽観的に考えればそうなるか。明日になったら、アビスの経営者んとこ行くぞ」
【クロノ】
「え? 場所がどこなのかもわかってないんじゃ…」
【国重 昂正】
「お前がカウンセリングごっこしてる間に、あの男からこれをもらった」
すいと翻された手には、1冊のパンフレットと名刺。
【国重 昂正】
「あいつが、アビスに依頼をした時に渡されたものだ。借りてきた」
【クロノ】
「あー良かった。じゃあ問題ないね」
【クロノ】
「よし、今日の仕事はこれでおしまい」
ソファに座っていた昂正を押し倒すように馬乗りになる。
すかさず抵抗されそうになったので、掴んでいたままだったネクタイを強く引いて牽制する。
【国重 昂正】
「おい…、凄ぇ苦しいんだけど」
【クロノ】
「今日俺、結構働いただろ?」
【国重 昂正】
「いつもなら、そんなことねえって突っぱねるところだけどな」
【国重 昂正】
「…今回だけは、役者なお前のお手柄だな」
【クロノ】
「さっき、あんたもお医者さんごっこしてる俺見て、『ムラムラしてる』って言ってたよね」
【国重 昂正】
「…まあ言ったわな」
【クロノ】
「じゃあ今日俺、そのままお医者さんでいてあげるから」
眉がピクリと揺れたのを見逃さない。
実はこういうプレイ、結構好きだったりするんだよな、昂正は。
【国重 昂正】
「……メガネかけてくれんのか」
【クロノ】
「その方がいいなら、かける」
【国重 昂正】
「ストッキングは」
【クロノ】
「は…、はあ? 穿くの?」
【国重 昂正】
「ストッキングは」
【クロノ】
「は…、はあ? 穿くの?」
【クロノ】
「俺が? ていうか、ここにあるの?」
【国重 昂正】
「あるに決まってんだろ」
【クロノ】
「変態」
【国重 昂正】
「いやあ、いつか絶対お前に穿かせて破って挿入してやろうと思っててな、ちょっと待ってろ」
その言葉は聞き捨てならない。
ウキウキと立ち上がろうとした体を問答無用で押し返す。
【国重 昂正】
「何だよ。安心しろ、お前足細いから絶対似合う」
【クロノ】
「却下。頭に被ってほしいとか、その足で踏んで欲しいとかならともかく、そういう用途ならお断り」
【国重 昂正】
「頭に被るってお前……」
【クロノ】
「それじゃ、まずは前立腺の検査からさせてもらおうかな。はい、足開いてー」
【国重 昂正】
「待て待て、それ内科の医者だろうが! あ、いや、肛門科か?」
【国重 昂正】
「っ、明日も早ぇんだから今日は……ッ、」
強引に足を開かせて布越しに指でそこを突いてやると、昂正は息を詰めたけど。
続けて前に触れようとした俺の手を払いのけて、ついでに俺を抱え込むようにして上体を起こす。
そのまま俺の尻に手を伸ばし、割り開かれるような感触に俺が飛び退いたのを見て――
してやったりと笑った。
【国重 昂正】
「明日も仕事だ。今日はとっとと寝るんだよ」
【クロノ】
「……ケチ」
―――翌朝
午前中のうちに叩き起こされた俺は、ステルス状態での同行を求められた。
昨日のうちから予定を聞いてしまっていた手前、断ることもできずに、しぶしぶ街へ繰り出す。
【クロノ】
「眩しい……俺、朝日浴びると溶けるんだよ」
【国重 昂正】
「どこのゾンビだ。それより、今朝、あいつから連絡があったぞ」
【国重 昂正】
「恋人が無事に元に戻った。国重さん、黒乃さん、本当にありがとうございましたってな」
【国重 昂正】
「電話口で泣いてたぞ。良かったなあ、善行しやがって、この死神が!」
周囲に人影がないからか、独り言に見えるのを気にする様子もなく上機嫌に俺の頭を撫でてくる。
【クロノ】
「や、やめて、髪が解ける…!」
【国重 昂正】
「これからは別れさせ屋なんて使わずにきちんと話し合って」
【国重 昂正】
「できることならケンカなんかしねーで仲良くやれって言っといたから」
【国重 昂正】
「もうあいつらは大丈夫だろ」
【クロノ】
「……そっか」
【国重 昂正】
「お前の演技も無駄じゃなかった。ありがとな」
【クロノ】
「…………」
【国重 昂正】
「どうした?」
昂正以外の人間に礼を言われるのは慣れてないから、なんとなくムズムズする。
「再び何者かが、魔力を用いて人間を脅かしている可能性が高いということを、長に報告して参ります」
じいはそう残して死神界に戻り、俺はその足で探偵事務所に向かう。
ようやく事件解決の手掛かりになるような情報を得られるんじゃないかと、昂正も思ってる筈だから。
家には帰らず、事務所で俺の戻りを待っている筈だ。
案の定、俺が事務所に入ると、昂正はイスから立ち上がって食い気味に顛末を尋ねてくる。
【クロノ】
「あの人は、無事に正気に戻ったよ」
【国重 昂正】
「そうかー、とりあえずはほっとしたぜ」
【国重 昂正】
「…お前の方は大丈夫か? その様子を見ると、特に危険な目には合ってないようだが」
【クロノ】
「俺?……心配してくれた?ありがと」
【国重 昂正】
「…心配するだけ損したな、見るからにピンピンしてやがる」
チッ、とバツが悪そうに舌打ちをして昂正は煙草を灰皿に押し付けた。
舌打ちは照れ隠しだと受け止めて笑うと、チラッと目線で制された。
【国重 昂正】
「…で、お前が言ってた魔力ってのは、結局なんだったんだ?」
【クロノ】
「……人間の精神を、外部から何らかの方法によって操作する……」
【クロノ】
「多分、今回のことも、人間の仕業じゃないと思う」
【国重 昂正】
「……お前の口から『魔力』って言葉が出た時点で、そうじゃねえかとは思ってたが」
【国重 昂正】
「またかよ……うんざりだな」
昂正は苦々しい表情を浮かべて、盛大に溜息をついた。
リビドー事件のことを思い返しているのだろう。
再びソファに腰を沈める昂正に近付き、慰めるようにネクタイに手をかける。
昂正も、まずは被害者が無事に目覚めたことを喜ぶべきと気が緩めたのか、
俺の手首を掴んで引き寄せるような仕草で返した。
【クロノ】
「とりあえず、解決の糸口が見えたんだから良かったじゃない」
【国重 昂正】
「楽観的に考えればそうなるか。明日になったら、アビスの経営者んとこ行くぞ」
【クロノ】
「え? 場所がどこなのかもわかってないんじゃ…」
【国重 昂正】
「お前がカウンセリングごっこしてる間に、あの男からこれをもらった」
すいと翻された手には、1冊のパンフレットと名刺。
【国重 昂正】
「あいつが、アビスに依頼をした時に渡されたものだ。借りてきた」
【クロノ】
「あー良かった。じゃあ問題ないね」
【クロノ】
「よし、今日の仕事はこれでおしまい」
ソファに座っていた昂正を押し倒すように馬乗りになる。
すかさず抵抗されそうになったので、掴んでいたままだったネクタイを強く引いて牽制する。
【国重 昂正】
「おい…、凄ぇ苦しいんだけど」
【クロノ】
「今日俺、結構働いただろ?」
【国重 昂正】
「いつもなら、そんなことねえって突っぱねるところだけどな」
【国重 昂正】
「…今回だけは、役者なお前のお手柄だな」
【クロノ】
「さっき、あんたもお医者さんごっこしてる俺見て、『ムラムラしてる』って言ってたよね」
【国重 昂正】
「…まあ言ったわな」
【クロノ】
「じゃあ今日俺、そのままお医者さんでいてあげるから」
眉がピクリと揺れたのを見逃さない。
実はこういうプレイ、結構好きだったりするんだよな、昂正は。
【国重 昂正】
「……メガネかけてくれんのか」
【クロノ】
「その方がいいなら、かける」
【国重 昂正】
「ストッキングは」
【クロノ】
「は…、はあ? 穿くの?」
【国重 昂正】
「ストッキングは」
【クロノ】
「は…、はあ? 穿くの?」
【クロノ】
「俺が? ていうか、ここにあるの?」
【国重 昂正】
「あるに決まってんだろ」
【クロノ】
「変態」
【国重 昂正】
「いやあ、いつか絶対お前に穿かせて破って挿入してやろうと思っててな、ちょっと待ってろ」
その言葉は聞き捨てならない。
ウキウキと立ち上がろうとした体を問答無用で押し返す。
【国重 昂正】
「何だよ。安心しろ、お前足細いから絶対似合う」
【クロノ】
「却下。頭に被ってほしいとか、その足で踏んで欲しいとかならともかく、そういう用途ならお断り」
【国重 昂正】
「頭に被るってお前……」
【クロノ】
「それじゃ、まずは前立腺の検査からさせてもらおうかな。はい、足開いてー」
【国重 昂正】
「待て待て、それ内科の医者だろうが! あ、いや、肛門科か?」
【国重 昂正】
「っ、明日も早ぇんだから今日は……ッ、」
強引に足を開かせて布越しに指でそこを突いてやると、昂正は息を詰めたけど。
続けて前に触れようとした俺の手を払いのけて、ついでに俺を抱え込むようにして上体を起こす。
そのまま俺の尻に手を伸ばし、割り開かれるような感触に俺が飛び退いたのを見て――
してやったりと笑った。
【国重 昂正】
「明日も仕事だ。今日はとっとと寝るんだよ」
【クロノ】
「……ケチ」
―――翌朝
午前中のうちに叩き起こされた俺は、ステルス状態での同行を求められた。
昨日のうちから予定を聞いてしまっていた手前、断ることもできずに、しぶしぶ街へ繰り出す。
【クロノ】
「眩しい……俺、朝日浴びると溶けるんだよ」
【国重 昂正】
「どこのゾンビだ。それより、今朝、あいつから連絡があったぞ」
【国重 昂正】
「恋人が無事に元に戻った。国重さん、黒乃さん、本当にありがとうございましたってな」
【国重 昂正】
「電話口で泣いてたぞ。良かったなあ、善行しやがって、この死神が!」
周囲に人影がないからか、独り言に見えるのを気にする様子もなく上機嫌に俺の頭を撫でてくる。
【クロノ】
「や、やめて、髪が解ける…!」
【国重 昂正】
「これからは別れさせ屋なんて使わずにきちんと話し合って」
【国重 昂正】
「できることならケンカなんかしねーで仲良くやれって言っといたから」
【国重 昂正】
「もうあいつらは大丈夫だろ」
【クロノ】
「……そっか」
【国重 昂正】
「お前の演技も無駄じゃなかった。ありがとな」
【クロノ】
「…………」
【国重 昂正】
「どうした?」
昂正以外の人間に礼を言われるのは慣れてないから、なんとなくムズムズする。
